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無法者の詩  作者: 唯の屍
38/40

第三十七話「詩を呼ぶ十三忌(サーティーズオーバー)」

イメージソング


YOASOBI「オリオン/Orion」 from TBS系 『CDTVライブ!ライブ!』 @ TOYOTA ARENA TOKYO https://youtu.be/67dqkyZXwd4?si=3YRW8DcBUcT4u7nQ @YouTubeより


【歌ってみた】アンノウン・マザーグース/ covered by ヰ世界情緒 https://youtu.be/SScu2SnH42w?si=xHVi9qWpsCzgByNf @YouTubeより


アンティック-珈琲店- 「覚醒ヒロイズム〜The Hero Without a “NAME”〜」PV | An Cafe「Kakusei He... https://youtu.be/m3-FB7FP7qI?si=oKNTppsj4ICA18G5 @YouTubeより


眇(すが)め逝く、何者かの翳は、遷ろう。光の波に穿たれ、且つての星は崩壊の一途を辿る。


崩れ行く星より無数の残骸が宙へと放出され、その中には無数の犠牲者の翳、


喩え人を喰らう獣で在ったとしても、救くるべきなのか?その答えは誰にも分らない。


一方的に救けると言えば、犠牲者を貶め、救わなければ慈悲亡き者と非難される。


全てを救うと誓えば傲慢であり、全てを見捨てれば、非難され、救う事により生ずる犠牲の数には目を瞑るべきなのか?


有史以来その正しき答えを降せた者は無く、そんな簡単な答えはこれだと言ったものの意見は、


酷く手垢の付いた。ありふれた答えでしかなく、容易く、反証が生ずるものであった。


されど、汝、歩みを止める事なかれ、されど、其の足を速める事なかれ、進む足元を見なければ、


思考の落とし穴にはまる事となる。


且つて夢見し、獣たちの楽園は、その当事者たる為政者の翳を隠し、この世から消え去った。


赤銅色の大地はその体内に秘めた厚い地殻を貫き、液状のマントルを活性化すると共に蒸発し、


散乱する破片が宙(そら)へと解き放たれる。


その残骸は何時しか我らが同胞が住まう地球へも到達する事だろう


その事実によって引き起こされる破壊に、贖う術など、今の人類には無く、大絶滅へのカウントダウンが始まる。


対するは、向かう先を見失った迷い子の姿が一つ、


告げるは十三番目の死を告げる無法者の詩。


死した何者かの姿をこの身に宿し、開放されるべきその似姿は、


幾重にも眩き剣先を揃えた荒々しくも細な線形


告げる幾星霜の宙を切り裂くは、人の歴史に刻まれし、無法を告げる鐘の音を鳴らせ


全てを救う事は叶わずとも、掲げる御手には救いを載せて、走れ。


そこに何が待ち受けようとも、決してその問(と)いを忘れるべからず。


喩え、死を呼ぶ御手だとしても、使い方を間違えなければ人を活かす手段足り得る事を


放たれし閃光の一打は星を貫き、遠くの星系にまでその影響が及ぶ。


憎しみに命と怒りを捧げた、且つての少女は、自らの運命を捻じ曲げ、拒絶した全ての者へとその矛先が向かう。


全てが、憎い。そして愛おしく、全てが恋しい。


だが、出力される言葉は憎しみに染められ、星の命すら掻き消していく。其れ迄抑えられていた劣情を伴った、


思いの丈を封ずりながら、それでも解放されし五つ目の封印は、解き放たれる。


暴虐の一途を辿り、辿る運命の終着点は、破壊か再生か?


死すべき者は、悲しみに暮れる何者かか、逃げ惑う人喰い達なのか、


思想と意志が絡みつきながらも、悶え狂い官能に酔いしれるは、無冠の何者かを追い求める何者かの姿。


今一度舞台の幕を上げろ。


凶死の光は全てを包み、死をまき散らすも涙の如く降りぐは、極詞、祝詞が描くは、喪った心無き少女の叫びを諫めるべく


今一度崩れた羽根を広げて大鴉は、崩壊する星の空を飛び立つ。

…


…


…


一瞬に、目の前の少女の姿が、TVの砂嵐の様にブレて、鋭いその深いエメラルドから、酷く擦れた様なその視線を向ける成年の女性の姿を幻視し、


酷く罵倒されたかの様な、耳障りの悪い声が耳朶に響き渡る。


一瞬の白昼夢に...「ハルユキ、イタイナイナイ??」と見上げる少女の視線と交錯する。


「ん?何でもないよ」


あれは白昼夢でも、唯の夢想の幻でも無かった。


此れより数十年後に起こる予兆を知らせる先ぶれであった


知ってた。私…。春幸の事…好きだったんだ。


嗚呼、知ってたよ。さらばだ、眠れ。


…


…


…


「終夜ッ持ち場を離れるなッ!!!!」


チッ


「拙者がカバーする。各自全力攻撃ッ、死んでも時間を稼げッ!!!!」


浮遊する残骸に到達すると、破損した外装を剥がすと、コックピットを開き


五体満足のまま額から血を流し項垂れる姿に、其の無事に、安堵し、


久しぶりの娘との再会に、頬を綻ばせ、顔に手を触れてその感触を頼りに、


薄れゆく意識の中、「美人さんが、台無しだな、」


僕のお父さん...


「春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!

春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!春幸ッ!!!!!

やっと会えたこれで殺せるよ(愛せるよ)。殺し合おう(愛し合おう)


その女、一体誰?、うん、娘?私の胎から産まれた命、戻さなきゃ。営みはないけれど、其れは私が産むはずだった命だ。もう一度、...に戻って産まれ直しなさい!!!」


アイ=フライヤーはエメラルドグリーンの眼にその光景に涙し、喚起する。


「私の赤ちゃんッ!!!!」


「ウッん?私は、...を殺して...ママになる。」


次に放たれる絶望のまでのカウントダウンは、90秒...。


事態は荒々しく、過ぎ去り、そして、物語は続く...


機体内部で生ずる交戦記録によるギベオンのデータベースを更新。


火星を殺す者...。をアンタレスと呼称


飛散する機体の残骸を残して、敵の狙い引きつけつつ進む3機の機影と、その視線の翳に隠れて迫る7機の機体が踊る。


思い思いに編隊機動を試み、相手の射線上を進み、先頭を逝くは、叫ぶ、ハンザス機が示すCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)D型アンブレイクシールドの姿。


破壊不能である装甲に覆わられたナノテク物理装甲によるシールドを機体前方と僚機の進行方向に展開、


駆ける様に放たれる迎撃の光に対して、応じる様に、その装甲を押し広げ、先の一撃を防ぎきるモノのその表面に、莫大な熱量を照射され、


機体の冷却機構と電磁シールドによる、抵抗によりその余波を封じ込めるものの。


コックピット内部では、アラートの音が鳴り響き、次射迄の90秒を乗り越えるべく、進む三機に対して、球体状の動体の象眼より


放たれる火砲の雨が降り注ぐ、


身体を覆い、進退を極めるべく放たれるその一斉射が、一呼吸の内に迫る目標を撃ち落とすべく放たれる。


機体を45度、やや傾け、推進機構を最大限に発振させ回避を試みるも降り注ぐ光の雨は、光のラインを描き追いすがる。


その制圧射撃にたいして、回避行動を諦め、ハンザス達は、事前の策を試みる


通常の手段では破壊不能のアンブレイクシールドの特性を利用して、自機に攻撃を集中させ、僚機の急襲開始までの時間を稼ぐ。


その高出力の破劫による襲撃をコックピット内で、燃える様に闇を切り裂き、降り注ぐ砲撃の雨を


台風直下の足元で、必死に壊れかけた傘を持ちて、突き進む者の様に、自機の端を冷たい雨に削られるように進む姿は、満身創痍。


雨は傘だけでは完全に防げない。


そこで、ハンザスは、一案を告げる。


そのころ大きく左方の迂回路ととり、目標の狙いを外すべく放出したデコイと熱源体による攪乱を行使しながらも、ほゞ全方位射撃による


飽和攻撃に対し、別動隊を指揮する秋光=山崎は、乗機であるCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)D型ライトブレーカーの威容を


以てその攻撃に対して対応する。


噴出する破劫は、陣形の前陣にそのナノテク物理シールドを並び立て、その連撃をその身を以て、遮断する。


命中する毎に排出される。装甲に蓄えられた熱量を冷却ガスを放ちながら、相殺。


ヴィ・エクソルウェ...命を解放すべき、詩を唄い。


イゴール=マッケンジーが行使するCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)A型(Advanced:先進的)ネファース・サルム(禁忌の影)攪乱を旨とする


その効果が、もう一つの結果を顕わにする。


「四番隊は、攪乱がメインだ。三番隊と近接兵装を備えた《仏頂面》トルウス02を送り届けるぞッ男尻を張れッ!!!此処が尻の見せ所だぞッ?」


薔薇の花を一輪を手に、パンッパンッと手を打ち鳴らしながら、行使されるは、顕れては、消え、霧散する。


漆黒の粒子をまき散らし、その姿が掻き消え、消えたと思われたその姿が顕わになる。


その効果に...


「えーあたしは男じゃないんですけど?!私の王子さまは?!」


「持ち場を離れるな。一機でも欠ければ事前に用意していた対策が機能しない」


「王子様のピンチ。此処はッあたしが点数を稼いで、後でヨスヨスして貰わなきゃ!!!再度のお姫様だっこでも可?!」


「そんな事してる暇はないぞ。死ぬ気で攪乱して、隊長機への砲撃を散らすぞ?!判ってるな?」


天星の空を駆け抜ける。七つ星は、その光を消しつつも着実に飛翔するべく、放たれる攻撃の一手をその姿を量子化ならぬ0と1の狭間に滑り込ませ、消えては現れを繰り返し、


無数の弾痕を潜り抜ける。


「デコイの数は十分か?」


アズカリー=シラユリが保持するCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)U型(Unnamed target;名前のない標的)パルーダメントゥム・ブルムより放たれる


デコイとなって放出される無数の光点が、此方の動きだけではなく、敵に対して、自機が敵機に囲まれたと誤認させ、


全方位攻撃を誘発させる事となる。


「各員、本機の疑似量子化は、15分が限度。効果範囲から漏れるなよ。」


「へいへい」


「《仏頂面》トルウス02了解」「《仏頂面》トルウス03了解了(リャオジエラ)」「「「俺達の男尻は凶暴だぞッ!!!」」」


「えーあたしはどっちかというと、そいうの間に合ってますッ!!!!」


「《仏頂面》トルウス08、デコイの放出先を、絞れ、敵の射線を一部に誘導して、隊長を守れッ!!!」


「《仏頂面》トルウス03は...察しが良いな。」


七機編隊のその片翼を担う三番隊と四番隊は、それぞれが左右の指の如きフィンガー・フォーの編隊を組みながら、周囲に散らされる


ライトブレーカーと疑似量子化の護りに守られながら、次々と打ち出される飽和攻撃を防ぎながら肉薄する。


火星を殺す者...。敵生体までの凡その距離が、凡そ縮まる頃、反撃の狼煙を上げるべく放たれるは、


「いくぞ、オーライ。バイポットッ!!!援護するから。走れ。イーラ・パルワ、《仏頂面》トルウス03」


《ルードリッヒ=ビーデンガルド》ことダートルは、自機の大型の可変式ライフルであるアン・マスト・ダイを構える。


大型のナノテク弾頭を装填し、射撃体勢へと入ると、掛け声に合わせて、先行し、飛翔する二機の機影にをコックピット内のモニターでその翳を目視し見送りながら


慎重な手つきで、装填された弾丸を撃ち放つ。


(こいつの転送弾であれば命中した効果範囲を丸ごと抉り、コックピットに当たれば喩え《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲でも抉り取れる。)


(狙うはコックピットかジェネレーター部分を狙えば...無力化は可能)


「こいつぁ厳しい戦いになりそうだ。Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)E型アン・マスト・ダイ、その意志と命悉く撃ちほどかんッ!!!」


既に薬室に叩き込まれた大型の狙撃用転送弾を目標である。火星を殺す者へと照準を合わせ、援護射撃と名ばかりの、制圧射撃を試みる。


奔る銃撃の炎が暗い闇を照らす頃。


アズカリ=シラユリは、着実にデコイを増やしながら、僚機へ疑問を投げかける。


「そんな事より《仏頂面》トルウス01、戻って、疑似量子化とやらで、隊長とみんなを守れば楽勝では?」


「疑似量子化はそんな万能じゃない。あの砲撃の粒子量と効果範囲。直撃すれば、疑似量子化の効果が途切れた瞬間に、一網打尽にされる。今は突撃あるのみだ。」


「《仏頂面》トルウス03、《仏頂面》トルウス08、デコイを敵の左後方45度に集中、敵の狙いを集中させろ、」


僚機の狙撃支援と疑似量子化による、防御に任せ二機の遊軍を担当する。


《アンガー=ブライデット》が操るCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)B型(Ballistic:弾道)のワイヤードアンカーと《フォイマン=ハイマン》が騎乗するCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)B型(Ballistic:弾道)アインバンダ―の姿が、闇を照らす砲撃により深い陰影を刻みながら二つの乗機はライトブレイカーの守りが放出する蒸気を噴き上げながら常軌を逸した軌道を魅せる。※2026年8月29日修正


左右に交互...果ては、フェイントとして繰り出される、右右左、左右右と、走り、機体を90度傾け、左右の軌道のみならず、


上下左右の動きも混ぜ、


宙に連なる位相空間固定ワイヤーの冴えを見せ、最小半径での急速旋回を繰り返し、敵の攻撃を回避と、次々と冷却限界を超え剥落していくライトブレーカーの護りを


前に、徐々に《アンガー=ブライデット》はイーラ・パルワ「小さな怒り」の二つ名通りに、次第に怒りを溜めていく。


事前準備が必要な《アンガー=ブライデット》を他所に、一早くエンジンに火をいれる《フォイマン=ハイマン》は...


再加速ムーブに入りつつ避けぶ


「必ず。百合に挟まるまで死なせるかッ!!!!」


「《仏頂面》トルウス02ッ百合の間に挟まる男は、絶ゆる地雷だぞ」


「ちょぉぉフォイマンさん、あたしと隊長の間に入らないで貰えます????」


「いや、《仏頂面》トルウス08も隊長の百合の間に挟まるんじゃねぇ。あとコールサインで言えッ!」


「アッいけねぇ?忘れてた。でも隊長と愛し合うのは、私の特権ッ!!!!!お先に逝きますッ」


「おい、疑似量子化の範囲から外れるなよ!?」


後方へとひと吐きする尻尾より伸びる深紅の破劫が、無数の誘導型チャフとデコイの一団が其の斉射の一呼吸に霧散する。


狙い通り、次射までの時間が稼げる...


だた次は、接近し目視範囲にいる我らに対して叩き込まれるであろう。それまでの90秒間で無力化する。


時間稼ぎの手を次々と撃つ中で、漸く先ぶれの穂先が秘部へと到達し始める


先陣を斬るは、《フォイマン=ハイマン》機が目標であるアンタレス《火星を殺す者》へと到達する間際、絶望の産声を上げ変態する。


火砲であるアンチ・アレスを指し示すの砲門が、可変機構を稼働させ、その球体然とした体に手と足と長く伸びるシャープな胴体と大きく歪んだ咢の中に潜む三つ目の頭部に、


寡欲を欲しいままにする深紅の翼手をはためかせるも、その灼熱の砲身を天へと掲げると、


球体状の装甲が、展開され内部から、頭部とおもしきと大きく歪んだ咢の中に潜む三つ目の頭部が、蛇腹状の尾と化して、一枚一枚と装甲が剥落、


崩れ行く機体内部からシャープなフレームが顕わになり、四対の脚部と、やや大ぶりな前腕である鋏が生ずる。


球体状の下半身が上半身の胴体に、頭部だと思われていた部分が毒針の尾へと変わり、やや丸みを帯びた機体がシャープな情感を持ちて大型の蠍型の威容へと変態。


丸い胴体は解体されて、隠れていた蠍型のフォルムが顕わにする。


チッ


接近兵装がない?!だと、その目論見が辛くも崩れ堕ちる中、一番槍として到達した《フォイマン=ハイマン》は、


機体に装備されている主兵装であるバンディットクロー《盗賊の爪》を戦場へと投下する。


射出される無数の大型クロー型の位相空間固定アンカーは、空間を保持したまま、それまでの物と違う動作軌道を描く、


突如、目標の背後数十メートル地点から忍び寄る、大型クローは、接触面を抉り繋ぎ奪い取る


当れば、それだけで致命打となる、その一撃が、砲撃を終え砲身冷却へと入ったアンタレス《火星を殺す者》へと、襲い掛かるも、


操縦桿を握り、先の打ち合いで墜とした。何者かの懐かしき香りに翻弄され、粗ぶり地団駄を踏むかの様に、フットペダルを二度三度と蹴り上げる


動きに合わせて、変形を終えた機体の動作に満足し、


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」


燃え上がる官能に酔いしれながら、邪魔ものとなる接近する一機の機影を...。邪魔ものとして、まるで相手にしないように視界に居れようとせずも


遠くからの長距離射撃の大型転送弾の一打が、押し迫ってくる。


機体よりの緊急回避を促すアラートを無視して、その視線の一点は、その姿に釘付けとなる。


「私の子供子供子供子供子供子供子供子供子供子供子供子供子供子供、私の子供を殺そうとする。他は邪魔だっ!!!」


荒ぶる情念と情念に押し出され、迫る狙撃とバンディットクロー《盗賊の爪》による一打は、機体前面に、一対の大鋏は、


その大きな刃を開き、大気の無い宇宙空間に置いては、その影響が限りなく少ないはずの振動が


接近する二機の機体にもその効果を及ぼし無数の大型クローが襲い来る中発動する。


《アージナリーワン・ウェポンⅤ》...アンロックツー、ルブラ・フォルフェクス《深紅の鋏》


時空振動を巻き起こす二つの鋏が、空間を飛び越えるバンディットクロー《盗賊の爪》を交錯する。


互いに喰らえばお互いに、唯では済まないはずのその攻防が、空間を振幅する刃と削り取る爪が、周囲に干渉を及ぼすも


機体の出力差に推されバンディットクロー《盗賊の爪》が接続されている流体金属を破断させ、宙に浮かばせる。


閉じられた鋏が起こす振動破が、獲物を喪った《フォイマン=ハイマン》機へと襲い掛かる。


推進器機構を絶妙なバランスで操機して、ストールにもにた挙動を宙空で機体を保持しながら回し、切断されたワイヤーを巻き取られせ、


後退を余儀なくされる。


変わって交代する様にイーラ・パルワ「小さな怒り」を胸に前進を選択する《アンガー=ブライデット》が、接近戦を試み、


間を縫うように放たれる大型の転送弾の狙撃が、始動する空間の震動波の干渉を受けてその狙いがそれる。


その状況を把握した。


ハンザス=フライハイは。残る一番隊の三機も波状攻撃による敵の防御を崩すべく前進を続け、


ギベオンへの認証を行い。瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》の認証を求め、行使する。


光子乱れる戦場に置いて、投入されるは、新しく増設された三機分のアンブレイクシールドと増えたシールド基部の操作を可能とする


外部補助機構を備えた増加装甲、《アイギス・フィクタ》を瞬時に転送と共に解放。


既に自機に備わった三枚のナノテク物理装甲とは別にその実に12枚に及ぶ大小の破壊不能の盾を操り、


思考制御のフィードバックを受けて、操作するハンザスの目から血の涙が零れ落ちる。


意識消失迄...300秒。


まずは最初に行ったのは、砲撃の雨を潜り抜ける為の厚い雨傘代わりの障壁を広げながらその波涛を乗り越えるべく


一枚の破壊不能の盾を煌く鉾として転用する。


それまでやや手持ちぶたさであったアイ=スクリームは大型の衝角(ラム)にも似た穿角にまとわりつくそれに対して確かな手応えを捉え


回転蠕動を繰り返し、天を衝かんばかりに、発振する刃を前に、光の雨を切り裂き、前を逝く。


《アルトバース=ミカンガム》は新装備である大型の重力制御式のマスドライバーとする。パルーダメントゥム・アークバリスタの効果を


明示し始める。周囲に浮かぶ且つての火星の残骸をアンブレイクシールドの傘にガンガンと当たる障害物でしかないそれらに対して、


命令式を刻み込み。岩石の残骸を纏めて、加圧する電磁レーンを形成しつつ、其れ迄溜めていた情欲を吐き出す様に


目標めがけて放出する。小型マスドライバーによる絨毯爆撃を行使し、広く宙域に巻き上げられた星の残骸がそれをもたらした者へと還って行く。


「隊長...。」


安否を思い。思考伝達型のリングにガイドされ操縦桿の動きに合わせて、機体と身体を前後し、蠕動運動を繰り返し突撃による時間稼ぎに終始する。


その刻の流れの中に置いて、遠くで、上へ下への空戦機動を見せるも避けきれずに砲撃の弾着を知らせる光点と


まるで埒外もなくその動きを目で追う事すら困難なる十機の六等星が、今もその光を喪わずに輝き続ける。


射撃戦の光が、幾度も瞬くが撃墜を知らせる花火は上がらずとも、着実に戦力の一部が削り取られ続ける、絶望的な戦いが其処に在った。


その最中で、戦場からやや離れた場所へ、光の流れ弾が通過し、その姿を一瞬浮かび上がらせる。


・・・


「お父さんッ?!しっかりしてッ!!!!!」


朦朧とする意識の中...


「しっかりするのは終夜...お前の方だ、仲間が戦ってる。戦場へ戻れ。」


「でも、セカンドアーヴルがッ壊れてる。此処に残して行けないよッ!!!」


「大丈夫だッ」


たどたどしい手つきで、コンソールに再び灯を入れると、剥落したモニターに、未だ戦場の状況を知らせる映像が映る。


「感覚でわかる。こいつはまだ動く。其れよりも...」


「ギベオンからの伝言だ。」


「使え。」


...


...


...



「これちょっとどうなってるんですか??」


切り裂く鋏が、僚機の脚部を切断するなか、多目的中型ライフルから放たれる転装弾による十字砲火を仕掛ける。


接近戦を仕掛けて痛打を受けるは、《アンガー=ブライデット》の機体、


ワイヤードアンカーを投射し逃れようともがくが圧搾し振動する余波に機体が嫐られ、万事休すの中、


疑似量子化と共に機体が掻き消え、そして現れると同時にバンディットクロー《盗賊の爪》の穂先が着弾、


奪うのではなく、空間を繋げる効果を保持して、反対の自陣へとその姿を映す。


乱れ飛ぶ破劫の光の檻を、思い思いの空戦技と、防御を担う《ハンザス=フライハイ》と《秋光=山崎》は、


時間制限付きの大質量による防御と、小出しに使い分け継戦能力に舵を切り、喪われた端から補充する二人守り手は


始終稼働し続け、その異なるコンセプトと行使する防御に違いあれど、僚機を守る一点には変わらない。


時空振動を起こす鋏の守りに転送弾の銃撃の雨が防がれる中、遅れて参じるマスドライバーによって誘導された岩石の雨が


反撃の一手とひて着弾していくものの


視界を防ぐそれらの嫌うように全方位へ放射される光のラインが、次々とその弾体を精密射撃をする様に撃ち墜としていく


此処までの乱戦に成れば、攪乱によるデコイは、意味を成すことが薄く、


主武装が多目的中型ライフルと頭部バルカンそして機体脚部や武装コンテナに搭載されていた実体兵装である圧搾穿孔弾等...に限定される。


攪乱用の四番隊の三機は、圧搾穿孔弾の弾頭を粒子攪乱幕へと切り替え、装弾数に限りがあるモノの


対する目標の放射砲撃の守りへと変え、接近を試みつつ包囲戦を仕掛ける。


「各員、散開しつつオータムに防御を貰いつつ、十字砲火と陽動をッ!!!!一発でも多く届けるぞッ!!!」


走る。前陣の《アンガー=ブライデット》とフォイマン=ハイマンの動きに合わせて、突撃と、機体の傾けに合わせ、


その背後より迫る大型転送弾が、遠き夜空の仕事人らの動きを真っ向から迎え撃つように鋏を鳴らし、その機影に着弾と共に霧散


機体の一部を喪いながらも、二重軌道による、ワイヤー機動による強襲とその隙間を縫って迫る三機の多目的中型ライフルより奔る。


転送弾の銃撃が、時空振動を巻き起こすその鋏の効果範囲に防がれ、返す動きで機体に備わった象眼より奔る全方位射撃に、


接近が儘ならないまま、ライトブレーカーの守りが僚機への直撃を防ぎきり、また一節の盾が冷却限界を迎え、剥落していく。


再度の瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》を起動、戦術リンクにより操作権を保持したまま現れる楯に、


機体を台して、狙撃体制へと入るバイポットの陣形のまま。一射、二射、三射と、弾丸を薬室に叩き込みながら、敵の防御の穴を探る様に


弾の射線を調整し放つも無力化される中、囮として進む一番隊の面々が戦場の中心点へと喰らい付く


無数の全方位射撃を、破壊不能の盾と鉾で斬り破るようにすすむ。ハンザス=フライハイとユウ=スクリームは、


やや後方の離れた位置から射撃戦を仕掛け続ける《アルトバース=ミカンガム》の援護を受け、突撃敢行。


絶対破壊不能の鉾が、鋏の先端を優しく愛撫する。拮抗する先端同士が、其の前戯の如く先ぶれを起こす中


思考伝達を可能とする戦術リンク上で、《アルトバース=ミカンガム》と《ルードリッヒ=ビーデンガルド》の意識が繋がる。


「こいつぁ厳しい戦いになりそうだ。ノクト・ルエル。さっきから狙ってるが一発も通りゃしねぇ」


「防御の隙がここからじゃ観えねぇ。おあつらえ向きに、そいつがあると来た?分るよな?」


「分かってますよ。旦那。こいつぁ頂かせて頂く。これで旨いケーキが喰えそうとくりゃ?!」


自機の周囲を舞う。崩壊した火星の瓦礫を巻き揚げながら、アンブレイクシールドの防御で敵機のカウンターを防ぎつつ。


乱れ飛ぶ礫の矢が、小型のマスドライバーに誘導され重力コントロールを備えた超電磁砲の加速力をもって打ち出され、


次々と


「ノクト・カエルッ!!!!」


「判ってるよッこらショットッ!!!」撃発する撃針に撃たれた螺旋状の鉾が巻き起こす衝撃で、機体の進行方向と推力の噴出バランスを崩し、迫る礫の咆哮が


避けると、雹の礫の如く直撃する。


満遍なく機体の至る所を打ち据える。暴風雨の如き銃撃の嵐の中で、観察を続ける《ルードリッヒ=ビーデンガルド》に打開点が浮かび上がる。


奴の不可視の鋏は機体前方を覆う様に展開されているが、僅かな礫が、最大火力を誇る砲身、その尻尾にまでカバーされていない...


恐らく砲撃の邪魔になる為に空いているのだろう...その防御の僅かな隙間を特定。


《ルードリッヒ=ビーデンガルド》は照準を睨み、空薬莢の排出を終えると、弾頭を大型の転送弾から、曲芸曲射用の大型弾頭へ


と弾倉から単発ボルト式のボルト(遊底)を淀みなく操り、装填動作を終える。


俺には、ミカンガムみたいな高速装填は出来ないが、一発の照準制度であれば、此方が勝る。



周囲で打開策を撃つべく包囲旋回を繰り返し防御の穴と照準の隙を狙い続け、射撃戦を繰り広げる三機の僚機達の攻撃は、


牽制射撃代わりに意識を散らす為に使わせて貰おう。


コックピット内の全天周モニターに映る。目標を捉えたマーカーと、ライフルの照準がリンクし、目標となりしは、もう直ぐ次射へのカウントが迫る


其の砲身、あいつが無ければ...隊長が居なくとも打開策を撃てる。


そう歯嚙み、心臓の鼓動と引鉄を絞る指先を連動させ、此の乾坤一擲の一打を当てる。


次第に燃え上がる様にその毒針を備えた砲身から深紅の火の光が漏れ出し始める。コンソールのカウント見ると冷却間隔を知らせるタイマーが、


その絶望にも似た状況へと僚機達を突き落とし始める。


まだ...だ。まだ早い。此処は万全を喫して、放つタイミングは、発射体制に入ってから撃ちだすまでの僅かな隙間。


遠くで、頷くミカンガムの意識が重なる。向こうは光と等速に近い砲撃、実体弾である此方が着弾するまでには、僅かなタイムラグが存在する。


其の不利を覆す為、光子ビーム系の攻撃に絶対的な防御を誇るライトブレーカーのナノテク物理装甲と共に展開される。


全方位射撃との接触の果てに、蓄熱される装甲体より供給されるは、熱量と排出される冷却材の翳、バイポットの陣形のまま


大型狙撃ライフルに繋がれるは、シールド基部より接続した動力ケーブル。供給され熱量と粒子を放出をその銃身より一度に粒子砲と実体弾との


混合射撃を試みる。


あくまで敵の無力化を重視するその行為に、合わさる様に、射角を合わせ、慣性制御による実体弾による超長距離射撃を試みるが、照準器を覗き、


目標まで伸びる。射線のラインを確認しながら、


炸裂する粒子の奔流は、事態の収束をするべく。疑似量子化のアシストを受けつつ放たれた転送弾の一撃は、輝る粒子の放射に乗せられて、


敵の砲撃を避けるべく曲射軌道を描き干渉されるべく障害を乗り越え到達すると同時に、


その絶望の波涛が、12時方向から10時方向へ巻き起こる惨事を引き起こすべく


艶やかな深紅の輝きが、宙(そら)一面を灼き焦がし放たれるも、僅かに切っ先を掠めた転送弾の一撃が


世界を焼くいと紅き穿光を包み込む、


その一瞬の錯綜で、予測演算結果が叩き出す最悪の結果をいち早く察知した何者かは、転送弾の転送地点を


ギベオン内部より、火星軌道上の空域へと吐き出される。


「避けろッ!!!!」


咄嗟の警告が戦術リンクの通信へと伝わり、巻き添えを覚悟した戦場の三番隊並びに四番隊各位は、放たれ得ぬ光に、驚き、


全く別の咆哮から飛来する直撃弾が浅く一番隊の三機を巻き込まんと逆方向へと放たれる。


咄嗟に思考制御リングとアンクルにガイドされ、操縦桿を大きく押し倒し、進行方向をそれまでの高度より


ジャイロセンサーが示す高度計による危険を知らせるアラートを無視しがら急速潜航を試みる。


機体を倒しながら、ストールする。機体を、どうにか推進機構の慣性制御を駆使して、回避軌道を取る


深紅の砲撃は、火星の空を焼きながらアンタレス《火星を殺す者》の直上を浅く掠め、その光の瀑布が通り過ぎた後には...。


遠き夜空の仕事人らの姿、欠ける事無く、進む、彼女彼らの元へと再びの瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》の光


ユウ=スクリームは、アイスを一欠を頬張ると、歯を食いしばり遠吠えの如き呼気を履きながら、


機体の装備変更を選択...ブレードライナーへとの換装を済ませ、其の身にアンブレイクシールドの守りを付与されし、


Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)C型の姿、その機体各部には伸縮式の刃の群れ、展開と共に伸び、分割される刃の群れが宙を飛び、


機体を捻転させながら、無数の蛇腹の刀身が踊る、刃の暴風雨と化し飛翔する分割される刃、ファルクス・ファルトの冴え、ナノテク機構により、機体各部に搭載されているペイロードと増加装甲から供給されるナノマテリアルを消費してその刃を伸縮させる機構の刃は、中距離とも思えるその距離を一気に縮め、砲撃戦を仕掛けてくる


目標に対して再度の接触を果たし、暴風雨の如き刃の嵐が過ぎ去りしかつての光景を幻視させ、肉薄する。


その連撃に対して機体がルブラ・フォルフェクス《深紅の鋏》の時空振動による刃に阻まれ、散る閃光の一閃が弾かれ、


その隙を埋めるかのように四番隊の三機が援護射撃の厚みを以て、応対し、更に、切断され浮いた。


バンディットクロー《盗賊の爪》を伸ばす流体金属ワイヤーにより再接続、と共に、氾濫する川を遡上する魚の如く


再度の突撃を敢行、接近戦による数合に及ぶ邂逅のなかで、狙うは、守りの薄い尻尾の砲門へと、《アルトバース=ミカンガム》と《ルードリッヒ=ビーデンガルド》の狙撃による


牽制打が試みられるが、掲げる片側の鋏を持ち上げ、展開する時空振動による守りで、防がれる。


ならばと、防御の薄い背面部、そこを狙うべき裏を取るワイヤードアンカーを備えた《アンガー=ブライデット》機が、旋回軌道を取りながら、足を止める


アンタレス《火星を殺す者》へと殺到するが、背面には、全方位射撃を可能とする象眼の群れが、光の光彩を放ち、その接近を阻む。


超射程の砲撃と接近戦と全方位に対応するその対象に対して、反撃の手を上手く紡げず。


手をこまねく、遠き夜空の仕事人の面々は、戦術リンクでの思考接続で、打開策を練るべく、攻撃の手を続けながらも、思考する。


「ノクト・カエルと《仏頂面》トルウス03は、前方二方向から敵を引き付け、防御を散らしイーラ・パルワ「小さな怒り」が裏を取り、オータムと拙者は、全力防御。」


「《仏頂面》トルウス01、《仏頂面》トルウス02、《仏頂面》トルウス08は、援護射撃で意識を散らし..」


「ノクト・ルエルとダートルの狙撃が本命でござる。」


「各々方、踏ん張りどころですぞ!」


「「「「「「「「了解」」」」」」」」「了解了(リャオジエラ)」


降り注ぐ弾幕を越えて肉薄する二機の接近戦使用の機体が、度重なる切望する接合を果たし、触れ合う甘美なる金属音を音の広がらない世界で響かせるも


その頑強な守りを突破できず。再度の砲撃へのカウントダウンが始まる。


無窮の宙を翔ける天津星は、今も何かを守る為、その輝ける穂先を揃えて、接近と離脱を繰り返す。


挟み取るその刃が、一撃離脱を旨とする



射列の如き火砲の瞬きを宙を翔けるかの様に飛翔し、互いに旋回軌道を魅せるユウ=スクリーム機と《アンガー=ブライデット》機の動きが、


二重螺旋の輝きのまま、追いすがる光のラインを振り切り、僚機の援護射撃を受け宵闇に花開く傘として、二重の護りに守られながら、


僅かに被弾を知らせるアラートがコックピット内に鳴り響く。


断続的に放たれた火砲は、機体の端から削り取る様に迫り、アンブレイクシールドの護りを付与された刃でその一撃を弾き散らしながらも、ユウ=スクリームは、


敵の狙いを引き付けるべく、やや枝分かれする穂先の如く、ジグザグに稼働する機体を必死に抑えながらも、走り続ける


唯一の救いはその頑強且つ広範囲攻撃を仕掛けてくる目標は依然として、同じ宙域に鎮座し、守りと攻撃を繰り返してくる。


これで高速機動が可能で有れば、打てる対策が...


見るとその八本の脚が光を放ちながら、その先端部より、警戒色を深める様な動きが...。


一斉射される火砲の数が更に増え、徐々に僚機達の被弾が目立ち始める。

チッ疑似量子化が間に合わない。


視界一杯に広がる火砲の砲火を下降する機体を追従するかの様に迫る。一打をすり抜けるも、二打、三打と広がり、味方の遠隔シールドによる防御が、直撃を防ぎ続けている。


包囲しているはずの此方が包囲戦滅を受けると言う事実に歯嚙みする


欠けた装甲や機構を、ナノテク物理シールドによる補修を受けながら、抵抗の灯を掲げるべく、一層の突撃を試みた瞬間に、その姿が掻き消える。


戦場を俯瞰する狙撃手たる《ルードリッヒ=ビーデンガルド》は、咄嗟に警告の言葉をあげるも


次の瞬間その大鋏の一撃が、火砲の弾痕により足を止められたユウ=スクリームへと走る。歪むフレームが、徐々に死の咆哮となって押し迫ってくる。


「ちょぉキツイって!!」アラートが鳴り響く中、最後のひと欠片のアイスを嚥下する。


膨らんだ肺から徐々に噴出される意気を吐き出しながらも、その手に掴んだ操縦桿を腕にはめた思考制御リングより迸る。指先から最後の力を振り絞り、


抵抗を試みる。


僚機の危機に《フォイマン=ハイマン》と《アンガー=ブライデット》二人は、突撃を敢行。


圧搾されゆく機体内部より、次々と火花が散り、迫る援護の手は、迎撃の火砲に阻まれ届かない。


万事休すの最中に外部兵装のパージを選択。


摺り抜ける様に、開放される基部を残して、機体を上下逆に反転しながら、奮うは、フロントスカートに備えられたビームサーベルの輝き


一瞬の隙を乗り越えて繰り出された刃は、八本あるうちの脚部の一つに損傷を与えると共に、残る蹴り脚の一撃を受けて大きく後退する。


その姿に援護の狙撃が降り注ぎ、目標足るアンタレス《火星を殺す者》は、跳ねる様に回避軌道を取る。


コックピット内で衝撃を和らげるクリア状のエアバックが膨らみ視界の端で、


僅かに速度を落とし、その加速軌道の一端が見える。


戦局分析を担当する《イゴール=マッケンジー》は...コックピット内のコンソール上に走らされた映像解析結果を知らせる画面に釘付けになる。


「各員、気を付けろ奴の脚部は砲身にもなるプラズマ推進機構になってる。その加速スピードは、此方の機体より優速だ。」


「連発しない理由は分からないが...注意されたし。足を狙えッ!!!」


外装兵装をパージしつつ空いた隙間からの離脱を行い、一撃を入れた後にサイクロイド曲線を描きながら、後方への退避と共に多目的中型ライフルを手に、


牽制の連打を叩き込むも、その狙いは辛くもその時空振動による防壁に阻まれる。


除装を果たした、ユウ=スクリームは未だ思考接続が繋がったままの破壊不能のコーディングを施された蛇腹の刀身の群れを手掌で操り、


牽制とその脚を止めるべく繰り出すなか、上下に挟み込む様に《フォイマン=ハイマン》と《アンガー=ブライデット》の二機が、


其々のワイヤー実体兵装を打ち出しての挟み撃ちを行う。飛ぶ悲愴なる飛爪が、迫る中、襲撃に対して、脚を止めさせるための都合四機の援護射撃と


二機の狙撃が突き刺さるかに見えた瞬間再度の、高速移動。


瞬間移動にも似たその動きは僅かに速度を落とし、ギリギリCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)の画像処理でその姿を追跡追尾を行い。


跳躍の着地点へと、転送弾の乱舞が降り注ぐ、時限振動の鋏で、封ぜられるもその動きは止まり。


再度の跳躍準備へと入る。


「「チッ...」」


「動きが速いなぁ。どうする。このまま距離を開けられたまま、次射の冷却時間を過ぎれば狙い撃ちされるだけだぞ。」


慌てて、攻撃の継続を阻止するべく《ルードリッヒ=ビーデンガルド》は、薬室に込められた大型転送弾を再び撃発。


放たれる光と弾道が魅せる曲線は、直撃軌道へと入り、着弾する直前で繰り返される跳躍の数々に、


空間を跳ねる様に飛び跳ねる一尾の蠍は、漸く、その砲身冷却を終え、砲撃態勢に入りながらの連続跳躍を試みる


次第の自機との相対距離が離れていくその光景に歯嚙みしつつ


「各機、順次クイックモードを実行。敵の攻撃を透過後、防御を破るぞ。」


「フォーメーション1-3‐3‐3で行く。抉じ開けるぞッ!!!」イゴール=マッケンジーが、次第に意識が薄れつつあるハンザスの代わりに指揮を執り始める。


遅れて認証されるその攻防に、一抹の希望を祈り進むは、集合する機体らがそれぞれの役割を思い出しての再突撃を敢行する。


不断の決意をもって下されたその行為は、半時計周りの軌道を描き、敵の狙いをはずしつつ、徐々にその方向を、


遠く離れた場所に浮かぶ。Third wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》らを射線上より引き離すべく、損壊した僚機の破損部位を補いながらも進む。


一斉に展開と共に点火されるは、その編み笠の如く自機を覆うアンブレイクシールドが、その様相を穿劫弾を模した螺旋状の刃を備えつつ、突撃体制へとはいり、


無数の弾痕を散らしながらも目標へと肉薄する。


情欲に燃えながらも、群がる機影に対して、射撃線からの接近戦、接近戦からの跳躍を繰り返し、迎撃体制へと入る


アンタレス《火星を殺す者》の内部では、エメラルドグリーンの目が周囲を誰何(すいか)する。


されど目標となる何者かの姿が、何かに遮られるかのように、居場所が判然としない。


それでもむずがる腹部を抑えつつ、操るその指先は、何かを掴み握り絞る撮る様に、怪しく蠢く。


吐き出されるは、無謬とは遠く離れた何者かの翳、迫る。群れの姿は、突起物を模した機体大のその姿に、


徐に火砲の集中を選択。直撃する弾痕が、その熱量を以て、破断させようと、試みるが、投射される光はその刃に触れると、散乱する様に飛散する。


ややあって。対するは火星を殺すモノの最大火力の一つである。


《アージナリーワン・ウェポンⅤ》アンロックワン ステラペネトレーター《星を貫く者》を起動。


深紅の光は、全てを包み絶滅の咆哮となり、星空の宙を刺し貫く、剥がれ往く、無数の幕を押し開くかのように突き刺さる光の毒針は、


その砲身に蓄えられた。全てを吐き出すかのように、照射される。


直撃する光と光が交錯する中、光の波涛を押しのけ迫る影が十(とお)つ流れ行き、


星を貫かんと欲する光の奔流は、 破壊不能の防壁に守られながら、最後の突撃を試みる。遠き夜空の仕事人らとの最後の邂逅を果たす。


奔流の照射を切り抜き進む。


防御壁を剥落させ、蓄えた粒子を満載したライトブレーカーの物理障壁を弾体として、放出する事を選択。


次々と時間差で放たれる。簡易イグニス・パルヴァスの投射攻撃が、アンタレス《火星を殺す者》へと肉薄するも、迎撃照射される火砲に撃ち抜かれ


撃墜の華を咲かせるも、1-3‐3‐3..,先頭を逝くハンザスの意識途絶迄の160秒を潜り抜けるべく、


新たにアインバンダ―の武装を転送された《ユウ=スクリーム》と装備は其のままの《アンガー=ブライデット》、《フォイマン=ハイマン》が、最後の突撃を敢行する。


牽制射撃を浴びせかけ続ける《イゴール=マッケンジー》、《ミスルギ=劉》、《アズカリー=シラユリ》は、


口々に問いの言葉を投げかけ続ける


「隊長、こいつは好硬啊,怎么回事(ハオ イン ア、ゼンマ フイシー)?「固いね、どうなってるの?」」


「ギベオンからの解析が届いた・奴の鋏には捕まるな。疑似量子化も、クイックモードの0と1の狭間に滑り込む効果も、時空振動とお互いが干渉して、摺り抜けられないと出た。」


「えーっ折角使い方覚えたのに?これは王子様の熱いベーゼが必要です(/・ω・)/がぉー」


「「「「「「「「了解」」」」」」」」「了解了(リャオジエラ)」


逆転の砲火として、あがるは、吐き出される転装弾の一撃も、持ちうる兵装同士が干渉し合い、決定打とならない。


痺れを切らした、《ルードリッヒ=ビーデンガルド》は、援護狙撃から、積極的なアクティブスナイプ《攻勢狙撃》へとその様相を変える。


全陣のフォーメーションを1-3‐3‐3から4‐5‐1と変え


ライトブレーカーを備えた秋光機へと狙撃ライフルとの動力ケーブルの接合を果たし、軽やかな手つきで装弾を経ると


最後尾の舞う星の欠片を利用して放つマスドライバー式の《アルトバース=ミカンガム》と、中盤に終結した僚機の多目的中型ライフルによる弾幕の合間を抜き


目標への狙撃敢行する。


その姿に突撃体制に入った《ハンザス=フライハイ》、《ユウ=スクリーム》、《アンガー=ブライデット》、《フォイマン=ハイマン》の四名は、目標直前で、


散開軌道へを入り、四方に散ったそれぞれが、機体の推進機構を操作し、軌道をそらし、あるいは備え付けられた、位相空間固定アンカーを駆使して


最小旋回軌道を駆使して、上下左右よりの攻め手を心がける。


敵の防御は厚いとて、それでも視覚の死角は存在する。背後は護りは無いが一番火砲の集中が激しい、ならばと火砲の一撃を無力化する。アンブレイクシールドでの


突撃が有効と観て、他の三機が、目標の思考リソースと守り手の一部を引き付ける


走る火砲の一撃を機体を右斜め上45度に捻りながら上昇と共に開始し、火砲が自機の下方をすり抜けつつ、さらに乱れ飛ぶ弾幕を


クイックモードでの守りで、やり過ごし、幾度目かの爪牙による守りを突破するべく奮戦するも、守りは厚く破れない。


「ノクト・ルエルたそ、これ力押しで何とかなる、相手じゃなさそう。...」と、一案を考え、


戦術データーリンクのクローズド通信ではなく、オープンチャンネルでの会話を試みる。機体の肌と肌が触れ合う程のこの距離で有れば


その熱い吐息は、その柔肌に届くはずだと、逢瀬の邂逅を試みる。


「もしもしはいはい、こちら遠き夜空の仕事人の紅一点とはいかないけれども、こちらクールなナイスガイ、ユウ=スクリームだよ。」


「なんでこんなことするの?」


(おいッユウ...なんのつもりだ...)と訝しむミカンガムは...


「争いなんてやめて一緒にアイスを食べないかい?」


突然の呼びかけに...


「春幸は、殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す私のモノだ。誰にも渡さない。邪魔するなら...」


「ん?もしかして春幸さんの知り合いなの?!だったらなんで?!」


(もしかして、隊長のパッパの知り合いなの?)


「春幸は、私を見捨てた...だから、抱きしめて殺すの。そして私は娘を産む。」


(ちょッと、なんか会話が成立してないんですけどッ?もうチョイ時間が...。)


「そうだな、吾輩もそう思うぞ。産みたければ産むと言い。名前はもう決めているのか?」


合間の会話に突如《アルトバース=ミカンガム》が戦術データリンクを介してオープンチャンネルで同様に話しかける。


「名前、赤ちゃん、私の赤ちゃん、フワフワなの、名前はまだない。でもきっとかわいいの?」


「食べたいくらいに...。お前も食べてやろうか?」


(急に怖い事言いだしたぞ。そんなつもりないのに。)


「ねぇ、そんなモノよりアイスを食べよう。汝、隣人を愛す(アイス)べくっていうじゃない?」


「そんなものは要らない。春幸だけが、私を癒して、愛してくれるのだから殺さなきゃ。」


(話が全然噛み合わない、でも、時間は稼いだ)


火砲の連撃をクイックモードや疑似量子化を以て潜り抜け、あるいは粒子攪乱幕と様々な種類のナノテク物理シールドを駆使して守りを固めて


その時を待つ。通常のナノテク物理シールドでは、守る意義すらなく貫かれ、機体への損傷を余儀なくされるも


既にその時は訪れる。


着弾する砲弾と化したハンザス=フライハイのCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)のD型は、アンブレイクシールドによるナノテク物理シールドを下降した


穿劫弾(せんこうだん)の一撃として、目標の背面部へと着弾する


「悪いね、哀しいけどこれって男尻なのよね。」と告げるハンザスの言葉に、呼応するかのように


一筋の血涙が流れる。


が...その手ごたえは酷く緩い物だった。


確かにその一撃は、敵の一番防御の薄い場所を貫き、目標の切り札であるその毒針を破壊する事に成功したかに見えた。


破損する尻尾を他所に、壊れた基部は流動性を伴う動きを魅せつつ、宙へと放たれるが...破損した部位をパージして、


除去すると、切り放された接合部位を再び、懊悩する蠕動運動の如く、再び繋がり、その砲門を後方に向けると、冷却時間の不利を推して


安堵するハンザス=フライハイのその機体へと照射する。直撃を受けたモノの破壊不能の守りに守られるも、その姿は掻き消え、


勢いに押されて流れていくと同時に、それまで行使していた《アイギス・フィクタ》による反動により意識が途絶


チッ不味い。


ええい...騙し打ちとは五月蠅い...幾度目かの発露は、憎しみの対象となるクピドレスの本陣へと多大なる被害をもたらしたものの


その機体と感覚から見て、且つての見知った人々らしき残滓を纏う何者がが、ワタシヲジャマヲスル。


全て灼き尽くして見せる。この腹に響く情念と共に...


《アージナリーワン・ウェポンⅤ》...アンロックフォー 広域殲滅式兵装 アウグストス・アルウォイル《尊厳ある者の叫び》


貫かれる星と星を繋ぐ、毒針に対して覇を唱えし、刃が魅せるは、拮抗する衝突点を互いに探り合いながらも


アイ=フライヤーは、無差別に行使するその効果範囲を遥か彼方の惑星間にまで広める。


大質量の粒子遮幕を一斉展開。


光り輝くそのベールは優しくその秘部を覆い隠し、その宙域に存在する全てを滴る毒針の液に浸し、消滅させる。


この火星の宙(ソラ)に逃げ場などどこにもなく、絶望にも似た、叫び声をあげる。


遠き夜空の仕事人は、手に持つ操縦桿と、連動するその獲物を最後の最後まで、握り続け、反転攻勢の一矢を降すべく、最後の突撃へと向かう


崩壊する星と宙域を覆い尽くす粒子の波涛は、此れより見遣る宙域全土を覆い尽くし、焼き焦がし、


その場に存在せし、全てを洗い流し、全てをその死の抱擁で包み込まんと欲する。


死する聖母になり得ぬ悲しみの慟哭は、流す涙をそのままに、遠き夜空の仕事人らの全てをその身に取り込まれるかに見えた


瞬間


クラウンリングの輝きと放出するその効果が、瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》を強制起動が行われ、


半壊状態のCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)が、波間より攫う何者かの翳と共に、やや離れた場所で巻き込まれる母艦...ロシナンテらの姿が


一度に掻き消える。


確かな手応えを感じながらも、アウグストス・アルウォイル《尊厳ある者の叫び》が吐き出す広域殲滅を果たす界域を光が照らす


暗闇の星空に染まる絶望を切り裂く一筋の光が、舞い降りる。


《カインドバイト》...大きな六機の推進器による再加速による慣性機動へと突入すると共に、その基部の切り放し、自重の減量と共に実行。


「間に合ったッ!!!!」


「瞬間武装転送システム《アーモリーディスワン》ッ!!!Third wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》詩を呼ぶ十三忌(サーティーズオーバー参るッ!!!」


「お父さんが言ったお前はお前のままで良いと。だからこの死すべき運命を覆すべく、僕は逝くよ。」


現場へと急行する中に置いて武装転送の光が瞬く。


その姿は、一言で言えば、大型の盾を構え、無数の刃を備えたThird wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》の威容、


散乱する光の檻を打ち破るかのように払った大型の実体剣を携え、その機体各部にそれまでは、


鎧の様に纏っていた《ファルクス・レフレクトール》と、銃身状の《トゥブス・ファルクス》の数々の姿はその姿を隠し


代わりに、様々な刀身の彩(いろ)を見せるその姿に、


大型の実体剣であるクラウ・ソラス=ノクトゥス・フィクタⅠ、


背面腰部に2本の大型ビームサーベルの柄、干将・莫耶=弐式重軽子光剣


左腰に一本中型型実体剣、天叢雲剣=肆式実体剣


そして、続くは中小型の《falcis(ファルキス)》が、備えし


右足に一本小型の刀身を保持したダインスレイブ=ファルクス・フェルムvER4.0


左足に同じく一本小型剣小型の刀身を保持したフラガラッハ=ファルクス・フェルムvER5.0


左腕に備えし大型の盾には四本のファルクス・フェルムの刀身と、その盾自体を鞘として、備えた実体剣、エクスカリバー=ノクトゥス・フィクタⅡ


最後に、背面に中型三本(翼として二本にスタビライザーとなる一本の刀身)が収まり、輝ける粒子をその刃より放出しながらも、


宙を舞うその姿は、艶やかなる色使いと、異なる刀身を備えた様相へと様変わりさせる。


掲げし、大型の実体剣...バスターソードにも見えるその刃が生ずるは光の波涛を際限なく捉え吸収し、


絶命の一手となる、その一撃を真っ向から叩き伏せる。


宙を翔ける勢いのまま放たれし一閃は、絶望の皮膜を容易く切り裂き突き刺し前後する。蠕動する動きに合わせて、宙域に染まる緋けの光をその深緑の輝きで撃ち払い。


背後ではその効力の余波により焼かれる星々の翳、その効果範囲の広さに、驚愕しながらも


手に持つ獲物の効力に確かな手応えを受けながら、羽化する蝶のように、羽ばたきの刻を待ちわびる。


まずは、牽制代わりの一射として、機体左腕側に装填されている大型シールドより、何もない基部から輝ける刀身を抱え、翻して飛翔するは、


フルンティング=ファルクス・フェルムvER1.0の姿、やや小型の刀身と宙を突き刺す様に奔り、その思考誘導と画像、熱量、動体に頼らぬ認識機能により、


敵機に命中するまで追尾し続けるその刃が、盾より離脱し、滑走を開始、


一呼吸で奔るその刃が、待ち構える様に、展開する《アージナリーワン・ウェポンⅤ》...アンロックツー、ルブラ・フォルフェクス《深紅の鋏》と


接触を果たす。


大音声の時空振動を巻き起こし、互いに干渉する力場を解き伏せる様に放たれる刺突の刃はその名の意味が指し示す通り、その威力を保持し、



アンタレス《火星を殺す者》の機体を徐々に後退させ、推される勢いのまま、欠けた火星の大地への墜落コースへと入り、その姿を全天周モニターで


二つの光点が交錯する情景を眺め、自らも刃を構えての追撃へと入る。大型の刀身は、やや取り回しに難があるとみて、投棄。


思考誘導の輝きを魅せながら、自機への随伴機とし、構えるは。一刀の輝き。腰に携えし天叢雲剣=肆式実体剣を引きつ抜くと同時に


その柄に備え付けられた引鉄に手をかけて水冷式《炸薬鞘》(ウァギーナ・エクスプローシーウァ)を起動。


大きく腰部を捻りながら、その刀身の柄に備えられた引鉄を引くと共に、その鞘内部と外部へと炸裂する炸薬がその勢いを増して、空に一文字を掻き描く。


鞘の内部腹生ずる炸裂音が、音の無い世界に鳴り響き、


薄弱な火星の重力下に於いて、その想いの丈は、慕情を胸に、再び再会出来る希望を持ってのいつ果てる事なき、連続発射。


その手が空撃ちを誘発する間も惜しんで、発動される加速を終え、


天を翔ける箒星として、火星の宙を翔けるは、いつかみた宙に浮かびし、無頼の咆哮。


連続射出される作動結果が生ずる炸薬の反動で、進む速度は、優速を誇る何者かの動きすら凌駕する。


回る旋回軌道を描きながらも、目標へと着弾する刃の穂先は、たれ滴る。液体を振りまき。翆玉の理として交じり合う。


二つの飛愴する刃は、その大鋏の防御を乗り越えるべく、奮戦を果たすも、


応劇の火砲が下方より湾曲し、押し迫る。濃密なる砲撃の数々を、水冷式《炸薬鞘》(ウァギーナ・エクスプローシーウァ)の加速力を以てして、


引きはがしに抱えり沈み込む機体の操作をおろそかにせず。廻る機体を操りながら、沈み込みから大きな上昇軌道を描き、終夜が目視する視野から消えようと跳躍するアンタレス《火星を殺す者》の姿を捉えると脚部の一つへとその刃を鞘走る。刃を以て損壊の響きをその指と耳朶に這わせ、心地よい音階と共に


古びたレコーダーから流れるその詩に耳を傾ける。その詩に交じって目標である且つての少女の言葉が一瞬過る。


「詩?!この詩はハルユキノウタ、ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?ナンデ?」


操縦桿を掴み、讃美歌のように聞こえる疑問の声に対して、回答する。


「おばあちゃんの詩だからだよッ!!!!」


奮う玉響の音と響かせ、渡る刃の差し往きは、繊細なタッチの軌跡を描き、炸裂を放つ。


過熱する刀身を冷却しつつ纏わり付く液化炸薬として機能する。分泌液は、切り裂くと同時に対象の装甲を気化冷却と共に加水分解の刃となり


軌刃(きじん)する。


「私はママよッ!!!!お腹に戻ってッ!!!」


「嗚呼、もう!!会話が通じない?!」


切り裂かれる脚部が宙を舞う中、切り上げる刃と、大鋏が交錯する。


鍔迫り合いの様相を呈し、掴まれた刃が軋む中で、刀身輝く、脚部から放たれる斬線が、大鋏の基部を撫でつけ、一筋の傷を付ける。


滑走する様に飛翔の一手を降す。廻る機体から吐き出されるは、プラズマ推進式形成刃の光と転送される替え刃の如き重力を纏った実体刃より報酬される推進機構を


操り反発する衝撃を置いて更に、水冷式《炸薬鞘》(ウァギーナ・エクスプローシーウァ)の加速力を以て相対距離を離し、


大きな弧を描き再度の急襲体制へと入る、フルンティング=ファルクス・フェルムvER1.0の姿に


迎撃の火砲が立ちら並ぶ射線の車列を築き、忘我の極致へと達し、幾度目かの無音の絶頂を叫ぶ。


はぁはぁと息切れをするコックピット内部の景色に、酸欠にも似た欠乏症を発症しながらも


思考制御リングにガイドされた指先は、一斉に複数目標をマークする。


その潮吹く意識を放ち、散乱する空域の萌芽が、花を咲き始める。


迫る無数の弾痕を火星の崩壊しけた、死滅する大地が咆哮する砂塵に塗れ、その視覚情報は


視認するに及ばず。唯、肌感覚で触れ合う熱の鼓動を胸にして、互いに射撃戦を展開する、


降りかかる砂塵を洗い流すかの様な視界を浄化する。雨雲の如き水冷に染まる光景に、


接近する目標に対して、頭部の射撃兵装を展開、ケースレス弾頭による頭部バルカンでの


迎撃の華が、迫る火砲の動きを避けながらその射程距離までの接近を試みる。


上下から迫る光のラインを、踏み込む脚部の刃様から吐き出される勢いを以ての


直戦機動からの左右への湾曲を試みる高速機動を捉えきれず、火砲のライン同士が接触


自滅の報を告げる光を追い越し、さらに接近戦の間合い迄飛翔する。


対抗するは《アージナリーワン・ウェポンⅣ》...アンロックスリー 恒星惑星変動兵器 《アストルムアルマ》


震える大気と散乱する岩石に阻まれながら、衝突する障害物をクリックモードの0と1の狭間に滑り込む効果により、


障害物の接触を向う化、迫る無数の弾痕を、急転直下、頭部を直上から足下へ潜り込むかのように空を一歩踏み込み、


機体を左右に乱舞する。バレルロールを繰り返しての急襲、右から迫れば浸りへとその銃火を避け、左から迎撃の一閃が迫れば


機体を傾け、捻転する動きのまま、追撃を試み、前後を挟み込むかのように鋏に対応するべく迫る。


一撃が轟音と共に接触。千切れ飛ぶかに思えた大鋏は、健在。


地面へと接触迄、数十秒から数秒にかけてのその瞬間に勢いを殺し、抜き出した鞘を下にして、柄に備わった引鉄を引き絞り


炸裂する水冷式《炸薬鞘》(ウァギーナ・エクスプローシーウァ)の勢いを急降下から、急上昇へと返る。


巻き上がる脚部の刀身より奔るプラズマ推進と重力推進の勢いに、涙するは、絶頂する喜悦に染まるその神経と繋がり、懐かしき詩に染まる頬の赤さに


操演する操剣を一つだけではなく、更にもう一本、二本とデュランダル=ファルクス・フェルムvER3.0を解放、更に大型バスターソードである。


クラウ・ソラス=ノクトゥス・フィクタⅠと併せて、ウィドマンシュテッテン構造の破壊不能であるノテクブレードの冴えと、索の如く繋げられた燃える流体金属の刃による


倶利伽羅剣=ファルクス・フェルムvER2.0を解放する。


その一手と重なる様に下されるは、アンタレス《火星を殺す者》の行使する...アンロックスリー 恒星惑星変動兵器 《アストルムアルマ》は


崩壊する土気色の惑星を巨大な質量破壊兵器とし、流れゆく停滞気味の火星のマントルが、再活性化、流動金属を吐き出すかのように、次第にその軌道を変えながらも


破断する岩石の雨が、実弾兵装として変わり、山体の稜線の一部の如き巨岩の巨壁が、頭上から押し迫ってくる、


三本の《falcis(ファルキス)》を操りながら、三条の光が、大きく救い上げるかのように楕円軌道を描き、接触を試み。牽制打を叩き込むも、


自機に迫る岩石は、回避軌道を試みる事無く直撃する。


壮大な破砕音と岩石が砕け散り、大質量兵器となったその姿に、浮かび上がる一匹蝶の様に羽化する。


「その攻撃は効かないよッ!!!」そう叫ぶ終夜=ナイトワーカーの元へと


摺り抜ける機動により、事なげも無く避けた瞬間、視界を防ぐ岩石がブラインドとなり、降り注ぐ砲門から走る。


多重射撃の雨が、浅くThird wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》の装甲を穿ち、


一瞬の反応が遅れる。


跳躍から一転着弾する砲弾となって迫るアンタレス《火星を殺す者》は、両手から放つ時空振動の大ばさみが、


Third wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》の両腕と山体崩壊を起こした巨岩を両断する。


その結果に満足する絶頂の身震いを振るわせ振動が子宮の空洞を震わせ、その音に耳を傾けた一瞬の隙を縫って


咄嗟に距離を空けるように、左脚部のフラガラッハ=ファルクス・フェルムvER5.0のプラズマ刀身が翻り、弧を描き到達する刃が


大鋏と接触し、更に重なる様に、デュランダルとクラウ・ソラスが接触、振動が止まるその一瞬に、着弾する刃が砕け散る鋏の穂先と共に


機体後方へと流れていく。


「痛いッ!!!!!」


破断する衝撃により、コックピット内ではエアバックの華が開きその衝撃を殺す者のパイロットスーツのヘルメット内に鮮血が舞う。


凡その武装を操る為の両腕を喪い、機体が離れた瞬間に頭部バルカンの斉射を試み、目標であるアンタレス《火星を殺す者》のメインカメラめがけて


その弾痕を捻じ込む様に熱き流れを誘い入れる。


反転し、メインカメラの損傷を知らせる音と映像が、迫り、勝利を手にしたその動きに対して悪態を尽きつつ、


その官能に身を捩る。


それでも、未だ映像に残るその姿は、満身創痍。明らかに機体を操るエメラルドグリーンの瞳に染まるその視界の保持者が、


勝利を確信するも、


「ハァハァハァハァ」と息を絶え絶え、目視する姿に...。


...



...



...



「壊したはずのウデガ?モドッテル?なんで?」アイ=フライヤーは、且つての少女の姿を匂わせる声をあげながら、


抜き放たれしは、水滴る叢雲を辿る刀身ではなく、大きく光り輝く劫媒を放つ、大楯と両刃の騎士剣の如き刀身が抜き放たれる。


その瞬間、刀身を内蔵していた鞘たる大楯、ディスグブレン《無鞘》より放出されるナノマシーンが解放。


と、共に破損していた前腕の破損が忽ち補修される。


痛くないもんッ!!!!僕は、まだ戦える。その手段はまだ此処にあるよ。と叫び振るう。


更に、刀身を投射する。


繰り出される色取り取りの彩と形の刀身は、その刃の動きを以て徐々に目標の手足に傷を負わせていく、


復帰したThird wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》を他所に、防戦へと回るアンタレスを操るエメラルドグリーンの妙齢の女性は...



「スンスン、この匂い、柑橘系の香...ライム...クピドレスでもマレディクトでもない。」


(心が落ち着く...)


「どうして、お前達はあたしが、クピドレスとマレディクト共を、人でなし共を処分する事を邪魔するのか?あいつらは唯の人喰いだ。救ってやる価値すらない。」


「あたしから、家族も、この腹の一部も全て奪い取っていった。だから奴らから全てを奪ってやる。」


「それは...確かに不殺を唄う僕らの行動は、唯の我儘かもしれない。」


「だけど...それをやったのはクピドレス全員じゃない。中には、奪う事を良しとしない人達も...女子供もいる」


「だからと言って、お前はそいつらが誰かを殺したり奪ったとして、如何(いか)にする?」


「将来そいつらが人から奪わないと、言えるのか?」


「一度喪われたモノは戻らない。私の赤ちゃんを返せッ」


「えっごめん赤ちゃんって誰の事?(この感覚的に...命の香りがしない。)別に君が産んでないよね?お母さんなら殺しちゃダメでしょ?!」


「違う違う、あなたあたしの赤ちゃんで赤ちゃんじゃないの?」


「?????」


一向に話にならないその脳裏に、一筋の煌きと思考のハレーションが瞬く。戦術リンクによって繋がれる思考と思考が重なり


僚機達の無事を知らせる報と共に、父子の声が響き渡る。


終夜=ナイトワーカーが操る機体は、空に手を掲げ、繋ぐ刀身は二振りと無銘の名も無き鞘の冴え、放出されるその権能に対して放つは、


ダインスレイブ=ファルクス・フェルムvER4.0、右脚部に備えられた転送式の替え刃と重力子の混合の刀身を持つその基部が、


艶色に輝く其れが、盾と剣を構えるその刀身の上へと、接続され、放出される勢いのまま再加速へと入り


何かに導かれるように天へと昇る。


その剣の名はダインスレイブ...一度抜けば血を見る以外で鞘に収まる事の無い呪われた魔剣の名を冠し、不殺の信念を持った


遠き夜空の仕事人の隊長機に相応しくなきその呪いの刃は、その目標を見失い宙へと到達する、


宙には、大破され辛うじて動く、セカンドアーヴルの直上迄到達し、その呪われた刃を...。


反転させる。


自機の修復をこなす。聖剣を模した刃を通じて、その名も無き鞘と共に生ずる効果を、その呪いの刃に乗せて、自対象から他対象へとその効果を換える。


忽ち破損したその姿から、染み出す。何かが波紋の動きを魅せたまま、且つての姿へとその形を変え、走る姿は漆黒の大鴉


喩え王冠を喪おうともその姿は健在。


染み出すナノテクノロジーの刃はその役目を終えて、落下を開始、元の鞘へと戻るような動きを魅せつつ


戦場へと復帰したその姿を目撃して、緑色の瞳が目を見開く。


「春幸、あっあ”ッあ”春幸、殺さないと...なんで私を見捨てたの????」


崩壊する星の上で、一重に繋ぐ、極小の刃をその手に乗せてシュバルトレーゲン《黒い雨》の輝き燃える漆黒の刃が、


捧げる様斜め下へと迸る。その等しく燃ゆる刀身が怪しく翳る。


「すまない。如何に君の事を探した事を述べたとしても、あれから20年以上、其の歩んだ道に、何があったのかは俺には与り知れない。」


「アイ...久しぶりに会えて良かったよ。唯、君の蛮行は俺達親子が止める。」



「ヤダ、ヤダ、ヤダ、ヤダ、ヤダ、ヤダやだよ。春幸、家族になるのはワタシダモン。逝ってくれたじゃない。一緒に、家族にナロウッテ、なんで私を愛してくれなかったの?」


涙を溜めて抗議するその姿に且つての光景を思い出す。


それは脳裏に過る且つての胎喰都市での一幕


ママぁ~とてとてとあるくエメラルドグリーンの瞳の少女は嬉しそうに、母親にしがみつこうとして。


その声に耳を震わせ涙を溜める


「お前なんか産んだ覚えはない。ママと呼ぶな、こんなガキなんか産まれなければ良かった。私の意志には関係ない事だ。近づくなッ!!!この忌々しい痴れ者がッ!」


「ドウシテ?ソンナカナシイコト。イウノ???」


「この姿を見て分らないのか?貴様らに分るのか望まぬ分身など作り出す為に、両手両足を捥ぎ取られ、目の前で材料にされて喰われる気持ちがッ!!!」


「全てお前の所為だ。お前が産まれた所為で、こんな目に合う。」


「何度作り直され、奴らの餌にされる屈辱を味わったのか?この痛み、この屈辱其の全てがお前という存在が産まれた所為だッ!!!!」


うるうると涙目になった少女に...


「おいッそんな風に...」と抗議の声を上げようとした春幸の眼が、その大きく開かれ、内臓を根こそぎ奪われたその腹部を目にして、


眼がカッとなる。


ふるふると、首を左右に振る。大人たちの姿を見て、


続いて開閉された箱が開くと、「くぁwせdrftgyふじこlp、殺せぇぇぇぇぇ」...舌を喉に詰まらせた。


その相貌には、深く抉られた眼窩と欠損した何かを咄嗟に視界に入らない様、アイジェスは、二人の目を塞ぎ、


嘆き悲しむ彼女に対して、春幸はきつく指で抱きしめ、言葉を繋ぐ。


「家族に...僕らが代わりには馴れるか分からないけど、きっと僕と親父のように、きっと家族になれるよ。」


「だから...悲しまないで。」


嗚咽する言葉は続き、滂沱の雨は、地面を濡らし続ける。


...



同じくその内臓と思しき組織を根こそぎ奪われたその姿が、黒い影に隠れて、此処からは伺い知れないモノの、更なる地獄の釜の匂いを滲ませる。


体中に繋がる管という管を引き抜き暴れる。かつての敵達は、血反吐とあらん限りの罵倒を少女に吐きながら舌を喉に詰まらせ息絶えた...


(ワタシは、ダレニモ、アイサレ ナカッタ。)


(ダカラ、サガシツヅケル、ヒトリニナッテモ。)


...


その明暗を分けたのは...。なにか?二人の意志は、全てが何もかも遅く、そして確かに間に合った命もあった。


その結末は未だ為らず。


去り行く君の去り際に、さり気なく添えられたのは、一輪の宙の上では貴重な花の献花だけだった。


...


華を添えて、その場を離れた、春幸は、彼女の事を思って涙する。


だが、結果論として、僕は、彼女に何もしれやれなかった。だから、止める。喩えその命を刈り取る事になろうとも


...


想起する記憶を残して、与り知り得ない事実に、困惑の声音をの無いに響かせる。


...


...


一方、ギベオンの手により、後方へと退避した面々へと変わり


「えっ今誰か私の名前読んだ?」何かにアズカリ=シラユリは反応し


「いや誰も呼んでない筈だが?隊長たちはどうしてるのだろうか?ギベオン状況は分かるか?」イゴール=マッケンジーは、答える。


独特の電子音声が告げる言葉は、ギベオンよりの声


「今、親子の共闘が始まってる。既に用意していた切り札は、届けた。誰にも譲る気はないが、不殺を誓うモノへの贈り物としては上等だろうさ。」


「呪いも刃も生きるか死ぬかは使う者の手に委ねられている」


「私の演算結果によると、早晩決着が付くだろう。」


「そう言うものか?」一言、イゴールは、ごちり、そして夢想へと入る。仲間の勝利を祈って...


・・・


「堕ちろッ!!!」


戦場での視点へと切り替わり、上下を挟み込むように迫る。


且つて火星だった地殻の一部は、逃げ場を見失わせる様に押し迫ってくる。


未だクリックモードの効果は保持されているが...衝突する衝撃を避ける事は出来るが、視界を塞がれた瞬間に放たれる全方位攻撃からの奇襲は。


回避する一手が無い。大きく迂回路を取って急降下し、見えぬ視界を勘を頼りに、潜り抜けた先には、


再度の砲撃の嵐、そこで、それまでの不在を取り戻すかのように、発振する


シュバルトレーゲン《黒い雨》の輝き燃える極小の刃が、それを推し留める様に岩盤を貫き、迫る岩壁の群れを打ち砕いていく、


一つでは足りないのであればもう一つ、都合二つの刃は、火星の破片を推し留め、膨大な熱量を以てその岩盤に大穴を開ける。


開いた穴へと飛び込む様に付随運動を繰り返す刃を収めて、進むセカンドアーヴルとThird wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》の二つの機影は、


貫く己自身をその手で、祝福の聖名を与えるべく、荘厳なる光景をその瞳に写すべく、前進を進む。


放つ弾痕の火砲は、乱れ往くその姿を扇形となって降り注ぎ、如何なる場所より抜け出したとしても、例外なく打ち堕とす一打となったはずであったが


その手に掲げたヘイロン《黑龍》を起動。生ずる結晶体シールドを展開しつつの突撃で、セカンドアーヴルが前陣を担当し、後陣のThird wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》は、


血を求め駆る場所を喪ったはずのダインスレイブ=ファルクス・フェルムvER4.0を右足へと回収し、罹る推進力を増強しながらも


追従を果たす。


既に血を求める衝動は反転し、来た道の変える場所を見定める。相対するは、乱れ撃つ砲撃の数々、


乱れ撃つ火砲の群れが、結晶体シールドの偏向防御に晒され来た道を換えるかのように方向を逆転させアンタレス《火星を殺す者》に数多の雨を降り注がせる。


溜まらず。


《アージナリーワン・ウェポンⅤ》...アンロックツー、ルブラ・フォルフェクス《深紅の鋏》による防御を展開


時空振動による護りが、難なく防ぎきるその姿に対して、弐羽の吉凶を示す。大鳳(おおとり)の羽ばたきは、その手に掲げた獲物を走らせ、


砂塵の障害物が舞う赤銅の宙を翔ける。


一対の親子鳥は、一直線に目標へと向かう中、互いの身体をすり抜けていく、無数の岩石の飛来物をクイックモードによる0と1の摺り抜けを以て


この絶対的な戦場を形作るその行使する力へと抗しする。


跳躍による高速移動による離脱か?はたまた、砲撃による迎撃の二択を迫られ、


被弾を恐れず突き進むその姿に、エメラルドグリーンの且つての少女は恐れを抱きつつも、もう一つの手を自らの手でその暗く淀んだ穴へと導き淹れる。


貫かれる官能を夢見て、アイ=フライヤーは、何度となく繰り返してきたその行動に、その手を這わせ、前後する。


されど、無数の剣戟の音階は続く四方より押し迫り、


フルンティングvER1.0を筆頭に、デュランダルvER3.0、クラウ・ソラスと倶利伽羅剣vER2.0の四基が、前後左右から襲い掛かり、こちらの砲撃のタイミングを僅かにずらし、


その狙いが、定まらないまま結晶体シールドの守りに遮られ、放つ衝動が自機に返っていき防戦の一手に徐々に押し込まれていく。


次々と脱落していく装甲と、武装を放つ為の象眼が、刃に嫐られる。



上昇を告げる操縦桿より操作する。動きに合わせて稼働する機体が擦れ違いざまに一陣の刃を放つ、


高出力のビームサーベルの一撃であるシュバルトレーゲン《黒い雨》の刀身が前方より迫り防御するも、その背後からは、


四基の刃が同時に挟み込むように反転攻勢を仕掛ける。火砲の雨は未だ衰えず。僅かに欠けた射列の連撃は、跳躍を繰り返し、宙を翔けつつ


攻撃の一手を回避、宙を蹴る反動に合わせて、縦横無尽に走り、今も尚照射され続けるシュバルトレーゲン《黒い雨》を防ぐ、


その手の大鋏に、連続稼働可能時間の穴が生ずる。


発振し続けるその行為に、漸く終わりを見せる。その防御に突き刺さり、大鋏の一部を捥ぎ取り、堪らず回避の連続を打ち出し、


目まぐるしく変わる視界の中で、最後の跳躍を終え、目標二機の姿をその射線上へと捕えると。


補足する照準器の光点と、トリガーを連動させ、代わりに応ずるべきと断ずるは、星を貫く火星を殺す者の咆哮。


深紅の光を放つ、《アージナリーワン・ウェポンⅤ》アンロックワン ステラペネトレーター《星を貫く者》を起動。


破過する激痛に、身を捩りながらも、目標となる二機へと照準をあわせる


深紅の光は、全てを包み絶滅の咆哮となり、天一面に広がる。極太の光の柱が、宙を撃つ。


嗚呼...良い...


法悦の息吹を吐き出して


チッ...発振する刃を閉じると両腕より生ずるは、大きく前腕部アーマーが上下に開き、龍の咢へと変貌すると、その口腔より、

暗闇にも似た白にも黒にも染まらない二つの彩が交じり合いつつも共存する


次第に大きく広く、守る様に世界へと問いかける。


引き出された結晶体シールドの障壁が、幾重にも重なり、受け止める様に展開される。


それまでの動きとは打って変り、防御の厚みを更に加えるは、親鳥を守る様に前へと踏み出す。雛鳥の姿、


《アージナリーワン・ウェポンⅣ》...アンロックワン  罪喰い(つまみぐい)


突き出すは、パルフェ(Parfait)フランス語で「完璧な、完全な」をその甘美なる惰食の罪、暴食を喰らい、放たれしは、


保存が難しいアイスクリーム(冷菓)の一種を保存容器に備え代償として、喰わせると、それに呼応するかのように、


その特徴的な女神像を寄せる頭部のオブジェより吐き出される、無数の断層に分かれて重ねられしそれは、優美なる比肩するモノすら哭く、


哭き荒む、少女の叫び声が狭る光と共に降り注ぐ。


展開される障壁は且つての状況を再現するかの様に、鉄壁の防御となって、私がッ!!!と、貞淑なる守りを以て最後の一線を守り切る。


星の命すら突き崩す彷徨は、何重にも重ねられた防御の前に辛くも防がれ、


全ての情欲の炎が通り過ぎた後には、半壊するThird wheel(サード・ウィール)《お邪魔虫》の姿が浮かぶも、抜き捌く、その刃と無銘の鞘を掲げ、


其処に残されし、鮮血の傷痕を瞬く間に癒し、戻す。


「終夜ッ?!平気か?」


「大丈夫、僕の機体は直撃だけ受けなければ、此の鞘と剣が守ってくれる。」


未だ健在な、その姿に地団太を踏み、フットペダルを踏み込み、跳躍を繰り返し、狙いを乱しながら


アンタレス《火星を殺す者》は、自機の破損状況を確認する。


火砲の象眼を五割喪い、防御の要である大鋏は、左右とも大きく欠け守りに穴が出来る。それでも最大火力であるステラペネトレーター《星を貫く者》は現存する。


ならば、もういい。この星海の来た道を辿り、邪魔な小虫が自らの身体を何度も群がってきたあの不快極まりない、感覚に血の涙を流し、


奪われた臓器を今人たび取り戻す情感を夢に見る。


そして間髪入れずに最後の手段を斬る。


その事前動作から、これから起こる悲劇に対して、一早く感じ取った春幸は、警告の言葉を告げる


「撃つなッ!!!!砲身の冷却がまだだ。このままだと自壊して死ぬぞッ!!!」


「死ぬのは良い。一番我慢ならないのは...のうのうと、生きる。誰かの息吹が...不快となる元凶が生きて、息を吸って吐いている事が我慢ならないのよ。」


「ねぇ春幸、一緒に死のう。私たちの赤ちゃんは、二人の良いところも悪いところも引き継いで、きっと可愛い。」


「あたしも抱きしめるから、一緒に...」


「辞めろッ!!!アイッ!!!!!そんな事をしても?!」


終末の天は、緋に染めよ。既に、切り札は其処へ至れり、残さりし者は、唯一欠けらの勇気のみ、相対する彼女らに用意されていた救いは


未だ答えを見ず。それでも何かを探し続けている。


その悲劇に涙する少女とも言えぬ。二人の女性は相対する。合わせ鏡の様に、異なる結末と経験を誇る


二人の意識が反転する視界の中で、流れ込んでくる思考を受けとり


何かを反芻させる。


「詩を呼ぶ十三忌(サーティーズオーバー)」

1.干将・莫耶=弐式重軽子光剣

2.エクスカリバー=ノクトゥス・フィクタⅡ

3.フルンティング=ファルクス・フェルムvER1.0

4.倶利伽羅剣=ファルクス・フェルムvER2.0

5.ダインスレイブ=ファルクス・フェルムvER4.0

6.十拳剣=参式実体剣

7.ティルフィング=ノクトゥス・フィクタⅣ

8.フラガラッハ=ファルクス・フェルムvER5.0

9.天叢雲剣=肆式実体剣

10.デュランダル=ファルクス・フェルムvER3.0

11.スルトの剣(レーヴァテイン=ノクトゥス・フィクタⅢ)

12.勝利の剣=ファルクス・フェルムvER6.0

13.ヌアザの剣(クラウ・ソラス=ノクトゥス・フィクタⅠ)


都合XIIIの死を司る、聖剣、魔剣、妖剣、邪剣を人揃えに収納した自機に、未だ見ぬ答えを探し続けている。


僕は、愛しい彼女を思い浮かべて、ベイブの操縦桿をひと撫で擦る。心地よい感触を楽しみ、


流れる音楽と詩に耳を傾ける。


喪う恐れを知らない奴を勇気があると誤認するのは、甚だ間違いだ、何故なら容易く他人から奪う事にも躊躇しない。


自分が喪う事を知らず。他人の哀しみが理解できるのか?


いいや出来ないと僕は思うね。其れは勇気ではないし蛮勇ですらない唯の短慮でしかない。それを理解できないのであれば闘う資格は無い。


真の勇気は喪う事に向き合った先にあるよ。


闘いそれでも喪ったものにしか、その意味も気持ちも理解できない。フィクションの生死とは現実は違う。


血の匂いも、命が失われた絶望も虚脱も心の穴も無い奴に、真の勇気が分るモノか?


僕はそう問いたい


だからこの世にヒーローは居ない。その意味を理解する者も、寄り添うものもありはしないのだから。


もし誰かその様な人が居るのであれば、ヒーローの仮面を無理やり剥がす様な人はいなかったはずだ。


おじいちゃん...


貰った力を正しく使う事を此処に誓約する。だから力を貸して、


《アージナリーワン・ウェポンⅣ》...アンロックワン      罪喰い(つまみぐい)


突き出すは、ラング・ド・シャ、ガレット・デ・ロワ(王様のケーキ)をその甘美なる惰食の罪、暴食を喰らい、放たれしは、


且つて喪われし、王者の戴冠、体感する。その法悦に涙し、その試みに一歩踏み出す。


その女神像の頭部オブジェクトより吐き出される光の奔流を目にして、笑う。彼女は、何を想って、涙するのか?


眇(すが)め逝く、何者かの翳は、遷ろう。光の波に穿たれ、且つての星は崩壊の一途を辿る。


崩れ行く星より無数の残骸が宙へと放出され、その中には無数の犠牲者の翳、


喩え人を喰らう獣で在ったとしても、救くるべきなのか?その答えは誰にも分らない。


一方的に救けると言えば、犠牲者を貶め、救わなければ慈悲亡き者と非難される。


全てを救うと誓えば傲慢であり、全てを見捨てれば、非難され、救う事により生ずる犠牲の数には目を瞑るべきなのか?


有史以来その正しき答えを降せた者は無く、そんな簡単な答えはこれだと言ったものの意見は、


酷く手垢の付いた。ありふれた答えでしかなく、容易く、反証が生ずるものであった。


されど、汝、歩みを止める事なかれ、されど、其の足を速める事なかれ、進む足元を見なければ、


思考の落とし穴にはまる事となる。


且つて夢見し、獣たちの楽園は、その当事者たる為政者の翳を隠し、この世から消え去った。


赤銅色の大地はその体内に秘めた厚い地殻を貫き、液状のマントルを活性化すると共に蒸発し、


散乱する破片が宙(そら)へと解き放たれる。


その残骸は何時しか我らが同胞が住まう地球へも到達する事だろう


その事実によって引き起こされる破壊に、贖う術など、今の人類には無く、大絶滅へのカウントダウンが始まる。


対するは、向かう先を見失った迷い子の姿が一つ、


告げるは十三番目の死を告げる無法者の詩。


死した何者かの姿をこの身に宿し、開放されるべきその似姿は、


幾重にも眩き剣先を揃えた荒々しくも細な線形


告げる幾星霜の宙を切り裂くは、人の歴史に刻まれし、無法を告げる鐘の音を鳴らせ


全てを救う事は叶わずとも、掲げる御手には救いを載せて、走れ。


そこに何が待ち受けようとも、決してその問(と)いを忘れるべからず。


喩え、死を呼ぶ御手だとしても、使い方を間違えなければ人を活かす手段足り得る事を


放たれし閃光の一打は星を貫き、遠くの星系にまでその影響が及ぶ。


憎しみに命と怒りを捧げた、且つての少女は、自らの運命を捻じ曲げ、拒絶した全ての者へとその矛先が向かう。


全てが、憎い。そして愛おしく、全てが恋しい。


だが、出力される言葉は憎しみに染められ、星の命すら掻き消していく。其れ迄抑えられていた劣情を伴った、


思いの丈を封ずりながら、それでも解放されし五つ目の封印は、解き放たれる。


暴虐の一途を辿り、辿る運命の終着点は、破壊か再生か?


死すべき者は、悲しみに暮れる何者かか、逃げ惑う人喰い達なのか、


思想と意志が絡みつきながらも、悶え狂い官能に酔いしれるは、無冠の何者かを追い求める何者かの姿。


今一度舞台の幕を上げろ。


凶死の光は全てを包み、死をまき散らすも涙の如く降りぐは、極詞、祝詞が描くは、喪った心無き少女の叫びを諫めるべく


今一度崩れた羽根を広げて大鴉は、崩壊する星の空を飛び立つ。


《アージナリーワン・ウェポンⅤ》...アンロックファイブ アンタレス・ファイア《火星を殺す者の火》


艇尾部の尻尾を砲身として、重ねる様に掛けた大鋏を重ね。三つ指が重なる瞬間、


砲身と機体の冷却時間も足らず、暴走状態へと化しオーバーロードとなるプランクエンジンは、崩壊すれば、星の命のみならず。


この世界全てを焼き尽くす業火となりかねない危険性を秘めて居るも。その様な事情は、彼女も誰も認識しない。


今は唯、想い人との心中を夢見て、此れから産まれる子供の顔を浮かべて、引鉄に手を掛ける。


身体を保持する。頑強であるはずの躯体が徐々に自壊を伴う粒子の放出を試みる。


砕けるは身体か星か、はたまたこの宇宙自身なのか?瞑々する拍動を寄せて、紡がれるは、創世開闢の光を目撃する


初めての人類として名を刻むと同時に成り果てる。


その人の生きる運命を唾棄にする悪手を以て、繋いだ手を掴まんと欲する。


沸騰する大地と赤銅色の巨岩の群れは、飛空するその場に居る全ての元へと飛来し、僅かばかりの猶予の時間を削り取っていく。


耳を傍立て、危機を知らせる音階に耳と僅かに紅葉する頬に、一筋の涙が過る。


嗚呼、ずっとこうして痛かった。幼子の望みは、唯々、一緒に生きる唯それだけの事だった、だがそれが一番難しい。


苛烈に炸裂する光の勾配は、徐々にその鮮度を新たにして、焼け付く炎を吐き出す権能としてこの世にもたらすのは地獄でも煉獄でもない


ただ、過る破壊の嵐を巻き起こす。明日、日の目を浴びる事すら困難な、その状況に、対する


コックピットで最後の抵抗を試みる。終夜=ナイトワーカーの前に、差し迫ってくる。


唐突に用意されたラング・ド・シャ、ガレット・デ・ロワ(王様のケーキ)をコックピット内の投入口に、渾身の力と情念を込めて突き入れると


蠕動するそのままに、その効果を生じ、事前の準備を終えて、展開されるは、


その特徴的な女神像を寄せる頭部のオブジェより生ずる疑似クラウンリング展開。次第に収束されていく粒子の奔流が、臨界と収束を繰り返し




且つての王冠を頂いた大鴉の姿を模倣し、望む輝きを顕現させ、相対する絶望に接するには、まだ二行程が必要、


必要なのは...


命を育む聖剣と呪われた邪剣の饗宴。収束する光の鱗粉と光彩は、虹の光を放ちながらも、徐々にその形を明らかにしていく。


エクスカリバー=ノクトゥス・フィクタⅡを盾とする無銘の鞘たるディスグブレン《無鞘》を構え、その刀身を


背面部より離脱する翼手となりし回転する三方を比肩する翼と尾翼となりし、刀身を重ね。廻る時計の羽根の如くその身を回転させ、頂点として訓示するかのように


天に向かって迸る。


その名をティルフィング=ノクトゥス・フィクタⅣ


名乗りし、邪剣は、一度抜き放ち、敵に向ければ、悪しき望みを3度は叶えるが持ち主ならず血脈全てにも破滅をもたらす呪いを帯びた


その獲物を何故、ギベオンが僕に与えたのかの理由は分からない。


だが、この時、この場所に置いて、奮うに値する危機が其処に在る。


ならば今一度、願いを祈ろう。君の命を...。貰うよ?


(だが不味い、発動までにタイムラグが...。間に合わない...)


時間稼ぎを行う為に飛び出した、セカンドアーヴルも、発射体制に入ると同時に生じる、エネルギフィールドに阻害され、


行動阻止の為に放たれた。シュバルトレーゲン《黒い雨》が直撃するも、その刀身が道半ばで曲がり、天を埋め尽くす巨岩の群れに着弾、


崩壊させるも、目標は未だ健在、通常攻撃での阻害では要はなさないと、切り札の一手を切るべく、スロットを開く瞬間。


唐突に其れは巻き起こる。


何もない空間から突如として放出される発泡状の素材。目視する状況から鑑みてスプーマ...。


コロニーや大気圏突入用に機体に搭載されている大型のスプーマが、突如として絶死の星空の元に突如現れては、その翳は深紅の機体の周囲に纏わりつかせると、


一瞬動きを止めその視界や行動を阻害させる。


重なる様に行使される其の一手は、何者かが行使する意図が見え隠れする


・・・


・・・


・・・


そしてエネルギーフィールドに守られたとしても、迫るスプーマが阻害する景色迄は防げない。


えっ?これは?スケルム・アジール《緊急救護システム》????一体誰が?何もないところから放出されるのは、コッレクティオハンズを応用してスプーマ放出機構


はっとする間も無く、繰り出されるは、その射線を障害物を回避しながら目標へと肉薄する。無数の超電磁砲(レールガン)による。崩壊した衛星軌道上から迫る


一打が、打つ手なしの状況下に置いて降り注ぐが、周囲は既に固められている。


(そうだな。ちょっとキツ目の一撃が逝くぞ?...が俺に言ったのだろう?喩え人喰いで在っても全て助けろと?)


(オーダー通り通したぞ。ただ、其の跡の結果までは保証しない。茨の道を進むと知れ、向かう先は地獄たぞ?)


一瞬で脳内に刻まれるその声に、呼応するかのように、飛翔する弾体は、今まさに星を貫き崩壊させる深紅の咆哮を轟かせんとする瞬間


射手としての絶対的な、刹那の隙。それは凡の場合共通する。穴、砲撃を行う瞬間には、その防壁を干渉を避ける為に開かなければならない。


その弱点を見抜いた何者かの一撃が、引鉄を引くその瞬間に炸裂する。


其れは特大の爆熱の萌芽。まるで、イグニス・パルヴァスではなく...を放ったかの様な、炸裂の光と熱が、崩壊しかける火星の天に浮かぶ。


大きく火星とその進路上に存在する数々の惑星を貫き果てるべく、歓喜の性を唄うかのように迸る。稜線が、僅かに狙いを反れて、火星と星の海を泳ぐ別の星々を刺し貫き、


その星のコアを崩壊の御代に浸され大爆発を巻き起こすかに見えた。


そして、其の準備は既に終わっていた。


巻き起こすは、愚象する歓喜の天を舞い踊る。天女の舞が天如する。


たどたどしい手つきで慰すむ様に触れる指先が前戯となり、喪われた秘部を覆い隠す様に、天幕の光が、星を包み込む。


全てが逆回転する。


「君よ、今僕が、逝くよ。」掲げる刀身を一気に振り下ろし、凶刃の刃を希望の刃として、自由を描く筆を降ろす。


嗚呼、天(ソラ)よ、七転する宙(ソラ)よ、緋往く紅空(ソラ)よ。天(てん)を覆う傘する。天啓は天恵となり、


天が紅(あまがべに)に染まる世界において、暗く淀んだ情念によって巻き起こされた人災が巻き起こす天災を越え、現実を換えて逝く。


装填するは、思い悩む、迷いではなく、されど、進めば戻る事の出来ない失認ではなく、唯、前だけを進むだけではない蛮行でも無い。


想え、君が求めるなら、何度でもその答えを以て答えよう。


具象するは、且つての荒ぶる景色ではなく、無償の愛と知れ、


もしも君に大切な人が居るのならば、顧みる事のない愛を与えよ。其れだけが、応える事の出来ない愛への問いと答えになる。


人の想いは、暴力や脅し、強制する何者かの手によっては変える事が出来ない、ただ一筋の希望があるのであれば、其れは唯、見守る愛のみで育つ。


最後の障壁を打ち破る様に、崩壊する赤銅色の星と共に、幾重にも刺し貫かれた星々が、砕けた岩壁と、消滅しかけた星の形を今一度思い出せ、


暴走状態と化した火星を殺す者の喚叫(かんきょう)する最後の言葉が、


喉に詰まる間もなく、喪われた全てが戻っていく...


自らの破滅を代償にして繰り出される。聖剣と邪剣の共演は、その効果を十全に吐き出し続け、


其処に何も救いの手が無ければ、新しく作れば良い。素材は此処にある。無限を疑似生成するその王冠の頂は、今も無尽蔵の粒子とナノマシーンの


輝きを放ち続けている。それは、無数の崩壊する星すら再度の顕現を果たす。


痛みが、傷が、喪われる筈の何かが、その形を明確にしながら、肉の萌芽が競り上がる熱情に浮かされ、


何度目かの絶頂を果たし、痛みが休まり、そして砕けた星は、其の影響を周囲の天体にまで及ぼし始める。


遥か離れた地球でもその影響を観測出来て居たが...


火星の破片が地球上に強襲するまでのカウントダウンが...対策に追われる。カルぺ・ディエムら勢力が、右往左往するなか、


砕けた星の破片が、それまでの旅愁(りょしゅう)を思い出すまでもなく、元来た経路を戻り、


熱を発しながら、無窮の宙に冷やされ金属片へと押し固められたマントルが、低温の熱を再び抱き、


星と母に成り切れなかった少女の内部へと返っていく。


(嗚呼、なにこれ、今まで感じた事ない...)


多幸感と官能が、愛を忘れた少女の元へと其の身に押し迫って、意識を喪うその瞬間...


…


…


…


一瞬に、目の前の少女の姿が、TVの砂嵐の様にブレて、鋭いその深いエメラルドから、酷く擦れた様なその視線を向ける成年の女性の姿を幻視し、


酷く罵倒されたかの様な、耳障りの悪い声が耳朶に響き渡る。


一瞬の白昼夢に...「ハルユキ、イタイナイナイ??」と見上げる少女の視線と交錯する。


「ん?何でもないよ」


あれは白昼夢でも、唯の夢想の幻でも無かった。


此れより数十年後に起こる予兆を知らせる先ぶれであった


知ってた。私…。春幸の事…好きだったんだ。


嗚呼、知ってたよ。さらばだ、眠れ。


最後の涙が頬を伝う時、問答無用の其の一手が下される。


一瞬でその間合いを詰め、セカンドアーヴルがその手に下すは、


子より受け渡されし十三の死の内、倶利伽羅剣=ファルクス・フェルムvER2.0...その刀身が切り裂くは、


欲望(貪)、怒り(瞋)、無知(痴)の三毒を断ち切り煩悩を払う解脱の剣


誰何する何も見えないその視線は、嫌々する様に咄嗟の防衛反応が魅せる、大鋏の防御を、


右腕の身に集中させたクリックモードの0と1に滑り込む刃が、既に時空振動の守りを喪った目標の狙い能わずその装甲と基部をすり抜け


コックピットを刺し貫く、その炎纏う流体金属による刃が、アイ=フライヤー...且つてエメラルドグリーンの瞳を湛えた少女であった何か


切り伏せ刺し貫き...更なる絶頂を越えた官能を胸躍らせ、眠りにつかせる。


振り抜いた刃が、宙へと抜けていくなか、最後の帳の幕が下りる。


赤銅色の世界が一斉に広がる天に一陣の風が舞う。振り荒む砂嵐を、洗い流すかのように雲の無い世界で、


傅くように突き刺さった刀身から滴り落ちる水滴がいつしか、雨のない世界で二酸化炭素の雲から生ずる


水面写す。豪雨は、いつしか氷雪


水の氷の粒と二酸化炭素の氷(ドライアイス)を交えつつ砂嵐の雨と混じり、赤銅色の世界が魅せる結果を覆い隠す。


崩れ行く、何者かの翳と、その傍らに立つ、セカンドアーヴルの姿、だけがその光景に彩を添える。


遥か彼方より、舞い降りるは、僚機と思わしき、光を携えし船の翳、その到来を悠々と待ちわび。


抱きしめるは。か細いかつての少女の面影を残した何者か?


ただそこには、流れ出る血潮と涙を枯らした。水滴をノーマルスーツの吸引機能が稼働する音のみが


音の無い世界で静かに、響いていた。



…


…


…


戦闘を終えて、火星の調査を人居り終え、《ロシナンテ》内部での一幕。


被害者の数が少ない。遺体は何体か確認したが、検死結果によると、みな外傷はなく、病死であるとの結果がでる。


それじゃぁ火星に居たクピドレスたちは何処へ向かったのか?春幸をその状況を見守りつつも、思案する。


以前遭遇した艦隊の姿は多くあったが、だが、あれだけで火星にいたクピドレス全てとも思えない。ならば...考えられるのは、


他の宇宙圏か、他の惑星へと退避したのだろう。木星にも、資源採集の船団の往来はあったはず。後ほど調査隊を派遣する必要があるが...酷く危険な旅路となる公算が高い。


いったい誰を派遣するべきなのか?


「今回の戦いは、厳しかったな。人的被害はなかったけれども、ハンザスは、意識を失い。終夜の奴も...あれきり意識が戻らない。」


「春幸さん。とりあえず、火星の調査は、継続して行うとして、この分だと、クピドレスのこれ以上の痕跡は、見つかりそうにないですね。」


「ちょぉぉぉあたしの王子様が、意識が戻らない?だったら熱いベーゼを!!!!!」


「ちょっぉ意識失ってる時にそんな事されたら僕が管理不行き届きで、怒られちゃうでしょ。僕も、アゼリエールに殺されたくないッ!!!あの娘、めちゃくちゃ怖いんだから。」


うんしょっうんしょっとと、ユウ=スクリームと、ミカンガムは、阿吽の呼吸で、眠る終夜に、襲い掛かる魔の手をシャットアウトする。


「なぁ、秋光君、あれは何をしてるのかな?俺には良く見えないが。」


「春幸さんは、見なかった事にしてください。目は見えないと思いますけど?」


「やれやれ...」


「それにしても隊長...あっこれ終夜さんじゃなくて、敬らの部隊隊長ですね。DMS(※Dead Man's select)‐774今まで何やってたんですか?」


「いや、襲撃を抑えつつ被害を受けていたコロニーの保護をしてた。流石に単騎では、被害を最小限に抑える程度の事しかできなかったがな。」


「経緯は、後でギベオンに聴いてくれ。」


今頃、地上の奴らは、大慌てだろう。崩壊したコロニー数基分の住人をギベオンから享受されたスケルム・アジール《緊急救護システム》と転送弾を駆使して、救護するも


ギベオンに入りきれない分は、地上へ送ったからな。


流石に超巨大衛星のギベオンだとしても、コロニー数基分の人員はその腹に収める事は難しい。


今頃、二番隊と五番隊、六番隊が受け持っていた地域では、大量の難民が押し寄せ、その対応に苦慮してるだろう。ギベオンも収容人数ギリギリで、地上へのアシストも


滞る事だろう。その後始末がまだ残ってる。


やれやれだな...。オーダー通りとはいえ。まぁ後始末ぐらいさせて貰おう。


俺の予測では、赫剤の供給が一気に流入した難民の数だけ不足して、人喰いが横行する事になるだろう...


地上では、仲間たちが、抑えようとするだろうが、何せ我が隊は、少数精鋭...。


隊の中でも元人喰いやマレディクトが居る、最悪隊内でも不和が生じかねない。


さて、この状況を如何いたしたものか?解決策は...恐らく...でしかない。


継続して発生する問題に対して対応できる事は、其れしかないだろう。彼女はその地獄の中で何を見るつもりなのだろうか?


全ての事は、事前に状況を予測し、予後を見越した。推測する目と耳と感覚を以て、対応し続けるしかない。


唯の対処療法だけでは、誰も救えないぞ?


さして、問題でも無いように語る。彼は、且つての言葉に思いを馳せて、


物語は、カタルシスを求めて、迷い惑い飛空(ひくう)し、犠牲の翳る姿を


夢見ながら。物語の幕を一先ず降ろす。


〆


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