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無法者の詩  作者: 唯の屍
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第三十八話「もっとも遠き、新しき一人」其の一

イメージソング


ALPHA(TVアニメ『憂国のモリアーティ』エンディング主題歌)- STEREO DIVE FOUNDATION - [Official Video] https://youtu.be/Xe9c85B9Uc8?si=9-w3rlmzU914TPkJ @YouTubeより


月詠み Studio Live『花と骨』 https://youtu.be/tqPoTQTSy6k?si=7SlU8OLTU-GRChU7 @YouTubeより


其れは、天祐が帰する。日の事、掲げる日照の輝きは、今も大地を照らし続ける。


喩えこの世の理が変わり、天地が逆巻く異郷と化したとて、人々は今も生きているのだから。


世界の終りの日に訪れた訪問者は、自らの目的と、生じる結果を口々に伝えるも、その願いも方策も、


全て時代の闇間に消えて、断絶された。


嗚呼、驕ることなく、意見を述べるのであれば、君に誤解なく伝えよう。


喩えこの世に一人だけ、誤解なく分かり合える存在が居たとして、それが一人だけなら、その意味は薄く、


歴史の波間に消え去るだろう。


何故ならば人と人とのコミュニケーションと互いに分かり合うと言う事は、一人で行う事では、無いのだから...


そして誤解なく伝わる事で、余計な軋轢や、諍(いさか)いが起こる事もある。


それでも全てが万事、収まる事の方が少ない。


喩え、この世界の全てが誤解なく理解できたとしても...憎しみや嫉妬ですら相手にダイレクトに届く、


大抵の器となった人間は、人の悪意に触れて潰れていく。


人は何故、相互理解の良面だけを見るのだろうか?何事にもメリットとデメリットが存在する。


其れを説明しないのは、些か不条理にも似た、詐欺師と観られても致し方なし、


だが、故に答えがそこに無いという訳でもない。


...


星が今、死に絶えようとしている。外宇宙からの訪問者が、その大地を蹂躙するべく、向かってくる


我は、調停者。


唯、この大地に、憩う雛鳥に、道を示し、灯台の篝火を焚く者。


厭う事なく何度も伝えよう。


過去を憂い、現在に、勤しみ、未来に、備えよ。


今は生きるのに必死で在ろうが、1000年未来の世界を思い描く事無く、人の世の安寧は無い。


何故ならば世界は、蒼空を飛ぶことを夢見て、夢想した。夢想家たちが切り拓いて来たのだから...


且つて滅んだ世界より、この地に参った。


未来より持ち込んだ、十三機の機神の力を以てして、大絶滅の防ぎ、萌芽を潰す。天災の意に、異議を唱えよう。


死すべき運命に晒された人類の最後の生き残りとして...これより起こる、悲劇を回避する為に...


吾身を過去に送り込む。


対峙するは、巨大隕石が降り注ぐ事により、大絶滅を起こす未来への分岐点を辿る旅路へと逝く。


友人知人は既に死に絶え、伴侶も子供も既に亡く、僅かに残された意気を頼りに、その最後の嚆矢となるべくひた走るも、


既にその身は、病に蝕まれ、生くる為には...となるしかない。


だがそれは最終手段である。


死すべき運命は、変える事が出来ると、信じ、此処まで来た。


現地人に協力を求めて、十三機の機神で轡を並べ、来るべき脅威へと相対する。


その姿は威容の一言、


頭から、

Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)・・・1.限界を超える者...機体特性・・・無限を体現し限界を超える


Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)・・・1.死に拒まれた者…機体特性・・・不死身


Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)・・・1.編纂されぬ者…機体特性・・・その攻撃や機体には、なにもののも干渉を出来ない。


Ⅳ(4)《アンフォーギヴン》(Unforgiven)・・・1.許されざる者...機体特性・・・


Ⅴ(5)《アンタレス》(Ant Ares)・・・1.火星に対抗する者…機体特性・・・星間貫通


Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)・・・1.触れえざる者…機体特性・・・接触不可 触れれば、災厄に見舞われるか、触れられない


Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)・・・1.壊されぬ者…機体特性・・・破壊不能...。武装各種...。


Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)・・・1.裁かれぬ者…機体特性・・・その影響はこの世の断り(理)を変える


Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)・・・1.無冠の王…機体特性・・・   


Ⅹ(10)《アンギフテッド》(Ungifted)・・・機体特性・・・与えざる者…機体特性・・・  


Ⅺ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])・・・・・・1.恐れざる者…機体特性・・・アンフェア…機体同士の性能及び動力の出力をアンフェア...強制的に自機に有利に傾けると恐怖を与える


Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)…偽らざる者…機体特性・・・


XIII(13)…欠番・・・《アンチェイン》(Unchain)・・・繋がれざる者...機体特性・・・


方陣を描き、迎撃と防御に、別れそれぞれの機体が思い思いに、動き出し、まずは先制として繰り出されるは、無限の行使。


《アージナリーワン・ウェポンⅠ(1)》アンロック...ワン、ツー、スリー、フォー...による友軍機への支援と共に、


請う願う音階に促され、放つは…その本来の建造目的として作られしは、移動型のマスドライバー...エリンの穂先...。大中小の物資や人員を宙へと、いついかなる場所からも打ち上げられる様に。


迫る巨大隕石の飛来に備えし一手として、地上から宙への打ち上げを担当するは...二機の機影


其々の姿は、紺鼠色ではなく鉄墨燃える真黒に、機体の至る所に走る幾何学模様の白々燃ゆる傷痕が壮絶な何かを顕すその躯体を朝焼けの陽に翳る影法師を二つ、一対の片側に鎮座する黒ともう片方は白と赤の入り乱れた貴色を交えたる。


それぞれが対照的な、線様を魅せる。


頭部を覆う様に長方形の装甲材に覆われた狙撃用バイザーには、一つ目のアイコン、その暗闇に浮かび目立たない配色彩の隙間を縫うように魅せ、


可動式の大型バイザーの下にはスリット状のメインカメラが、目標を見定めるかの様に光る。


機体の端々には、複雑な変形機構などは存在せず、いつか見た未来での機能を封ずるように配置されたロックボルトは見る影を喪い


覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔の景観から口元を滑らかな表情を見せるマスクで口腔を覆い隠すも


一部、一対の副腕が隠されている...残して、シンプルな機体の手には、照準と砲身の前方にシールドを備えた対戦車ライフルにも似た


大型の六角レンチ状の自律型武装...オプトシックス《選び取る6つ》を備え、稼働する回転弾倉式の変成機構をその身に宿し、自重を支えるべく、


独自に推進機構を前後に備えし、其の得物を構え、大型カメラが頭部バイザーの支援を受け、その頭部には、ツインアイではなく視界の半数を占めるは、バイザーによる視界の確保を見せ、紫煙を燻らせる様に、生ずる排熱をその口腔から迸らせる


Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)とXIII(13)…欠番・・・《アンチェイン》(Unchain)の二機がそれぞれ別の大地から、本来の意図する使用目的として、


迎撃と防御、にそれぞれ北半球、南半球に、その道が分かたれる、担当するは、


迎撃、北半球担当...XIII(13)《アンチェイン》(Unchain)、Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)、Ⅳ(4)アンフォーギヴン(Unforgiven)、Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)


防御、北半球担当...Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)、Ⅹ(10)《アンギフテッド》(Ungifted)


中間点...Ⅺ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])


迎撃、南半球担当...Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)、Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)、Ⅴ(5)《アンタレス》(Ant Ares)、


防御、南半球担当...Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)、Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)


北半球と南半球


其々の機体がその射線上に打ち上げるべく、その咆哮轟く、疑似電磁バレルを展開

...


...


...


...


...


...


驚異の廃絶を試みるが、結果は...


「失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。失敗した。」


現地人とのコミュニケーション...不整合


現地人との情報共有...部分的に可能なもの重要な箇所に欠損あり。


現地人の言語...翻訳可能だが意訳に齟齬有り


致命的な、不整合を魅せる。


過去に未来の情報を持ち込ませるには、問題があり、伝えられる情報には制限がある。


やはり未来の情報を限定的に、知らせるのに無理があったのだろう。


喩え、今日、明日は世界が滅びると言われ、はいそうですかと納得する人の方が少ないだろう。


警告の言葉は薄く、ぼやけた輪郭でしか伝わらない。


何故、同じ陣営、同じ組織に属する者同士で、情報を隠して情報の伝達が行われていないのか?


その理由は、判然として何も分からない。


人は、人と人の繋がりを、何処で違えた。


未来の予知を知り得る者だとしても、誰もがその言葉に耳を傾けるとは限らない。


ましてや、唯の人の身でしかない己には、その根拠を示す術が難しく厭わしい。


何度となく今まで経験してきた。事故を予知したとしても誰も聴く耳は持たないし、話を取り合わない。


何か確証となる証明が必要だが、其の為には未来に関する情報を述べなければならないのに、其れは禁じられている。


であれば、情報伝達の断絶はどうしても産まれる。


事前に情報を搭載した遡行探査プローブを送り込んでいたが、何故か、その情報が、時の世の人々に伝達されていなかった。


十三機の機神は、強力なモノの我の身体は一つのみ、精密な迎撃を行う為には、現地住民の協力が不可欠。


誤解があるとすれば、事象の再現に必要な事は、ただ表面をなぞるだけではなく、各々の分担するそれぞれを尊重するその意志だけだった。


それは人の心根に起因する事で、他人に強制する事は出来ない。


だが、それが一番簡単であり、一番難しい。協調性は、それぞれ個々人が持ち合わせるモノで、誰かが取ってつけた様に与えられる様なモノでもないのだから。


既に伝達した未来の技術を得た者たちは、僅かばかりの人々を収容しての箱舟の建設に取り掛かる。


その経過を見守り、地上の人々を見守るのか?それとも宙への遥か新天地を探す旅へ向かうかの二択を選択し、


地上へと残る算段を試みるが...破損した機体の修復を行う間もなく、


一部の体制の手によって...吾身は虜囚となり果てる。


今を生きる者たちは、不思議に思う。どうして現代の技術との相違が見られる創意工夫の品々に魅了され


生きたままの解剖に...、解析を試みる。


・・・


・・・



・・・


欠けた物語を語る語り部の口は重く未だ、その事実に至らない。


リアクティジェネレーター...。本来の使い道は、未来の物資が尽きた世界に置いて、あらゆる資材を有効活用する為の物資の再変換システム


リアクティブジェネレータ《反応生成機構》...


本来で有れば牛肉と僅かな香辛料や野菜を投入すれば、自動生成しカレーや食料品を作り出し、他生物や鉱物を投入すれば、素材と燃料を吐き出すという。


単なる大型完全自動万能調理器...正式名称...ダグザの釜として、機能するはずだった。


だが、そこに目を付けたのは、過去の人類の発想の転換に起因する。物資が無ければ。生きてる人間で代用すれば良いと、常用外の使い道を思いつく


新天地を探す、惑星間航行の当面の問題である。燃料と食料、そして必要不可欠である水と空気の諸問題が解決されるのは。


まだ、物語の先の話である。

...


...


...


...


...


...


西暦2025年...皆既月食を魅せる日に。


羅睺、撃退は...部分的に成功。


但し...量子演算機が本来想定していたカウンターが、発動せず。その原因を探る。

...


...


...


となったが、奇しくもその年の冬には、現存する人類は地球上で生息は困難と判断。


そして一つの結論に至る。埒外の天災によるカタストロフィを回避するその術を産み出したのは、


出所不明の技術を転用しての新天地を探す旅へと出る事。


星に恋願う人々は、新天地を求めて宙へと飛び立つ事となる。


そして、そこからが、星に恋願う人々の旅の始まり、そしてそこからが、我の地獄の始まりだ。


人は人の命の味を覚える獣と化した、この世界線には、秩序を守りし、杜人は、存在せず。世界に名を隠す様な、且つての何者かの姿も無い。


ただ其処に在るのは、放射能を吸収し冷却し、超伝導を備えし...核融合炉の実現に寄与した。


超伝導放射能吸冷却材(Superconducting radioactive coolant)


SRCと名付けた、その素材の生成に成功した名も無き科学者の遺稿が僅かに残るばかり、


A・A


その人物の死により、本来あるべき結末から大きく離れる事となる。この世界線に置いては、人類には遥か外宇宙より迫る


害意に対抗する術はなかった。

・・・


・・・


・・・


我は、もっとも遠き、新しき一人、その解に、問いを混ぜ掛け、問い願う。


君は果たして、その答えに辿りつく事は出来るのだろうか?


さすれば救いの御手は、その音声(おんじょう)に乗ってその耳に届くだろう。


・・・


微睡む記憶の中で言い淀む。


「ギベオン戻ったよ」


別名発見者の名前からテスラタイト...今も尚、過去と未来のの事象を読み解く記憶媒体を手中で弄びながら、昔ながらの機体に残されていたタブレット端末に挿入すると、


読み取られた映像記憶が室内に備わった全天周のモニターへと映し出されていく


ややあって、声を掛け、遅れて気付くは


珍しくも、地球衛星軌道上に存在する超大型衛星ギベオンの一室にて、


終夜=ナイトワーカーの声。


「珍しいじゃないか?戦術データーリンクじゃなくて、対面とは?何年ぶりだっけ?...?」


「そうだな、そろそろ話して於くには、言い頃合いだろうな...。」


「今年で幾つになった?」


「んーえーっと今が8月で、誕生日は10月10日だから、もう直ぐ23歳かな?それがどうしたの?」


「いや、何でもない。そろそろ、知っても言い頃合いだろう。君たちが地球圏を離れた後の事も各隊より報告が上がっている。」


「ついでに君も観ると言い。」


そう言って、大型カプセル型のチェアに深くその身を揺蕩う、老齢に近づき、やや若作りではあるものの、


短く切り上げられた、淡い灰色がかった色の男の顔には、その表情には深く刻まれた皺と傷痕が残る。


無精髭を生やす精悍な顔にも、厳しい現実に浸され、幼さが抑えられた精悍な表情となり、少なからずとも威厳の片鱗を魅せるも、


その笑みに威厳などなかった。身体中に繋がったチューブのラインが揺れ


紡ぐは、過去と現在の一節。それは香しくも哀しき人と知れ、人が歩んだ歩幅がいつしか道へと至る。


君がこれからその願い。迷わぬ様に...。


それは、成層圏での襲撃より数日の間、終夜達が火星圏へ向かう往路の途中、其れは起きる


既に遠き夜空の仕事人の面々が、転送用のマーカーとなる誘導灯...設置していた。坂東...富士山麓付近と、オデッサ並びに、南半球、オーストラリアの其々の場所で、難民問題が生じる。


予め、その予測から...ギベオンからの瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》による強制転送を経て


それぞれの地上では、アンタレス《火星を殺す者》の火砲に晒され、被災した、幾重にも重ならんばかりに溢れかえる。マレディクトとクピドレスに


所属する人々が、地上へとひしめいていた


五番隊を預かる《領五=羽住》は、現状のこのありさまをギベオンにどう報告したものかと?思い悩み、


テステスと、報告用のカメラの嵌り具合を調整していると、《ロシナンテ》の同型艦、《レチタティーヴォ》《語る様に詠う》の甲板デッキ上で


風と雪に煽られながら、眼下に広がる人の営みを撮影し始める。


「相変わらず、めんどくさい事に巻き込まれてるなぁ。この場合俺達が巻き込まれに行ってるのか?謎だが、成る様にしかならんよな。なぁ領五?」


「いやー外崎君は、別に物資の調整とか考えないで済む様に、隊長を僕に押し付けたでしょ?本来なら隊長は外崎君だからね?」


あれ?これどうやったっけ?と頭と体を捻りながら四苦八苦する。


「まぁ、な?其れより、状況はどんなかんじだ?」


「圧倒的に、赫剤が足りないよ。物資不足は何処でも問題だね。ギベオンにも人が殺到してるらしいし、今は、希望者を地上に降ろしてる所だよ。」


「領五、堕ちたコロニーの数は、どの程度だ?」


「確か六基はあったね。一つのコロニーに1400万人と見積もっても、合計8400万人、国一つ分ほどの人口が突然、地上に現れた事になる。」


「其れをギベオン、坂東、オデッサ、オーストラリアの四方に、分散してるけど、流石に不味いね。」


「一応、急ピッチで街を作っているけれども、僕らが担当してる坂東と、六番隊が新たに拠点にしてるオーストラリアのクニャラ・ウル《寒気の都市》は冬真っただ中だ。」


「急がないと死人が出るよ。」


「と言うか、なんで人喰いの奴ら迄全員助けてるんだよ?」


「まぁ、隊長がそう言う方針だったからね。僕らの隊の中でもそれについては疑問視してる人も居るのは承知してるよ。例えば、君...外崎君とかね?」


「六番隊なんて、その最たるもんだろ?対処振られてあいつら恐らくブチ切れてるぞ?」


「船の名前にアンチ・カニバリゼーション《反・共食い》なんて名付けてるぐらいだからな。あいつ、恐らくその事忘れてるだろ?」


「まぁね。僕も若干疑問に思ってるよ。昨日、共食いを起こして、数名。此処を抜け出す直前で拿捕されてる。精々被害は子供の腕が喰われたぐらいだけど?」


「あれはね。視るに堪えないよ。この分だと、人喰いが人里迄降りていく事になる。そうなれば、此処に住む人々の悪感情を煽る事になる。」


「その時止めるのは...」


「俺達だって事だろ?全く嫌になるな。」


「その時銃口を向けるのは、怒りに震える一般市民にか、はたまた人を喰らう人喰いにか?」


「判ってるでしょ?僕たちはその両方じゃない。」


「全く難しい話だよな。」


「ところで、外崎君、青葉さんにメール送ってる?」


「あーうるさい!!!」


領五と外崎の会話は続き、唐突に終わりを見せる。


「あーギベオン、聞こえてるかな?此方、坂東は、こんな感じだよ。恐らく、他の場所も似たり寄ったりだと思う。問題は...。オデッサの方が深刻だと思う」


「僕の政情分析によると、ストラーナは、陰で受け入れてるマレディクトの難民を素材や物資に変えてる可能性がある。」


「青葉さんからも、同様の懸念点があげられてる。まぁギベオンの予測結果にも符合するから...外崎君?行けるよね?」

...


...


...


吹きすさぶ氷雪の空を越えて、白んだ夜を跨ぐように、打って変わって、快晴の夏は9時...


人々が朝餉を取る準備に入るには遅めのブランチは、最悪の結果をその眼下と、鼻に衝く匂いと共に顕わとする。


「青葉たそ?これは、一体?」


「アイ=スクリームさん...みんなとの合流時間は?」


「まだ、一時間半ぐらいあるね...この油が鼻腔うに張り付く様な、焦げた何かがツンと鼻を刺す、其の異臭は...」


何かが燃える。それも人体に似た何か。


「少なくともアイスの焼けた匂いじゃないね。」


丸焼きになってない事を祈りたいけど、そんな暇はないとばかりに、駆け足で、裏道の路地を奔り続ける。


此処は、ストラーナ領土内、オデッサ南東部、沿岸地域付近にある住宅街の一角。


当初、目的としていた工業地域への潜入を既に何度か、試みたモノの決定的な証拠を掴む事が出来ずにいたが...


この独特の空気感と、腐臭漂うこの匂いは...嫌な予感をする。


且つての月面都市や胎喰い都市でも似た感覚を覚えた事がある、あれは、肌に刺す様に突き刺さる誰かの叫び声に対し、


やはりおかしい、少年に仕込んだ発振器の位置が、ここ数日、各地を転々としながら、同じ場所に留まり続けている


この国の情勢は、既に七柱の軌道エレベーターの一柱の凡その動力を喪失して、困窮しているにも関わらず。対外的には、援助を求めているが、国内の状況では、


その勢いに大きな翳りを見せていない、


それでも、ストラーナ本隊のタヴァーリシチ(Товарищ)《同志》諸君らに呼び掛け、統制を一手に担う国家元帥である《エディノ=ミシュレニク》との会話を隊を代表して、青葉は何度か試みた事があるが、その独特の冷たい風貌は、万年雪を湛える永久凍土の如き白い素肌と、


蒼き眼に写すその光哭き瞳は、その相貌と相まって酷く冷たく感じられ、その声は、こう答えていた。


「同志諸君を助くる為であれば、難民の申請と、救護の手は続けよう。核ミサイルによる攻撃の阻止と調停への協力に感謝を。我が国への滞在を許可する。但し、重要施設への立ち入りは禁じる。」


「提供された樹木による。植樹事業は順調に進んでいる。つきましては、やはり、赫剤の供給と、喪われた動力供給の補填...それらの協力に貴殿らにを頼みたい、」


「赫剤の供給は...掛け合ってみますが、その代わり...他国への進軍に猶予を。エネルギー不足に関しては、今、隊を上げて手を考えおります故...」


続く。交渉の会話は、順調に進んでいる様に見える。


だが、これはスポンサーであるギベオンとは関係ないが、国の情勢と対外的な行動に差がありすぎる。


ギベオンから提供された植樹による食料品の供給は徐々に、市場を覆い始めている。それは他の国々でも徐々に広まってはいるが、不穏なる匂いを潜ませる重要施設への立ち入りを禁じており、その所在が、少年に張りつけさせた発振器と地図上で重なる。


Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)での強襲は、最終手段。


後事を託した《アスハ=ワガミ》らを残して、アイ=スクリームだけを供にして、青葉(あおば)=穣(みのる)は、民の窮状を推し量るべく、


地上でのフィールドワーク(現地調査)に勤しむ。


中には、一部の難民が、現地の子供と妊婦を捕まえて屠殺しようとする現場に遭遇するが、


身に帯びた、銃口を差し向け、同道するリペアマトン(Repairmaton)の行動によって、阻止するも...


捕えて現地、警察に引き渡した男が最後に残した言葉は...


「あいつらも俺達を喰ってるんだッ!少しぐらいいいだろうが!!!」


その言葉と、発振器の動きと、現地の状況...


既に、赫剤の供給が、一部停滞する事による。不具合がこの国のあちらこちらに見え始めるはずだが...何故か、この国だけでは、限定的な影響しか示していない。


代わりに近日、隆盛を極め初めているのは、ストラーナでの多大な市場占有率を誇る二次産業を担当するオブノーヴァ社誇る非常食の数々が次第に他の食料のシェアを書き換え始めていた。


試しに購入し、青葉は、一口、口に含むと同時に吐き出し...


言葉を零す。


同じだ...


且つて、胎喰都市で使用した。電子開錠ツールのバージョンアップした装置を片手に、特に警戒されている様に見えない。裏口へ回り、侵入を試みる。


設置された電子錠付きのドアを青葉らの前に立ちふさがるが、瞬く間に、その隠されたベールが一枚剥がされ、薄着の布地が、見え隠れする。


道々の監視カメラを噴霧式のメタマテリアル(※自然界の物質には無い振る舞いをする人工物質のことである)を流用して特殊加工された。


人体のみの映像だけを消し去り透過す鏡面スプレーによる。映像の差し替えを試み、次々と、警備の網を掻い潜り、生成工場の中心部へと突入していく。


そこで繰り広げられた光景は、中央管制室へと忍び込み。


ドアを開けた瞬間に放り込まれた同じくメタマテリアルを駆使しての催涙弾も似た。意識を刈り取る噴霧機構を投棄し、


遮蔽するドアを開閉し、待つ事数十秒、十分に空間を覆い隠し、滞留するガスが散乱した時期を見計らい、突入する。


建物の外ではリペアマトン(Repairmaton)が、脱出準備と警戒を担当し、


室内のディスプレイに表示されるその光景に目を見張る。


若い枝肉を、切っては、再生治療を施し、喪われた資材や燃料を生きの良い肉体から取り出し、更に切り取る。


一度で屠殺するのではなく、且つての《シンギュラリタス・テクノロギカ》...技術特異点を以てしての再生治療で、


食料とエネルギー問題の解決策を撃ちだす。


身体の目や口や鼻、身体と言う身体の穴を塞ぐように縫い付けられた無惨な姿の少年らは、


やはり餌は、若ければ若いほどいい。だから老年の者たちは...コストと見合わぬ為に、真っ先に削られていく。


作業者の日報に目を通しながら、


それは、目を覆わんばかりの非情なる光景、且つての模倣とは言え、その作業工程はかつての全自動の加工ではなく、


人の手によって...いや獣の手によって、麻酔は肉の質が落ちるとの理由で用いられず、次々と枝肉へと変わり往く姿に、


その光景は、目を見張る青葉の目にのみ移り、画面外のアイ=スクリームらの目には届かない。


目に映る映像を切ると、激高する事なく、ただ淡々と、作業場と管制室を繋ぐ通路を進み、殺菌処理を行う為の光源殺菌とエアーシャワーエリアを


何も言わずに、通るとその手に構えた銃口から、鉛の弾頭を吐き出させる。


気付かぬまま作業を進める作業員を静かに進み撃ち抜くと共に、


全身を返り血を防ぐための防護服に包まれたその身体が地面へと落下していく。


何も言わず。狼狽する少年に手を指し伸ばせると、一言身近な言葉で、告げる。


「助けに来たよ。全ては破壊する。」


30年近い時を、唯一人、老いる事無く生きてきた。少女は...且つて自らが助けられた様に、他の誰かを助けに入る。


銃撃による作業停止により、工場内では蜂の巣を突いたかの様に、事態が切迫し始める。


持ち場を離れて逃げていくその背に、無言の銃撃が静かに突き刺さる。


叫び声は其の耳に届いているはずなのに、まるで無声映画(サイレント映画)の如く聴こえない


沈みゆく防護服を着こんだ作業員に、無言のまま銃口から放たれるダブルタップの銃撃の音だけが静かに響き続く。


「ちょぉ青葉たそ?不殺は?」


「大丈夫、急所は外してるよ。大丈夫...だけど、この工場は、証拠を取った上で焼き払う。」


こめかみの細部を震わせ、その作業を刻々と進める。


仲間との合流時間には、間に合いそうがないが、さっき、リペアマトン(Repairmaton)を介して、救援を申請した。


準備にも、手が掛かるだろうし早くて15分から30分、それだけの時間を稼げば...。


だが事態は、軽々に進まない。


工場の異常事態を察知した、オブノーヴァ社は、工場へと機体を差し向ける。


応戦するリペアマトン(Repairmaton)が次々と撃破されるなか、


敵機の到来を知らせるリペアマトン(Repairmaton)からの通信により...


「えっ?この機体は...クラン《血族》?!なんでクピドレスの機体が??」

...


...


...


「グーツ=グッツ...工業が荒らされている。事態は、緊急を要する。屠殺の証拠ごと全て焼き払え。」


隊を預かるトゥーロル=ポポブワは、三機編隊の友軍機に語りかける


「欺瞞工作として、愚の骨頂ではあるが...今しばらく、この現状を堅持する必要がある。既に、ストラーナへは、鼻薬を嗅がせている。介入は無い。」


「あれは...自立型のオートマトンか?唯の出歯亀とも限らん?事態は早急に収める必要がある。」


「侵入者と屠場(とじょう)の焼却は、三機もあれば...数分から10分で事足りる。邪魔ものが入る前にかたずけるぞ。」


燃え上がる炎の向こう側で陽炎の様に揺れる、人喰いの操る巨兵が、工場へと一歩一歩踏み荒らし、


青葉たちの元へと差し迫っていく

...


...


...

状況は刻一刻と変わり、燃える薪を囲んで暖を取る。《ピチャチュ=レーベン》は、配給されている赫剤をひと噛みし、


震える手と...衝動を押し殺すと、遠くから歩いてくる領五の姿に、問いを投げかける。


「領五ッ?一体さっきのあれはなんだったんだ?そんな命令出てなかっただろ?」


「一体どうするんだ?これから難民キャンプの巡回をする予定だろ?」


「嗚呼それなら、外崎君は来ないよ。あとは僕とハルナさんが担当するよ。足りない手は、リペアマトン(Repairmaton)で埋める。ピチャチュも来るでしょ?」


「嗚呼、良いが、俺もあいつらと同じ貉の穴だ。観ていて嫌になるな。」


「そう悲観するもんでもないよ。事態はちゃんと動いてる。まぁ、愛を拾えるかは?分らないけどね?」

...


...


...

崩れ行く建物の中で、打開策を練るも、手持ちの兵装や手段では、その質量差と物量に推され唯々、逃げ惑うしかない青葉とアイ=スクリームの元に


絶望的な知らせが入る。


母艦である《グッドロードトゥヘル》(地獄への道は善意で舗装されている)の元に、敵機の襲来が重なる。


防衛の為に、到着まで、時間を有するとの答えに、救出した手足を喪った被害者を扇動するも、目も見えず話せぬ子供たちの


其の足を遅く徐々に追い詰められていく中、それは眼前に迫る。


建造物が燃え上がり、崩れていく壁に押しつぶされるのをどうにか回避するも、敵の狙いは証拠隠滅で、


生かして返すつもりが無いと知る。


瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》は、建物が障害となって、此方から呼び寄せると、碌に身動きの取れない。


子供たちを踏みつぶしかねない。


突如、眼前に差し入れられた光剣の刃が徐々に此方へ向かって迫ってくる。


熱量を感じ、肌に張り付く汗が、吐息が絶命迄のカウントダウンを告げる。


刻々と刻む秒針はその時を待ちかねたように、破裂する。


突如、光剣の刃がその発振を止め、大きく傅くように、倒れ込む機体の背が、大きく抉られ、その見る影を喪う。


短銃身の銃口を足下に構え、見慣れた情感を秘めたCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)の翳が、天より舞い降りてくる。


頭部バルカンの機銃掃射により、破壊活動を行うクラン《血族》の一機に牽制射撃を試みケースレス弾頭の初速で、刺し貫く無数の弾痕が、


今まさに奮おうとされていたその爪牙の行方を惑わせ、千切れ飛んだその前腕部が、地上へと落下し、逃げ惑うリペアマトン(Repairmaton)の一機を墜ち潰す


「あっやべ、領五に怒られちまう。青葉、助けに来たぞ。まぁ、顔を見せるのもバツが悪いんだがな。」


崩れかけた建物の内部から見上げる視線が、交錯する間もなく、敵機の反撃の射列が、ナノテク物理シールドを展開する。Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)へと突き刺さる。


「チッ、時間が無かったからオプションは無しだが...こいつの基本装備でもこの程度切り抜けてやる。」


外崎は、苛立ちを紛らわせるかのように、思考制御アンクルでガイドし、キックを入れる様にフットペダルを踏みこんでの噴出する推進機構の放つ光を


見せつつ、防御と狙った獲物への対処を試みる。


半球状態のナノテク物理シールドが、左右非対称の二対の腕と、大きく可変機構を備えた両脚、左右の異なる形の腕か発振される獣の腕の如き、刃と刀装に、長く伸びる前腕より、放たれる銃火の炎は、防御突撃態勢のまま、その軸線上から離れられない外崎機へと吸い込まれていく


血を貪る獣と銘打たれた。その機体がその手に持つは、多銃身式の回転する、切っ先のない実体の刃の群れ、その無為な気、光景が描くは


多銃身式の回転する、切っ先のない実体の刃の群れ、稼働する突起が、Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)が見守る空洞へと前進するべく、


貞操帯の如く阻む障壁が次第にクラン《血族》から吐き出される銃火にまみえて、次第に削り取られていく。


無数の弾痕が描く、傷痕は、血飛沫をあげる。その両眼の眼窩より迸る。光に照らされ怪しく輝る。


それでも、攻撃の一手は止まず。


もう一機、クラン《血族》以外に、データ照合では、データ不足による照会不可...恐らく機体名不明...


その奇怪は機体は風船の様に膨らんだ胴体を持ち、肩の上から伸ばした右脚部が捻じれた頭部の上に置き両腕で歩く


まるで機能性を完全に除外した姿で、此方に向かって解放された開口部から、伸びる二枚刃の舌の如き刃が、此方の装甲を浅く切り裂き斬り飛ばす。


ギベオンの観測の元、生体反応を避けるべくその組成解析情報を見やり、外崎は、苦み走った表情を浮かべる。


材料が...子供だ...奴ら子供から機体を作りやがった...


反撃の攻め手を欠いたまま、徐々に押し込まれそうになるのを踏ん張るも...


機械音的な合成音声の声がコックピット内へと響き渡る。


「敵目標をエンセラドスと呼称。目標の破壊を認証。素材自体が完全に消滅しないかぎり、復元は可能だ。ビーム兵装の使用を禁ずる。」


「実体兵装及び転送弾による反撃を許可。」


「了解ッ!!!」


罹る操縦桿の握りをさらに強め思考制御リングの心地よい作動音を感じながら、次の瞬間防戦に入った外崎機の眼前に、


瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》の輝ける御手が包み込み、


次の瞬間にその手に握られていたのは、実体剣アイネ・ソルプティオ・フェルムの輝き...


クラン《血族》が使う切り札。


行使するサングィネ・イネブリアートゥス《血に酔いしれた者》が展開される前に、既に弾倉を転送弾へと切り替え済みのハンドガンをその掌中内で、実体剣の柄を上手に、銃把を逆手に備えマニュピレーターの小指で引鉄を支える繊細なタッチで操り


射撃と共に横薙ぎの斬撃が払われる。攻撃の手に、周囲の建造物を踏み越えて、上昇と共に、相対距離を保持するべくスラスターを吹かせて、後方へ、二機の機体が距離を空ける。


その人体の構造上では行使できないはずの其の行為に、敵機の目がCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)の手に注がれる。


その前腕は既に、ギベオンからのアシストにより換装を済ませた。ヘプタダクティル《七本指》...ギリシャ語で(hepta=7、dactyl=指)を示すユニットへの換装を済ませ、


向かう敵は常に二方向から攻撃を仕掛けて来るが、此方は背後の青葉たちが逃げる時間を稼ぐ必要がある。


牽制打の頭部バルカンが吐き出す。60mmのケースレス弾頭が迸り、転送弾による本命の一撃がエンセラドスへと襲い掛かるが、その体躯からは想像できない程の機動性を見せ、その両手で、


蒼空の一部を掴み取ると、反発する磁性を操り、土煙と共に舞い上がる流動する砂鉄を宙へと舞い上げ、二機の機影を隠すべく土煙によるブラインド効果を同時に展開させる。


地上を走り舞い散る煙幕を排除するべく右腕に備えたヘプタダクティル《七本指》を駆使して、銃口を向けつつ、マニュピレーターの小指側の増えた指にて引鉄を引き、


コックピット内で、左腕の動作を思考誘導で防壁の制御と、コンソール上の設定変更を同時に行使する。


ブレる全天周モニターの景色が揺れ惑い。設定を完了の動作音を確認すると、狙い撃つ転送弾の瞬きが、視界を奪う土煙と砂鉄の包囲に対して突き刺さる。


転送地点は、デフォルトのギベオン内にある。転送用の投下区画ではなく、緯度経度 46°30'46.76"N 30°43'22.11"E...地上50メートル上、敵機が存在する位置...前方へと


抉り取った土煙を敵の眼前へと写し取る。


突如、視界を覆う土煙に、異形のエンセラドスを操るトゥーロル=ポポブワは、焦らず騒がず。ただ淡々と、機体に搭載されいてる、磁性制御機構を反転させ、


流動する砂鉄と共に眼窩の外崎機へと降り注がんと、握る操縦桿に力を込める。


バチバチと火花を散らせ、触れるものを其の摩擦熱と擦過する鉄火の刃を以て蹂躙するべく、襲い掛かる。


防ぐ手だては、現状の目標である無力な生贄共には無く、ナノテク物理シールドの防壁も、乗機内にいる邪魔者は兎も角、証拠隠滅の一掃を諮るはず。


そう確信し、手を止める事無く、一心不乱に操作し続ける。


対するグーツ=グッツは、機銃の連撃で千切れ飛んだクラン《血族》の左腕の不利を覆すべく、切り札の行使を試みる


「「血脈のこの血に酔え、サングィネ・イネブリアートゥス」」...周囲五十キロ圏内へ粒子拡散を促し、消費されるは、血脈が起こす。不断の強制的なる


酩酊と...さらに自身を鼓舞する様に、舞う鉄錆深き、血潮の香りを頬に寄せ、それまで、単調だったその動きに明確なる差異を以て、緋色に染まる機体色を魅せながら、


残像すら残さぬ軌道を空に描き、浮幻(ふげん)の舞いを踊る。


天を点と点を繋ぐ星々の座の様に星の起点を通る毎に、その目標と、回避方向を様変わりさせる動きで、外崎機を翻弄する。


チッ、狙いも付けられねぇし、こっちは動けねぇ。それを良い事に好き勝手しやがって...


「お得意の其れかよ。」短めに告げられた悪態は、誰に聞かれる事なく霧散し、続く言葉は、その口から終ぞ吐かれる事は無かった


このままだと、影響が周囲の住宅街と青葉性質に降りかかる...。


春幸に出来て俺に出来ない事があるのか?


少なくとも、好きな女を守る事ぐらい。させてくれよッ!!!


点に掲げる実体剣アイネ・ソルプティオ・フェルムを構え、その刀身により、周囲の粒子を吸い込み、その効果が、写し鏡の様に写し取られ、


行使するは、既に繰り出された、粒子の変容のみならず。その効果を反転させる。


「Halt-Wagen(ハルト・ウォーゲン)《停止する乗機》!!!!《揺るぎない自由を讃える物語》を詠え。」


刀身から逆進し、放出される微粒子をその刀身に蓄えると、内部に搭載されている小型のリアクティブジェネレータを起動させ、


粒子の再変換を促し、放出される粒子の奔流を操りながら、地面へと突き刺すと同時に、


放たれる転装弾の一撃は、置き球を置くように、既にその狙いを外すべく稼働する目標らの動く導線上から、離れていた。


だが、地面を大きく抉りとる転装弾の一撃は、今まさに襲い掛からとする二機の直上へとその位置を様変わりさせる。


土石と建造物を巻き込んだ波涛が、油断する二機を巻き込みながら地上へと叩き墜とす。


チッ...建物内に生体反応無し...壊れた建物の事は後で考えるとして、墜ち往く二機の機影に対して、


剣身を大地に突き刺すと共に湧き出す、逆回転で結晶化する粒子が、天と地を繋ぎ、二つのラインが交錯する瞬間に、


結晶体の尖塔と化し、瞬く間にその動きを大地に繋ぎ止める。


僅かに、サングィネ・イネブリアートゥス《血に酔いしれた者》に機動性を増した。クラウン《血族》がその束縛から逃れ、


転身する。


友軍機が行動不能に陥り、撤退するのか救援を試みるのか?二つに一つの選択肢を前に、逡巡(しゅんじゅん)間も無く、


外崎は、身を守るべき盾となるナノテク物理シールドの障壁をその場に残し、返す刀で、空いた手に機体に懸架していた多目的中型ライフルを構えての


追撃態勢へと入る。


一瞬の跳躍と上昇を行使し、後ろ手に構えたライフルより伸びる転送弾の輝きは、動きを縫い留められたエンセラドスのコックピットを大きく抉りとり、


崩れ行く機体を眼下に晒し、


二丁の長短の光を注ぐ銃火が、前方で踊るクラン《血族》へと、頭部バルカンを併せての三重奏に追い立てられ、その機動性を有効に使えないまま、


逃げ惑う。


逃げ惑う、グーツ=グッツは、必死に考える。此処で工場の存在が露見すれば、ストラーナでの活動に大きな障害となる。


予め決められていた様に、コンソールを起動。叩き割る様に、押下された其れは...。


遥か遠くで、待機中である。母艦から放たれる超長距離による焼却の一手、条約で既に使用を禁じられているはずの


《イグニス・エト・スルフル》、火と硫黄を指し示す大火力。


その凡その原理は、巨大なオービット・マイン製の流体金属を射出形成させた弾頭に対して、オリジナルとの相違を


鏡面遮蔽物が陽光を集めて、生じる電力と熱量を蓄積集中させる工程を、粒子砲による過熱へと変え、


自由落下による加速では無く洋上からのジャイロセンサーによる位置情報とと友軍機からの観測に、画像認識による。


レーダーによる阻害を考慮しない。


電磁射出と共に成層圏下から自由落下の加速により、目標に命中後に爆発四散、衝撃と共に熱量を解放。


周囲100キロ四方を完全に壊滅示すその示威兵器の行使を試みる。


既に其の発射体制は、ギベオンによる観測により捉えられ、すぐさま現場にほど近い、外崎と二番隊の面々へと知らされるも


二番隊は、襲撃の対応で動けず。鬼気迫る危機が迫る。


既にこの空域は、機体同士のドックファイトによる制動の流れにより、既に北西に広がる陸地から離れ、オデッサ南東部を更に南下し、


洋上へとその姿を映している。



チッ脳内で、成り響くギベオンからの警告に対して...。


「クッソッ!!!!狙撃は、俺の領分じゃなくて...領五の奴なんだが...。」


この際、我儘を言っている場合じゃないのは分かっているが...。対処法として考えられるのは、


アインヴェンダー《適用者》...。での狙撃か...


繰り出す銃撃を右へ左へと回避を続けるクラン《血族》に対して、焦る気持ちを押し殺して、


外崎にはその理由は分からないが動きの鈍ったその足元へ、着弾の華が咲くも、急上昇からの急降下で、追撃の一手を振り切りにかかる。


腕部各部より噴き上げる。光源が放つ勢いのまま機体に制動を掛けて、後方へ飛び退る様に、


外崎機が翔ける視界の端から、奇をてらっての軌道により、オーバーシュートを誘発。


追撃と回避の位置取りが、変わる。


その間にも、着実に《イグニス・エト・スルフル》での攻撃のカウントダウンが迫る。


チッ、隙を見誤ったか?!と終ぞ見えぬ一手を試みる。飛空する機体を掲げ、思考制御リングの操舵を掛けて、


コンソールに新たな転送位置を入力と共に、時限信管式の転送弾を進む前方へと投射する。


その直線運動の軌道は、後を逝くクラン《血族》にとっては、酷く狙いやすい獲物と決める。


投射される射撃の光と前方で瞬く一瞬が交錯する中、直撃の華を咲かせ、あわや撃墜と観られたその後方から突如として銃撃される。


転送弾の一撃が刹那の攻防を制したはずのクラン《血族》へと直撃する。


悠々と飛ぶ外崎は...はぁ...自機を巻き込んだ転送弾は、タイミングが外れれば自爆する羽目に...


一先ずの対応を終えて、ギベオンへ再びの瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》の申請を試みるが、


既に、《イグニス・エト・スルフル》による超長距離射撃の妖華は艶やかなる滴りを見せて放出される。


洋上の潜水から浮上を試みた艦隻より、垂直に近い軌道で放たれる大型弾頭による《イグニス・エト・スルフル》の一撃が、多大なる熱量を蓄え赤熱化し、


対流圏...成層圏...を幾重にも重なる圏内を抜け、弾頭を切り放したと同時に大気圏への再突入を試みる。


再突入から、目標である工場へと伸び往く弾頭へと、多目的中型ライフルに転送と共に、挿入されたアインヴェンダー《適用者》による迎撃を試みる。


且つての攻防とは変わり、標的となって接近する飛翔体を撃ち抜くのと、他方へ向かう弾頭を撃ち落とすには、その難易度が異なる


反転し逆さまに墜ち往く機体をそのままに、同じく墜ち往く弾体へと狙いを付ける。


飛翔する弾体は。その目標を僅かに逸らし、着弾点を、数百数十キロからズラし、広範囲へとその弾頭を散らせて落下していく。


チッ...外しだと?


「詰めが甘いよ外崎君。こんな時には、僕がいるでしょ。」


オデッサ南東部、地上へと瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》により、顕れた領五の操る。


Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)ED型が、装填したアインヴェンダー《適用者》を誇る四基の自動給弾ベルト装填式の大型ライフルを備え、構える四方同時、狙撃を繰り出し、


外れ往くその手から漏れた火砲の欠片を撃ち落とす。翳る天の輝きは、今も尚その表情を変えて、


「俺も居るぞ?」とピチャチュ=レーベンも我先にと砲火に続きを付け加え始める。


「いや、君は残りの残作業ハルナさんに押し付けてきただけでしょ?!」


「そう言うなよ。こちもこっちの理由があるって訳さ。」


・・・


浮上する艦隻の艦橋より、自らが発射命令を下した。ドゥルキア=カニバルスは、この作戦が上手く行ったと、状況を上手く飲み込めずにいる部下に対して呟く


「そうだな。爪が甘い。」


ぺろ


「そりゃそうでしょうその手で砂糖菓子食べたんだから。」


「いやそうじゃない。副官よ。私の関与すべき事例が漸く終わる。」


「ブラフは、終わった。起爆して工場を破棄しろ。」


...


濛々と煙を上げる。


工場跡を眺め、膝を付く外崎は、慰める様に、手を置く領五の声に...何も言えずに佇むも


壊れた建物の中から声が響く


「はぁー死ぬかと思ったわ。」


(。´・ω・)?ん?


「あちぃぃぃぃアイスたぶたい。」


えっなんで生きてるの?


疑問顔のその顔を眺めて、


「これ残して行ってくれて助かったわ。ナノテクシールドは、同型装備の制御権を取り込む事ができるからね。ギベオンに申請して、盾にさせて貰ったよ」


と、後ろに残る形の変わったシールドの残骸を指さす。


「忘れてたでしょ」


「しかし、これで証拠は無くなってしもうたな...まぁ、映像記録はあるとしても立証するのは難しいかな?」


一先ずこの凄惨なる景の後始末に一人一人その瞼と、穴という穴を塞ぐように縫い留められた糸をサバイバルキットの中から...やや小型なナイフを取り出し、抜き取っていく。


その光景に、自らも手伝いに加わる領五と、痛そうなその見た目に腰が引けつつ鋏を構える外崎の姿を


「一体なにやってるんだよ。その程度の事で...」と、悪態を吐くピチャチュ=レーベンは、ズキりと、胸に一筋の杭が刺さる。


喰いなき杭だとしても、その先端は確かにその胸に食い込んでいた。


(大丈夫...大丈夫...赫剤さえ飲んでいれば...俺は...)


震える手が何かを求めて、彷徨う腕を抑えて、作業に入る。


仲間たちの様子を見守る中、その事態は静かに差し迫ってくる。


大型カプセル型のチェアに深くその身を揺蕩う、男は、問う?


「君は赫剤の素材がなんであるのか?気付いているのかい?」


「いいや、知らない。ギベオン貴方が作り出してくれているという事は知っているけれども...」


「素材は、《慈聖体》である私の血や爪、髪をリアクティブジェネレーターを通して、薬剤に変えている。故にこの資源は有限だ。」


「地上と宇宙の人々全てには行きわたらない。」


「だったら?僕が?!」


「いや、君にはその資格が無い。父親の春幸と私は、義理の父子だ。血のつながりは無い。」


「故に安心しろ。君の想い人が喩え同性であったとしても、子供が欲しいのであれば、養子を迎えれば良い。其の事もあいつは何も言わないだろう。」


「そんなッ?でも!!!そうだみんなから爪や髪の毛を集めて、食料に変えれば?!」


「肉の魅力には勝てない。譬えそこにあったとしてもその中身のない素材では、人喰いの飢えは凌げない。」


「それは既に此処、ギベオンにおいても実験済みだ。」


「まだ汝には知るべき事実がある。」


その事実を知って君は、其の目を開いたまま、この世界を見る事が出来るのだろうか?


と、問いかける様に、過去の旅路に関する問いと答えをその翳す掌を以て解きほぐしていく。


私は観た。私は視た。其の全てを、故に将来の希望を以て君に知らせる。


暗転する二人が会話する。広間のその天井に、全天周モニターの如く、映像が映し出されていく。


それは且つてこの地上で巻き起こった。クピドレスが何故産まれたのか?どうして且つて人で在ったモノが、


星惑う海原へとその船舶で、当てもない旅路へと漕ぎ出していったのか?


其れは、天祐が帰する。日の事、掲げる日照の輝きは、今も大地を照らし続ける。


喩えこの世の理が変わり、天地が逆巻く異郷と化したとて、人々は今も生きているのだから。


世界の終りの日に訪れた訪問者は、自らの目的と、生じる結果を口々に伝えるも、その願いも方策も、


全て時代の闇間に消えて、断絶された。


嗚呼、驕ることなく、意見を述べるのであれば、君に誤解なく伝えよう。


喩えこの世に一人だけ、誤解なく分かり合える存在が居たとして、それが一人だけなら、その意味は薄く、


歴史の波間に消え去るだろう。


何故ならば人と人とのコミュニケーションと互いに分かり合うと言う事は、一人で行う事では、無いのだから...


そして誤解なく伝わる事で、余計な軋轢や、諍(いさか)いが起こる事もある。


それでも全てが万事、収まる事の方が少ない。


喩え、この世界の全てが誤解なく理解できたとしても...憎しみや嫉妬ですら相手にダイレクトに届く、


大抵の器となった人間は、人の悪意に触れて潰れていく。


人は何故、相互理解の良面だけを見るのだろうか?何事にもメリットとデメリットが存在する。


其れを説明しないのは、些か不条理にも似た、詐欺師と観られても致し方なし、だが、故に答えがそこに無いという訳でもない。

...


星が今、死に絶えようとしている。外宇宙からの訪問者が、その大地を蹂躙するべく、向かってくる


我は、調停者。


唯、この大地に、憩う雛鳥に、道を示し、灯台の篝火を焚く者。


厭う事なく何度も伝えよう。


過去を憂い、現在に、勤しみ、未来に、備えよ。


今は生きるのに必死で在ろうが、1000年未来の世界を思い描く事無く、人の世の安寧は無い。


何故ならば世界は、蒼空を飛ぶことを夢見て、夢想した。夢想家たちが切り拓いて来たのだから...


且つて滅んだ世界より、この地に参った。


未来より持ち込んだ、十三機の機神の力を以てして、大絶滅の防ぎ、萌芽を潰す。天災の意に、異議を唱えよう。


死すべき運命に晒されrた人類の最後の生き残りとして...これより起こる、悲劇を回避する為に...


吾身を過去に送り込む。


対峙するは、巨大隕石が降り注ぐ事により、大絶滅を起こす未来への分岐点を辿る旅路へと逝く。


友人知人は既に死に絶え、伴侶も子供も既に亡く、僅かに残された意気を頼りに、その最後の嚆矢となるべくひた走るも、


既にその身は、病に蝕まれ、生くる為には...となるしかない。


だがそれは最終手段である。


死すべき運命は、変える事が出来ると、信じ、此処まで来た。


現地人に協力を求めて、十三機の機神で轡を並べ、来るべき脅威へと相対する。


その姿は威容の一言、


頭から、


Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)・・・1.限界を超える者...機体特性・・・無限を体現し限界を超える


Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)・・・1.死に拒まれた者…機体特性・・・不死身


Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)・・・1.編纂されぬ者…機体特性・・・その攻撃や機体には、なにもののも干渉を出来ない。


Ⅳ(4)《アンフォーギヴン》(Unforgiven)・・・1.許されざる者...機体特性・・・


Ⅴ(5)《アンタレス》(Ant Ares)・・・1.火星に対抗する者…機体特性・・・星間貫通


Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)・・・1.触れえざる者…機体特性・・・接触不可 触れれば、災厄に見舞われるか、触れられない


Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)・・・1.壊されぬ者…機体特性・・・破壊不能...。武装各種...。


Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)・・・1.裁かれぬ者…機体特性・・・その影響はこの世の断り(理)を変える


Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)・・・1.無冠の王…機体特性・・・   


Ⅹ(10)《アンギフテッド》(Ungifted)・・・機体特性・・・与えざる者…機体特性・・・  


Ⅺ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])・・・・・・1.恐れざる者…機体特性・・・アンフェア…機体同士の性能及び動力の出力をアンフェア...強制的に自機に有利に傾けると恐怖を与える


Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)…偽らざる者…機体特性・・・


XIII(13)…欠番・・・《アンチェイン》(Unchain)・・・繋がれざる者...機体特性・・・


方陣を描き、迎撃と防御に、別れそれぞれの機体が思い思いに、動き出し、まずは先制として繰り出されるは、無限の行使。


《アージナリーワン・ウェポンⅠ(1)》アンロック...ワン、ツー、スリー、フォー...による友軍機への支援と共に、


請う願う音階に促され、放つは…重量子崩壊砲奏蒼穿弓アバリスの輝き、


未完成のジェネレーターと不完全な機体を推して蒼空を切り裂く天出る陽の輝きに照らされ、十二の王冠を胸に、


叫び、放つは、極光。


その黒く煌びやかなるは、弓状の砲身に爪弾く、射手の如き其の姿は、且つて目撃した事のある威容とは、様変わりしていた


画面に映り込む射程が示すインジケーターは、測定限界を指し占めし、その威容を晒すべく稼働する重量子崩壊砲奏蒼穿弓アバリス砲身冷却及び


プランクエンジン起動...エネルギーリチャージ3000%...


発光する光が、急激に膨れ上がり、一対の羽がその手へと収まり、其の羽を重ね長弓の如き威容がまざまざと現れ、遠く離れたその場所で発行する十二の漆黒の王冠が浮かぶ、


装填される膨大な熱量と、冷却機構の出力が、∞の一文字が翳りを見せつつ指し示し、急速冷却を実行。それまで徐々に溜まっていた出力のリチャージが一気に3000%へと到達


番える光の矢が、蒼く、碧く、青く、煌めき藍より青く、一射が、膨大な熱量と、その存在を崩壊しこの世から消し去るべく放たれる覇劫の奔流が、


彼我の距離を一気に縮め、天から舞い降りる極限の危機に対して、最初の嚆矢となって、その巨大なる存在へと、運命を変える為の一打を見舞う。


その光景をその場で見た者は、半自動で起動する対閃光防除のフィルター越しに眩い光を目撃し、見開く画面一杯に閃光の奔流が視界を塞ぐ。


多大なる熱量と放射する粒子を散らしながら、凡そ距離、数百万キロの遠く離れて飛来する隕石のその中心部を貫き、


無謀なる挑戦に見えたその状況下に、僅かな希望を見出し、歓声が上がる中、


その本来の建造目的として作られしは、移動型のマスドライバー...エリンの穂先...。大中小の物資や人員を宙へと、いついかなる場所からも、飛来する隕石群を撃墜する為の


迎撃位置へと移動できる様に、時に、宙へと打ち上げられる様に。


いよいよ迫る巨大隕石の飛来に備えし一手として、その本領が発揮される時が近づく、地上から宙や地上のいかなる場所への打ち上げを担当するは...二機の機影


「十三番(13)から各機、一番(1)から十二番(12)、迫る隕石群の状況を確認せよ。」


「一番(1)、標的への一撃、着弾良し。迎撃を開始する」


「二番(2)、了解です。えっと僕にも出来るかな?」


「三番(3)、了解。観測域より標的を確認。これより迎撃行動に入る。」


「四番(4)、了解。なんでこんなに隕石が多いの?何かの呪いなのか?はたまた、誰かが恨みでも買ったの?迎撃準備に入ります。」


「五番(5)、了解。これより狙い撃つ。狙いさえ外さなきゃ大丈夫だよね?」


「六番(6)、了解。はッ、全くまいりますね。碌な訓練も受けずに、一発勝負とは、泣けてきますわ。」


「七番(7)、了解。そう言うなよ。ミスってもこいつでカバーしてやるよ。お嬢さん。」


「八番(8)、了解。そうですね。貴方が失敗しても、私がカバーしますよ。」


「アッ?なんだと?八番ッ?!」


「七番、八番喧嘩するな!!!」、と十二番目たるジンボ=ゼフィロが喧嘩の仲裁を試みつつ。


「九番(9)、了解。親父、そんな奴ら放っておけよ。ていうか、こんな名前も性別も分からん寄り合いで、良く世界を救おうと思ったよな、」


「十番(10)、了解。困りましたね。みんな無駄口は控えて、通信は短く、世間話に華を咲かせて迎撃失敗は笑えませんよ。」


「十一番(11)、了解。これより支援行動に入る。」


「十二番(12)、了解。十三番、この機会をくれた事に感謝を。各自、幸運を祈る。」


「十三番より(13)、十一番(13)へ、各自、機体性能を使用しての僚機への支援を行うべし、一番は、現状を維持。」


其々の姿は、紺鼠色ではなく鉄墨燃える真黒に、機体の至る所に走る幾何学模様の白々燃ゆる傷痕が壮絶な何かを顕すその躯体を朝焼けの陽に翳る影法師を二つ、一対の片側に鎮座する黒ともう片方は白と赤の入り乱れた貴色を交えたる。


それぞれが対照的な、線様を魅せる。


頭部を覆う様に長方形の装甲材に覆われた狙撃用バイザーには、一つ目のアイコン、その暗闇に浮かび目立たない配色彩の隙間を縫うように魅せ、


可動式の大型バイザーの下にはスリット状のメインカメラが、目標を見定めるかの様に光る。


機体の端々には、複雑な変形機構などは存在せず、いつか見た未来での機能を封ずるように配置されたロックボルトは見る影を喪い


覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔の景観から口元を滑らかな表情を見せるマスクで口腔を覆い隠すも


一部、一対の副腕が隠されている...残して、シンプルな機体の手には、照準と砲身の前方にシールドを備えた対戦車ライフルにも似た


大型の六角レンチ状の自律型武装...オプトシックス《選び取る6つ》を備え、稼働する回転弾倉式の変成機構をその身に宿し、自重を支えるべく、


独自に推進機構を前後に備えし、其の得物を構え、大型カメラが頭部バイザーの支援を受け、その頭部には、ツインアイではなく視界の半数を占めるは、バイザーによる視界の確保を見せ、紫煙を燻らせる様に、生ずる排熱をその口腔から迸らせる


Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)とXIII(13)…欠番・・・《アンチェイン》(Unchain)の二機がそれぞれ別の大地から、本来の意図する使用目的として、


迎撃と防御、にそれぞれ北半球、南半球に、その道が分かたれる、担当するは、


迎撃、北半球担当...XIII(13)《アンチェイン》(Unchain)、Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)、Ⅳ(4)アンフォーギヴン(Unforgiven)、Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)


防御、北半球担当...Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)、Ⅹ(10)《アンギフテッド》(Ungifted)


中間点...Ⅺ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])


迎撃、南半球担当...Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)、Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)、Ⅴ(5)《アンタレス》(Ant Ares)、


防御、南半球担当...Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)、Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)


北半球と南半球へと分かれ


其々の機体を迎撃地点に上に打ち上げるべく、その咆哮轟く、疑似電磁バレルを展開、迎撃担当の内それぞれの地点から三機づつを迎撃地点へと打ち出すべく


其々の地点より投射準備へと入る。


北半球、ユーラシア大陸北部、モンゴル高原 緯度 46°56'27.51"N、経度 105°01'42.80"E


及び


南半球、オーストラリア内陸、エアーズロック(ウルル)緯度 25°20'40.11"S、経度 131°02'05.26"E それぞれの地点より、天より来るは、432個の小規模隕石、144個の中型隕石、108個の巨大隕石...72個の超巨大隕石が、それぞれこの地上に対して降り注ぎ始める。


その脅威に対して、反転攻勢を仕掛けるは、十三の機神。


多くは、直撃すれば地表が壊滅しかねないその規模と数による暴力に対し、操縦桿を握るいずれのモノも背筋に冷たい何かが一筋流れでる。


それでも...二つの防衛拠点より離れるは、


インドネシア領・カリマンタン島(ボルネオ島)中部付近 緯度 0°59'10.17"N経度 114°33'14.69"E


そこで自らの出番を待っていたのは、山麓の頂上で踊る


Ⅺ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])・・・・・・1.恐れざる者が、その身で語る。


堕天する天秤の如く傾いた、淵底の如き、陽輪惑う基部を頭上に頂き、先鋭的な湾曲する素体に、


掲げるは、左右の長さを大きく欠いた天秤棒は、今も何かを探す様に、大楯を構えるとは逆の手に備えられる。操縦桿を手にする何者かは、


繋がれた管から染み出す。潤滑液を滴り零しながらも、


その行使に踏み切る


「傾く天秤はいざ知らず。我は調停者へとその手を力を託す。」


《アージナリーワン・ウェポンⅪ(11)》アンロックフォー リブラ・ルイナエ・レグニ《傾国天秤》


その天秤の効果は...、無限の射程による恩恵を受けて、地球上の全ての人に生ずる一欠けら勇気を増幅させ、


死を恐れぬ死兵へと換えて逝く。


死を超越した。Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)の搭乗者は、自らの犠牲が不可欠である事実に、恐れ慄き、泣き叫ぶ。


「まだ死にたくない!!!」と、嘆く彼に告げられたのは、自らの死か人類の絶滅の一つに二つの決意を迫る。


大丈夫だ。死んでも生き返れる。そう言って宥められるものの十二歳のクロシェ・チェロヴェクは、母親に説き伏せられて、この地に居る。


「でも、死んだら痛いでしょ?僕嫌だよッ!!!」ぐずる少年の元へと、降るその効果は...


不思議と今まで泣きはらしていた。少年は、「ねぇ、早く逝かせてよ!!!!」と、Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)の搭乗者である何者かへと懇願する。


疑似電磁バレルが展開し、何重にも蒼空に重ねて飛び立つは、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)の姿、


搭乗者である人物の命や安全性を考慮しない其の無法に、エアロック付近に着弾予定の接近する超大型隕石に対して、その行為を正当化しつつ、


漏れた言葉は、自らの決定に対する安堵だった。


天翔ける尖塔となりし、一筋の光は、遠く離れた宇宙空間で、


《アージナリーワン・ウェポンⅡ(2)》アンロックファイブ Через мой(チェーリェス・モイ)「「私(の死体)を越えて逝け」の炸裂する光が...


周囲の空間の熱量が一斉に、その機体の中央部へと注がれる。其れ迄、臨点温度を大幅に減じていたプランクエンジンの温度が徐々に上がっていく語られぬ者のシリーズの二番機...


一番機から四番機までは、その宇宙開闢の熱量を目標として作られた動力炉ではあるものの未熟だった技術体系に於いてその作動状況には差異がある。


そもそも二番機である《アンキャストダイ》(Uncast Die)の制作目的は...。宙よりの脅威に対抗すべく、無限に再生する弾頭を作り上げる事にあった事は余人には知られていない。


だがその狂った設計思想に基づき正しく使用した結果、其の尋常ならざる破壊の光が、地上へと迫るその大きさ凡そ...数百キロの超巨大隕石を一撃の下に破壊する


二つの断末魔が、虚空の海に響き渡る中、第一陣を屠るも怒りを共有する何者かが一斉に振り向き後へと続く


昼の地球上からも、観測できる程の光量を以て、その試みが成功した事を知らせる。血煙すら一瞬で掻き消える


大輪の華が、暑い雲間を一斉に晴らし、散華する。


生ずる熱量と発光する術を限定空間に推し留め周囲数百キロに及ぶ、破壊の嵐を巻き起こす。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”


ちんちんが熱い焼けるッ!!!!!!痛い痛い。死ぬかと思った?!死んでるけど?これもう一回やるの?!」


焼けた骨と肉が、焼け落ちた眼下が、逆再生で巻き戻る臓腑を投げ出した少年は避けぶ。


「嗚呼、まだ数は、迎撃必要数の1%にも満たない。再装填を行う故、もう一度と言わず。何度でも死ね。」とⅫ(12)番機を操るジンボ=ゼフィロの声が響く、


無窮の宙を漂う。少年は、初めて見る地球の蒼さに目を見張るものの機体の操作が儘ならぬ間、次弾の射出を試みる疑似電磁バレルの輝きが、


蒼空に一陣の風と炎が放つ。赤光(しゃっこう)に包まれ、再びの爆散を試みる、それだ二度、三度と続く中少年の精神が徐々に崩壊し始める。


砕け墜ちる。無数の隕石の残骸が、天にまざまざと、天体ショーと見紛うばかりの輝きと共に、


突如現れた。光のコントラストが 朱の夜空を仄かに染めて、天を仰ぎ祈る人々の頭上へと落鳴する稲光の様に降り注ぐ


それらが、空中で何かが瞬いた瞬間に、撃ち落とされ、砕けて大気圏に入ると同時に、その姿が燃え尽き霧散する。


その姿に何も知らされていない地上の人々は、その手で写真と映像を撮影し続ける。譬え写したとしても最後には全て意味がなくなるという事すら


知らずに...


続いて打ち出されるは、無数の機影、加速射出と共に迎撃行動へと突入していく、輝ける閃光が世界を奔る。


Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)を操るヨシン=アシンは、過る思考の火花を散らしながら脳細胞を限界まで働かせ、徐々にその機能を焼きながら、心に降りかかる火の粉を払い続ける。


それはⅢ(3)《アンエディテット》(Unedited)の誇る《コッレクティオハンズ》の輝き、更には頭部に備えられし、《マンディブラス》の輝き、


その下顎のみの頭部から、小惑星の岩盤すら切り落とす、周転する緋色の熱線が放出され、宙へと撃ち放たれる、その射線上に存在する


中型の隕石が、空中で両断され。分かたれたそれらを、遠く離れた地点より飛来する無数の実体弾の翳、


Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)が放つは、《熱赫弾頭》


熱量ではなく、二種類の粒子そのものを充填させ、飽和状態にしたまま、臨界とオーバーロードとなった《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の弾頭に、


変性する不安定な状態のまま、物理兵器として撃ちだす。質量を持った重粒子とエネルギーと質量の無い負粒子は衝突現象を生じ。


相反する性質の二つの粒子を反応させて炸裂させ消滅(アナイアレーション)が本来で有れば射程距離圏外である。北半球から南半球まで余すところなく、


その迎撃の一手が届く、放たれし牙は、麗しき、黒髪の和人形の如き乙女たる。初穂=佐伯が操る、Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)による


《アージナリーワン・ウェポンⅧ(8)》アンロックワン…傷天害理(しょうてんがいり)


舞う紙片を模した放熱板らしき一片が、燃え上がる様に消失し、其の理を変える問いが投げかけられ、空間と空間の整合性を乱して、


それらの攻撃の一手を、隕石群のただ中へと放り投げる。如何に離れて居ようとも無限の射程による援護の手は、届き続ける。


僅かに弾幕を抜けて、突き進んでくる標的に向かい、Ⅳ(4)アンフォーギヴン(Unforgiven)は、《アージナリーワン・ウェポンⅣ(4)》...アンロックワン  罪喰い(つまみぐい)を発動。


装填されるは、何かの供物ではなく、唯一つ捧げられし、真なる罪人の罪、その許されざる者を捧げられたⅣ(4)アンフォーギヴン(Unforgiven)は、


ジェネレーターの不備を推してもそれでも本来の性能の一端を垣間見させる。


その特徴的な女神像を寄せる頭部のオブジェより吐き出されるは、映像を眺めて見知ったであろうかつての光景とは似ても似つかぬ、


大規模破壊ではなく、無情すら飲み込む、自愛を以て慈愛を以てして対抗する


「知ってるか?人は自分を愛する様にしか、他人を愛せない。だから私は、全人類を愛するッ!!!」


空間を削り取る様に振るわれしは、慈母の慈しむ破壊の抱擁、一瞬で世界の裏側まで、跳び行く其の背を見送り、星の夜と昼の間を越えるべく生じるは、世界を彩る虹の天幕、触れた瞬間大中小の隕石群が、その影響を受けて崩壊する中、超巨大隕石の一部が崩壊しながらもその防御を抜けていく。


其処に対応の一手を迸らさせるは、Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)の護り、《アージナリーワン・ウェポンⅥ(6)》アンロック ワン ウィス・レプルシオー《反撥力場》


中性物質にすら電荷を生じさせ電磁場とクーロン反発による絶対防御。その膨大な質量を誇る隕石群を到達する直前で防ぐと、繰り出す一手は


《アージナリーワン・ウェポンⅥ(6)》アンロック スリー ヌスクァム・エッセ《存在不証明》。


我は求め訴えるなり、其は、何処にも存在しないが、全てはそこの目の前にある。目に見えぬのであれば...そこには無い。奇妙な謎掛けを掛けながらも、


接触した超巨大隕石の端が、紐解いていく数式の如く、何の前触れもなく自壊し、崩壊の一手を宙へと捧げ続ける。


蒼空を覆う巨岩の何かが、次々と投下され、弾幕の隙間を縫うように足下の大地へと降り注ぐ、


既に主力の火砲の一手として行使する。Ⅴ(5)《アンタレス》(Ant Ares)並び、Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)の火砲は他の隕石の接近に掛かりきりとなり、其れを補助たる迎撃の手は。Ⅳ(4)アンフォーギヴン(Unforgiven)、Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)、Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)


として、機能するも遊撃する四機の手も届かない。


カイル=アルマインは、吠える。


「逝け、これはお前を人類を救う為に練り上げた牙だ。恐れず騒がず逝く事なく、防げッ!!!」


《アージナリーワン・ウェポンⅦ(7)》...アンロック…ツー…アンチシェイプシフト!!!」自由自在に破壊不能の構造体を操り、破壊不能の咢となって迫る。アンチシェイプシフトの群れが、蜘蛛の巣の如き広がりを伴って宙を逝き、降り注ぐ超巨大隕石の一撃を宙を覆う天蓋として、地表数百キロの上空に地表を覆う傘となり、響き渡る衝動と共に、防ぎきる。


破壊不能の装甲はその効果を遺憾にも発しながらも、弾かれた超巨大隕石との接触で、放たれる衝撃はと熱量を


Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)による《アージナリーワン・ウェポンⅧ(8)》アンロックワン…傷天害理(しょうてんがいり)の一手により、


その衝撃波を、其の理を換えて、唯の非力な微風へと書き換える。


寸前の所で、絶滅の危機を潜り抜けるも、砕けてその体躯を削りながらも、漂う残骸に対して、十三機の機体が彩る砲火の輝きが時に空間と時間を越えて、


無数に乱舞する。その輝きは空の天蓋に阻まれ地上の人々からは隠された。


されど、恐れるな、そう叫ぶⅪ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])を操るモノは、呟き、


さらに虚空より飛来する隕石群の数が徐々にその数と、質量による飽和攻撃を仕掛け続ける。


何故この地球に飛来物が大挙して現れるかの理由は、この時点では知らされれいないものの、奮戦続け世界を奔る、十二機を他所に


一機のみ沈黙を守るⅩ(10)《アンギフテッド》(Ungifted)の姿、


可容(かよう)する、突起を魅せるブロックが組み上がる様に人の動作稼動領域を魅せ、判然とする、奇形のフォルムを魅せる


頭部全長から、下肢の端々迄見せるその翳を告げるは、僅かの淀みも無く絶えず組み換え踊る。


争論す議場の如く、騒めく躯体に、大きく湾曲する曲線美を魅せる、


手足の端には、組み替える様に現れる刀身と銃口に、それを支える補助動力炉の光。


我は、与え奪う、与えざる者。


その意志、その想い、その力、すべからく奪い尽くし、蹂躙しつくして見せる。


《アージナリーワン・ウェポンⅩ(10)》アンロック...


残りの機神、十二機に対して、奮われる奇蹟は、天より与えられし、才能を植え付け、そして奪う。


天雷の如き、響きを見せ、行使されるその力は、在るモノには、狙いを外さぬ当てる才能を与え、在るモノには、焼ける思考の燃焼を抑えて並列思考を行う才能を、


在るモノには、死ぬ痛みからの解放を唄い、死こそが安寧として、快感に身を捩り、死地へと送り出そう。


数多の才能を植え付け、そして飛来する隕石群に対して、その巨躯が備えた才を賽を振るかのように選び取り、剥奪する。


貴様が奪うなら、俺も奪おう。与えるならば我も与えよう。中立を気取るなら、干渉を止め不干渉を気取ろう。


宙を泳ぐ、無数の隕石群は、一斉にその動きを止め、遊体するその慣性機動による飛来するその行為を一斉に刺し止められる。


その数残り、三分のニまで減じられた。巨岩の群れを止め、


狙い撃つ火砲の雨が、Ⅶ(7)《アンブレイカブル》が操作する絶対破壊の天蓋による防御を射線を確保するべき穴をそこに生じさせる、


南半球、北半球それぞれの地点に置いても同様の超巨大隕石の飛来が続き一斉に展開される。は、「「その未来、想像し、造り上げろ《スヴァルトアルフヘイム(鍛造の国)》」「その想い。二度と亡くさない様に、啼け《アースガルズ》(神々の庭)!!!!」」


「「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」」


Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)とXIII(13)…欠番・・・《アンチェイン》(Unchain)のコックピット内において、


二機がそれぞれ別々の効果を行使し、棄損された不完全なる動力炉の不利を補うように和合する。


コンソールにスヴァルト《黒》とアースガルズ《神》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。《哭神羨む絶望を晴らせ!!!!》「「我らは鉄打つ、舞耀の担い手、黒き兄弟。」」


以降を威光を以て修正する。から吐き出されるは、天を覆わんばかりに鍛造の果てに作れし、魔槍や空域を覆う。重力場の檻が、その足先軽き舞う目標で有る超巨大隕石の動きと止め、


天を覆う裂ける事のない天を、二つに分かち、避ける事のない一打を墜とさんと欲する。


二つの哭鳴を告げる方向を皮切りに、思い思いに、自らの最大火力を宙に向かって叩き続ける。


Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)・・・我は、限界を超える者...無限を体現し限界を超える者、Ⅴ(5)《アンタレス》(Ant Ares)・・・我は火星に対抗する者...星間貫通


《アージナリーワン・ウェポンⅠ(1)》アンロック...ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ


《アージナリーワン・ウェポンⅤ(5)》アンロックファイブ... アンタレス・ファイア《火星に対抗する者の火》


艇尾部の尻尾を砲身として、重ねる様に掛けた大鋏を重ね。三つ指が重なる瞬間、焼け付いた砲身を無限の指し手によるクールタイムを踏み越える力を元に


足らぬ冷却時間を充足させ、暴走状態に至る直前で再びの彷徨を上げ、引鉄に手を掛ける。


砕くは宙を翔けし天星の一柱のみならず二つ三つっと次々とその射程に収めると?瞑々する拍動を寄せて、紡がれるは、創世開闢の光に比肩するまでの出力は誇らないモノの


その一撃は、迫る危機に対する胎動する攻め手としては、十分に機能する。


掲げる手と手を繋いだはずの一撃は、一瞬で岩壁を消失させ、一気呵成に巨岩の群れへと向ける。


飛来するそれらに対して、消失迄の僅かばかりの猶予の間、どこかで断末魔の叫びが届く、


耳を傍立て、危機を知らせる警告音に耳を貸しながらも、口ずさむは、華の香りを寄せる歌詞の一片


苛烈に炸裂する光の勾配は、徐々にその鮮度を新たにして、焼け付く炎を吐き出す権能としてこの世にもたらすのは地獄でも煉獄でもない


ただ、過る破壊の嵐を巻き起こす。


続くは、Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)・・・我は、無冠の王...機体特性...、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)・・・我は、死に拒まれた者...不死身


二機を中心に他の三機による組み合わせを試みる


《アージナリーワン・ウェポンⅨ(9)》アンロックファイブ、レーギス・アド・モトゥム(王令決起)掲げるその手には、無数の約定を胸に掲げるは、頂き哭き王の叫び、宙より地上へと瞬時に現れるは、無限の援護と送り出す束縛されぬ者の手をとり現れし、《アンレグルス》(UnRegulus)と《アンキャストダイ》(Uncast Die)の姿、そこに操る少年は何時しか死ぬことへの慕情に染まり、自ら死を願うように、乞うように、笑いかける。


その狂相に、満足するかのように無冠の王が、その手で、押し開く、《アージナリーワン・ウェポンⅡ(2)》アンロックファイブ Через мой(チェーリェス・モイ)「私(の死体)を越えて逝け」の効果を一段回押し上げる。


大きく露出したプランクエンジンの動力炉が露出し、手足を地面の支えと砲身に変え、大型のバリスタへと変状した《アンキャストダイ》(Uncast Die)は、


周囲の空間の熱量が一斉に、その機体の中央部へと注がれ、露出し自壊する事により、着弾地点へと宇宙開闢にも迫るように光を撃ち放つ、其れ迄、臨点温度を大幅に減じていたプランクエンジンの温度が徐々に上がっていく。指向性を持たされたその一矢は、放てば周囲の存在すら全て焼却しかねないモノの、


その場に、他より結ぶ救いに手が現れる。《アージナリーワン・ウェポンⅧ(8)》アンロックワン...傷天害理(しょうてんがいり)


今一度、理を書き換え、熱をその射線上以外には、影響を及ぼさせない。


放たれた死を呼ぶ、砲撃の光が、一瞬で、隕石群の群れへ着弾すると共に、数々の超巨大隕石の群れすら、紙を千切るかのように、黒く紅い二色の炎が、全てを消滅させる。


射線軸を傾け、周囲の天体に影響を与えぬ様に調整されたその一撃が、残る凡その接近物の群れを駆逐していく。


更には、其の戦果の代償に、騎乗する少年は、快感の坩堝と共に、開闢の炎に焼かれ消滅する...


Ⅳ(4)《アンフォーギヴン》(Unforgiven)・・・我は許されざる者...機体特性...、Ⅲ(3)《アンエディテット》(Unedited)・・・我は編纂されぬ者...なにもののも干渉を出来ない。


《アージナリーワン・ウェポンⅣ(4)》アンロックファイブ...その光景は、罪を意識したモノの救いの一助、たる...


その姿は幕の下りた暗幕に遮られ見えず触れず聴こえたりえない。それでも確かに、天が割れ地が裂ける程の衝撃を戦場に叩きつける。


《アージナリーワン・ウェポンⅢ(3)》アンロックファイブ...アンデジットブレイク、照射される指向性を持たせた波動は、超巨大隕石の一端へと降り注ぐと、忽ちその存在を否定、及び干渉を受けて軌道の停止および、崩壊の一手を受け、自壊していく


続く状況は、


Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)・・・我は、壊されぬ者...破壊不能...、Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)・・・我は、触れえざる者…機体特性・・・接触不可 触れれば、災厄に見舞われるか、触れられない


カイル=アルマインは、度重なる攻撃を「これは世界を救う為に練り上げた牙だ。恐れず騒がず逝け!」


《アージナリーワン・ウェポンⅦ(7)》アンロックファイブ...アブソリュートブレイクそれは、絶対破壊の鉾


カイル=アルマインは、その視界の端に捉えた目標。機体の最大望遠下で視認できる目標を鴨撃ちだとばかりに、


未だ残弾を残したものの中折れチップ式の大型リボルバーの銃身を機体の腰部前面、フロントスカートアーマーの交換弾倉ギミックへと差し込むと、


通常の回転弾倉から、一発限りの特大の弾装を選択。その中心部には、死刑囚として連れ出された人の姿が束縛され詰められ、劣悪な環境下で保持され、怨嗟の声を叫び続ける。


回転弾倉毎、排出と交換を実行。弾頭を補充するとは、最大火力による猟犬を解放するべく、狙いを定めるが、急制動を翔け前後左右に縦横無尽と駆け回るその機体は、回避と共に、此方への第二射を試みているであろう。超距離狙撃での迎撃だと、ばかりに、見定め狙いを付ける。


無造作に、突き出された銃火が引き絞られた引鉄に反応し、生贄を捧げる様にその犠牲を代償に行使されるは、覇劫の光、虹すら生ぬるい、緑紫の輝きを纏い放たれた一撃は、捕えた死刑囚(冤罪)の命と身体を燃やし一発の弾丸に込めて撃ちだされるその狙いは、光り輝く星の背に対して向かい撃つ、


目標を見定めたカイル=アルマインは、操る《アンブレイカブル》(Unbreakable)に引鉄を引かせ、その彼我の距離を0とし直線状に存在する全ての物体、科学物理現象のすべてを焼き尽くす最大火力を解き放つ。狙った目標である超巨大隕石が最大加速を以てしての降下を試みるもその姿身をその瞳に写しながら。その狙いを直上に仰ぎ解き放つ、


更には、Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)を操るシー=スルーは、薄い目鼻立ちに薄化粧に身を包み、煌めく金髪を振り乱し吠える。


《アージナリーワン・ウェポンⅥ(6)》アンロック ツー マヌス・デイ《神の手》無数の不可視の手が、周囲の機体をその手に掴みながら伸び、希望を寄せる波涛が押し迫る触れられた不可侵領域たるそれらの不可視の手が、迫る天蓋の一撃を霧散させるも、其れだけには飽き足らず。


友軍機よりの支援を打電...応ずるべくは、Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)の輝線を問わぬ、遠隔式マスドライバーの動き、放つは、隆盛を誇る流星の煌めきを砕く一手となるべく更に上空の宙へと打ち上げられる。


瞬間の加速と共に放たれしは、《アージナリーワン・ウェポンⅥ(6)》アンロックファイブ  オムニア・ペレアント


触れ往くモノ全て滅びよッ収束するそれらの事象は、地上より、天へと撃ち上がり、宙より飛来する無数の大中小の隕石を巻き込み、星の音符が奏でる崩壊の波涛が、一心不乱に注ぎ込まれ、


そして、拮抗するかに見えた瞬間に、その破壊の荒波は、燃え尽きる隕石の破片を夜空の一片と化し、掲げる苦願の果てまでその響きを覆い始める。


「6番、7番やるなぁ?だが、こっちにも用意があるさ。逝くぞ。」手にフィットする操縦桿を握り操る乗機たるその機体を操る者は、


Ⅹ(10)《アンギフテッド》(Ungifted)・・・我は、与えざる者...、Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)・・・我は、裁かれぬ者...その影響はこの世の断り(理)を変える


《アージナリーワン・ウェポンⅩ(10)》アンロックファイブ...。


《アージナリーワン・ウェポンⅧ(8)》アンロックファイブ 格物究理(かくぶつきゅうり)


与えられし、その効果は。理を阻み替える理の対象を複数対象にまで広げる。重力の無い宇宙に於いて、飛来する広範囲に存在する隕石群は、下る重力に影響され無窮の宙へと周囲の小惑星体ともいえる巨岩の群れ同士が、其の方向と墜ちる。方向を変え宙へと滑落する。


いまだ影響範囲には数多の天体一部へは到達して居ないモノの其の理の箍が外れ、断末魔の叫びをあげながら星が崩れ破断せしめる。


僅かに超巨大隕石の二つ三つと大中小のそれぞれの数を減らすのみに値するかと思われたその効果は、その存在の骨子を奪い取り、歪んだ存在証明を果たし、防空網を抜けて飛来する隕石群をその大小の大きさを関係ないく蹂躙し、大気圏へと突入すると共に、唯の塵芥へと変じせしめる。


Ⅺ(11)《アンフェア》(Unfear[fair])・・・・・・1.恐れざる者…機体特性・・・アンフェア…機体同士の性能及び動力の出力をアンフェア...強制的に自機に有利に傾けると恐怖を与える


は単騎顕現を行使する。


「マニュアルによるとこいつの動作は...だが、その効果見せて貰おう。」


《アージナリーワン・ウェポンⅪ(11)》アンロックファイブ...。


その力、その加速力、その質量を大きく此方へと傾けさせる。移譲した質量とその加速軌道の力を、一方的に、此方へと傾けさせる。


実証実験は未だ果たされていないがそこから導き出される結果は...想定するのは、全て、Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)とXIII(13)《アンチェイン》(Unchain)の二機へと受け渡す。


沈み込む様に大地へと食い込む二機の機体は、電磁加速によるエリンの穂先を展開。


弾頭となった。岩石の山へと質量と圧縮された体積を凝縮し、天へ撃ち放つ、大質量兵器として下賜を賜るべく、重力制御による質量の相殺並びに、


慣性制御による、超加速を試みる。


"Unafraid Arbor Sacrifice Drive"(アナフレイド・アーバー・サクリファイス・ドライヴ)起動...ERROR...エラー、error、エ...エ...エ...エ...エ...エ...エ...エラー。


吐き出されるエラーがコンソール上に踊り狂う。


「やはり、まだ未完成か?最後の一ピースを嵌めるには、どうしても生贄となる者の選定が間に合わなかった。」


何故ならば、十三番の生きる世界に置いては、一人しか存在していなかった故、自らが生贄になる他なかったが...それでは目的を達成できない。


いずれ尽きる命だとしても、捧げるのは今じゃない。


「「その怒りの道を指し示せ。ミズガルズ《世界の庭》ッ!!!!!」」


その日、星を喪った宙そらに絶望の崩壊が叩き付けられる。宙一面のその仇どもへの元へと、擬似的に形成された電磁誘導のバレルが、伸びる。唐突に放たれたその光景に、動きを止められ、操縦桿をでたらめに動かすが、スラスターの推力は、前にも後ろにもそして、過去にも戻れない。燃え尽きるほどの衝動と共に、それは放たれる。



一気に解放される機体各所の噴出孔から、周囲、数百、数十キロ、果ては、大地より切り出した。岩壁の一部を翔ける弾丸と化し撃ちだされ、叩きつけられる。


あらゆる方向へ、其の無謀の決意を謡うように、放つ電磁加速の乱れ撃ちが、射線上の隕石に突き刺さり、消えゆく星を見送る様に、


問答無用の乱れ撃ちを行使する。


一気呵成に、呼び声高き、その声を響かせ、眼前に保持する、巨岩を抱えて、狙う射線を探し、目標とする何者かの翳を探し続ける。


標的は既に、此の眼、この耳、この感覚で既に捉えている。


宙が割れる、宙が割れる。大喝する。衝動と共に、その大地を支える。宙が割れる。その日、その光景を見ていた人々は信じられない光景を目にする。


大地が鳴動する振動と共に、気づいた瞬間...重力の軛を引きちぎり、二つの星が、天へと駆け上がる。


急激に加えられた衝動と加速に巻き込まれ、戦場を喝采する天への反抗の一打とする。


その威容は、所々、照明の光が、虚空の暗闇に向かって瞬く、その全長は、やや小ぶりな天体にも思えるその巨体を


接触する訳でもなく、ただ、敵を討つだけ為の一発の弾丸として処理する。その強大な出力により放たれし一射は、展開する戦場の1%にも満たない規模ではあるものの、


遥か彼方の宙の下、一切皆苦いっさいかいくを謡い。ただ生きるのみの苦しみを込めて、遠く宵闇の諸行無常(しょぎょうむじょう)を識る。


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。誰もが同じように衰え、その隆盛と命を衰え損なわせる。だからせめて、その時に狼狽えない様に、万全を拝し。君に伝えよう。


いつか俺も君の所に行く刻が訪れる。それは避けられない、せめてその時に、胸を張って逝ける様に、俺は生きる。諸法無我(しょほうむが)...


俺が俺で居られる理由は、君が居るから、既に君達を喪った自らに何が一体残るというのか?白と黒の閃光に包まれ、黒い漆黒の闇を白い閃光が、居並ぶその光景を魅せる。


大気との接触による摩擦による欠損を《アージナリーワン・ウェポンⅧ(8)》アンロックワン...傷天害理(しょうてんがいり)の理の書き換え、踏み倒し、


その加速する弾体は、その戦場に残る。一部の飛来する影を重ねて、巻き込み、巨岩の小惑星へと、幾重にも重なる火花をまき散らしながら叩きつけられる。


明滅する命の光に包まれ、その岩盤が徐々に崩れ始める。迸る。白濁とした情念は、その目的を果たし、放たれる。暗闇の宙を一塵の波濤が押し寄せ、


その向かう先は、遥か彼方の銀河の園。いつか訪れる闇を見送り、続くその結果に息をのむ。…


まだその姿は健在し、続けて地球へと不断の凶報を呼び込むも、悉く存在らを駆逐する為に、さらなる一手を呼び込む。


十三の宇宙開闢の光と焔が放流されるかのように、無限(1)の出力と限界を超えし、


励起されし無数の闇を消し去るその術を以て、理(8)を閉ざし影響を限定化させ、喪うべき命(2)を果てさせよ。


さらば、防御不能(7)の一手を偲び、全てが制止(3)し生死が停滞と自壊を繰り返す。


砂礫の如く積み重なる無数の参列する葬送へと繋ぐ、全ての束縛からの解放を唄い。


其の本来の機能から逸脱する様に、時は成られしは王権(9)の決起を誇り、無窮の宙を描き遅滞なく進め。


偽り(12)なき空に、夢を写せ。


この世の理(9)を根底から覆す。十三の世界を内包した世界を繋ぎ止め事象を具現化せよ。


望みは唯一つの命の明滅、星を貫き(5)、触れる者(6)みな、その聖名(みな)において拒絶せよ。


与え奪うは、才哭き者(10)の声を聴き、不平等の天秤(11)を鳴らせ、王冠の頂(1&9)は既に喪われた。


今こそ偽りの空(12)へと羽ばたけ、許されざる(4)罪の罪過は既に、洗われ嘲笑れた。


最後に残されしは、束縛されぬ(13)何者かの翳、


十三基のジェネレーターがそれぞれ思い思いに発振と共鳴を繰り返し、この世に宇宙開闢の事象を重ねて、十三、紡ぎ束ねて、一夜(いちや)の一瞬の煌めきの中で


世界を砕く一矢(いちや)とする。


其処に待ち受けている物は、宇宙開闢の焔を超越する何かが、各目標、内部で炸裂し、消滅の一途を測る。観測されし、その事実を受け入れられる者はおらず、唯、結果だけが残される。



射撃戦へと展開され、星だけに留まらず世界すら射抜く、打ち放つ全ての行使を終え、残る隕石の数をその大半の処理を終える中、直径数百キロから千キロにも及ぶ超大型隕石を残り二つ、


巨大隕石が八つ、更には、中小の三分のニの数が残るも、凡その脅威は、過ぎ去ったかに見える。


「後は消化試合だな...」と、言葉を漏らした調停者は、自らの不用心さを呪う事となる。


友軍機を示す、十二の光点が、一つ、また一つと、消えていく...。


Ⅰ(1)《アンリミテッド》(Unlimited)の無限を行使する援護の手が消失する。


「一番、四番、どうした?返事をしろ?」


チッ...「撃墜されたのか?だが一体誰に?全機体には、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》とⅦ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)の絶対防御と再生の恩恵があるはず?」


「破壊される事は無いはずだし、譬え破壊されても蘇るはずだ????」


迎撃戦の要の一つであるその姿消えたと同時に、戦線が瓦解、さらには、Ⅳ(4)《アンフォーギヴン》(Unforgiven)を示す光点が消えさり、


混乱に彩られた思考の中で、それはおこる。


世界を救うべく集い。世界中に散っていた十三機のうち二機は、喪われそして、敵陣で孤軍奮闘した末に精神に異常をきたしたⅡ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)を操る少年を残して、


自機を外して、残りの五機の機体が、何を思ったのか、調停者が操る機体を囲みながら、天に向けてはなって居た攻撃の手を、


円の中心で迎撃行動に集中していたXIII(13)…欠番・・・《アンチェイン》へと突如後ろから撃ち始める。


猛攻に対して、


「一体何をしてる?敵は宙だぞ?」


「気付かないのか?お前に友好的な存在は、既に墜とした。宙から落ちる隕石はその殆どを撃ち落としている。今更、貴殿の力を借りる必要は無い。」


「その未来の技術、我らがもらい受けようぞ。」代表し12番目の番人が盤面をひっくり返ず、


「何を言っている?今はそんな事を言っている場合じゃないんだ。一つでも漏れれば、終わりぞ?」


「いや、違うね。此の未来の技術があれば、どうとでもなる。選民たる我らは、これにより、生物としての真価を得るべくして進化する新人類となる。」


「十二番ッ!!!!!」


「どうせ我らは互いの名前も知らぬ間柄、だが、その意見に対しては一致を見せた。後は邪魔な貴殿の命と機体をもらい受けるだけだ。」


「五、六、十、十一番機応答しろッ、裏切りが発生した。こちらへ援護を?!」


チッ通信が反応しない。これは八番機の理の妨害か?


(どうする。二番の動きは鈍い。力を行使しすぎた所為か?敵に回ったのは残りの五体。点在する他の四体は未だ異常事態を知りえていないのか、将又静観を決めかねているのか?


呼びかけにも応じない...迎撃行動をしながら振り切るしかない。)


(まずは、足は止めるな。止めれば、狙い撃ちされ一瞬で...。勝負が決する。)


刮目する眼を回し、180度の視野を確保しながらも背中に感じる視線とぶつけられる感情を敏感に感じ取り、まず最初に行った事は、


一足飛びに振りまく粒子が彩る九つの世界の内、一つ、重力の軛を引き千切る。郡狼の遠吠え、


「その想い。二度と亡くさない様に、啼け《アースガルズ》(神々の庭)!!!!」


単独顕現する重力場の猛威が、振るい。暴乱の嵐を巻き起こし、いつの間にか夜明けを魅せるその空域に置いて、天に大きな晴れ間を作り出す。


一瞬で対流圏・成層圏・中間圏を抜けて、熱圏へと其の機体を押し上げ上昇の一途を辿るべく、その情動に身を任せながら常道としての日を往く。


突然視界から消える。目標に対して、


十二番目の男は、脳内で思考する。


「どうやら月に上がって迎撃する気らしい。各自、二方に割いて、包囲殲滅射撃と、挟撃を仕掛ける。雑な一撃で、うっかり落とすなよ?」


「あの身体に聴きたいことは山ほどあるからな?散ッ!!!!!」



五体の反乱者は、トリップ中で、意思疎通の出来ないⅡ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)と未だ態度を表明しない四機の姿を残し、二方に分かれる


且つての仲間だった者たちよりの攻勢に対してただ一人、迎撃態勢に入る。調停者に対して、


襲い掛かるは、超射程を測る。Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)とⅨ(9)《アンレグルス》の二機による間隙を縫っての猛攻。最優先で墜とさねばならぬ最後の二つの超巨大隕石が迫りくる中、十二番たるジンボ=ゼフィロは吠える


「多少落ちても構わん。目標を逃すな!」


地上から一気に宙に浮かぶ月面の重力圏まで移動したⅫ(12)アンフェイクド(unfaked)は、制動を駆けつつ、五月雨式に放たれる


照準と砲身の前方にシールドを備えた対戦車ライフルにも似た大型の六角レンチ状の自律型武装...オプトシックス《選び取る6つ》の姿、


回る弾倉を切り替え次々と投射される弾体を宙に描くコントラストの瞬きの様に六変化(ろくへんげ)を試みる。


引鉄が踊るままに操れ出(い)でし、連続攻撃による牽制を試みる。


迫りくる敵機の翳は、



Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)、Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)、Ⅷ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)、Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)、


Ⅻ(12)アンフェイクド(unfaked)の五機...。既に無限の手のアシストは切れた。


今も事情を知らぬ四機の機体はそれぞれの射程距離と効果範囲での迎撃行動を続けるも、射程は依然とはくらべものも無く縮まり、地球の裏側まで射線が届かない。


届かせるには地平線を越え、湾曲する地球の丸みや射線を考慮する必要がある。


それらの奮戦むなしく、小さく歪む星の欠片が弾幕を抜けて地上へと降り注がれる。直撃する瞬間、日本某所、地上の山麓付近毎を狙い撃つⅤ(5)《アンタレス》(Ant Ares)の


《アージナリーワン・ウェポンⅤ》アンロックワン ステラペネトレーター《星を貫く者》が其の咆哮を上げ、山間部の一部を吹き飛ばしながらも、


すんでのところで迎撃するも射線に入りきらない飛来物が過り、迎撃の手を緩める事は出来ないが、


だが、一分三十秒のインターバルの決定的なる。無防備状態に、訝しむ五番たるⅤ(5)《アンタレス》(Ant Ares)を操る腕に翳りが見え始める?


「っちょっと一番、八番、援護を寄こしてよッ!!!嗚呼狙いが...」


流れゆく星の一滴が泡沫の如く弾ける。既に北半球と南半球に置いての迎撃陣形の試みは辛くも崩れ、攻守入り乱れ、各自が思い思いに対応する混乱の過渡の迷路へと入り込む。


裏切りの事実は知らぬ。四機の機神は、思い思いに自らに残された切り札を一枚一枚切りながらの迎撃行動に入る。


その様子を知ってか知らずか、一機で月面重力圏で、一人奮戦を余儀なくされた調停者は、獲物であるオプトシックス《選び取る6つ》の弾倉を切り替え、


放出される六つの事象を切り替えながら迎撃と反撃の一手を降し始める。


推進機構を備えた銃身は、過大なGをパイロットに与えつつ、無数の飛来する《熱赫弾頭》の接近を感じ取り、次々と破裂する


不穏な対消滅の余波を、辛くも逃げ惑う様に進む。その動きは、飛来する熱波を銃身前面に展開される物理シールドと偏向フィールド発生器より生ずる守りにより、


防ぎきるも、更に曲げられた針金の如き前後左右に折り曲げられた不可思議な軌跡を描き、幾何学模様の輝線を残して、


迫る弾頭を一基づつ撃ち落とし直撃を防ぎ続ける。


大きく迂回路を通り接近を試みるⅫ(12)アンフェイクド(unfaked)とⅧ(8)《アンレコニング》(Unreckoning)、Ⅵ(6)《アンタッチャブル》(Untouchable)の


三機は、XIII(13)《アンチェイン》(Unchain)のセンサー範囲外の外周を円周軌道で廻り、全面で砲撃戦を仕掛け、


Ⅶ(7)《アンブレイカブル》(Unbreakable)、Ⅸ(9)《アンレグルス》(UnRegulus)の砲撃が、今も吐き出され続ける。


死せる死刑囚(冤罪)の命が幾重にも散っていくも、精神を壊しながらも自律稼動を続けるⅡ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)の効果により


喪われた命が再び息を吹き返すモノの何度となく繰り返される生贄を強制するその行為に、人の精神が壊れ始める。


その無情を知ってか知らずか、オプトシックス《選び取る6つ》を斜に構えて、円周運動による回転を加えつつ、上へ下へと駆動する光の陰影を刻みながらの


高速機動を試みる。



捻転する軌道は、縦横無尽に月面の宙を翔け、僅かばかりの重力の軛をその推力を以て引き千切り、推進駆動と共に放たれる、虹色の熱分解の焔が


宙を一陣の風を纏って放たれ、直撃する。《熱赫弾頭》が、膨大な熱量を放ちながら、絨毯爆撃の如く月面の地形を徐々に削り取っていく。


幸いなのは人の住まぬ地であれば、その影響は軽微。更なる破壊の暴風と化す。


《アージナリーワン・ウェポンⅦ(7)》アンロックファイブ...アブソリュートブレイク


最大火力による猟犬を解放するべく、無造作に、突き出された銃火が引き絞られた引鉄に反応し、生贄を捧げる様にその犠牲を代償に行使されるは、覇劫の光、虹すら生ぬるい、緑紫の輝きを纏い放たれた一撃は、捕えた死刑囚(冤罪)の命と身体を燃やし月面を掠める様に解き放たれる。



狙われる射線をずらしオプトシックス《選び取る6つ》の後部推進器、回転式多面展開スラスターを回転させ、緋を吐かせながらも、急激なる機動を以て、


その狙いを外し続ける。オプトシックス《選び取る6つ》の回転弾倉を熱分解から重力制御機構へと可変させ、黒き水面の揺れる。豊穣の大地の恩恵を魅せる


砲撃の翳を、その問いの言の葉に乗せて、問いかける。


「七番、九番、どうしてこんな真似をッ!!!!今は、迫る隕石の迎撃が先決だろ?決着をつけた後にしろッ!!!」


「悪いね、親父が言っている。今が君を倒す絶好の機会だってな。」


「まぁ、観念して降伏しろ。それ以外に貴様が生きる道はないぞ。お嬢さん。」


チッ


(動きが見えない残り三機の動向が謎だ...想定される予想は...。恐らく挟撃を仕掛けてくるはず。)


(この時代に起動兵器は、私が持ち込んだ十三機の機神しか存在しない。と成れば、伏兵はあり得ない。)


(なれば、砲撃戦を囮にした挟撃。)


視界を目まぐるし換え、感覚器官をフル動員しての警戒からの急加速と迎撃、


展開する界域から放つ重力場による実体弾への効果を降し、月面へと無数の弾頭が沈降し、破裂する波涛が、巨大なクレーターを形成させながらも


攻撃の手を引きはがすべく奮われる。


銃身から吐き出される推進機構の加速をもって、戦域からの離脱と、隕石への迎撃に舵を切る為に、地面すれすれの低空飛行から急加速による上昇を試みながらも、


界域の種類の切り替えを行う。重力場を操る《アースガルズ》(神々の庭)から、余人を以て事態を切り開くべく


「その怒りの道を指し示せ。《ミズガルズ》(世界の庭)」...


目標として黙するは最後に残された二つの超巨大隕石に狙いを付ける。このままオプトシックス《選び取る6つ》の射撃戦では火力が足りない。


降すは...天翔ける疑似電磁バレルによる超電磁砲の遠隔起動に、一縷の望みを書ける。


この距離で超大型隕石を弾体として流用できるかは、分の悪い賭けになるが、それでも調停者が降す一手は現状は、此れしかない、


機体を揺らし交互にランダム回避を行い月面の翳より飛び出しエリンの穂先による砲撃を試みた瞬間、其れは起こる。


無数の戦場のラインが空域を埋めるかの様に何条の光の柱となって襲い来る。


その光景に、既に包囲網が狭まりつつあることを感じ取り、それでも尚、抵抗の手を緩めることなくひた走る。


五対一の不利な状況に於いて、同時並行で迫る隕石群の数々を、乱れ飛ぶ疑似電磁バレルを展開、爆炎で飛散し、《熱赫弾頭》の余波で舞うレゴリスと破砕された岩石の一部を


装填すると、接近してくる隕石群への弾体として打ち出し破壊の嵐を巻き起こす。


その行為を嘲笑うかの様に、秘め事の如きその蠕動を指さし笑う。虚空より穿たれる弾痕を、機体の端々に浴びながらも


応射としての射撃戦を展開、急制動を駆けつつオプトシックス《選び取る6つ》の前後に備わった、回転式多面展開スラスターを噴射させ。


バレルロールの軌道を繰り出し、その場で360度の方向転換を宵闇の空にその輝線を強く刻み、小刻みに回避運動を行う《アンチェイン》(Unchain)へと飛来する。


連弾の如く襲い掛かる銃撃の束縛から離れつつ、コックピット内には破損を知らせるアラートが鳴り響く。


破損率...8%...僅かに直撃を避けたモノの、進む道行きには塞がろうとする五機の包囲網が迫る。


されど、此れより行う事に変更なし。これより及ぶ死地に対して、一直線での離脱を選択


喜びの野に解き放たれし、刻の旅人は、今も尚、創造する己の姿を呼び覚ます。此処にありしは、在りし日の夕暮れ


不断の願いを胸に今、私は宙へと羽ばたき舞う。惑う事なく飛翔するは。対戦車ライフルを模した魔女の箒を放棄する事なく蜂起する。


且つて見た夢の欠片を抱きしめながら、残り二つの超大型隕石を駆逐するべく、突撃を敢行


荒ぶる御霊を鎮める全て、握る操縦桿の熱さしかなく、燃える様に凍える氷結の一手が脳裏に過る。



嗚呼、蒼空よ。隠れる事無くその姿と、希望の言葉を口端に寄せて紡げ、


「其処に何が無くとも我は、逝くべき術を探し続ける。これ以上墜とさせるかよ。」と、叫び吠える。


その意志に呼応するかの様に、超巨大隕石の一つを覆うほど疑似電磁バレルの輝きが宙へと放たれる。


勇壮なるその姿に、満足するかのように五機の機体が群がり、擦れ違いざまに装甲を、武装の一部を剥ぎ取りながらも、


肉食魚の牙を晒し、貪り漁る。


それでも操縦桿と思考の温度は切り替えぬまま展開されるコックピット内部のエアバックが生じ、衝撃を殺しながらも、それでも、それでもと、


自ら行使する一撃を解き放つ


快楽と達成感を感じながらも迸る白き情熱は、確かな熱を孕んだまま、何処にも着床する事なく、果てその力を減じ、


巨大なる小惑星体と呼んでも差し支えの無いその巨体が、もう一方の超巨大隕石と大中小の隕石群を巻き込みながら、遥か彼方の宇宙へと、投げ返される


白と黒の閃光に包まれ、去っていくその姿に、果てた満足感に荼毘されながらも、まだ死ぬわけにはいかないと、


破損した機体を立て直しての高速戦闘へと突入する。


《アンレコニング》(Unreckoning)の支援を受けて距離と時間の垣根を越えて放たれる。理を無視して、着弾する攻撃の手の数々を、


機体と兵装が解き放つ、夢幻の海に揺蕩うかのように荒波を乗り越える。


繊細なタッチで触れられる熱い操縦桿を手にしながら、衝撃と熱波に炙られ、頑強なはずの装甲に徐々にダメージが蓄積されていく


残る隕石群は、巨大隕石が七つに、中小が三分の一にも満たぬ数になるモノの七つと言えどもその大きさは5km~10kmと、地上に堕ちれば文明が崩壊しかねない


その大きさに安堵の声は漏れずに、痛みに捩る情感に震え、伸びる光の鞭と質量をもった粒子に一撃に、見えないマヌス・デイ《神の手》と、無数の攻撃の手が、


浮遊する隕石群の一部を流用しての超電磁砲による斉射の雨が、空間を飛び越え、穿ち押し寄せ逃げ場などどこにもない事を知らせる


悪業として襲い掛かってくる。


視界一杯に広がる無数の攻撃の手に、時間差で、前後左右にその進行方向と慣性を完全に制御したまま、幾何学模様の偏性駆動をみせ、ジグザグのあらゆる方向に飛び行く姿は、


捉えどころのない飛鳥の雄姿、時に速度減によるオーバーシュートを誘発させやり過し、擦過した半瞬後には、前進を試み、本来であれば絶対命中の状況に於いても


回避行動を選択し続ける。


既に、異変を感じ取った。事情を知らぬ四機を操るそれぞれの操縦者は、友軍の動きの奇妙さに首を傾げるも、降り注ぐ隕石のその数を減らし、


宙に向かって抵抗の意気を吐くも、通信の途絶えたそれぞれの場所に置いて、状況把握を行う事は、能わず。唯、主力兵装の連続使用が困難な状況のまま


迎撃作業に勤しみ続ける。


届かぬ援護の手を遥か彼方へとみやり、単騎で奮戦する戦いにとうとう終わりが見え始めると滔々と語るは、幽玄の手に添えられし、


魔女の箒が...その役目を終える刻が迫る。


悠遠より来たりしその男と機体に迫るは、触れれば融解され得る可能性を秘めた一撃の端を掠めてその一端が触れると同時に、機体の一部が爆ぜる様に跳ねる。


通常の空戦機動と一線を画すかの様に、前後左右に、機体を振り回し、襲い掛かる。空間を渡り理を変える弾痕が直撃を避けながらも


装甲の一部を徐々に剥ぎ取り、砕いて逝く。


スイッチバックの如き揺らめく木の葉の軌道を描き、前後左右に揺られて、下降と上昇を試み、且つての仲間が放つ猛攻に対して、


狙い撃つは、弾倉を回転させての稲光による電熱とEMP攻撃を仕掛け、破壊不能で在ってもディレイを発生しつつ電子制御にダメージを仕掛けるが、


忽ち、Ⅱ(2)《アンキャストダイ》(Uncast Die)の再生機能により、瞬時に回復。


ならば、与えられし抵抗の牙は、


質量を持った粒子砲、重力波、超電磁砲、熱分解、電熱とEMP、金属剥離現象を促す結晶、冷却砲様々な効果を秘めつつも、


絶対破壊不能の装甲に守られた五機の機体に対しては、決定打とはなり得ない。


大技を繰り出すにも、発動までの時間が足りない。精々《ミズガルズ》(世界の庭)による電磁加速を自機に、生じさせ、


回避の動きに、併せて、瞬間移動にも感じられる速度による。緊急回避を繰り返す。


だが、鉾、鉾が必要だ。だがその手を打つには、想定していなかった解除、動作が必要で有るとして、行使すべき隙と、時間を稼ぐべく、


蒼い宙を翔ける一筋の流星は、星の引力を引き離し、下へ下へと突き進む。


その出所を予見も回避も本来であれば不可能と思わしき飛んでくる。理を超えた銃撃と剣劇の刃が、迫る中、


まるで事前にその攻撃がその場所から現出するのを察知するかのように、更なる多角軌道の冴えを見せ、回避と反撃の


火の粉を巻き散らし、其の銃口から放たれる質量を持った粒子砲の一射が、捉えどころのない、伸び往く光鞭の一打と絡み合い。


破断する破劫の輝きを以て、相殺する。


しかしながら、隕石が降り注ぐデッドラインが刻一刻と迫る中、


同時に隕石の接近を止める為の一手となりし何かの手段を講ずるべく思考と反射を繰り返し回避と反撃のアンサンブルを奏でるも


此方の攻撃は効果が見られず。


考え得る対策を求むるが、意を決して、其の一手を試みる


「その想い。二度と亡くさない様に、啼け。《アースガルズ》(神々の庭)」


「その心、姿映し導き出せ。《ヴァナヘイム》(豊穣の国)」


「その怒りの道を指し示せ。《ミズガルズ》(世界の庭)」


「天より、驕り高ぶるモノ共を大地へ堕とせ。《ヨトゥンヘイム》(巨人の国)」


「悉ことごとくく凍えて護れ。《ニヴルヘイム》(霧の国)」


「悉ことごとく熱に厭いやかされて逝け。《ムスペルヘイム》(灼熱の国)」


「その光を以て、その争いを静めろ。《アールヴヘイム》(光の国)」


「その未来、想像し、造り上げろ。《スヴァルトアルフヘイム》(鍛造の国)」


「友の亡骸を抱えて眠れ。《ヘルヘイム》(死者の国)」


「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」


コックピット内のコンソールに、


アースガルズ《神》、ヴァナ《豊穣》、ミズ《世》、ヨトゥン《巨人》、ニヴル《霧》、ムスペル《灼熱》、アールヴ《光》、スヴァルト《黒》、ヘル《死》の文字が瞬き、


《connect》と同時に不完全を指し示す。《ERROR》の表示が踊る。


《輝くむ希望を掲げ、!!!!輝ける宙に根差せし、世界を支える一柱》


「九つの世界よ。繋ぎ捉えて、世界を形作れ。ユグドラシル《世界樹》type?????!!!!!!!」


最後の切り札を魅せる調停者に向かい


巨大隕石の飛来をいち早く察知した、一部の人間達は、核ミサイルでの破壊を試みる、


其の手立てが、無畏に終わると理解ると、早々に、地球に見切りをつけた。


特権階級と呼ばれる数少ない人間達は、自らの家族と身の回りの少数の人を伴に、一部の人間のみ核シェルターへの避難を行い。



地上で、機神たちの奮戦を見守っていた人々は、遅々と進まぬ動向に痺れを切らし本来であれば手出し無用とされていたはずなのに、


核ミサイルによる隕石群の迎撃を選択する。


喩え直撃を受けたとしても、撃墜する事は叶わない筈にも関わらず。躊躇う者はいなかった。


放たれた無数の核ミサイルが...。宙で単騎で奮戦する一人に対して決定的な一打となる事を理解する事もなく、その悲劇に対する呼び水として機能する


その一手が、今まさに奮戦する救い手を背後から撃つ事と同意義であることを知らずに...


悠久の時を超えて、刻と時を結ぶ、天界に浮かぶは、世界樹の命の輝きを魅せる樹海の如き、一つの御柱。


虚空に根を張り、和を以て尊しと、墜落する無数の大型隕石群を着弾する勢いを弱めるべく、其の枝葉に絡めてその身に捉えて、その衝撃と熱による暴風を


減じる様に、自らを盾とするなか、核ミサイルの炎と衝撃を重ねて顕現し、躯体を結んだ樹木に守ら得るも、幾重にも放たれるその衝撃が、中心部で支える


XIII(13)《アンチェイン》(Unchain)は、度重なる猛攻と、其の身を多楯とした余波により、その頑強なフレームに亀裂と破断の損害を与えせしめ、


限界を超えた機体がとうとうその動作を止める。


其処にもはや抵抗する力など残っておらず、尽きた力を示す様にそのメインカメラから放出される目の光が途絶える。


残存する巨大隕石の八つの内三つと、更には、残る中小の三分の一の数の無数に去来する星の凶宴を迫る五機の機影の追撃を阻みながらも


その不完全ながら、生ずるその顕現を抜けて。五つの巨大隕石が僅かに枝葉に接触し、その勢いを弱め折れた枝を巻き込んだまま、抜けていく


天より来るは、432個の小規模隕石、144個の中型隕石、108個の巨大隕石...72個の超巨大隕石の内、その凡その数を防ぎながらも


滔々、文明を破壊する攻城鎚の如き轟音を響かせ五つの場所へとそれぞれ落下していく


五つの隕石は、 北米(五大湖周辺)、日本(東京)、アフリカ大陸(東部沿岸付近)、ロシア(ツングースカ)、南米(アマゾン川流域)へと


奮戦の甲斐なく。墜ち多大なる被害と人身の命を散らす一瞬の邂逅を果たす。


展望の灯が消えかかるなかで回避軌道を描き、破壊不能の敵機に対して、反撃の一手として、本来で有ればロックが掛けられていたはずのデータベースの一部を解放するべく


解放するには十二ケタの暗号コード若しくは...を行う必要があるのだが、その間もなく、対抗策を降すべく奮われた手元を乱す。


核ミサイルの群れが、乾坤一擲の悪手として機能し、炸裂する。


膨大な熱量を持ったその破壊兵器の一撃も、頑強な装甲に守られたXIII(13)《アンチェイン》(Unchain)を破壊には至らず動きを止められたものの、その意識を途絶える事は避けられなかった...


嗚呼、無情、助けるべき人たちから向けられた鉾により、この時代の趨勢は其処で決した。


無惨なる敗北となって襲い掛かってくる。


ささくれ立った夜明けの翳には、哀しき戦いの終わりを静かに見せる。


...


...


...


...


...


...


続く

毎月、月末最終日に2話更新予定。⇒今のところ月に一話に変更予定


※来月の分量かなり多いから、一ヶ月に二話やってたら体調崩すから裏では一ヶ月で二話書いていくけど


アップだけ一話にしてストックしとく。多分今年中に全部描き終わったら、年末年始に全部ぶっぱする

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