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『東の魔王、西の勇者 ~普通のおっさんと少年ゲリラが世界を二分するまで~  作者: サラ男


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未来への投資

海外訪問。


 黒崎は。


 復興計画についての説明を受けていた。


 場所は。


 政府関係者が使う会議室。


 大きな机。


 その周りに。


 政府関係者。


 軍関係者。


 東方エネルギーの関係者が座っている。


 黒崎は。


 その中にいた。


「今後は、資源開発と電力網の復旧を同時に進めます」


 説明が続く。


 黒崎は。


 資料を見ていた。


 道路。


 発電施設。


 資源開発。


 食料。


 水。


 まだ問題は多い。


 だが。


 復興は始まっている。


「東方エネルギーからの投資については?」


 黒崎が聞いた。


「予定通り進めます」


 担当者が答える。


「この地域にとって、非常に大きな意味があります」


「そうですか」


 黒崎は。


 淡々と答えた。


 会議室の後ろには。


 数人の軍人が立っていた。


 警備のためだった。


 その中に。


 一人の少年がいた。


 黒い髪。


 青い目。


 まだ十八歳。


 軍服を着て。


 黙って立っている。


 会議の内容を。


 理解しているわけではない。


 ただ。


 ここにいるよう命じられている。


 少年は。


 会議室を見渡した。


 政府関係者。


 軍人。


 企業の人間。


 そして。


 一人の日本人。


 その日本人が。


 東方エネルギーの大株主だということを。


 少年は知らなかった。


 黒崎も。


 後ろに立つ少年を。


 特に気に留めなかった。


 会議は。


 そのまま続いていく。


「では、復興地域への投資を拡大する方向で」


「お願いします」


 黒崎が答える。


 その言葉を。


 少年は聞いていた。


 投資。


 復興。


 道路。


 電力。


 資源。


 自分たちが戦って。


 ようやく守った街に。


 今度は。


 別の人間が金を入れていく。


 少年は。


 少しだけ考えた。


 戦うだけでは。


 街は変わらない。


 道路が必要だ。


 電気が必要だ。


 食べ物も。


 仕事も必要になる。


 少年は。


 会議室の外を見た。


 遠くに。


 まだ壊れた建物が残っている。


「……これからだな」


 小さく呟いた。


 一方。


 黒崎は。


 資料を閉じた。


 この国には。


 まだ投資する余地がある。


 そう考えていた。


 復興すれば。


 経済が動く。


 経済が動けば。


 企業が成長する。


 企業が成長すれば。


 自分の資産も増える。


 黒崎にとって。


 それは。


 十分な理由だった。


 会議が終わる。


 黒崎が立ち上がる。


 少年も。


 壁際から動いた。


 二人は。


 すれ違った。


 それだけだった。


 名前を知ることもない。


 言葉を交わすこともない。


 ただ。


 同じ国で。


 同じ未来を見ていた。


 一人は。


 この国を。


 もっと良くしたいと思っていた。


 もう一人は。


 この国の成長に。


 可能性を感じていた。


 その二人が。


 いつか。


 世界を大きく変えることになるとは。


 この時は。


 まだ誰も知らなかった。

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