最初の命令
国軍発足から。
一週間が過ぎた。
街の景色は。
少しずつ変わっていた。
革命軍の旗が消える。
代わりに。
新しい国旗が掲げられる。
兵士たちの制服も。
順番に変わっていく。
だが。
中身は。
まだ変わり切っていなかった。
ある朝。
中央司令部に。
緊急の報告が入った。
「国境付近で。
旧政府軍の残存部隊を確認」
「規模は?」
「小規模です」
「攻撃してきたのか?」
「まだです」
会議室が。
静かになる。
以前なら。
すぐに部隊を出していた。
しかし。
今は違う。
新しい国軍として。
最初の判断だった。
「どうする?」
幹部が。
周囲を見る。
誰も。
すぐには答えなかった。
その時。
「撤退させればいい」
BAが。
口を開いた。
「なぜだ?」
「攻撃してこないなら。
こちらから戦う理由がない」
「放置するのか?」
「違う」
BAは。
地図を指した。
「国境を封鎖する。
武器を捨てれば。
投降を認める」
旧政府軍の兵士たちを。
すべて敵として扱うのではない。
それが。
BAの考えだった。
「もし拒否したら?」
「その時は。
国軍として対応する」
幹部が。
しばらくBAを見る。
「……分かった」
命令が出された。
部隊が。
国境へ向かう。
数時間後。
報告が入った。
「投降しました」
会議室に。
小さな安堵が広がる。
誰も。
歓声を上げなかった。
ただ。
一つの戦闘が。
起きずに終わった。
それだけだった。
会議の後。
将軍が。
BAに声をかけた。
「お前の判断で。
兵士が死なずに済んだ」
「戦う必要がなかっただけです」
「それが分からない人間も多い」
将軍は。
少し笑った。
「国軍になって。
最初の命令だった」
BAは。
何も言わなかった。
その夜。
BAは。
一人で街を歩いた。
兵士が巡回している。
市場が開いている。
子供たちが。
道を走っている。
戦争中には。
見られなかった光景だった。
BAは。
足を止めた。
「……守るって。
こういうことか」
21歳のBAは。
初めて。
自分が持っている力の意味を。
少しだけ理解し始めていた。
そして。
国軍は。
次の命令を。
待っていた。




