世界が動く
――臨時ニュースです。
世界を揺るがしていた戦争が。
ついに。
停戦に入った。
発端は。
数年前に起きた。
ある国でのクーデターだった。
政権が崩壊し。
国内は混乱。
それをきっかけに。
周辺国を巻き込んだ戦争へと発展した。
戦火は。
長く続いた。
しかし。
ここにきて。
大国が介入。
双方に停戦を迫った。
そして。
両国は。
停戦に合意した。
『今回の和平合意では、交戦国の一方が国土の一部を割譲することで合意しました』
『また、和平の条件として、同国のNATO加盟が認められる見通しです』
世界は。
大きく動いた。
戦争が終わる。
そのニュースだけで。
世界中の市場が反応した。
しかし。
市場を動かしたのは。
それだけではなかった。
『続いて、エネルギー関連のニュースです』
画面が切り替わる。
『東方エネルギーが、長期間停止していた海外の資源関連施設を再稼働させると発表しました』
東方エネルギー。
その名前が。
再び世界に流れた。
『今回再稼働する施設は、停戦合意が成立した地域に位置しており――』
アナウンサーが。
説明を続ける。
戦争によって。
長らく開発が止まっていた。
巨大な資源鉱床。
その開発が。
再び始まる。
そして。
東方エネルギーが。
その権益の一部を保有していた。
『東方エネルギーによりますと、今回の再稼働によって、同社の資源生産量は大幅に増加する見込みです』
市場が。
反応した。
株価が。
動く。
昨日まで。
誰にも見向きされなかった株が。
一気に買われ始める。
東方エネルギー。
上昇。
さらに。
上昇。
ニュースが広がるにつれて。
買い注文が殺到する。
株価は。
止まらなかった。
その頃。
黒崎は。
自宅で。
画面を見つめていた。
「……」
株価が。
上がっている。
数分前とは。
まるで違う数字になっている。
黒崎は。
何も言わなかった。
ただ。
画面を見ていた。
あれほど。
誰にも期待されなかった会社が。
世界中から。
注目され始めていた。
黒崎が。
全てを賭けた株。
東方エネルギー。
その株価が。
ついに。
動き始めた。
黒崎は。
静かに呟いた。
「……きた」




