和平
革命軍が。
少しずつ。
戦場を支配し始めていた。
政府軍は。
各地で敗れた。
兵士が逃げる。
部隊が離反する。
そして。
街が。
一つずつ。
革命軍の手に落ちていった。
BAのいる地域でも。
政府軍の姿は。
減っていた。
「また撤退したそうです」
兵士が言った。
「そう」
BAは。
地図を見る。
戦線は。
かなり動いていた。
そして。
首都でも。
異変が起きていた。
国家元首が。
国を出た。
隣国へ逃亡したのだ。
政府は。
大きく揺らいだ。
軍の一部は。
戦うことをやめた。
革命軍は。
さらに前へ進んだ。
だが。
ここで。
戦争は。
終わらなかった。
逃亡した国家元首は。
隣国へ支援を求めた。
隣国は。
国境に兵を集めた。
そして。
衝突が起きた。
一発の銃声から。
戦闘が始まった。
国境を越えて。
兵士が入ってくる。
戦車が動く。
砲撃が始まる。
戦火は。
隣国へ広がった。
革命軍は。
新たな敵と戦うことになった。
「二つの国を相手にするのか……」
兵士が呟く。
BAは。
地図を見る。
「違う」
「え?」
「もう。
一つの戦争じゃない」
BAは。
国境線を指した。
「戦争そのものが。
大きくなってる」
その頃。
世界も。
動き始めていた。
大国が。
介入を決めた。
軍艦が動く。
航空機が飛ぶ。
外交官が。
次々と両国へ入った。
「これ以上。
戦争を広げるな」
大国は。
双方に要求した。
だが。
戦闘は。
止まらなかった。
革命軍は。
前へ進んだ。
隣国軍も。
国境を越えてくる。
激しい戦闘が。
続いた。
そして。
数週間後。
革命軍が。
決定的な勝利を収めた。
隣国軍は。
国境の向こうへ退いた。
革命軍は。
首都を完全に掌握した。
政府は。
崩壊した。
長かった戦争が。
ようやく。
終わりを見せ始めた。
だが。
問題が残った。
国境だった。
革命軍が。
戦争の中で確保した地域。
そこには。
隣国との国境を守る。
重要な高地があった。
その地域を失えば。
隣国側の防衛線が。
大きく後退する。
隣国にとって。
絶対に譲れない場所だった。
そして。
革命軍にとっても。
簡単には手放せない。
場所だった。
停戦交渉が始まった。
「この地域を。
返還してほしい」
隣国側が言った。
「断る」
革命軍側は。
即答した。
「ここは。
こちらの血で取った土地だ」
「分かっている」
大国の仲介役が。
静かに答えた。
「だが。
ここを持ち続ければ。
隣国は。
和平に応じない」
革命軍側が。
黙る。
「それだけではない」
「革命後の国には。
復興が必要だ」
「道路。
発電所。
食料。
医療。
すべてが足りない」
「国際的な支援も必要になる」
そして。
もう一つ。
問題があった。
その地域を守るためには。
今後も。
大量の兵士を置く必要がある。
国境を挟んで。
隣国軍と向かい合う。
いつでも。
次の戦争が始まる。
そんな国に。
投資する国は少ない。
「ここを守り続ければ。
また戦争になる」
革命軍側の代表が。
地図を見る。
「手放せば?」
仲介役が答える。
「和平が成立する可能性が高い」
「国境も確定する」
「そして。
国を再建できる」
長い沈黙。
「……つまり」
革命軍側の代表が言った。
「勝った土地を。
勝ったまま持っているより」
「国そのものを。
残す方を選べということか」
仲介役は。
答えなかった。
ただ。
地図を見ていた。
革命軍は。
最後まで迷った。
だが。
やがて。
決断した。
「分かった」
国境に接する。
重要地域の一部を。
隣国へ割譲する。
その代わり。
国境を確定する。
停戦する。
そして。
新しい政府を。
国際社会が承認する。
苦しい決断だった。
戦って。
奪った土地を。
自ら手放す。
だが。
それでも。
戦争を終わらせるためには。
必要だった。
交渉は。
何日も続いた。
そして。
ついに。
両国の代表が。
条約に署名した。
和平条約。
長かった戦争が。
終わった。
街に。
静けさが戻る。
銃声が。
消えていく。
BAは。
遠くの街を見ていた。
「終わったな」
元小隊長が言った。
「うん」
BAは。
答えた。
勝った。
だが。
すべてを手に入れたわけではない。
失ったものも。
多かった。
それでも。
人々は。
明日を生きられる。
BAは。
そう思った。




