第三十三話「遠き夜空の仕事人」
※イメージソング
シネマ / Ayase - 梓川 (cover) https://youtu.be/XDAQD5nrGSE?si=f1blh5ZXn575jCvS @YouTubeより
SawanoHiroyuki[nZk] [-30k]re:tuneS『Keep on keeping on <MODv>』
https://youtu.be/SNdf5oSVYDc?si=k33hNhSiUQAJdfJv @YouTubeより
BUMP OF CHICKEN「窓の中から」 https://youtu.be/Ze-n8ze2g4g?si=yAmwx8kdWAxEdo1d @YouTubeより
其れは、且つての戦役の傷痕深き爪痕残る。水の惑星。
22年の時を超えて、紡がれるは、世界を二分する戦役を経て、その結末が描くは、
一時的な平穏を得るも、
されど、今は、崩れた地軸の傾きによって、昼夜を変えて、異常気候と、食料と燃料の枯渇による
資源の奪い合いが頻発し、しかして平穏は永らくその姿を隠し、
且つての仲間と、人と人が争い奪い合う無情の世界へと変わっていく。
人を喰らう獣と、猛威を振るったその翳を見失い、逃げ惑う難民と化した何者かの姿
世界を席巻し、見守るはずの護り手は、その力を形骸化させ、
当事者たる自らを蛮行を番外の唯の傍観者へと変えていく。
それでも、我らは揺蕩う。人の意志と武器を持ちて、その矜持と信念を以て、
今日も争う誰かに問い続ける。
此処は何処、平穏を喪った水の惑星、我らは何者、遠き夜空の仕事人。
人を人たら占めるのは、獣の如き、意志ではなく、唯々、戦場の異常事態を前に
せめて人らしく、理性を以てして、生ずる。鉄の意志にこそあれ。
異常な状況下に置いて正しく人としてあれないのであれば、其れは唯の獣に過ぎない。
舞台は、南半球に存在する。世界で最も小さな大陸の一都市、クニャラ・ウル《寒気の都市》で巻き起こる。
本来であれば四つの気候帯に囲まれ比較的温帯、熱帯を保持するはずの気候は、
見る影を失い。
人々は僅かばかりに残る資源を支え、豪雪に包まれたこの国で、今も暮らしている。
雪深き大地を前にして、二人の漢達が、深々積もる雪の中、争う三者三様の状況を俯瞰し、告げるは...
「隊長、またやるんですか?こんな状況じゃ、うち等が出来る事なんて何もないですよ。」
「そう言うなよ。ハンザス。」
可変駆動し、外気にふれて露出するコックピットから、風受けつつ、身を乗り出し、刺す様な痛みに震え凍える吐息を吐きながらも、
精悍そうな表情と、まるでその場の景色に見合わない。色白な素肌と、その特徴的な
白と黒の斑に、緋が浮かぶ、特徴的な、髪を備えて、すらりと整った目鼻立ちに、まるでコミックから飛び出してきたように、
何かの冗談なのか?、遮光式のレンズを備えた丸型眼鏡越しに眺める景色を一瞥し、
終夜=ナイトワーカーは、目の前に広がる困難に対し、宣戦布告を講じる。
「あーマイクのテステス。こちらは、遠き夜空の仕事人所属、終夜=ナイトワーカー。」
「大変遺憾ではありますが、みなさまには、此れから、交渉をして貰います。」
「先生は大変多忙で、する事が多いです。みんなで無事にお家に帰りたいであろう?状況とあまり乖離してるかと思うが?飲み込んで欲しい。全ては平和の為だ。」
「主にわたくしの財布と精神的な平穏に対して寄与するが。」
「今すぐ、武装を解除して、交渉のテーブルに着くべし、これは最後通牒である。」
なんだ?あいつは?
おい、聞いた事あるぞ?...とは?
砲弾の飛び交う場末の戦場に置いて、その漢は宣言を行う。
「繰り返す。我らは、この戦争を止めに来た。無頼の徒だ。美味しいお菓子も紅茶もあります。みんな仲良く、ティーパーティーをしよう。」
「残された私用は、其の後で片付けよう。」
「はぁ、隊長はいつも呑気だな。」
「アイスは、まだだぞ?ユウ=スクリーム」
「ほぉーい。でもあんまり心配ごと増やすと。ミカンガムの旦那の頭が隊長みたく白くなっちゃうよ。そうなったら誰が誰だか分かんなくなっちゃうよ。」
「旦那は、苦労性だからな。」
おい、お前らは?
俺達か?俺達は...
・・・
・・・
・・・
其れは、地球の地軸の位置が変わり、蒼空と大地が示す。その表情を変えてしまった。
その惑星に置いて、安住の地を追い出されたマレディクト...元ウィンディゴ部隊の人々は流浪の旅へと流れに流れ、
人の住む事が困難と化した地域へと流れて行った。
一方勢力を取り戻し、且つての隆生を誇るカルぺ・ディエムの勢力もその期間は実に短く、
ブラックライト《黒曜鉄鋼》の鉱床を失い。慢性的な食糧難とエネルギーの枯渇問題を解決するべく、クラインベルト《微小境界領域》に存在する重力の拮抗点たるその場所へ
軌道エレベーターの建設を開始。
地軸異常によって生じた、重力場の拮抗点を利用して、7基作られたモノのその対象地域外に置いては、徐々に不毛な大地へと変わって行った。
それでも人々は膝を突き合わせて暖を取り、日々を暮らしていたが、22年前の戦役から半年を経過した転換期を起点として、
解放されし、クピドレスは、徐々に何処からともなく保持していた。戦力を解放し反転攻勢を仕掛け始める。
陣頭指揮を唄う何者かの名は...
そして時代は世界を三分する事となる。今も散発的に続く戦争の凡その目的は...
※2028年8月2日修正
餌や燃料となる...の確保と、寒冷化した大地でも生きるのに必要な、太陽光の偏光機能を有する。七つの軌道エレベーター周辺の陣取り合戦が
諸国の急務となる。
その頃には、自ら既得権益を得る為に慈聖体だと、名乗り、利益を貪ろうとするが、ほゞすべての対象者は、騙りの精神異常者として、まとめて収監され
もはや人々の記憶から、慈聖体という言葉は都市伝説の一部として、一部の人間が今も探し続けらるも、その存在の確証は、忘れ去られて久しい。
舞台となるクニャラ・ウル《寒気の都市》では、既に街を封鎖する。クピドレスの勢力が、難民と化し、街に立てこもるマレディクトの勢力への
武装放棄と投降を促すべく、事態は進んでいく。
事態の収拾を命じられた駐留する《レグヌム》所属のカルぺ・ディエムの治安維持部隊を指揮する。
アルグベルト=アーヒマン大佐は、まつ毛が凍り、瞬きするたびに軋む。瞼と鼻に氷雪の欠片を張り付かせ、目の前の光景に凍れる息を飲む。カルぺ・ディエム本隊より、この地の治安維持の命令を受領したモノの
揃えられた兵員と兵装に物資の補充は、十全として供給されているわけでもなく、数世代前の型落ちの機体である
《ディエム・オビーレ》と《アル・ディエム》が都合、四機と数両の戦車と僅かな車両のみ、相手が機動兵器を持ち出せば、蜘蛛の子を散らす様に踏みつぶされるだけの
歩兵も申し訳程度の数百名
だが、今も尚、治安維持部隊の駐留基地前に隣接された平野を埋める程の避難民の数、数、数。寒さを避ける為の露営...雪洞が並び、
所々で、暖を取るべくして、開けられた換気孔から光が漏れる
その数は。治安維持部隊の数の十倍にも匹敵する勢い。
人々は、安全地帯と宣言されたこの場所へ、避難を促され、藁にも縋る思いで、集まってきた。
副官である。
フルーチン=シルマーレは、締まりのない腹を抑えて苦悶する上官に、問いかける
「大佐、どうします?基地は既に、避難民で一杯です...このままでは凍死する者も出るかもしれませんが、食料も我らが明日尻を拭く紙すら困る有様。」
トントンと、煙草の箱の底面より、一本引き出すと、器用に擦ったマッチで火をつけ、煙を燻らせるも...
「おぃフルーチン隊務中だぞ?」
「良いじゃないですか?どうせ、此処で私たちが出来ることは、あまり残されていないでしょ。」
「クピドレス共は、難民の身柄を欲してる。きっと大丈夫。死人が出るだけだ。自業自得だろ?我々には関係ない。」
「我々には関係ない...か?」
吹きすさぶ冷気に晒され、掲げた手で風を防ぎ、使いまわしたマッチを互いに渡しながら、三人目の軍籍の者が、煙草に火をつけ燻らせる。
流れる紫煙に慰撫されながら、言葉と思考を続ける
其れは何時だって非情な戦場に置いて繰り返されてきた愚、自分達に関係ないから殺し、自分達に関係ないから見捨てる。自分に関係ないから...どうなってもいい。
「はっはっは、滑稽だな、実に人間らしい言葉だ。」
「奴らは何と言っている?」
「知っているでしょ。難民の保護を口実に、我々の介入を拒んでいる。」
その時、雪に音が吸収された銃声と共にどこからパンッパンッとこもった乾いた音が遠く聞こえ、一人の隊員の身体が跳ねる。
並び立つアルグベルト=アーヒマンとフルーチン=シルマーレの顔に鮮血が飛び散る。
煙草に火をつけその煙を肺へと吸い込む二呼吸にも満たない間で起きる凶行に、耳を抑えて蹲る隊員を
地面に伏せさせ自らは中腰の姿勢のまま、次弾の射撃を警戒と反撃の手に引鉄を掛けようとする隊員へ制止の言葉を投げかけるも、
音が反響せず位置の特定が困難...
「脅しだッ奴ら、此方を弄ってやがる。」
銃声に驚き、数千の難民が僅か数百の兵隊が駐留する基地へと雪崩れ込もうとするも、クピドレスとの摩擦を恐れて、銃声の一発も放たず。
押し寄せる人民を、稼働する《ディエム・オビーレ》による踏みしめる行軍をもってして、基地への侵入を阻む。
・・・
・・・
・・・
遠く聞こえる、銃声が轟くなか、少年を天を仰ぐ、そのもはや聞きなれたその音の中で、今日も自分の命が続いている事がいかに綱渡りの状態であるかを示す。
少年の名前は、ヴァルク・チラヴェク...トリナーツァティイ・ズヴェーリ...足を負傷し、動けぬ義理の父母と手足を失った兄弟の為に、
今日もその日の糧を得るべく、活気を失った街を歩く、街の至る所には砲弾の爪痕と、放置された死体の数々、
今も、街の至る所で銃声と砲弾が降り注ぐ音が聞こえる。
既に量販店や生鮮食品店に残された物資は当の昔に尽き、飲み水すら事欠く事になる。降り積もる雪を溶かして飲むには、燃焼させる燃料が必要...
しかも雪片の中に含まれる有毒な成分を含んだ汚染物質を含んだそれを、大地の浄化を待たずに飲むには、危険がある。
街の中心地にある井戸水は、長らく人々の生活を支えたモノの何時の頃からか、利用者が悉く斃れる異常事態に見舞われる。
「奴ら、街の井戸に毒を入れやがった」
そう悪態を吐き、飲み水と食料を探しに行った長男は、安心しろと言い残して、僅か数瞬後に響いた銃声を残して二度と戻らなかった。
今、動ける家族は...僕しかいない。
色白のやや精悍な顔立ちをした少年は見ると、別の少年の集団が死体漁りのそしりを受けかねないその行為を行う。斃れた兵士の懐を探る中、その手を、かぼそい手が止める。はっとなり、接近を許した己の愚に、不安を滲ませながら振り返った先には、
笑うヴァルク・チラヴェクは、「それはダメだ。倫理的な問題じゃない。こういう場合は...大抵死体を囮に罠が仕掛けられてる。それで下の義弟は...腕と足を喪った」
そう忠告すると、手早い動きで死体の腹を探ると、指の当った起爆用の導線に手を入れて、罠の解除を試みる。
数秒から数十秒の作業で、単純な罠の除去を行う。
「食べ物を見つけても、それ自体に罠があって、不用意に食めば、顎を吹き飛ばされる事もあるんだ。見つけても触らない方が良いよ。」
「そうか...気を付けるよ。」と答える少年たちは、死体となった兵士を引きずり何処へ持っていこうとする。その姿ん違和感を覚え問いかける。
「その遺体、埋めるのかい?」
「いや、違うこれは魔法使いに渡す供物にするんだ。死体を持っていけば食べ物に変えて貰える」
ん?不思議なその話に、多少の疑問を浮かべるもこの街に噂されるその都市伝説に耳を傾け、反芻する様に頷くと、ありがとうと、礼を述べつつ、その場を離れて、物資の捜索に戻るが、
其の日の釣果は、何も得られなかった。思い至って、
先の邂逅で聞き知った噂の町外れの工場跡へとその脚を向ける。
何でも、死体や生き物を渡せば、水や食料を供給で居る魔法を釜を使う賢者が居て、
その人物は、大切なモノと引き換えに与えてくれるらしい。友達は飼っていた猫を差し出したらしい、そして何故かその場所には、クピドレスの部隊も近づかない
...
少年は、寂れた工場跡に辿り着くと、入れ替わる様に、出てきた、自分と同じ境遇であろう少年たちが嬉しそうに、何かを抱えて飛び出してくる姿を見る。
寂れた廃工場の中に鎮座する人型兵器の残骸の一部から顔を出してきた。やや壮年の男性が、にこやかに笑い。
周囲に展開されているタラップから身を乗り出すと、少年へと問いかける。
「おや、今日はこれで最後かと思いましたが、まだお客様がいらっしゃったとは?何かご入用ですかな?」
「おじさんが?魔法使いなの?た、食べ物が欲しいんだ!分けて貰えないかな?」
「いかにも私は魔法使いではあるが、何かを得るには代償が必要だ。君には何か差し出せるものはあるかい?」
少年は身体を見回し、腕に収まる腕時計を指さす。今は亡き兄より渡された時計を指さすも、魔法使いは、ノンノンと指を振りながら
答える。「無機物ではだめだよ。生ある生き物でないとね。出来れば死骸ではなく生きの良い生き物が良い。例えば君とかね?」
えっそれはどういう意味かな?身をひさげという事なのか?少年はそういった趣味を持った男に襲われかけた事がある。
その時は義兄が、駆けつけ助けてくれた。だけど、今はその義兄は居ない...
意を決して、「うん...」と、頷き「どうすればいい?」と問いかける。
魔法使いは厳かに言う。「キャットウォークを辿って、此方に来てもらえるかね。服を脱いで、この炉に飛び込めばいい。何ちょっとしたエクササイズだ。運動だよ。エネルギー保存の法則のね?」
「なぁに、家族には君の代わりに届ける事を約束しよう。」
下卑たる笑いを称え、魔法使いは嗤う。
恥ずかし気もなく、衣服を脱ぎ棄て、震える身体を押して半壊したであろう何かの中央部に備わった。温かな暖気を放つ炉の前に立ち。少年は魔法使いを見る。
「約束だよ?」
「嗚呼、約束だよ。」(君は絶頂して死ぬがね?)
パッンパッンパッンパッン
えっ?
一体何が起きたのかと、自らの身体を確かめるが、突如として、魔法使いの男が傅き、炉の中へと沈んでいく。
「そんなモノを使ったとしても、君は幸せには成れないよ。第一、君が死んで家族が守れるのかい?」
戦場に不釣り合いな、背広に身を包んだ。伊達メガネにも見える。遮光眼鏡越しに、視線を向ける漢の手には硝煙を吐き出す。銃口が...
「ハンザスッ!!!」
「あいよ、隊長。ギリギリ間に合いましたね。」
「さぁ、服を着なさい。裸で居るのは、裸になる事を厭わぬ、愚か者だけに許された行動だ。望まぬ君がする事じゃない。」
「隊長、我が隊のモットーは何でしたっけ?」
「嗚呼、罪を憎んで人は殺さず肉まん食べます。だったかな...」
「いや、躊躇が一切なくて、登場と共に行き成り殺してるんですけど?まぁ、気持ちはわかりますけどね。」
「相手が人でなければ問題はない。まぁ、まだ死んでないからセーフだろ。ほらっ?」
そう言って終夜=ナイトワーカーは、魔法使いの手から外れた炉の稼働をオフにして、其の縁に捕まる転落死を免れた男に対して、その手を踏みながら、最後通牒を贈る。
「一つ聞きたいのですが?君は、クピドレスって事で良いのかな?それともウィンディゴか?まぁ第三者的にはどっちも同じ存在に見えるのだが?」
「悪いが、知っている事を吐いて貰うよ。まぁ僕にはそんな義理はないんだけどね。」
「止めろッ助けてくれ!?なんだお前らは?私の...」
「嗚呼、聞きたい話だけして貰えるか?知ってるか人って案外簡単に死ぬんだぞ?死にたければ止めないが、他人を巻き込むな。君たちは何を企んでる?あと、今更、助けを呼ぶには少々虫が良すぎるのでは?」
...
...
...
夕闇が迫る。その光景に一筋の緋劫が、夕焼けの空を渡り轟き、その躯体が大きく傅き、斃れ往くその姿をスローモーションで流れで追い、地面へと激突する間に人々の姿が
蜘蛛の子を散らすかのように散っていくも雪に足を取られて遅々として進まず。
その時誰かが言った。
「クピドレスの人狩り部隊だッ!!!!!みんな喰われちまうッ!!!!」崩れる雪洞とそこから這い出した人が叫ぶ。
重厚な躯体のフォルムを見せ、手足に、放熱板の如き装甲板を覗かせ、急速回転する、ファンの稼働音と共に、頭部の口腔部が可変され射出されるノズル部が露出。
救い上げる様に、逃げ惑う群衆をその口腔へと収め、怪しい光を放ち始める。
一転して、狂乱の息吹を吐き出し迫る。僅か一メートル数十センチの高さから見上げる戦地に置いて、
空より舞い降り、迫る18メートルを超える巨大な機械仕掛けの神々の姿に対して、抵抗できるものの姿は見られず。
雪煙がけぶる中、沈む足下の地響きを上げて降り立った、その脚の先ほどになるほど、細く確かな足取りを魅せるその機体から届く、不穏な声が更に人々を恐慌に走らせる。
「安心する様に、避難先は決まっているから、チョコは欲しいか?ほらやるぞ、その代わり喰われるが良い。全て無駄なく使ってやろう。」
「大尉、それを言ったら、身もふたもないですよ。せめて、人道的な疎開を促す体でなくちゃ。奴らも安心して材料になれないでしょ?」
パニックになる現場を指揮するアルグベルト=アーヒマンは、「撃つなッ迎撃すれば...国益を損なう。撃つなッ!!!」「相手は...第九世代の最新機だぞ?しかもその数は、此方の三倍以上ッ勝てる訳がないッ!!!!」
「ファルクトフォーゲン《境界を生む者》にアルトバーレン《原初の獣》...糞ッあいつは、最悪だ。人狩り用のクラン《血族》まで居やがるッ!!!」
「ですが、大佐ッ?!」
先頭を行くクラン《血族》に、後に続くファルクトフォーゲン《境界を生む者》にアルトバーレン《原初の獣》の姿に慄き、
反撃の一手として、地上の装甲車の上から銃撃放たれる。重火器と、小型の火器による。抵抗むなしく、
無抵抗なまま、人が宙を舞い、次々と攫われていくも、照準を合わせた機体の数々が引き金に手を掛ける事すらできぬまま、
闇に浮かぶ雷光の如き、眩き輝きに晒され、《アル・ディエム》の前腕が溶断され、落下する基部が地響きを立てて地上を行く車両の後部を押しつぶし、
思い思いに抵抗を試みるカルぺ・ディエムの面々に、その抵抗がいかに無力な事であるか?まざまざと見せつけていく中、
必死に叫ぶ大佐を無視して副官のフルーチンは、何故かふるチンの通信兵を呼び出し本国へ、空爆の要請を繰り返すが、海上で待機しているはずの友軍に動きはなく、
また一機、また一両の車両が、墜ち潰され、噛み砕く様に蹂躙され、されるがままの無力な様に、次々と絶望の表情のまま、人々が飲み込まれていく
その光景に耐えかねて、戦端を開く崩壊する砲火となって、繰り広げられる。
それは、居合わせた人々は、その存在の由来知らずとも、その恐怖は、其の身に刻まれていた、
左右非対称の二対の腕と、大きく可変機構を備えた両脚、左右の異なる形の腕か発振される獣の腕の如き、刃と刀装に、
申し訳程度に付けられた。非武装地帯での活動を共にする、十三番目の蛇使い座を示すその文様に、対して、
その姿を目撃して安堵するモノは居なかった。
クラン《血族》と呼ばれたその機体は、頭部の片側には、縦に並んだ無機質な象眼が並ぶ、伸縮性のある肌の質感とゴム皮膜にも似た、不断の不抜を描くその偉丈夫たる瘦身に、
その波涛の如き侵略は、利き手側に大型の特徴的な突起物を備えたシールドと、旧体然とした、頭部から延びる、王冠の如き指揮用の無数のアンテナが、黙示録の騎士の如く直立する。
騎馬にも思えるその脚部が大地に刻む蹄鉄の足音が響き渡りやや左右非対称の長く伸びる前腕より、放たれる銃火の炎は、無抵抗のカルぺ・ディエム陣営を蹂躙を欲しいままとする。
血を貪る獣と銘打たれた。その機体がその手に持つは、多銃身式の回転する、切っ先のない実体の刃の群れ、その無為な気、光景が描くは
逃げ惑う人々を喰らいながら、連動する前腕が、稼働し続ける。
次に続くはファルクトフォーゲン《境界を生む者》の姿、腕に構えるは一対の、牙踊る大楯より覗く、二対の衝角が生じさせる力場の前に、
着弾を観測するごとに発信し同時に発熱と粒子の霧散を繰り返す放熱板の姿が映る
《ディエム・オビーレ》と《アル・ディエム》が標準装備している収束機能付きの、主兵装による攻撃では、展開される障壁を前に、貫く事も出来ず、その歩みと止める事すら叶わない。
「だめだ...ファルクトフォーゲン《境界を生む者》の防御は、旧世代機の武装じゃ...。」
「大佐、本部に、空爆要請がダメなら、イグニス・パルヴァスかせめて、穿劫弾の使用許可をッ!!!!!」
「ダメだ、イグニス・パルヴァスと穿劫弾の使用は、ウルプス・ゲミナ《双醒都市》条約で使用が禁止されてるッ何より、備えがないッ!!!」
且つて見た戦場に置いて、相貌にに写るは、
数々の胎動する生体部品が魅せる、波乱の愁眉を寄せるデスマスクが張り付き。能面の如き外部装甲に覆われたその機影に対して、漸く思い思いに反撃の引鉄を引き絞る。
機体の利き手右腕側に備えられた牙の如き大型ビームライフルから照射される光の劫媒は、その外壁部に触れる事無く、次々と空中で霧散し、その一手が無為である事を知らせる。
「無駄だ。ファルクトフォーゲン《境界を生む者》の光波防御帯だ。実弾兵装に切り替えろッ!!!!」
申し訳程度に装備されている頭部バルカンユニットから吐き出される4発に1発装填される。小口径の弾痕が、夕闇の空に、光の火線を描きながら、
射撃戦を試みながらも、その狙いが外れた弾痕は、その頑強なる装甲と積層式に転化される、多重ビームシールドに阻まれ、
激高する将官の叫びに呼応して、左腕に備えられた開閉式の弓状の基部を展開。レールに装弾されたボールベアリングを射出する。その機構の一打を以て、
打開策とするべく擦過するワイヤーと球状の弾体がその威力を顕わにするかに思えたモノの、飛来する弾体は、
障壁の前で焼き消え、流れ弾と空薬莢の雨が多数が、難民へと降り注ぐこととなる。
まるで地上を逃げ惑う人々の安全を考慮しないその行為に、在るものは激高し、在るものは絶望の表情を残したまま、何処かへ攫われていく。
嗚呼、その先端が、未だ多数の難民が滞在する。カルぺ・ディエムの駐留基地へと迫る。
もはや、この戦線を維持する事なく、持ち場を離れて逃げ惑う事しかできない。
夜空を翔ける青藍の如き、青より蒼きその光は、確かに逃げ惑う人々の頭上を通り過ぎ、襲い掛かる無情の徒へと降り注がれる。
雪深き大地を前にして、二人の漢達が、争う三者三様の状況を俯瞰し、告げるは...
「隊長、またやるんですか?こんな状況じゃ、うち等が出来る事なんて何もないですよ。」
「そう言うなよ。ハンザス。」
可変駆動し、外気にふれて露出するコックピットから、風受けつつ、身を乗り出し、刺す様な痛みに震え凍える吐息を吐きながらも、
精悍そうな表情と、まるでその場の景色に見合わない。色白な素肌と、その特徴的な
白と黒の斑に、緋が浮かぶ、特徴的な、髪を備えて、すらりと整った目鼻立ちに、まるでコミックから飛び出してきたように、
何かの冗談なのか?背広に身を包み、遮光式のレンズを備えた丸型眼鏡越しに眺める景色を一瞥し、
終夜=ナイトワーカーは、目の前に広がる困難に対し、宣戦布告を講じる。
「あーマイクのテステス。こちらは、ギベオン所属、終夜=ナイトワーカー。」
「大変遺憾ではありますが、みなさまには、此れから、交渉をして貰います。」
「先生は大変多忙で、する事が多いです。みんなで無事にお家に帰りたいであろう?状況とあまり乖離してるかと思うが?飲み込んで欲しい。全ては平和の為だ。」
「主にわたくしの財布と精神的な平穏に対して寄与するが。」
「今すぐ、武装を解除して、交渉のテーブルに着くべし、これは最後通牒である。」
なんだ?どこから声が聞こえてきている?こいつは?
おい、聞いた事あるぞ?...とは?
砲弾の飛び交う場末の戦場に置いて、その漢は宣言を行う。
「繰り返す。我らは、この戦争を止めに来た。無頼の徒だ。美味しいお菓子も紅茶もあります。みんな仲良く、ティーパーティーをしよう。」
「残された私用は、其の後で片付けよう。」
「はぁ、隊長はいつも呑気だな。」
「アイスは、まだだぞ?ユウ=スクリーム」
「ほぉーい。でもあんまり心配ごと増やすと。ミカンガムの旦那の頭が隊長みたく白くなっちゃうよ。そうなったら誰が誰だか分かんなくなっちゃうよ。」
「旦那は、苦労性だからな。」
おい、お前らは?
「俺達か?俺達は...遠き夜空の仕事人...己の武侠を以て無聊を慰め、武力を行使する。世界の安寧を望む。ただの一般人だ。君たちが奪った。飲み込んだものを全て取り返す。」
コックピット内のコンソール上に浮かぶ、バベルと書かれた光の文字が...広域多言語翻訳機の起動を知らせ、異なる複数の言語で語りかけるその青年は、自らが指揮する舞台に
火線が通り過ぎると同時に展開されていたコックピット部を内部へと収納させ、決定的な指示を出し、
その内部には怪しく輝る。微妙に黒みがかっかった何かと交じり合うように共存する年代物の古びたレコーダーの奏でる音に耳を澄ませる。
...
「ムーブ、ムーブ、ムーブ、敵の防御は厚いぞ?やり方は解っているな?飲み込まれてから救出までの猶予時間は五分。」
「オールインだ。全て総取りさせて貰う。」
「ダンスを踊らせてやれ、逃げる避難民の上には墜とすなよ。」
目標であるクピドレスの部隊が展開する東部の戦域に対して、次々と放たれる晴嵐の檻が奏でし、銃火の一撃は、初撃を、背後からの奇襲に反応して振り向いた
ファルクトフォーゲン《境界を生む者》の阻む光波防御帯に阻まれ降る雪と共に霧散するかに見えた。
だが、その行為はそれだけで終わらなかった。
隊の雑務を一手に引き受け、貧乏くじを引かされ続けるその男、アルトバース=ミカンガムは、遠き夜空の仕事人の標準機体である
Carpe Noctem (カルペ・ノクテム)...夜を掴めと謳われし、紺鼠色に染まった。
星屑型に切り取られた風防を備え頭部に狙撃用の高精細カメラと片側一門備わったバルカン砲のガンカメラが一体化したヘッドセットを備えた機体が、
機体の制動を抑え、射撃体勢で固定したまま、初弾を、薬室へと叩き込こみ、生じる膨大な、粒子を含んだ、特注の獲物である小型化されたデュオ・クァンタム・ランスから疾る。
距離と大気との反応による粒子の減衰と、コリオリ力...に、点在する重力場の移譲を読み解き、地球の湾曲する地平線の全てを考慮し、僅かに曲がる弾道をコントロールしながら、
目標までの距離100000それは、輕量子と質量を持った重量子の二種類の混合粒子を衝突させ、まずは初段の一撃が、二色の発光する。
次々と弾倉から単発ボルト式のボルト(遊底)を淀みなく操り、本来で有ればありえない速度で一発ずつ装填と排莢を繰り返す。
光芒を描き、超長距離にも迫る。その射程外よりの一射は、最初の一射をガイドとして、続く連射が、寸分違わず同じ場所へと投射され。
光波防御帯の防御に繰り返し叩き込まれ続け、初段が防壁により防がれ次弾が反応した防壁の孔を通り、目標へと殺到していき、
続けざまに放たれる二重螺旋の粒子の狙撃が、戦場を彩るコトンラストを描き、彩る。
その援護射撃を受けながらも戦闘を奔る。機影...それは戦場に置いて相応しくないと見るモノを驚嘆させる。
奮うは、破城の鉄槌の如き、波紋を際立たせる。極小の終息する火線、近接用のシュバルトレーゲン《黒い雨》式の小型ハンドガンの二丁をその手に構え
機体各部には、様々な形の装甲板らしき、基部が如何なる困難を物ともせずに、進む意思を見せつつ、
其の頭部には複数の鏃の様なブレードアンテナが左右に伸び、その中心部から更に天へと延びる都合七本の鏃が重なる
頭頂部前面には、戦場に似つかわしくない優美を魅せる女神像のオブジェを冠したその似姿は、戦場に咲く花の如し、、
機体の各部には、機体制動に邪魔にならない様に重なった白き純白の装甲片が規則的に並びその縁には金色に輝く装飾が施される。
更には、その稼働する装甲一つ一つから、破劫の如き推進機構の光が瞬きその深き真緑の光が暗闇に浮かぶ姿を映しだす。
その一見派手であり、狙撃の格好の的となるその機体に向かい。目標と見定めた。クピドレスの視線が集中される。
所属不明機が低空飛行で空域へと侵入、収穫祭の真っただ中へと飛び込む様に、大きく右へ45度、機体を傾け捻りを入れつつ
急行する光り輝く機体が。重力制御機構と、発震する粒子の発露を行いながら、接近を試みる
その派手な、出で立ちの目標に対して無数の弾体が、様々な複雑怪奇な光の輝線を描きながら、迫る。
(罹ったなッ。)
飛来する銃撃を、機体をバレルロールし捻転する勢いのままその位置を、横へ横へとズラしながらも、外れた射線が、狙いを反れて、次々と背後の地面へと着弾
火柱をあげて着弾する粒子の一射を、事なげもなく回避しながらも直進。
「隊長、敵が【falcis】を展開」マークスマンであるアルトバース=ミカンガムが、敵目標らが放つ迎撃の一手を観測、先行する、僚機に対して警告を伝える。
空一面に広がる無数の光点の群れである《ファルクス・アストルム》が一斉投射。
球体状の星が、眩き光を放ちつつ、迫る三機の機影に対して襲い掛からんと、一斉にその光点を動かせる。
壮絶なる左右の転進の中;近接戦闘と防御用にカスタマイズされた二機のCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)が追従する。
ハンザス=フライハイとユウ=スクリームの二人は、悠々と空を飛ぶ先方を眺めて、やれやれだとばかりに、一手早く飛び続ける隊長機の
動きに合わせて、援護射撃を試みる。
二機のCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)はそれぞれ、其の手足に、サブウェポンである短銃身式のハンドガンを懸架しつつ、
中距離戦用の、中型多目的ライフルを手にそれぞれ、やや小型のナノ・物理展開式シールドを備え、中・近距離戦闘用の機体は、防御型とは違い、
その後部から延びる補助腕から展開される二枚の追加装甲としての大型ナノ・物理展開式シールドを備えず、
代わりに、背面部に捉えられた、回転翼にもなる中型の実体剣を二本を装備する。
展開される敵機の攻撃に対して、何の焦りも見せずに、三人のパイロットは、その問いに答える様に拒絶の意志を魅せる
「「「レーゲン・アプシーセン《撃ち落とす雨》展開。」一斉迎撃モード。」」」
コンソールを音声認識による指示により、機体各部の頭部バルカンと、保持する獲物の射撃モードを単為射出モードから、散弾式へと偏向、
射列を遮るものなど何もないかと、吠える様に、頭部の視線を泳がせる。
乱れ飛ぶ散弾と、光点眩き光を残し、すれ違う様に、先行するその姿に、放出された空薬莢のにる二次被害を防ぐためのケースレス弾頭である頭部バルカン砲は、
偏差射撃の動きを魅せつつ、互いの有効射程距離圏内を保持したまま纏わりつくそれらに対して、空中で様々な弾頭の銃撃が交錯と接触を繰り返し、
その数が徐々に減り始める。
その光景に、クピドレス部隊の指揮を任された。バンキッド=アルマニャックは、老齢な皺の刻まれた表情のまま、答える
「チッ..何故、この視界不明瞭な状況下で、狙撃を当てられる?!同じ第九世代ですか?何か他に手品の種があるのか...?ファルキスの効果は低いですね。虜囚の確保は後回しで、各機はファルクトフォーゲン《境界を生む者》の援護を受けた友軍機を前にッ」
「どうせ《同族喰い》は、逃げられん。このまま足を止めれば、敵狙撃兵に狙い撃たれ続ける。各自離陸後、高速戦闘に移れ。」
吸い込まれようと藻掻くマレディクトたちが宙を飛び、大地にへばり付く蠢く何かを残して、総勢16機の機影が、降り注ぐ狙撃の一打を防ぎつつ、
その場を離脱していく。
「俺達は助かったのか??」
そう疑問顔のフルーチンは、フルチンのままの通信兵を空を仰ぎ見て、呟く。
「何も助かってはいない、其れなのに何故に私の部下はみんなフルチンで現れる...」蹂躙された、現場に置いては、無惨にも食いちぎられ、離れ離れとなった友人知人を想い
涙する。誰かの翳を残し、半狂乱に振る舞う司令官を他所に、今の内だと、基地内に収容された人々の退去を試みる。
...
...
...
その特徴的な姿から...。その姿を見たモノは、一様にその言葉を述べる。
「戦場に、女神像に目立つ機体だと?!なんのつもりだ。Third wheel《お邪魔虫》めッ!!!!」
「おっ良いね。その名前...頂いた。僕のベイブにぴったりだ、漢たるもの百合には挟まってこそだろ?」
左右の旋回上昇の勢いのまま、集弾性を上げつつ、迎え撃つ終夜=ナイトワーカーは、操縦桿を握りしめ、愛機に対しての命名を終えると更なる上昇を測る。
「隊長の狙い通りだ。派手な、機体に釣られて、群がってきやがる。ユウ=スクリーム、アイスの接種を許可する。喰らわせてやれッ!!!防御は任せろ。」ハンザスが吠え
「よっしゃこぃッ濃い目のエスプレッソが飲みたい。ミカンガム氏にいっちょ頼んでおこう。」
シャクッシャクッシャクッと鳴り響くアイスを頬張る咀嚼音と共に敵を引き付け急上昇を試みる三機の内、ユウ=スクリームが、独特な剃りを残した荒々しい
テクノカットが魅せる未だ幼げな表情を見せ笑うは、中性的な表情を残し、後の事を僚機に任せて、すぅーと深呼吸を顕す呼吸音を残して、戦線を離脱。
急上昇からの意図的な失速から繰り出される、ひらひらと舞い落ちる木の葉の如し、敵が反応しきらない様にその失速は、大地へと飛び込む様に逆転方向へと加速
一点急上昇を試み相手の目をくらましつつ背後に回りこむ機動と挙動を魅せる。
目標が二手に分かれるも、圧倒的な数を誇り、逃げ出した一機を背後に続く友軍機へと任せ飛翔する。
先頭の機影を見送り、クラン《血族》を駆るべく思考伝達型のリングに包まれた腕から伸びる指で操縦桿を操作するバンキッド=アルマニャックは、
※2026年7月7日誤字修正
その細やかなる指使いを駆使し、視界一杯に広がる、チャフ...赤外線誘導と強化されたレーダー機能をジャミングするべく
ばら撒かれた金属片と発熱体を他所に、狙いが定まらぬまま、機体の後部ラックに満載された実体兵装、熱誘導と思考式の混合照準による小型散布式榴弾を一斉投射
チャフの妨害を受けつつ、広範囲にバラまかれた弾体は、光の尾を振り、前を行く、Third wheel《お邪魔虫》へと殺到していく。
派手に光輝く機体を見せつつ、十分に敵の攻撃を引き付けると、其れ迄の銃口の照準を半自動機構から、手動操作へ変更。
早撃ちの要領で、放たれる。銃火が奏でる輪唱は、破城の鉄槌の如き、波紋を際立たせる。極小の火線
一射放てば、立ちどころに、夕闇に染まる暮れる太陽を背に、一瞬一瞬の瞬きにも似た其の覇劫は、青白い光の陰影を天に唄えば、
無数の弾体を空中で貫き、撃墜の華を咲かせ、
それに応ずるは、大型支援火器たるサーチプレデター...重層構造の装甲厚きアルトバーレン《原初の獣》のその腕より構え出でし、鋼鉄の牙は、毎分八千発に迫る勢いで放たれ、
搭載されている第九世代機には、対ファルクス用に、標準装備されている自動反応照準たるレーゲン・アプシーセン《撃ち落とす雨》を駆使しての射撃戦を展開
天を衝く軌道から、点を吐く、射線を吐き、転を搗くべく、機体の制動を、まるで何もない場所からワイヤーで惹かれる様に急加速と急制動を試みる
Third wheel《お邪魔虫》の進むべき場所を、先回りする様に複数の機体から放たれる十字偏差射撃を以て、前を行くその機体に向かい
集中砲火を仕掛ける。機体を180度回転させ、背面飛行を試みながら、その心根は...一意専心、唯、荒々しくも繊細に奏でる、思考伝達型のリングにガイドされ
右へ左へと機体を傾け、レーザービームにも迫る勢いで放たれる無数の火線を通常での機動では、回避すら困難な、状況の中、二機編隊での交差射撃を試みながら、
無数の弾体と粒子砲による無数の死神の鎌がその脅威を押し知らせる。
転進を続ける終夜=ナイトワーカーは、互いのサークル軌道を乱さず、過早を抑えて、乱れ飛ぶ先行する二機に対して、
害ある全てを撃ち抜かんと、そのハンドガン...エリュシア・レーゲル《緋蒼雨》
射撃線を、死線を潜りぬけながら無数の弾体をその身に宿る、意志と思考の反射を融合させ、狙い撃つは...
・・・
・・・
・・・
一体何が起きている。数の優位を誇る。世の覇を唄うクピドレスに対して、僅か三機の機体が...まるで戦場のセオリーを無視する様に、その派手な機体色と
発光する装甲に包まれた機体を前に。まるで自分を墜とせとばかりに目立つ先頭を行く機体に対して、16機編隊での多重砲火を魅せ、早々に墜とせると見るも...届かない。
その陰に隠れる様に、突如現れる二機の攻撃に手を焼きながらも、
狙い撃つ弾体が、命中したと手ごたえを感じた瞬間、僅かな射線の隙間をすり抜け、機体が接触しかねない間合いに飛び込んできた、その機体が魅せる機動に
慄き近接武器への持ち替えを試みるも...。掴んでいたはずの獲物が緋色と蒼色に染め上げられた光のラインに阻まれ、
その大部分が、敵機との接触を刷る間もなく次々と撃ち抜かれていく、
突如として装備の重量と手応えを見失い、クラン《血族》に搭載されている近接武装、ビームクローと実体剣による接近戦を機体が向かって着た瞬間
多方面からの多重斬撃において、打ち崩さんと試みるが...
振り上げる拳と刃と刃が、打ち合わさる事なく、銃撃を加え、友軍機の武装のみを撃ち抜いていく、謎の機体の手には、光り輝く獲物。
その特徴的な短銃身のハンドガンの銃身下部に展開される、ビーム刃と実体剣を合わせた接近戦の手斧より繰り出された斬撃と銃撃のコントラストが、描く
銃撃は、ファルクトフォーゲン《境界を生む者》の防御展開される力場による防御を試みるも、其の緋と蒼の射劫を切り分け、
初弾を防いだものの次弾、三射と、全く同じ軌道を描き、飛散する粒子の乱れを抑え、狙い撃つ光を受けてまた一機、また一機と、撃墜の華を咲かせる。
手に持つ重厚な盾を前に、迸る銃撃を受けて、ひらひらと地上へと墜ちる機体のダメージコントロールを、コックピット内部のコンソールで確認するが...
武装ロスト...メインカメラ消失...ジェネレーター消失?!だと...。
墜落する無数の機体が地上へと真っ逆さまに落ちていく中、機体の操縦は何の反応を見せないまま、それまで、先頭を行く
Third wheel《お邪魔虫》に視線が集中するなか、やや遅れて追従するCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)が、
スライドする機体腰部より伸びる二つの砲身にも似た、照射用砲身から放たれる。
電位斥力キャプチャーネットを投射。救い上げる様に着弾と共に、光の檻に閉じ込められた墜落する機体が、静かに接地面に係留される姿を見下ろし、
メインモニター浮かぶ、女神像のオブジェを冠した頭部の左右から放たれる銃撃の射列が交互に火を上げ、視界の端に捉えたアルトバーレン《原初の獣》の重装甲の腕部を避けつつ
其の頭部に対して、集中砲火を加え、その射砲が襲い掛かると共に、小口径に過ぎないその火砲についてクラン《血族》に搭載されている。
視覚アシストによりその弾体の正体を分析。弾頭の形状は、先端部が尖った徹甲弾に、四発に一発の曳光弾、そしてそれらの全ての弾頭が...
《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製であることを示し、その銃撃は、無惨にも友軍機の頭部を接触と共に削り取り、視界を防がれたまま、エリュシア・レーゲル《緋蒼雨》の集中砲火を
受けて大地へと墜落していく。
「ヤッハ―隊長相変わらず無駄に目立ってるね。僕らもちょっくらお手伝いするべし。」と、ユウ=スクリームは、隊長機からやや離れて、自らの獲物を駆使しての
射撃戦へと移行していく。ややあて、先頭を行くThird wheel《お邪魔虫》をその頂点として、追従する。
都合16機存在していた編隊は、二手に分かれ、その数を四機減らし12機となるもそのうちの4機を敵の随伴機の対応へと回し、残り8機による十字砲火で撃ち払わんと、
空のキャンパスを無数の機体が乱れ飛ぶ、荒々しい筆遣いの絵として、飛弾の波をその絵と汚す。
一方の4機編隊は、下降するCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)の後を追い。二機のクラン《血族》を頂点として、一機のファルクトフォーゲン《境界を生む者》とアルトバーレン《原初の獣》の姿が映る。降下体制から、肩部および背面部の小型散布式榴弾を一斉投射、更に腕部に保持する獲物を駆使して狙い撃つ。
重力推進機構を駆使しての、急制動を駆けるも其の集弾性の高さから、集中される攻撃を大型ナノ・物理展開式シールドの防御範囲を拡大化、
機体の凡そ大半を覆うその障壁に守られ、返す刀でユウ=スクリームは、叫び声上げながら転進、機体を180度水平方向に転進し、仰ぎ見る天井へと、背面部に捉えられた、回転翼にもなる中型の実体剣を二本の内一本を左腕側で受け取ると、銃撃と剣撃の織り成す、二重奏を奏で始める、
中型多目的ライフルより、ナノテク弾頭を選択。
背面飛行のまま。吐き出される銃弾が、敵機に命中すると、その特殊弾頭が、その効果を生じると、装甲の素材とされた人間が...人の形のまま、吐き出される。
空中に放りだされるそれらの犠牲者をCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)に装備された電位斥力キャプチャーネットが空中での掴み取る。
我らは夜を掴むものとして、今後の課題は...地上で有れば...そのまま確保できるが...宇宙空間での解放は死を意味する。
ファルクトフォーゲン《境界を生む者》の光波防域帯は、依然として厚き防御の柱として機能するが、一点、中距離戦から、重力推進器を発震、震える程の加速と増速を
繰り返し、先頭を行くクラン《血族》に対してユウ=スクリームが操るCarpe Noctem (カルペ・ノクテム)のナノ・テクブレードの刃が、利き手に備えた大型の特徴的な突起物を備えたシールドと押し切る様に接触を果たす。応戦する
互いの矛先を交え、銃撃を加えたと同時に、離脱。
零れ落ちる人体が疎らに宙を舞い、救い上げる様に、後方からフォローに入ったハンザス=フライハイは、ナノ・展開式シールドを逆円球状に展開し、其の身を受け止めると、盾内部に形成されている
虜囚確保スペースへと、シールドを稼働させ次々と収容を試みる。
「ユウの奴、忘れてないだろうな?我が隊のモットーを?!」
ただファルクトフォーゲン《境界を生む者》の存在は、厄介だ...。そろそろお得意の境界兵装を使うはずだ、あれを使われると、うちらは兎も角、
市民一般人に犠牲が出る。
早々に片付けるべく、ハンザス=フライハイは、思考制御リングを通しての操作によって、繊細な置石を試みる。
一方の8機編隊は、Third wheel《お邪魔虫》の周囲を螺旋状に、上へ下へと引き連れて、火砲での打ち合いを要する。
無数の弾体と、刃が交錯する中、終夜=ナイトワーカーは、背後と前方からの強襲を、その刀身眩き、獲物で捌きながらの超近接コンバット射撃、
左右に乱れ飛ぶ刃を右に左へと機体を傾け、銃身の刃で受けつつ、接近する機体を退けるべく、フットペダルと思考伝達アンクルを経由しての蹴りを叩き込み
緩んだ敵機の頭部へ、生体反応チェックを試みる。其の組成は凡そ《星屑鉄鋼》(スターダストダイト)...化石化した有機物の素材由来である事を確認、
波紋波立つ射線が、敵機の背後より急襲。一射、二射と試みながら、機転を制して、更なる動きを魅せ、着脱する装甲板を展開、
《ファルクス・レフレクトール》として、利用するその基部が、迫る敵機を払うべく行使し、迫る無数の悪手を弾きながら、反撃の一手を紡ぎ、敵武装を徐々に引きはがしていく、
群がるは、クラン《血族》2機とファルクトフォーゲン《境界を生む者》とアルトバーレン《原初の獣》が三機づつ、その手に保持する、銃火と、刃劫が迫る。
その刃をもって突き動かさんと、追いすがりながらも迫る機体に
急上昇から急降下、地面ぎりぎりを責める低空飛行を行使、思考誘導弾と銃撃の砲撃が、逃げ場もない様に三方向から徐々に迫ってくる。
覇劫が煌めき、機体全体を覆う様に一層とその輝きを増し、同時にファルクトフォーゲン《境界を生む者》が放つ、広域粒子散布により生じる現象が遅いかかる。
《お邪魔虫》と揶揄されたその機体は、二丁の拳銃を手に、通常では弾倉の交換が困難であると思えたものの、
機体のフロントスカートより展開される副腕が、エリュシア・レーゲル《緋蒼雨》の片側の弾倉を特殊弾頭から、反重力弾へと装弾を終えたのと同時に
その界域が展開される。
「「「悉く凍えて燃えろ、フリム・エルドゥル」」」
震える様に、霜が降りると同時に機体各部から、機体温度の上昇と共に、不惑の意志を崩さんと吠える。過冷却の冷気が機体の動きを止め、
同時に機体の温度上昇を告げるアラーとが鳴り響く、異常事態が各部武装の動作不良を巻き起こす。
二機のクラン《血族》が続いて...
「「血脈のこの血に酔え、サングィネ・イネブリアートゥス」」...周囲五十キロ圏内へ粒子拡散を促し、消費されるは、血脈が起こす。不断の強制的なる
酩酊と...さらに自身を鼓舞する様に、舞う鉄錆深き、血潮の香りを頬に寄せ、それまで、単調だったその動きに明確なる差異を以て、緋色に染まる機体色を魅せながら、
残像すら残さぬ軌道を空に描き、浮幻の舞いを踊り、此方の射撃を回避
一瞬でその間合いを詰め寄りThird wheel《お邪魔虫》へと迫っていく、
瞬間、交差する銃身を盾に、蹴り上げられたクラン《血族》の脚部が、叩きつけられ、空中を泳ぐように機体が後退、エアブレーキを掛けつつ、
救出迄の目算の残り時間を計算し、急上昇を試みるが、上昇するのに必要なスペースを空間機動の中、二機のクラン《血族》に頭を取られ、再浮上の目算が崩れ去るかに見えた。
その手に掲げる光刃の爪牙は、その刀身をその腕に収まる大きさから、その機体の等身まで刀身を伸ばした刃となり襲い掛かってくる。
そこで、終夜=ナイトワーカーは、笑みを浮かべて、機体各部から上がるアラートを無視して、銃口を後ろ手に向けると、
難民がひしめく地域から逃れ、開けた荒野に差し掛かった瞬間その銃口を大地に向かって撃ち放つ。
反重力弾頭の直撃を受けた大地がめくれ上がると同時に、上空のポジションを堅持するクラン《血族》のコックピット内部のスクリーンめい一杯に広がる堆雪の断片に視界を奪われ、
止めとばかりに走る。銃撃と小型誘導弾の網が、辛くも空振りへと終わる。
「なんですか?!」
「目標を見失ったッ!!!どこです?」レーダーが指し示すは...友軍機の後方斜め45度ッ!!!!
すかさず、実体剣を伴った多銃身の銃口より、乱れ飛ぶ粒子砲の偏差射撃が、突き刺さる。
「この手応え、殺りましたね!!」バンキッド=アルマニャックは、そう確信し、火をあげて墜落するは、挟み込む様に前を行くもう一機のクラン《血族》の姿...
行動不能となるはずのその機影は、いつの間にか、その対象を違え、僅かな、先ぶれを見せずに、無数の弾痕を離脱と共に吐き出し、
既に遥か上空へと逃れたその姿を仰ぎみて、一体何が起きたのかと?思案する間もなく、敵性狙撃手による、数射に晒され、また一機、また一機と、
アルトバーレン《原初の獣》とファルクトフォーゲン《境界を生む者》の機体が戦線を離脱していく。
「ノクト・ルエル...生体部品は外せよッ!!!!」
「分かってますよ。旦那。こいつぁ頂きですよ。」アルトバース=ミカンガムは、狙撃位置を巧みに変えながらも、僚機達への支援を繰り返し、
未だその姿を捉えられない敵機の砲火を潜り抜け、度重なる狙撃支援を繰り返す、
一転し窮地から脱した終夜=ナイトワーカーは、Third wheel《お邪魔虫》が各装甲から発する光の細やかな粒子の光を展開し、
機体周囲に、数メートルに及ぶ曲解、粒子幕を形成、酩酊する効果と、寒暖差による、界域効果を防御。
可変する弾道の群れが宙へ舞い。無数の射線が波立つ波紋を描き急転直下フリム・エルドゥルを仕掛けるファルクトフォーゲン《境界を生む者》へと降り注がれ、その粒子砲の一撃を受けて、機体の一部を損壊しながら、大地へと目標が沈黙したと、誤認し、功を焦った。クピドレスに対して手痛い反撃を叩き込む
「こいつはまだ、試験段階だ...防げる効果時間は...5分...だが5分もあれば...」
...
...
...
機体周辺に煌めく覇劫を振りまきながら、三機の機体が踊る、一向にこちらの下した一手の効果が表れず。16機居た友軍機の数は、12機から、更に4機、5機と墜ち、
残されたのは7機...そうこうしている間にも、ユウ=スクリームが、叫びながら振るう弾幕と、その刀身形状をの形を変え、粒子刃をその身に纏い繰り出される斬撃に、
切り出された。アルトバーレン《原初の獣》の脚部が舞う。
ナノ・テクブレードにより切り離された基部を他所に、根こそぎ奪い取った生体部品を分解形成収容の一手を終えて、その手元鋭き刃により解放された枷が、徐々に戦局を覆していく、
「糞ッ。レーダーと実像に、差異がある?!敵味方識別コードでの判別を徹底しなさい。」
そう指示を出す。バンキッド=アルマニャックは、メインカメラが投影する実像を捉え乍らも、捕えきれない機影が、ついには、分かれて闘っていた敵兵が、
視界の端から外へと抜けていく様な軌道を仰ぎみながら、それまで追い込んでいてはずの自らの形成が逆転した事を知る。
前を往くファルクトフォーゲン《境界を生む者》とアルトバーレン《原初の獣》の姿が、突如現れた夜空に浮かぶ何者かの姿に隠され、
その機体反応毎、どこかへ連れ去られて行く。無数の弾痕を刻む銃撃の音と光だけを残して全てが暗闇の空へと溶けていく。
目立つ敵の隊長機らしき機体が注目を引き受け、まるで当たらないこちらの攻撃を嘲笑うかの様に軽やかな足取りをもって、回避を続け、
暗闇の保護色に紛れた、随伴機が徐々に削っていく。しかも狙撃手がフリーのまま援護射撃を繰り返している。
・・・
・・・
・・・
気付けば、自機も含めて4機まで其の姿が確認できなくなっている。サングィネ・イネブリアートゥスの効果で機体稼働率が通常時の三倍に上昇した
機体制動を駆使しての反撃を試みる。
そこに、軽口を叩くように、目の前の機体から、公用の共通チャンネルでの声が届く。
「なぁ?ところであんたは、なんで戦ってるんだ?そろそろ難民を解放して、ティーパーティーでもしないか?」銃撃の光が瞬き、アルトバーレン《原初の獣》の前腕が吹き飛び、
煙をあげて墜落していく。
「我々は、平穏の為に戦っている。何も知らない若造が、聞いたような事を言うなッ!!!戦争は此処で終わらせなければならない。戦争反対!!!!死ね!!!」
無数の銃身と思考誘導弾と《ファルクス・アストルム》が折り重なるように、射線の飽和による。形勢逆転を試みるも、冷静に切り分けられる、ケーキのピースの如く、
"It's a piece of cake"脳裏に浮かんだ言葉と重なる様に、放つ銃火が撃ち落としていく、
「おいおい、一体どうした、なぁどうして戦争反対、平和第一って言う奴に限って平穏を破壊したり暴力的な行動や言動を繰り返すのか?甚だ俺には疑問なんだが分るか?」
「戦争反対‼‼‼死ね!!!!」
言動と共に、繰り出される斬撃を機体を傾け回避すると同時に、銃把を掴んで、反り上げる様に、切り払うその刃がクラン《血族》の前腕を千切れ飛ばす。
「ほらなぁ」
「あーそれな?恐らく平和がなんで成立してるのかを全く理解してないだけだろ?理解が足りないんだよ、相手も自国の事情も鑑みないで、自分達だけの要望だけを伝えていう事を聞かないから癇癪を起す。まるで子供だ。いや子供の方が分別を別ってるだけ、大人は、始末に負えない。隊長も真面目に相手するなよ。」
「「「「まさに子供よりも性質が悪い。」」」」
軽口と共に吐き出される銃火は、その戦場で暴れまわる。暴虐の徒のその振るう鉾をまた一つ、また一つと、削り取っていく。
「まぁ平和と戦争なんて、自国の状況だけでは説明できない事柄が沢山ある。他国と自国の微妙なバランスに置いて維持されそして容易く崩壊するモノだ。」
「自分達だけ武器を捨てたとして、ただ攻め込まれる要因と原因を作るだけだ。」
とばかりに、《ファルクス・レフレクトール》を展開と再結集を果たした、その基部が重なり合い、脚部に集まると、光り輝く光刃と化して、背後から忍び寄る
クラン《血族》へと叩き込む。投げ出された反動と共に、機体の制動がブレるモノの、装甲各部から噴出する粒子推進器の輝きのまま、その勢いを殺しながら、
バックハンド気味に繰り出された短銃身の手斧の刃がファルクトフォーゲン《境界を生む者》の盾へと叩き込まれ、衝撃と共に膨れ上がったエアバックを他所に
視界一杯に広がる。一拍於いてから着弾する実体弾頭の雨が、撃墜の華を咲かせる。
「明日、周辺の国を責めなければ飢えて死ぬ。燃料が無くて凍える誰かの思いなんて関係ないんだろ?だから相手の事情を把握しないで自分の要望を伝える。で受け入れられなければ、
平和を求めてないと嘯く、その自己矛盾に気付かないまま、」
終夜=ナイトワーカーが引継ぎ
「その分、隊長は自己矛盾を死ぬほど自覚して理解してるよね~。戦争を武力を以て、無くす。最初その話を聞いた人がハトが豆鉄砲喰らったような顔してたもんね!」
ユウ=スクリームは余裕シャクシャクと、アイスを頬張り、残る目標の前腕と脚部を二手に掴んだナノ・テクブレードの冴えを以て、両断、裁断、降断す。
千切れ飛ぶ手足を他所に、目標に突き刺した刃が、急速降下の果てに、大地へと叩き伏せる。
「どうせなら非暴力を唄う誰かの様に徹底して貰いたいものだ。まぁその誰かも別にキレイな言葉だけで平和を唄った人じゃないんだけどな」
「親族に対しては禁欲を強いたりな?」
「何より無抵抗で平和を唄った彼は、暗殺によって落命している。これで無抵抗であれば平和になるという論は崩壊する。」
「まぁ、あれと同じだな他人を叩くことを道徳的に抑制された群衆が、いざ叩いても良いという免罪符を与えられると酷く残酷な目をその対象に加えるというのにも似ている」
「それは一律、聖人然として誰も普段から叩くことのない誰かさんとは違うですよ。」アルトバース=ミカンガムは、この日何度放ったか分らぬ。長距離射撃を以て、
群がる敵機を叩き墜とし、合いの手を入れる。
更に語句を強めて語り掛け言葉を吐き続ける
「何故に平和を唄う人の方がその他の人達と比べて好戦的に攻撃的になるのか?人は自らが悪として断定したモノに関しては、人は幾らでも非情になるし、相手が悪いのからと自己正当化を繰り返し正しい自分ならばどんな悪業を行ったとしても目的は正しい事だからどんな手段を使ってもどんな犠牲を払ったとしても正しい」
「そう誤認する。」
繰り出されるビームクローを真っ向から叩き伏せる様に銃身下部の刃を同軸上に叩き伏せ、
会話と共に裁断されていくクラン《血族》の機体を前に、終夜=ナイトワーカーは、憐みにも似た表情を浮かべ、断罪の咎を降ろす。大きく弾き飛ばされた機体を他所に、
それと同時に、レーダーに感あり、吹雪の翳よりいでし向かい合う戦域の奥より総勢12機にも及ぶ敵の増援を確認。
「はぁ?だからどうしたのだ。これで形成は逆転する。この数に勝るとも思えん。」
「そりゃ、どうも、そして徐々に傲慢に、強欲に自分達の意見を押し付ける。今のお前の様になッ!!」
遠くから飛来する銃火の端をコックピット内の全天周モニターに移しながら、展開と集合を繰り返した《ファルクス・レフレクトール》と、銃身状の《トゥブス・ファルクス》、
短銃身のハンドガンを中心として、サプレッサー、バレル、スコープ、フロントユニット、ハンドガード、ストックに変形するそれらの思考誘導兵器の数々が
その手に構えるエリュシア・レーゲル《緋蒼雨》を中心に組み上がると大型の狙撃用ライフルへと変貌する。
その姿に、バンキッド=アルマニャックは揺れるコックピット内で、哄笑する。
何を血迷ったか?ここから狙い撃つつもりか?スナイパーが接近戦の間合いで出来る事は、ただ蹂躙されるだけだ、
周囲に敵対する我らが居る限り狙い撃つことなど夢のまた夢、此処が付け入る隙として、破損した機体の破損箇所へのエネルギー供給を断ち、
残った腕を駆使しての射撃近接戦を試みる。
左右の旋回から揺れる機動を描きながら、狙撃体制へと入るその目立つ機体に対して、いつの間にか僅か三機に減った。友軍機に叱咤激励し、
銃火を瞬きながらも其の手足から光る爪牙をもって切りかかる。
既に射撃体勢へと入っていた。Third wheel《お邪魔虫》に、襲い掛かるも、銃火は周囲に浮かぶ《ファルクス・レフレクトール》に阻めまれ
其の事は織り込み済みとばかりに、近接兵装による切り崩す選択を選び、直下に舞い落ちる様に、
止めを加えるべく肉薄する。間も与えず、その動きを変え、前進するかに見えた、機体は、一転後方への回避を選択し、機体を捻転、バレルロールと旋回軌道を試みながら問う。
「話は変わるが?凸砂...突撃型のスナイパーを君は知っているかね?」そう言ってスコープを使用せず、構えた銃身の向きと、目算の照準により放たれた
銃撃が、周囲の大気を押しのける様に、光の環を砲撃にも似た銃火を描き、轟き放たれる。と、同時に、接近を試みるクラン《血族》に対して
空いた手から放たれる反重力弾の迎撃の一手が、構える機体の刃へと着弾。
重力を反転させる一撃を受け、外側に働かれる斥力に阻まれ。空中で機体分解が生じ、砕かれたその御手を他所に、
凡その戦闘速度...マッハ7程度で接近、戦闘距離までの到達迄の20秒...その間に向かい来る敵機を捌きながらの近接戦闘中に加えられた狙撃は、
都合五射。其の全てが全て、無駄弾を一切消費せずに、向かい来る敵機を超長距離狙撃の冴えにより、
その極小の銃火の輝きに晒され、大気の屈折率を考慮し、曳光する輝く弾痕が天を覆う雲を貫き、一射撃つごとに、二機、三機と、まとめて貫通と溶断。そして爆発に巻き込みながら撃墜を果たし、軽口を叩き問答を開始する。
「平和というものが一体何なのかをはき違えている。平和は一人では築けない。」
「常に一緒に意見のコンセンサスを取り相手にも平和で有る事に関するメリットや、争うよりも共存した方が良いというメリットを示し続けなければならない。侵略した方がメリットがあると思われれば、武力に傘を掛けて、与しやすいと見られれば侵略される」
「口論でもなにも反論しなかった奴を一方的に負けとする風潮あるだろ?あれは相手を見下げ果てて、会話する必要性を感じていないだけだぞ?」
その猶予時間僅か20秒、あっと言う間に撃ち落とされた友軍機を見やり、戦慄するその状況において、
撃ち方なんて、どうだって良いんだよ。
敵の銃口から弾道予測を行い。亜光速の銃撃を回避する応用で。照準ではなく、銃身が目標に真っすぐ伸びるライン辿り、狙い当たりさえすれば良い。よと、思い描き、言葉を紡ぐ。
「なぁ?話し合いをしないか?援軍は来ないぞ?それでもこちらにはメリットを提示する用意がある」
と提案する間もなく、襲い掛かる。その数クラン《血族》二機とファルクトフォーゲン《境界を生む者》一機が長獲物を保持する隊長機へと更に襲い掛かる。
しかし、その様子をまるで心配しないまま。追従する僚機は、もう一仕事終えた空気が過る。
「平和や戦争には、地政学やそれまでの歴史的事実、食料や燃料資材、あらゆる理由が複雑に絡みついている。」
と、告げる間もなく放つ一撃がファルクトフォーゲン《境界を生む者》光波防御帯の防御を貫き、破断し、同時攻撃による接近戦で仕留めに掛かったクラン《血族》は
その発砲の余波を受け、その機体が衝撃でブレる。
大地ギリギリまで急降下する友軍機を見て、再度の全力攻撃を仕掛けるべく迫るが、一抹の不安が過る。何故スナイパーが視界の悪い吹雪の中で、照準器を覗かずに、攻撃を当てられているのだ?
その疑問に答える事無く舌戦は続く
「喩え戦争が嫌だといって武器を放棄したとしても、他が放棄しなければいずれ攻め滅ぼされる。そんな簡単の論理も分らず平和を唄い争う。」
「それに気付く事が出来ないのであれば平和など夢のまた夢。」
「平和は相手がそれを了承しなければ、唯の意味の無い戯言にすら叶わぬ、妄言となり果てる。」
「せめて悪で足れと思わんでもない。自分が悪だと認識して動くのであれば、自然と心と行動にブレーキがかかる。」
「あんたに心のブレーキはあるのか?」そう言って狙撃銃の銃身を真っ向から叩き折らんと振るわれるその凶刃なる腕が、
その一撃で狙撃ライフルをバラバラに破砕する。殺った!!!!その瞬間に...。
「なぁ?もしもそれでも、何かを犠牲に得られるものが誰かにとってかけがえのないものだったとしたら一体どうすれば良いんだろうな??」
多分そう言う時に踏み出せる事が戦う事さ、そう笑って、独り戦いにでて何者かの背中を眺め...
繰り出すは、分離変形する狙撃銃のライフルの銃身が、クラン《血族》のその凶刃を包み込む様に捉えると捻転し、至近距離放つ光のラインを轟かせ、
その前腕部ごと人体で生成された外部装甲を器用に避けながら、その前腕を溶断せしめる。
「そう言う時に踏み出せる事が戦うということなのさ、これは戦う時の気構えであるが、この言葉に真に意味ある言葉は、なにも戦う為の一歩を刻む気構え以外のも誰かの大切なモノを踏み躙る可能性がある事を認識して、一体どうしたら良いんだろう?と」
翔ける言葉と共に、両手の獲物を離すと、袖口より解き放たれし、鍔元が大きく湾曲した二つの基部を掴み取ると専断する十字疵をその場に残し、
「そう考える一瞬の間こそが真理と知れ。」の一言と共に、天をまるで駆け上がる天馬の如き飛翔を魅せ、反転する視界の中で、
暴れまわる最後のクラン《血族》へと止めの極光にも似た一撃を繰り出し...大地へと叩き伏せる。
放たれる極小の波涛眩き、緋と蒼の輝きは、いつしか風雪眩き、視界を塞ぐ空域全ての雲を薙ぎ払い、打ち払わんと欲し、戦場を一閃する。
「他人の大切なモノを踏みつける可能性すら考慮できない正義に正義足る意味などないんだよ!!!」
・・・
・・・
・・・
一通りの戦後調整を行い。自陣の僚機との合流を果たした終夜=ナイトワーカーに対して、
ハンザス=フライハイは、「ところで、終夜殿、パパ上には、報告してる?」と声をかける
「いや、必要ないだろ。話せば心配させるし、そもそも話すことにより、平和が壊れる事がある。その当たり前の事実を知らずただ知りたいと望むのは、唯の好奇心を満足する事だけで、その実、平和なんてどうでも良いと思ってるだろ?」
「だが平和が壊れる瞬間はほんの一瞬で容易く壊れる。本当に戦争に反対して、平和を望むなら、知らない方がずっと良い事もある。。何故なら政府が、その事実を発表していないから。」
「話せば国益を損なう事が分かってるから何もはなさないんだろ?そもそもの話、敵が汝を知らねば、戦いは始まらない。」
「そもそも敵がこちらを理解していないなら、戦いは成立しないし、情報がなければ争いは起こらないよ。」
「What is unseen is untouched.(ワット・イズ・アンシーン・イズ・アンタッチト)見えないものは触れられない。」
「良く言うだろ?好奇心が猫を殺すってな?」
「そういうもんですかいな?」
「で、スポンサーの御意向は?いつも通りで良いんですか?」
「そうだね...植樹による新たなる仕事の捻出と、赫剤の供給...それと食料自給と、どうにか他の軌道エレベーターからのエネルギー供給の手配、
遣る事は山積してるな。」
「捉えた捕虜はどうします。放って置いたら、また...」
「まぁ、それはそうなんだが...ゲートを使っての《ギベオン》への搬送の手配を頼む。」
「なにも全てを明らかにする必要はない、平和と言うモノは危うい均衡の上で形成される。自分が知らないという事であれば、知らない方が良い事もある。」
朝焼けの空を見上げながら、望む夜明けは未だ訪れず。それでも僕たちは、凱歌を唄う。
物語のプロローグは始まり、そして宵闇の天へと溶けて消え、そして続く。
〆
毎月、月末最終日に2話更新予定。
⇒家事をしろという意見が頻繁に届く場合や、家族の体調不良が重なった場合、
月の更新が一話のみか若しくは、休載となる場合があります。
また、作業の邪魔や文章の勝手な削除が発覚した場合、問答無用で休載します。
→何度注意しても度重なる作業の邪魔が繰り返された為、次回から更新が難しくなりました。
締め切りが間に合ってるのは単純に命を削って無理やり間に合わせてるだけで、今月は可成りギリギリの綱渡りで行ってる為に次回からは普通に原稿落します。
待ってる人達には申し訳ないですけど、此ればかりは私にもどうにもできない。




