工作活動
アメリカ政府中枢。
地球エネルギー共同研究の進捗を示す資料が、会議室の大型モニターに映し出されていた。
研究は最終段階に入っていた。
一人の政治家が資料を眺めながら口を開く。
「共同研究も大詰めだな」
向かいに座る政府関係者が頷いた。
「はい。技術的な課題も、ほぼ解決の目処が立っています」
政治家が椅子に深く腰を沈める。
「それで、実用化した場合の評価は?」
政府関係者は資料を切り替えた。
「持ち運びができない点では、核融合に劣ります」
画面には地球エネルギーと核融合、それぞれの特徴が並んだ。
「しかし、コストは圧倒的にこちらの方がかからない」
政治家が興味を示す。
「ほう」
「大規模な燃料供給網を必要としない。施設を適切な場所に建設できれば、長期間にわたって安定したエネルギーを取り出せる可能性があります」
「問題は?」
「化石燃料など、従来の資源に頼らなければならない部分が残ることです。完全に既存のエネルギー資源を不要にするわけではありません」
政府関係者は一度言葉を切った。
「それでも、これを商用化すれば、アメリカ経済圏のエネルギー事情は一気に変わります」
政治家がモニターを見つめる。
「ほう、それから?」
政府関係者の表情が変わった。
「ある工作をCIAを使って行います」
政治家が眉を上げる。
「石油産出国をターゲットにするのか」
「それも一つです」
「それも?」
政府関係者は意味深に笑った。
「まぁ、見ておいてください」
政治家が身を乗り出す。
「それだけじゃありません」
会議室に沈黙が落ちた。
地球エネルギーの商用化。
それは単なる新エネルギーの誕生ではない。
石油を中心に築かれてきた世界の経済構造を変え、各国の力関係すら変える可能性を秘めている。
そしてアメリカ政府は、技術の完成を待つだけではなかった。
その先にある世界を見据え、すでに次の一手を動かし始めていた。




