第三十話「人を殺すという事の理由」
現在、度重なる執筆作業への妨害行為がまかり通っている為、これ以上の執筆活動が、継続困難になっています。
ちなみに、代表的な妨害行為は、パソコンの機能、一般的な検索、文章のコピペが一切できないのと、Excelのソートができなくて、過去の文面や細かい描写を確認できない。あとは、方向キーや一部の操作キーの結果を変えられる。例えば、↓キーが反応しないとか?文字を打ってるのに別画面が立ち上がり、操作中に、他の関係無いページに飛ばされる等、「あ」を打ったらメーラーが起動したり、画面がアップダウンするし、そもそも文字が打てなくなる。や文字コードが勝手に変更、Excelの資料の順番をバラバラにぐちゃぐちゃに並べ替える。書いてある文章を消す。勝手に誤字が入る。勝手に意図しないタイミングで、保存されたり、書いてる文章の保存を出来なくされる等々
これらの妨害行為がかれこれ5年間ずっと今まで止まることなく続いてる。
正直言ってこのままの活動が危ぶまれるので、そう言う妨害行為を見かけたら、阻止して貰えるとありがたい。というかそうして貰えないと続きが書けません。
※イメージソング※順位不動
LEveL
SawanoHiroyuki[nZk]:TOMORROW X TOGETHER 『LEveL』 Music Video https://youtu.be/Jsc6bPHe4tM?si=kqGqS-ejY4xQ_G8S @YouTubeより
SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki - aLIEz / THE FIRST TAKE https://youtu.be/2brDsA1AVOY?si=0La4OSXvXQVo95Qd @YouTubeより
怪物の詩
ReoNa 『怪物の詩』-Music Video YouTube EDIT ver.- https://youtu.be/OPH9pE3LHiM?si=XuaehuymIu05X9Cj @YouTubeより
time
SawanoHiroyuki[nZk]:ReoNa『time』Music Video https://youtu.be/CDMnKbsyLMM?si=AStRpiaWoMrn_Cb1 @YouTubeより
ReoNa 『forget-me-not』-Music Video YouTube EDIT ver.- https://youtu.be/KpzX87czSY4?si=1sZQAfUfr2yUz3A- @YouTubeより
月詠み『ヨダカ』Music Video
https://youtu.be/ilAUa3_6ME4?si=WEbH9yobF1vBvIOY @YouTubeより
NOMELON NOLEMON one-man live " DOCUMENTARIUM 2025 "【YouTube Music Weeken... https://youtu.be/lqr-RWi6PXM?si=AIXyQhTyM0lq56NT @YouTubeより
月詠み『花と散る』
Music Video https://youtu.be/zO58Le2UINI?si=LmJ9R0riM367wH9k @YouTubeより
月詠み『ナラティブ』Music Video
https://youtu.be/JY6oDQXzP-E?si=Y4V7m0J2KyyzqQaY @YouTubeより
其の報は、電雷の如く伝来し、そして地上と宇宙に置いて反転攻勢を仕掛ける。Carpe diemとマレディクトの両陣営に、衝撃を走らせる。
戦力と資材の増強の為、首席が立ち寄ったL2宙域のコロニーアイリスに置いて、マレディクトの主力の一部が喪失、
崩れかけたコロニーは、崩壊直前に置いて、まさかの粘りをみせ、復興の火が灯る。
その頭を喪ったマレディクトは、頭部を潰されたプラナリアの如く、その残された戦力の一部を再編成し、反転攻勢の準備を試みながらも、その摩擦は小規模化し
軽い散発的な、戦闘を繰り返す。
その余波は、地上での勢力図にも、徐々に影響を及ぼし始めるも、扇動する悪意の芽は、今も尚、その成長を止める事無く、悪果の実を結ばんと暗躍する。
嗚呼、そうか...俺が奴に勝てなかったのは...全て奴が本来俺達が受けるべきではない咎を負わせ、何故のうのうと暮らしている平和ボケしたその頭で
脳髄、そしてその背骨から産み出される反射行動が見せたのは、全ては奴がズルをしていたからだ。
本来、俺が受ける賞賛も、財貨も全て、全てだ。
・・・
・・・
・・・
刻は、春幸がMIA(戦闘中行方不明)となって消えてから暫くたっての事、
「ん?」
「どうしたでござる?アイジェス殿?春幸殿の男尻でも感じたでござるか?」
「いや、全然違う。何か背筋に厭な感覚を感じた。気の所為だと思いたいが...」
春幸捜索の為に《R.I.P》との共同歩調から外れた。アイジェスと、アンザスの二人は、ハナネが送り届けてきた。輸送船、《ロシナンテ》を使っての
消えた息子の捜索活動に精を出しつつ、思考を巡らす。
凶報受けて、一足先に月都市から、現場に急行した《アンチェイン》(Unchain)を他所に、
残された仲間たちも《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)を発艦させ一路、L1宙域のコロニーへと向かわせるが...、対応の中で、ミスを冒していた。
まず一つは、アイ=フライヤー、エメラルドの瞳を持った少女の姿が航行中に忽然と消える。それまで整備していた機体の内、ハルナ=山崎が使用する。
《アド・アストラ》の姿が忽然と消え去っていたのだ。
どうやら整備担当者である領五の目を盗んで、アイが、機体を操り何処へと、行方知れずとなっていた。遅れて気付いた後に捜索を行うも、その姿はようとして知れず。
アイジェスから遅れる事、数日。
《R.I.P》との合流後、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)と二手に分かれての捜索を余儀なくされる。も、その検討中にいたずらに時間が進み、
遅々として進まぬ捜索活動とに焦った《エクィタス=ユースティティア》と《ユミナリア=ニドフェアー》の二人は、死亡判定を待たずに、
船脚を墜とした船体を放棄して機体を持ち出しての単独での捜索へと向かってしまう。
その顛末は、既に話した通りではあるが、其処に二つ、三つと事態が移り変わっていく
その問題が明らかになるのは、それから、数か月経過した後となる、月都市では、残された《アンキャストダイ》(Uncast Die)の中央ユニットが
綺麗に切り取られたかのように、喪われ、多数の解放していたはずのクピドレスの姿が誰かに扇動される様に、消えていた。
そして、戦場に置いて錯綜した情報の中、斃したはずであった。《アンタッチャブル》(Untouchable)とコーディー=スルーの姿が確認できず。
現場に残されたのは、大破した《エンジェルフィッシュ》と、斃された無数の識別不能な残骸のみ、
そして事態は、一つの終わりを魅せる。それは、且つて見知った経緯を辿る。
・・・
・・・
・・・
UD1989年(西暦4014年)2月21日 某時刻
「おじさん...春君が?MIA(戦闘中行方不明)に...」
「わかってる...青葉、デスペラード...《アンチェイン》(Unchain)を出すぞ。分岐ケーブルを繋ぎ直す。準備に入るぞ。」
慌ただしく、現場がざわつく中、三つの最悪を告げる状況が重なり、密に一人の少女が、どさくさに紛れて、宇宙の闇に消えた事に、気付かないまま、事態は進んでいく。
「アイハ...ツヨイコ...ママヲ、カナラズ...」
見上げるは、整備と修理を終えた《アド・アストラ》...十分に満たされた。物資の数々を積み込んで、急報を受けて、持ち場を離れた領五の目を盗み、
事態は、最悪にも似た様相を見せ始める、
満たされぬ思いを胸に少女は、独り立ちへの旅へと出る。
・・・
・・・
・・・
「《お調子者》(ストゥルティ)、《仏頂面》(トルウス)01、02、03、《臆病者》(クヴァイリス)01から04...各機...送れ。」
宗谷=大石は、周囲へ捜索を試みる僚機達へと呼びかける。
「《お調子者》(ストゥルティ)...3時方向スノードロップの機影確認できず。見つかりません!!!!」
「《仏頂面》(トルウス)01より...5時方向こちらも機影確認できず。」
「《臆病者》(クヴァイリス)01より...8時方向、確認できず。武装の一部である《アルクス・ヴァンフーレンス》...《ヘリアントゥス・インサヌス》の機体の一部を回収。」
「完全に思考接続が切れている。セカンドアーヴル...アンリミテッド(Unlimited)からのアシストも切れてる...」
「恐らく力尽きて、効果が切れているのか?効果範囲外に...」
「でも隊長。効果範囲に制限は無かったはず...となれば...」
「良いから探せッ、アイジェスが向かってる。そうすれば、打開策が撃てるはずだ。」
「隊長、コードネームで話すの忘れてますよ?」
「嗚呼、そうだな。スカーレットヒップの方はどうなってる?」
「同じく、反応なしだ。」
「ただ、エンゼルフィッシュの残骸は回収で来た。」
「そうか...」
事態は混迷と突入し、MIA(戦闘中行方不明)に...
艦隊を預かる。ナンネン=ハイマンは、 コンディション・イエロー(警戒態勢)を発令したまま。
事態の収拾を図るために戦闘となった宙域での捜索活動の継続を指示、
四方数百キロに及ぶ捜索を行うが、その姿を確認する事は出来なかった。
数日遅れで到着した。本体を他所に
《アンチェイン》(Unchain)を擁する《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、現場に急行する為に、
アイジェスが駆る機体のみを先行させ《アルフヘイム》(光の国)と《ヴァナヘイム》(豊穣の国)の同時発動を行使。
光り輝く粒子をまき散らし、現場へとその輪唱を鳴り響かせる。
「エンコード、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》!!!!!!!!!!!!!!!」」音声認識による識別により、使用者権限を確認。「一葉灼伏…30%」
「その心、姿映し導き出せ。《ヴァナヘイム》(豊穣の国)!!!!」
「その光を以て、その争いを静めろ、《アールヴヘイム《光の国》」
「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」
コックピット内のコンソールにアースガルズ《神》とアールヴ《光》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。《来たれ、豊穣芽吹く女神よ!!!!》
「揺らぐ愛を疑う疑念を捨てよ 豊神フレイヤ!」以降を威光を以て修正する
其の優速誇る。速足を光の速度まで揚げると、一足先に、アイジェスは、現場となる宙域へひた走る。
天に描けし星の川を渡り、現れた一陣の閃光は、其の身から放たれる粒子劫を周囲にまき散らし、
量子コンピューターによる予測演算を開始。
最後に、あいつの姿を見た奴は誰だ?!!!アンザスッ!!!
ふぁぃ!!!!!かしこま(`・ω・´)ゞ
周囲の僚機に対して、春幸の機体が向かった凡その方向と、その状況に関する断片的な情報を元に、高速演算を開始。
移動と重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)による広域捜索に救難信号の光を探す為
向かう先の推測を開始。その動きを止めようと、制止する声すら、追い越し疾走する。
銀翆の彗星は、夜天を切り裂き夜空を走る。
その無天に描く数々の軌跡を描き無限にも感じられる度重なる行使の果てに、捜索活動は続き続ける。
されど、その結果は、重なる事なく無為に終わる。
遅れて到着した。《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の
冷静さを欠いた春幸の友人らは、焦燥感を募らせながら。いつ終わる事のない作業へと陥ってく、特に、《エクィタス=ユースティティア》と《ユミナリア=ニドフェアー》の動揺は激しく。
長距離航行が可能である《メガエアライド》を持ちだし単独への捜索活動へと飛び出していく。
気付いた時には、其れ迄、曲がりなりにも整然として、寄り合いを形成していたはずの仲間たちに動揺が走る。
そして、現場を指揮するナンネン=ハイマンは、一ヶ月にまで及ぶ捜索活動を打ち切り、春幸=ブラットワーカーを戦死者として認定。
対マレディクト戦線への対応へと舵を切るべく指示を出すが、その意に反する人員が反意をしめし。
その頃には既に、カルぺ・ディエム陣営側の戦力は瓦解し、それは同じく連戦で疲弊したマレディクトとて同じくし、
散発的な争いが、コロニー間で発生する事態となる。
再び仲間と手を取り、戦う時は訪れるのか?
「今日も収穫は無しか...」
「そう落ち込まないでござるよ。春幸殿は強い子。きっとどこかで生きてるでござるよ。」
「この間にも、隊長。スカーレットヒップの面々も戦闘行為のついでに、捜索と救難信号の探査をしてくれてる。」
「ん?ありがたいが、あいつら、イゴール達。なんで曲芸飛行部隊になんて、所属してるんだ?」
「そうでござるなー。軍を退役してから、流れ流れて、売るモノが操作技術しかありませんからなぁ、偶々参加した曲芸飛行大会で、眼を見張る活躍をしたみたいで、それは自明の理ではないでしょうかな」
「そうか問題は...」
(生きて居れば、位相空間固定アンカーが今頃復活している頃だ、そうであれば、こいつに装備してるヴルカヌス・ツインテールとの共鳴現象が成立するはずだが...)
(一向にその反応が感じられない。機体から降りているのか?鹵獲された?それとも、コールドスリープで、そもそも機体に灯が入っていないのか?影響範囲外まで機体が流されたのか?)
無数の考えられる最悪のシナリオと状況を夢想しながらも、アイジェスは息子の安否を案じる。
するには遠く、さりとて諦めるにはまだ時間、足りえぬ状況に置いて、事態は急報を叫びあげる間もなく、その事実をアイジェス達へと知らしめる。
それは、回収した《エンジェルフィッシュ》の残骸から取り出した航海日誌と航路情報を蓄えたブラックボックス...
捜索から、死亡認定が下されるまでの一か月間の間、解析を行い。そこに残されていた情報を覗く...
其処に期せずして明らかになった事実に...一同は動揺する。
翳る録画映像と記せられし光景は...且つての凄惨なる晩餐会がもようされる
・・・
・・・
・・・
九年前、UD1979(4004年)年4月某日
「...」なんだ、一体何が起きてる?勝手に敵機が次々と爆散していく?大気圏突入に失敗にしたのか?
此処からでは、よく確認できない。機体のメインカメラを最大望遠状態で、凝視するが、戦場に巻き散る火の粉と虹色の光と炎に阻まれその姿が見えない。
機体の爆散に巻き込まれ、機体の一部が焼け焦げ、破片が突き刺さり、カメラの一部が破損。予備のカメラに切り替え、視界を確保しつつ、バランスを崩し、振り回され制動を掛けつつ、離脱する間にも戦場の最中で、光が踊り、次々と残りのアケファロス、ファーマの機体のコックピットが握りつぶされ、崩れ落ちる機体が、射出。
他の機体、マンティコレ(獅子型)サテュラル(虎型)それぞれ一機を巻き込み、母艦たちを叩き落して行く。
その刹那の光景で...何が起きていたか?振り返ると...周囲に展開した多数の腕部を回収。
その終点に対して、ビームライフルの雨を降らせる。アケファロス、ファーマの各機の射線をまるで意を介さずに、避けながら、背面の鬼面が吠える。
光の御柱となり、顔無しのアケファロスの機体に着地すると、その左腕を突き入れ、防御の手を描くビームライフルの砲身毎、
抜き手の一撃が突き刺さるとコックピットを引き抜き、飛び出した。パイロットらしき人影が、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の僚機が発射した光の柱が何もない空間に一瞬影を落とす染みと化し、
消し去り、狼狽える敵機に対して、再びの電磁投射砲の一撃を加え、その一撃を防ぐべく展開されたブラインドアンカーの盾を易々と引きちぎり、交差する髭型の近接用ビーム発振器に直撃。
共に、背後に控える戦艦、アガートラームの拳へと着弾。二機分のジェネレーターの起爆により、大爆発を行い。巨大な船体が傅き、大気圏へと墜ちていく。
それでも果敢に迫る最後のファーマ機は、機体の各部に備えられていた口から、ワイヤー及び電磁ネットを照射、跳ねまわる軌道を先読みして、進行方向を限定させつつ、備えられたビームライフルを乱射。
対向射線で、駆逐艦の一隻を守る様に鎮座し、意を決して、接近戦による突撃を行おうと迫る。サテュラル(虎型)がファーマ機と共に、前後に挟み込む様に接近してくる。
前後の挟撃と、別の敵機から放たれる。【falcisファルキス】が死神の鎌の様に、アイジェスの命を奪おうと、ばら撒かれる思考誘導の五月雨を翳す鬼面と手掌から放たれる衝撃波を伴った一撃と、各部のガトリングが半自動的に作動。小口径の光の弾丸同士が空中で衝突し、火花を散らせながら、四散する。
繰り出される発光する爪の一撃を身体を捻り繰り出した足刀で、弾き飛ばし、宙で、逆の足撃を以て、機体のバランスを崩し、それでも破損する機体をばら撒きながらも向かってくる。
逆転する世界の中で、一機の射出す手掌から放たれる。手掌を伴わない流体ワイヤーが放たれ。
明後日の方向へと流れるそれに、嘲笑を加えた背後からファーマが、光る刃を掲げて突撃する。そこに流れたワイヤが-突如茨の棘をその身に宿し、貫かれた機体脚部を、ビームサーベルの一撃で斬り裂き、まだ戦えるとばかりに、スラスターを吹かせて接近する。
背後から接近するそれらに対して、宙返りをして回避。勢い余って、友軍機と正面衝突をし、バランスを崩した機影に向かい回転する車軸と射線を合わせた電磁バレルを展開、
黒と白を混ぜた。刹那の射撃が、サテュラル(虎型)と駆逐艦毎、叩き伏せる様に貫く。
大気圏外より、その長身のササボンサム2機その特徴的な長い足を備えるその機体が射程外より、長距離狙撃を繰り返す。意識外の一方的なその攻撃に辟易しつつ、流れ弾がアンザス機へと流れないように、避けずに、肩部のシールドと《Pyrolysis Handsパイロリシスハンズ》を纏った腕部で弾きながらその対策を講じる。
鬼面に覆われた。肩部分の大型のマニュピレーターが稼働、その接続部分が、離脱し、
腕部のアームカバーへと重なる様に接続。加圧される虹色の光が、鬼面に注がれ、天地を繋ぐ御柱と也、相手からの射撃を飲み込みつつ、その光が、軍用艦の一隻共々巻き込み、溶断する。
その衝撃が衝突した瞬間、命中した基部から、漏れ出る炎の球体が、それぞれ膨れ上がり、機体共々巻き込みながら、その存在を抹消する。その光景を目の当たりにし、残るササボンサムは、這う這うの体で、離脱しようとするが、背後から迫る。灯の柱に弄られて消失する。・・・・・・・・・
そんな光景をまるで第三者には視認できずに、何も知らずに独り言をつぶやくその時視認出来た光は、目視する瞬間には既に終わっており、傍目からは、目標の駆逐艦からの射撃が、逆回転して自沈した様にしか見えなかった。「は????なんで?
戦艦まで大気圏突入に失敗してんだよ?なんだあいつら?大したことないな」と、嘯くハルズ=アルマインを他所に、戦場の華は開き続ける。
《Pyrolysis Handsパイロリシスハンズ》を纏った蹴り脚に盾毎、貫かれ、その熱量を吸収できずに、爆散する《傾城魚》(チンチェンユー)の一体を目視し、救援へと入ろうとメインスラスターを点火。泳ぐように飛翔し、両手に構えたライフルから緋色の炎を吐き出すも敵機に命中する瞬間に、虹色の光と、触れ合い、明後日の方向へ偏向され、巻き添えを受けた友軍機であるマンティコレ(獅子型)1機が爆発四散する。
あッ!あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!己の操作により次々と死滅していく友軍機の姿に、怒りを込めて操縦桿の引き金を引き続ける。
重力操作により高負荷のGを減衰させ続けるコックピット内で、レコーダーから流れる詩声と輪唱する様に紡がれる唄声が、踏み締められる落ち葉の様に、静かに静かにその想いに答えていく。
降り注ぐ炎の砲撃をワイヤーを巻き込み回収した手掌で、発動する《Pyrolysis Handsパイロリシスハンズ》で、相殺。そろそろ、限界点が近い...。落下するアンザス機は。
どうにか無惨な機体の侭でも、シールドに残る偏向機を駆使しつつ何とか熱に耐えているが...。腕部の手掌をワイヤーを結ばずに、射出。その機体前面へと割り込みさせると《Pyrolysis Handsパイロリシスハンズ》を発動。
熱分解の火により、迫る熱を熱で分解し、2万度を超えるその熱量を防ぎ一筋の流星へと変えていく。武装を切り離し、自らは《Pyrolysis Handsパイロリシスハンズ》を繰り出す一部の機構を放棄し、大気との摩擦に爆散するかに見えた。
デスペラードが、逆さの機体の侭、鬼面のレッグカバーで覆われた脚部が展開し、敵の各機が、《傾城魚》(チンチェンユー)のオービットマインやブラインドアンカーを盾に、大気圏突入へとその機動を変えた瞬間に、何を思ったのか、跳び蹴りを加え、八艘飛びの要領で次々と、その脚部で、踏み折りながら、次々と撃墜していく
「おぃ!!!!!!!!!やめろ、今はッ」「ママぁーーーーーーーーーーーーー!」「辞めろ!辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ!卑…ヒッ」「死にたくない。死にたくない。死ッ!」「おおッ!ちょぉぉっケツを掘るなッ!」「クソッ!あっ糞漏れ…あッ♥」「あ”ッあ”なんで、蹴らないで蹴らないで今はッ!!!!!ああああああああああああああああああああああああああああ」
確率機跳《鶴立企佇》(かくりつきちょう)…機体を跳ね跳び、繰り返す確率の低い賭けに出て、まるで獲物を待ち構える鶴の如く伸びるその脚で、大気圏突入で生じる炎を踏み砕く敵機を乗り換えながら、移動してやり過ごす無法と思われるその所業に、慄きながらアイ=アシンは、機体を安定しつつ徐々に戦場から外れながらも《Pyrolysis Toothパイロリシストゥース》を発動し、緋色の炎で、大気圏突入する炎を相殺しながら、流れていく。その日、地球には、星が降った。散った命は還らず。
その猛威を避け、救われた誰かの姿のみが地上に降り注いだ。
地球への落下軌道に乗った母艦は、放出される発砲状のスプーマに包まれ、大気圏の摩擦をものともせずに、大きな衝撃を伴い着水する。だが、部隊の戦力は大きく二分され、地上へ降り立った《R.I.P》と整備艦エンゼルフィッシュと、重力圏内からのスイングバイにより離脱した《ASAP》へと別たれる。
その日落ちた星の似姿は、それだけではなかった。《ASAP》に回収されたはずの第六部隊の面々は、アイ=スクリームの不注意に辛くもその地獄の一端より離脱し、
且つて話した通りの経緯を辿り、地上へと舞い降りたが、この物語は、そこで離れ離れになって地上へ降りた《R.I,P》や第六部隊の面々とは異なり、
大気圏降下の危険へと晒される
取り残された第四部隊と第七部隊、そして《ASAP》の乗組員たちが辿る命運を指し示し、
無明の闇へと墜とされた男が呟く...
何故貴様らは見ようとしなかった。かつての同胞の欠けた姿を操船する人数は欠けた歯抜けの櫛の如く抜け去った...を、
嘆きをそれを知らずに、一方的に攻め立てた愚を知れ...
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UD1989年(西暦4014年)6月XX日
エンゼルフィッシュの残骸から、航行データと日記を取得、暗号化された中身を量子演算による解析によって、最初に写りだされたのは...
「Carpe diem第五方面軍所属 コーディー=スルー上級技官...私は、此処に、この記録を紐解く。」
「記録者名、ドゥ・シーテ=コウナッタ...あの日起きた最後の日誌を...私の考えは間違って居なかった。彼らの判断に間違いはなく。それは必然だ。」
その事実に震え身悶えしながらも、其の目に映る、航海日誌の文面を読み解いていく。
「僕たちは《R.I.P》との合流を果たせぬまま、漂流する事数か月...大気圏降下を余儀なくされる不運を回避したその幸運を喜びながらも、僕たちのその幸運は、長く続かなかった。」
「船の推進剤は、帰投する可能限界量まで、目減りし、空気、水、食料は、当の昔に、乗組員に必要な、残量の底を尽いている、これ以上の生存は...恐らく困難であろう。」
「一縷の望みは、味方の救援だが、幾ら救難信号や、繰り返し打電するもその通信に関して反応するモノは無い。」
「そうか...我々は見捨てられたんだ。」
「そうなれば我々が取り得る方法は、一つだけ、パンドラの箱を開ける。恐らく今現在この事実を知る者は僕以外、居ないであろう。弱い僕は、素材として同僚に喰われるだろう。その事実に震える。だけど。...。」
「嗚呼、空気が薄い。意識が空腹と酸素欠乏により、朦朧として上手く保てない。最後に降す僕の判断が...であれば良いのだけれども...」
そこに何が待ち受けて居るかは?その心根の所在すら見失い。そして...
・・・
・・・
・・・
その機体…V8気筒の頭部に、薄緑色に塗装された、まるびを帯びた、流線型を象った独特の造形が栄える。
それはDiemディエム Perdidiペルディディと名付けられた通常機体であるディエムに、クジェドレより鹵獲したジェネレーターを組み込み
更に、鹵獲した機体の一部を流用し更に増加武装を施した機体を、喪われた僚機達の戦力の穴を埋めるかのように前面に押し出す。
(・д・)チッ
「どうなってやがる。なんで敵の襲撃が途切れないッ」
二機のディエムペルディディと、その両翼を担うディエムが四機、それぞれが互いの死角を補いながらも、何度目かの襲撃に向かい撃つ。
《ディエムペルディディB型》を操るハルズ=アルマインは、その機体が保持する中長距離戦闘に特化した装備を活用し迎撃へと一歩踏み出し
二機の随伴機と共に砲撃戦を仕掛ける
対する
《ディエムペルディディC型》を操るアハト=佐伯は、近接戦闘に特化したそのと二機の僚機をフロントマンとして、味方の援護を得ながらも、壮烈なる死線を潜り抜け、
敵意ある視線に晒されながら、その猛攻を捌き続ける。
まず先ぶれとして現れたのはグヤスクトゥス2機とファーマ1機に《傾城魚》(チンチェンユー)1機とで編成され。哨戒艇チプ(4機)の随伴機として展開された
小編成の部隊との接敵を果たす
戦力差は6対4ではあるモノの果たして、連戦を続ける仲間たちの疲労は徐々に、無視できないモノとなってくる。
まずは、中距離戦の距離から放つ二本のマニュピレーターのライフルと、腕部の武装付きシールドを構え、背面のテールユニットより有線ドローンを射出。
先行させるその基部と自機が吐き出す実体弾兵装による長距離射撃が敵のビームライフルと、内臓武装である胴体部の砲門より拡散放出される。粒子砲の一射が長大な閃光を放つ嚆矢を
互いより放ち、中距離戦の一戦を彩る一閃の火蓋が切って落とされる。
「羽虫の様に、生えてきやがってよぉ。アハトッ喰らい尽くせ。」
(...)
「わかってる。そうがなり立てるな。お前こそ外すなよ。」
スラスターを全開に、僚機の援護を受けながら敵陣へと突撃し、四連銃身のライフルによる牽制射撃を加えな、機体を傾け、三機編隊の先行部隊が、
目標へと猛禽類の爪を魅せつつ、飛来する。
敵は、防御能力に優れる《傾城魚》(チンチェンユー)を全体を指揮するリード《司令塔》として、ウィングマン...リードを護衛し、死角をカバーするはヤスクトゥス、
セカンドリードを担当するファーマの背後に付き従い、編隊内で攻撃を担当するマークスマンであるもう一機のグヤスクトゥスの翳
その編成を確認し、対象の機体に、オールレンジ攻撃を行使するマンティコレ(獅子型)やサテュラル(虎型)の存在が無い事に安堵するも、いつ遭遇するか分らない。
ハルズ=アルマインは...何がオールレンジ攻撃だ、後ろに目を付ければどうとでもなると覇気を吐き出しながら強がるも、冷静なアハトは、物量差で来られたら...と
疑念を描き、そして傲慢なる操縦者たちで置いても、度重なる戦闘に疲弊したハルズ達にはそれでも脅威と映る。
進転する三機の機影は、《ディエムペルディディC型》を駆るアハトを頂点に、天の星々の光を一身に受け、スラスターの噴射を受けて、走る。
四連銃身のライフルと、左腕のマウントラックに備えられた近接用の実体剣を引き抜き、迎撃に入り、
器用に敵機のビームの一撃を避け、返す刀で、四連銃身のライフルで、加圧され炸裂する光の奔流が、敵機の先兵たる子機へと襲い掛かる。
追従する僚機に対して、
「アハト、併せろッビーム攪乱幕による援護をッ時限信管で、連続投射、1、2、撃てぇ」サルバトーレ=レトリバーは、もう一機の随伴機に指示を出しながら
その声に応えてのイングリット=ワークマンがディエムに搭載されてる実体弾兵装を解放する。
僅か数キロから十数キロに及ぶ中距離での射撃戦において、ばら撒かれる光の流線形を描く砲撃の数々が、時間差で投射される ビーム攪乱幕によって途切れ敵陣の防空圏に穴が開く
その穴を、その荒々しい指先で抉じ開けると、触れる度に溢れ出す汁を浸して、更に奥へ奥へと、突きあげる様に進む三機の機影、
狙い撃つ目標の乱れを感じ取り、満足そうにうなずくハルズは、未だ自らの命運を知らぬまま、頷きそして副座式のコックピットで火器管制を担当するコムラへと
射撃制圧の指示を出し、操縦桿を傾け、突撃する僚機の機影に追従する様に、自らのそれを押し上げ、進む。
戦端は開かれそして、終焉の炎を上げながらも、その命運尽きるその時まで、星の煌めきは、且つての仲間の姿を静かに映していた。
砕かれた敵の魔の手を潜り抜け、アハトが操る《ディエムペルディディC型》の実体剣が疾しる。
セカンドリードを担当し、牽制射撃と捕縛を試みるファーマは、舌死と左右のワイヤーの群が、放射状に広がり此方に向かってくると同時にその刃に絡め取られ。
その隙を捉えて射撃戦が展開。
投げかけられるワイヤー網で封ぜられた動きに合わせて、まずは、耐ビームコーティングを施された、実体シールドで、カバーに入り、イングリット=ワークマンが受け持ち、動きを止めた瞬間に
マークスマンであるもう一機のグヤスクトゥスが、放った。その銃口を合わせてのビームライフルの射線が、守りに入ったディエムへと放たれる、亜光速の銃撃をやや反応に後れを伴うも防ぐと同時に
その陰より忍び寄り師は僚機に回ったサルバトーレ=レトリバーが、グレネードを投射。
時限信管式で炸裂する爆裂が...たっぷり5秒をかけて炸裂の時をもつ中に置いて、アハトは、《ディエムペルディディC型》の実体剣で、ワイヤーを逆に手繰り寄せ。
その動きに合わせてファーマを操るパイロットは、ワイヤーへと電光を走らせその動きを止めさせたかに見えた瞬間に、その手から放たれた実体剣が、
前腕の動きに流され、慣性軌道を描きつつ、引く手に遮られる事なく、ファーマの頭部へと突き刺さり、カバーに入ろうとした敵機の動きにタイミングを合わせるかのように着弾した散弾のグレネードが炸裂する。
時間差で、炸裂した散弾の雨が、前に出ようとした。二機のグヤスクトゥスの動きを牽制。
更に、砲撃戦の様相を呈する《ディエムペルディディB型》の光の毒針と共に二丁のライフルが火を噴き、亜光速の銃弾を吐き出し続ける。
射程距離内で有るモノの目視するには、標的の大きさが小さいものの機体のメインカメラの望遠機能により拡大された。機体に向かい
多数の砲身が捉えた偏差射撃が、目標が展開するビームシールドに、阻まれ、此方の攻撃も届かない。だが...問題は他の場所にある。
此方の攻撃は、完全に防がれるが、此方の防御とする実体シールドは、度重なる敵の攻撃に耐え切れない。
その事実は、既に感じ取っていたモノの其の不利をひっくり返す為に、喪った実体剣の代わりにアハトは、クリップ型のビーム発振器にフロントアーマ―と袖口より
取り出した、ビームサーベルを束ねての接近戦を試み、捻りを加えつつの最短距離での機動で押し迫っていく。
その最中、互いに母艦を守りつつ陣形を維持しての戦闘において、牽制のグレネードの散弾すらシャットアウトする《傾城魚》(チンチェンユー)は
友軍機を残して、前へ前へと飛び出し
オービットマインが、飛来する弾丸を弾きつつ、徐々にその装甲に衝撃エネルギーを蓄え、放たれるビームライフルの一撃すら、無為に終わる。
応射としての拡散粒子の瞬きが光る。
されど、時間差で展開されるビーム攪乱幕に抑えられ、攻撃が届かない、その真横をスラスターを全開として通り過ぎる、アハト機は、脚部のグレネードを搭載した増加装甲を
パージと共に振り返る射線に合わせて、頭部増加装甲よりバルカン砲を曳光弾を交えながら吐き出し、
射線を吐き出しながら、機体を傾け、蹴り脚鋭き噴射光と共に、爆裂が生じる
三連搭載された。散弾とビーム攪乱幕、成形炸薬の三種を一度に炸裂したその爆風が、咄嗟に防御する《傾城魚》(チンチェンユー)へと殺到するも
その装甲には目立った外傷を与えられず。
(・д・)チッ
「その程度で、《傾城魚》(チンチェンユー) の装甲が貫けるものかッ!!!!」
ガンガンとコックピットに、音の無い世界で響く衝撃が、メインカメラの一部を削り取り、前方より足を止めつつ射撃戦を繰り返す
見慣れぬ目標が背面部から掲げる有線式の何かの姿を目視すると同時に、その光の毒針が瞬き、《傾城魚》(チンチェンユー) のへと殺到する。
オービットマインと楯として攻撃を防ぐパイロットは、
背後で何かが炸裂する破劫が刻む陰影宿りし光を其の網膜に捉えると、同時に友軍を示す敵識別信号が一つ消える事を確認する。
何事かと振り返る間もなく照射され続ける攻撃を嫌がり、推進方向を傾け、艦砲射撃による援護を指示しつつ、
後退を選択。
其処に掛かったなとばかりにその敵の視線を前にだけ釘付ける為にハルズ=アルマインとコムラは、互いに機体の制動をかけ、
敵機の攻撃に対応しながら、無数の弾痕をその機体へと注ぎ込み続ける。
右斜め45度から回り込む様に放つ有線ドローンと正面からの自機を合わせて三機編隊の十字砲火が、《傾城魚》(チンチェンユー) を苛め続ける。
その視線の先では、メインカメラを損失し、攻撃の手を防がれたファーマが、共鳴発振し、その刀身を伸ばしたビームサーベルの光に貫かれ、機体を大破させる姿が見える。
その動きをフォローするかの様に、第七部隊の面々が息を合わせてビームライフルの牽制射撃をグヤスクトゥスへと照準を合わせ、その脚を止めさせる。
互いに、一機のみを先行させて陣形を崩す試みをする中、一早く敵の気勢を制したCarpe diemへと、傾き
後陣を突き破ったアハトの働きにより雪崩れ込む様に辛くも辛勝を捥ぎ取り、その決着を魅せる。
・・・
・・・
・・・
着艦を試み、ヘルメットを脱ぎ去り、整備を担当する、乗員に詰め寄った、アハトは...
「おいどういうことだ。機体の反応が鈍いぞ。」
「すいません。整備の手が足りなくて...」
「何をやって言ってる。この程度の整備、直ぐにでも出来るはずだろ?!」
「すいません、工廠艦である《エンゼルフィッシュ》と離れた所為で交換用のパーツが、尽きかけていて...あとは、一、二度の出撃分ぐらいなら何とかしますが...」
叩きつける様にヘルメットを叩きつけ去って行く姿に、申し訳なさそうに整備兵が呟く...
「在庫の管理に...機体の整備...それをやっていたのは...あの人なんだよ...僕達じゃない...」
「だけど、僕達は今ある手段で乗り越えなければならないんだ...」と呟く、整備兵であるドゥ・シーテ=コウナッタは
走り、徐に固定された通信機を手に取り、上官である艦長《ソルテム=マーラム》へと連絡をとると、
交換品の尽きかけた部品の代替え品を模索し、整備作業へと向かう。
…
…
…
一対の上下反転されたカタパルトを備えた尖った剣の戦端の様な駆逐艦《ASAP》の内部では、
居並ぶ5機の機体の整備を不眠不休で作業を終え、どうにか余剰分のパーツを組み上げ、一機のディエムを作り上げ、
交換用の核融合炉の一部を解体とオーバーホールを試み、この一手を切り札として使える様に調整を続ける。
その姿を見て、「遅いぞッ!!!!一体整備するだけにどれだけの時間をかけているんだ。」
十分な睡眠と食事を得て、肌艶の整ったパイロット達を、不眠不休で作業する整備兵たちの視線が貫くも、
それを我関せずとして、進む隊列に、
「大尉、増加装甲の装備を投棄して、乱暴に扱うのを辞めてください。工廠艦である《エンゼルフィッシュ》とアイジェスさんの《デスペラード》は、もうここには居ないんです。」
「替えが効かない装備や燃料は、大事に扱ってください。でなければ...」
(…)
「出なければどういうことだ?それを何とかするのがお前の仕事だろうが?」その言い分を聞き付てならぬと、ハルズ=アルマインが、言葉を引き継ぎ意を唱える。
「それはそうなんですけど...」
(...魔法の様にそれらを作り出してくれる人は...もうここには居ないんですよ。どうしてそれが分らないのか?)
「善処はするが、戦場では何が起きるか分らない。故に、必要であればそうする事は止められない。それを何とかするのが貴方の仕事だ。」
すれ違う言葉と言葉は、徐々に暗雲を立ち込める旅先を示し、そして...瓦解する。
まず最初に尽きたのは...武装でも、燃料でも、機体部品や食料でも、水でも空気でもなく、其れは、機体を操るパイロットの集中力だった。
艦砲射撃を試み、迎撃に放つ実体弾の投射を抑えながら、次々とダミーバルーンとチャフ、光熱源体をばら撒く攪乱を行使する。
しかしながら途絶える事無く放出されるビーム攪乱幕の投射を潜り抜け
目標とする一団との交戦を開始する。
(・д・)チッ...目標は...駆逐艦アルナ1隻(4~6機)に...哨戒艇チプ1隻(4機)...しかもこの敵味方識別コード的に...
《マンティコレ(獅子型)》と《サテュラル(虎型)》も複数機、確認出来ている。各自、分かってるな後ろに目を付けろ。と、バックミラーの稼働を確認し、
弾薬や推進材の無駄は...出来るだけ省かねばならぬ窮地に置いて、自信満々の両人は、いつもの様に片付けてやるとばかりに威を吐き、
戦線へと自らを押し上げ対抗するべく、その手に獲物を構え、迎撃へと踏み出す。
「はんッ今までも問題は無かった。それはこれからもずっとそうだ。俺なら出来るはず...」
その根拠のない自信は、真っ向から相対する敵機により、崩れ去っていく砂上の楼閣の如き脆弱さを露呈させる。
ディエムペルディディB型を駆る《自信家》コンフィデンス01、03...操縦、ハルズ=アルマイン、火器管制コムラ=ガエル、ビームライフル×2、残弾30/15×4、
頭部外装バルカン残弾600/600、実体弾装12/12、ビームサーベル4/4、クリップ型ビームサーベル×1、
耐ビームコーティングシールド(内臓、弾倉切り替え式ガトリング砲 実体弾残数1200/1200、ビームジェネレータ糾弾式)×2、有線ドローン(ヴェノムレイン)×1、多弾頭マイクロミサイルラック12/12、スラスター用の燃料満タン、戦闘糧食及び飲料水3日分
ディエムを操る《自信家》コンフィデンス02...ゼリトス=ラーデン、ビームライフル×1残弾15/15×3、近接用ショットガン8/8×10(ショットシェル弾帯装備)、
頭部外装バルカン残弾600/600、実体弾装12/12、ビームサーベル4/4、クリップ型ビームサーベル×1耐ビームコーティングシールド、スラスター用の燃料満タン、戦闘糧食及び飲料水3日分
ディエムを操る《自信家》コンフィデンス04...コリストス=メギトス、狙撃用の大型ビームライフル残弾7/7×2、380㎜バズーカ砲5/5×6、
頭部バルカン残弾600/600、実体弾装12/12、耐ビームコーティングシールド、ビームサーベル4/4、クリップ型ビームサーベル×1、スラスター用の燃料満タン、戦闘糧食及び飲料水3日分
ディエムペルディディC型を駆る《切り札》エース01...アハト=佐伯、腕部格納式、粒子刃式七型実体剣×1 四連銃身のライフル残弾数30/30ジェネレータ糾弾式、頭部外装バルカン残弾600/600、実体弾装12/12、ビームサーベル4/4、クリップ型ビームサーベル×1、スラスター用の燃料満タン、戦闘糧食及び飲料水3日分
ディエムを操る《切り札》エース02...サルバトーレ=レトリバー、ビームライフル残弾数15/15×3、近接用ショットガン8/8×10(ショットシェル弾帯装備)、
頭部外装バルカン残弾600/600、実体弾装12/12、耐ビームコーティングシールド、ビームサーベル4/4、スラスター用の燃料満タン、戦闘糧食及び飲料水3日分
ディエムを操る《切り札》エース03...イングリット=ワークマン、狙撃用の大型ビームライフル残弾7/7×2、380㎜バズーカ砲5/5×6、
頭部外装バルカン残弾600/600、実体弾装12/12、耐ビームコーティングシールド、ビームサーベル4/4、スラスター用の燃料満タン、戦闘糧食及び飲料水3日分
、
整備を終えて、基本的な装備と保有する数々の実体兵装のアタッチメントを追加、乱れ飛ぶ、三機×二の編隊での攻防をが、火蓋を切って落とされる。
まずは、いつも通りの戦闘を行く第七部隊を前面に展開し、その背後より砲撃戦仕様に施されたハルズ=アルマイン機が、その弾幕で、戦場に一撃を見舞うべくその目標を見出し、
狙い撃つ。
センサーの範囲内、その距離凡そ20000。
機体に感アリ。
《マンティコレ(獅子型)》二機
《サテュラル(虎型)》二機
《ファーマ》二機
《傾城魚》(チンチェンユー)二機
《アケファロス》二機
総勢10機...数の上では6対10、艦船を含めての砲撃戦を含めれば、倍にも近い戦力差に置いて、それでも無謀なる自身に其の身を浸し、慢心する。
幸運と呼べるのは射程外から攻撃を加えてくる長距離砲撃戦を仕掛けてくる《ササボンサム》の姿が見えない事に安堵しながら
戦場を見守るドゥ・シーテ=コウナッタは、その腐臭香るその悪臭に其の身を震わせ、その趨勢を眺め、遠くで遠雷にも似た眩き光が迸る。
・・・
・・・
・・・
互いにその距離で目標に狙い撃てるのは...真空の無重力下で物理法則上、慣性射撃による長距離狙撃に終始するはずではあるが、痺れを切らした、
ハルズ=アルマインは、実体弾兵装による長距離狙撃を敢行。戦場と戦場の中心点たる宙域には、既に前段として放たれていた
親機4×4+子機16×4、合計80機の編隊で先行する。無数の【falcis】の姿が、されどその狙いは空を斬り、無駄に放たれる銃撃の雨に対し、
直線的な動きから楕円状の迂回軌道を描きながらその進む推進剤の光が踊る曲線は、
センサー範囲外、ギリギリを進転し、その恐るべき牙が、今も尚上下左右にまき散らされながら、此方に向かってくる。
僚機たるディエムの随伴機に、警戒の厳を告げ。当初の打合せ通りの講じた対策に一歩踏み出す。
不利を押しての強行軍には...自軍の台所事情が戦術の幅を狭め、最短距離に置いての電撃作戦の行使を踏み切らせる。
・・・
・・・
・・・
最大望遠下で、此方を嘲笑うかのようにスラスターの推進剤の損耗を考慮しない、迂回路による包囲殲滅の動きを感じ取り、
狙いを付けないまま四連銃身のライフルから放たれる偏差射撃の輝きが、その陣形に、僅から亀裂を走らせるも、
(・д・)チッ
この距離では当たらんか?確か前回の戦では当たったはずなのだが?その疑問は迫る危機への対処で押し流され思考の端へと追いやられる。
オールレンジ攻撃の対処は、《自信家》コンフィデンスに任せた。
あいつらが敵の虎の子を受け止めている間に、操縦する本体を叩く。数の差は歴然、逃げ道は無く、補給線も経たれている。しかも敵はこちらの位置を正確に捉え、
絶え間なく攻撃を仕掛けてくる。
疲弊する精神と摩耗する注意力の果てに事態は交錯していく。
後陣での【falcis】の処理を負かされたハルズ=アルマインは、通信機を通して語り掛ける
「はぁッん、お前ら分かってるよな。あの小物共の処理方法は。本来の俺達であれば、射撃線を重ねれば撃ち落とすのは造作もないはずだが、如何せん調子が悪い。」
「なら、それなら道具を変えてやればいい。やれッ《自信家》コンフィデンス02、04!!!03は火器管制を譲渡、奴らの男尻を蹴り踊るぞ!」
三方に其の身を委ねて、機体を45度傾け、上昇あるいは下降と共にその囲う動きに反応して、まずは抗するべき嚆矢となって走るは、
《自信家》コンフィデンス04...コリストス=メギトスの姿、「アイアイ!!キャプテンッ!!!奴らの男尻に火をかけてやりますよ。」
駆動するアクチュエーターで、稼働する間接と関節がその狙いを慎重に付ける。放つは380mmにも及ぶ実体弾兵装の一つであるバズーカによる慣性射撃を試みる。
「撃ち方はじめっ釣れッ!!!!」
先行するハルズ=アルマインとゼリトス=ラーデンの姿を他所に、炸裂する遅延信管式の鋼の榴弾が、その細かな糾弾する装弾から放たれる。数十mmmの牙となり
宙域へと放射され加速から一転、減速する事なく放たれた。無数の【falcis】を撃ち落とし、接触と共にその機動が僅かにブレる。
その光景に占めたものだと、火器管制を預かるコムラ=ガエルと共に、その射撃網から抜け出し、単調な回避軌道を描く【falcis】に対し両の手より吐き出す。
ビームライフルと無数の弾帯を使い分け火を噴くガトリング砲の一斉射が、速力を落とし逃げ惑う子機を撃ち落とし始める。
初撃で親機の動きと子機をそれぞれ足止めし、今も尚中空に、鋼の牙が迸る中、相対する親機と子機は、一斉に散開と共にその小口径と思考誘導弾による反撃を試みる。
「この戦いの切り札は...《自信家》コンフィデンス02お前だ!!!ばら撒いてやれッ!!!」
《自信家》コンフィデンス04と同様に周囲を囲む目標に対して、鋼の牙の投射を繰り返し、点ではなく面制圧による。【falcis】の撃ち落としを敢行。
その動きには、迷いなくひたすら放ち続ける。散弾の雨が、包囲殲滅陣形を敷くべく回り込む【falcis】の足を止め、
応射の散弾の雨が、その動きを阻害し、誘爆を誘発させる。
追い込まれそのやや大型な【falcis】の一基である親機より放たれる《ヴェノムレイン》の斉射を機体を傾け、後方へと、スラスターの噴射を最小限に
跳ねる様に後方宙返りを繰り返し、放つ有線ドローンを操り。射撃戦に集中するコムラ=ガエルの狙いが、天へと還れ徒ばかりに突き刺さる。
後方で瞬く戦端の光を眺め、このままであれば今回も無事切り抜けられるであろう。そんな楽観する様な空気が流れ始めるも、依然として数の優位性はなく。
防いだのはほんの先ぶれ程度の攻撃であった。
それでも尚、続く戦闘は、戦線を貫かんと突進する三機の姿へと変わる。突撃体制からの射撃戦を絡めつつ、更に接近戦へと変移する
中距離戦の攻防は、まずは大気との摩擦と重力が存在しない無窮の宙においては、慣性の法則による本来であれば射程外に届く一打と足りえる。
サルバトーレ=レトリバーは、はじめの斉射をイングリット=ワークマンへと譲り、自らも炸薬を使用してのショットシェルを敵陣に向かって射撃を開始。
引き絞る引鉄に合わせて、射出される380mmmの炸薬弾頭が、宙を翔け、目標へと飛来する。初速を保ったまま加速する弾頭が、やや粗い狙いのまま
敵陣へと到達。
その動きを察知した《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共は、防御能力に長けた《傾城魚》(チンチェンユー)を前面に、その後ろに隠れた《アケファロス》が有効射程圏内の内であるビームライフルによる牽制射撃を開始。
更に中盤に《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》の姿が顕わになり、、獅子を思わせる鬣の輪とその腕部に生ずる発振するビーム形成された刃を展開、接近戦への準備を整えると
何かを察知した其の内の一機ずつが、その場を離脱、二機編隊の機動で、前進を始める。その思惑は、感じ取れないまま、
その動きに合わせて、《ファーマ》の二機は、後陣に配し、センサー類の稼働を最大に他に報告のあった目標機体の姿を探す。
移り変わり行く陣営の動きに対し、四連銃身のライフルで、加圧され炸裂する光の奔流が、偏差射撃の輝きを以て、乱れ撃つが、有視界戦闘下には、その交戦距離はまだまだ、遠く
(...)
「チッ...こいつは通らないのか...調子が悪いのは...整備の不調か...全く嫌になる。だが、それならば...」
「援護頼むぞッ隊長、03」
「嗚呼、流れ弾に当たるなよッ!!!!」
更に袖口から射出した発振機構を疾走する中、器用にクリップ型のビーム発振器に束ねて、実体剣の接続部へセット、震える刃が熱量を放出しながた、振るわれる時を迎え、
僚機による実体弾の雨による援護を受けてアハト=佐伯は、その手にもった獲物を頼りに接近戦を試みる。
去り行く其の背に、サルバトーレ=レトリバーは、武装の一部を投げ渡す。
そして、宙域を満たし、バチバチと、《アケファロス》が展開するビームシールドと、《傾城魚》(チンチェンユー)のオービットマインに次々と、広域散布された散弾の雨が到達
その弾体が光の幕と干渉しあい。その鋼の牙を雨を弾く傘の様に、傾け受け続ける。次第に衝撃を蓄え始めたオービットマインに、
届いた弾道を計算して、応撃のビームライフルが放たれるが、お互いの狙いは、目標を捉える事も出来ずに、互いに前進を進め、通信機越しに声が響き渡る
「《自信家》コンフィデンス01、敵が二機、抜けた。追撃するか?《切り札》エース01ッ!!!」
「いや、良い。あいつも一兵士だ。何とかするだろうさ。まぁ行きがけの駄賃だ。邪魔ぐらいしてやれッ!!!」
ジャイロセンサーが指し示す。上部の死角から二機の敵影が抜けていく姿を見送りながら、
四連銃身のライフルで敵機に狙いをつける。稼働モードを斉射モードから、連続射出モードへと変更、回転する銃身から断続的に射出される。ビームガトリングの偏差射撃を試み、
その連打で追いすがる様に、その軌道を回避軌道へと追い込み、堪らず回避軌道へと移る目標へと
四連銃身のライフルのモードを並列励起モードへ変更、四つの銃身が中央部に集まり、盛大な稲光を発露し、急速に膨れ上がるその粒子を以て、撃ち貫かんと欲するが、
その狙いは、僅かにそれ、その優速を鈍らせるに留まれる
(・д・)チッ
その間にも散弾の雨による銃撃の嵐に見舞われる《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の陣営は、決定打とはならないモノの単純な嫌がらせにも近い
散弾による妨害により、次々とメインカメラの展望する(てんぼう)する景色に亀裂が入る。
機体の装甲には防御機構が働けば、直撃を受けない限りは...特段の問題も生ずる事はないが、狙いを付けられないこの状況に於いては、追い手を惑わす一打となる。
機体を操る敵性体は、今頃視覚を封じられ、メインカメラからサブカメラへの切り替えを試みているはずだと、
援護射撃を散弾の実弾兵装から、徐々に接近しての数キロの距離に於いてのビームライフルによる銃撃へと切り替える。
《切り札》エース02...サルバトーレ=レトリバーは、心得たとばかりに自らの獲物を操り、視界の不明瞭を利用しての一打が、数キロメートル化における有視界戦闘に置いて、
動きを止めた《アケファロス》に突き刺さる。
火花をあげながら撃墜された友軍機の姿に、視界を取り戻した。もう一機の《アケファロス》が、指揮官機らしき機体からの制止を振り切り、突撃を敢行。
その姿に、「冷静さを欠いたな」と、一言呟くと
ビームサーベルとライフルを片手に、向かってくる機影に、大上段に構えた刃を装填したビームサーベルの輝きのまま振るわれる刃は、盾としたビームシールドの防御を切り裂き、
その手を返す刀で振るわれた逆袈裟の動きに遭わせ、敵機の装甲が両断される姿をまざまざと見せつける、と共に、空いた左腕より伸びる、連続射出モードによる偏差射撃を
敵陣前面で防御を担当する《傾城魚》(チンチェンユー)へと突き刺さる
「馬鹿めッ一方的な戦いになると思って、コバンザメを全部、《自信家》コンフィデンスにくれてやったな?お前らの弱点は分かってる。全部吐き出せば持ちうる装備はッ近接武器に偏る。」
「その隙を抜ければッ!!!」と、進み出るアハトを援護する様に、サルバトーレ=レトリバーとイングリット=ワークマンは、それぞれビーム攪乱幕を搭載した実体弾兵装を
投機、流れゆくその姿を目視して、炸裂タイミングを合わせてその基部をビームライフルで撃ち抜く。
友軍機を墜とされ反撃としての攻撃に加わった《ファーマ》は、これ以上の目標の増援は無いとみて、《アケファロス》の抜けた後をカバーする様に、
ビームライフルによる射撃戦を《傾城魚》(チンチェンユー)と共に拡散する粒子砲の一打と共に試みるが、その時には既に戦線下に、二発のビーム攪乱幕の防御が突き刺さり、
その着弾を交えて放つ獲物を切り替え、連打される
「マンマークッ!!!ツー《切り札》エース03、魚を陸に上げろッ!!!」サルバトーレ=レトリバーが吠える。通信機越しの指示を受けて、何度目かの弾倉交換を果たした
イングリット=ワークマンは、散弾から形成炸薬弾頭に変更したバズーカ砲の一打を、二機の《傾城魚》(チンチェンユー)に対して、追い込みを駆け
尽きる散弾のリロードを繰り返す。サルバトーレ=レトリバーが散弾が《ファーマ》の足を止める。二機の僚機はリロードの隙を、頭部バルカンによる曳光弾を交えた射撃と
時限信管で破裂するビーム攪乱幕の防御によりカバーしつつビーム兵器による攻撃を封ずる。
その攻防に於いて光芒輝く、機体を胸に、アハト=佐伯が突撃を敢行。狙うは、背後に控える
《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》の姿...僚機からの実弾兵装の流れ球を避ける為に、サルバトーレ=レトリバーより前進する直後に放り投げられた。
実体シールドを、機体後方部へと備え付けると、背面部スラスターの動きを止め、脚部と増加装甲から吐き出される推進剤の輝きをオーバーライド直前まで吹かせ突撃を敢行。
降り注ぐ僚機の散弾の流れ球を背後のシールドで防ぎながら、点火するスラスターの数を減らして出の突撃を技量でカバーしつつ敵陣形の戦線を越え、追い抜くと共に
《傾城魚》(チンチェンユー)の姿を追い越すと、同時に、目標を定めないまま、乱れ撃つ偏差射撃と並列励起モードを狙いを付けずに目算で放つ。
連打する実体弾兵装とビームライフルの交互の攻撃に晒され、視界が不鮮明な状況に堕とされ、脚を止めた《傾城魚》(チンチェンユー)の背面にその一打が突き刺さる。
その衝撃を以て中破するその機影に、目標の本丸たる《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》の姿を捉えるも...
そこまでだった。
「ん?」イングリット=ワークマンは、自らの機体に起きた衝撃に目を回し、攻勢に出て居たはずの自機が、いつの間にか被弾していた事実を知る。
衝撃に発動したエアバックと、その衝撃を殺しきれずに、流血し、同時に稼働するヘルメットの吸引機構の律動音に耳を傾けながら...
「被弾したのか?いつの間に????!」
・・・
・・・
・・・
同時刻、その異常は、後方戦場に於いて無数の【falcis】への対応に追われるハルズ=アルマインらにも訪れていた。
「はんッ、ネタが割れれば、何も問題はねぇー。数だけあっても、点じゃなく面で撃てば良いだけの話だ。」
「楽勝だッ!!!!」
「隊長ッ、敵影二です。《切り札》エースの奴、漏らしましたですぜ?全く赤ん坊じゃあるまいし。」《自信家》コンフィデンス02...ゼリトス=ラーデンが、悪態を漏らす。
「チッ、無口な奴も、余計なもんを寄こしやがる。俺が対応する。撃って撃って撃ちまくれ。あれだけひしめいてるんだ。適当に撃っても当たるはずだ。」
ハルズ=アルマインの指示を受けて、三機の機体が互いの死角を塞ぎ、無数の弾体とビームライフルや多銃身の連打を吐き出し続ける。
無数の光の檻にも似た、小口径とヴェノムレインによる砲撃を持ち回りで、ビーム攪乱幕を搭載した実体兵装を投棄と共に炸裂と繰り返し、
敵の攻防の有効打を思考誘導弾による一打に限定し、それをジェネレーター糾弾式のガトリング砲の弾幕で狙いを付けずに、乱れ撃つ。狙いの大半は逸れるも
通り過ぎる母艦からの砲撃と、それに相対するべく放たれる敵艦の砲撃の光が戦場に光の陰影を刻み、その光に晒され。
無数の思考誘導弾の噴射する推進剤の輝きが、狙いと付けずに放たれる。無数の弾体を避けながら肉薄する。
照準が追いきれず。弾切れを起こす僚機の隙に、火器管制を任されたコムラ=ガエルは、狙いを付けて、頭部バルカンの斉射で、その基部を撃ち抜き、事なきを得るも
「助かったッ!!」コリストス=メギトスが応え
「無駄口は良い、撃て撃て、撃て!!!」ハルズ=アルマインが、その言葉を放つ。
既に、弾薬の半分を消費しながら、依然として、存在する【falcis】の一部が、母艦に向かうかもしれない。
母艦を墜とされれば、その時点て自軍の敗北が決まる。
其の事を敵も知っているはず。今は、獲物として舐められている状況であれば、その手を討って来ないのは分るが、応射するなか目標の一部が、魚群の様にざわめきを
魅せて、離脱してどこかに向かう動きを見せ始める。
此処が正念場として、意を決して、ハルズ=アルマインは、コムラ=ガエルと共に、ディエムペルディディB型に搭載されている火器をフル活動
手にもつビームライフルの一射が、構えるガトリング砲の連打と共に吠え、背面部の砲身から延びるヴェノムレインの長く放射される光のラインが
その来歴を問いながらも、目標を撃墜し始める。
赤外線誘導式の多弾頭マイクロミサイルが吐き出す無数の弾体を目標足る【falcis】へと吐き出させる。
直進する光と放物線を描くミサイルが、目標を追う猟犬となり、次々とその数減らしていく。
その間にも、接近戦闘を試みようと後陣の戦場に到着した《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》は、操作距離を詰める事により、
【falcis】を操作する冴えを増大させるかのように、ハルズ=アルマインらの攻撃に対して、
回避と反撃の手を強め始める。
戦場を覆う無数の散弾が、薄い場所を目視する光景のなか気付くと、操る【falcis】を《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)側から見て12時方向、
ハルズらから見て6時方向、母艦の存在するであろう宙域には、流れ弾を懸念して散弾の攻撃が手薄い。
それは宙間戦に於いては、気付くべく穴ではあるが...遠隔操作ではその動きを取り切れず、気付くのが遅れた愚に歯嚙みしつつ
その数を、減らしたモノのその動きが、ハルズらの陣形の背面部に回り込むような動きを見せる。
母艦を楯にするようなその動きと、更にその半数の小機が母艦へと向かう。
前後を挟まれ、かつ母艦を狙う動きに対して、ハルズ=アルマインらが下した決断は...互いの死角を補う密集陣形による防御から、散開による迎撃。
自らは単身【falcis】を操る本体である。《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》への迎撃に向かう。
「アハ...ト、母艦がヤ...い。頭......やがれッ!!!」コードネームでの呼びかけすら忘れ、途切れ途切れの無線の中で、互いが直面する危機が顕わになる
ハルズ=アルマインの指示を受けて、母艦への防衛に向かう,ゼリトス=ラーデン、コリストス=メギトスらには更なる苦難が待ち受ける。
長期間の戦闘による集中力の喪失と共に、徐々に尽きていく弾薬や武装の数々と、追いすがるにはフレンドリーファイアーを避けて使用する火器が減衰するビームライフルへと限定される。
面ではなく点に於いての攻撃では無数に飛び交う【falcis】の姿を追いきれない。
討てる手立ては、母艦への攻撃の前に、スラスターのオーバーヒートを考慮せず、敵を追い越し、反撃に出るしかないと、
最短距離での自陣の6時方向へとその歩を進め走らせる。溢れんばかりの推進剤の輝きを魅せながら、【falcis】の群れの中を突っ切る様に進むと、
前進していた【falcis】は、その進行方向を変えて、回り込む動きを見せていた基部と共にその銃口を二機のディエムへと照準を合わせる。
無数の格子状の小口径の砲撃を、構える耐ビームコーティングの実体シールドが其の光量に晒され、赤く白熱化して、弾ける様に溶断される。
ややあて、錯乱にも似たその精神状態において、散弾による迎撃をゼリトス=ラーデン、コリストス=メギトスの二人は誘発させてしまう。
機体を傾け、必死に回避する中、徐々にその姿を弄ぶかの様に、脚部を撃ち抜かれ、機体の制動が乱れ、応射の散弾が
襲い掛かる子機に対して有効に機能する。
一方その頃、ASAPを預かる艦長は。僚機のすべてが出撃した後に、艦砲射撃による援護と自機を守るためのビーム攪乱幕の展開に終始する。
《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の機体は、一部の機体を残せば実体弾による兵装は限定的だ、数に限りはあるがビーム攪乱幕さえ張って置けば、
艦船の防御には、困らない。
だが、敵艦の攻撃を避けつつ反撃する、ASAPに於いて、この戦い初めての被弾の報が、駆け巡る。
船体に走る衝撃と、艦長のダメージコントロールを指示する。命令が奔る。
「今の攻撃はどこから来た?損傷は?」
「E区画及びF区画に命中。損傷軽微。砲身は稼働可能です。これは...散弾と思わしき、流れ弾です」次々と揺れる艦船に見舞われるそれらのに、歯嚙みしながら、
「一体あいつらは何をしてるんだッ!!!こちらに撃たせるな。」
「艦長、【falcis】の群体が、僚機の防衛ラインを越えて、迫ってきています。撤退を具申しますッ!!!!」
「ええい、そうなれば、仲間を見捨てる事になるぞ。」
「第四部隊に迎撃を打電ッ!!!!、」
・・・
・・・
・・・
「解ってるッ、こっちも限界ギリギリなんだよ。クソ、墜ちろ落ちろ、堕ちろよ。」
自軍への流れ弾を無視しての砲撃戦を展開。
「チッどいつもこいつも何してやがる。」
弾切れを起こした、二丁のライフルを時間差で投棄して、デコイとして利用しつつ、進む先に二機の機影《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》が
操る【falcis】の一打をふわりと、回避する。その手には、クリップ型のビームサーベルの煌めき、袖口とフロントアーマから抜き出した発振機構を合わせて
その長く共鳴発振を起こしてその輝きを増した、刃を以て、銃火を合わせて接近戦を試みる。
二つの目標へと向かう中、二つの刃が同時に、放たれる。襲撃する。機体と機体が交錯する。
破断する鬣の刃が、耐ビームコーティングの実体シールドに接触し、その装甲を溶断し、その陰に隠れる砲身が両断される直前に、推進機構を噴射。
機体を回転させ、一閃の隆盛を誇る流星の輝きにもにた発振する刃で弾くも、出力差により、機体が逆に押し出される。其の勢いを息を吐きつつ、
火器管制を任されたコムラ=ガエルは、可変する有線ドローンを機体後部へ収めた砲身を射角を傾け、至近に於いて、照射を開始、
翻る刃と楯としてヴェノムレインの照射を弾き、突進を加えるように《マンティコレ(獅子型)》が迫る中、
3時方向から同じく距離を詰めつつ肉薄する《サテュラル(虎型)》は発振する爪をが瞬き、
二つに分かたれた戦線から三つに分かれた戦場の中で、その死神の鎌たる刃が、満を持して現れる。
暗闇に紛れる疾駆する漆黒の蝙蝠の羽状のバインダーが、光の陰を作りながら、八方方向に展開しながら発砲する。
「「「「ブラインドアンカーッ行けッ!!!!」」」」
鼻血を垂らしながら発動される。その姿を消しながら襲い掛かる悪魔たちが一度に解放される。ブラインドアンカーの射出と共に、
アイ=アシンと比べ未熟は《聖痕》持ちである将兵たるパイロットは、その操る【falcis】の動きに精彩が見られず。
フレンドリーファイアーを考慮しない二機のディエムからの攻撃がその動きを止めた瞬間に、徐々に明確に当たり始める。
光の帯を放出しながら、乱れ飛ぶ、粒子状の鞭が、宙に踊りながらも交錯し制圧射撃の様に此方の動きを阻害するように囲い込み円周状に浮かび。光を放ち続ける。
互いに逃げ場を徐々に狭め始め、繰り返される悪夢は、
足を止めた子機は、無数の散弾と実体弾の爆風に晒され、次々とその数を減らされ、《自信家》コンフィデンス04...コリストス=メギトスディエムが保持する
左腕のビームライフルの残弾数が尽き始める
最後の一発を残したビームライフルを投げるモーションの途中で、【falcis】による三方向からの十字砲火が、直撃、
膨れ上がり装甲を溶断する一撃が貫き、駆動する腕部から生じる慣性を受けて流れるぐビームライフルの基部が、密集する空間へと流れると同時に
残る右腕から放たれるバズーカの形成炸薬弾頭による爆撃が、残された粒子とエネルギーと合わさり誘爆を果たし、散乱する残骸と爆炎に苛まれ無数の基部が、
破損する姿が、遠く離れた。望遠レンズに写る。右脚部と左前腕を喪失し、戦闘継続が困難となる中、センサーに映る残る目標は
散弾に巻き込まれ、思考誘導弾を誘爆させられ破損した親機の数6基、子機28
そして残る子機を楯にして、現存する親機が10基、子機36基、半数近い数を散弾とミサイルによる迎撃で、撃ち落とした事になるが、
その数の約半数が、来た道を戻り、襲撃を受けて応戦中の自機へと舞い戻る動きを見せる。
チッ自機も片足を喪い。《自信家》コンフィデンス02...ゼリトス=ラーデンは、僚機をカバーする様な動きを見せるも、
80発にも及ぶ装弾する弾丸の残弾が心もとなくなる。半数を落とすか?墜とさないかの状況であっても残りの残弾は三分の一、二十数発を切っている。
しかも実体兵装によるビーム攪乱幕の残数も尽き、果たし、残りの残弾で全ての【falcis】を撃ち落とすには足りない...
二手に分かれた、親機と子機を見送り、その動きに明確に、動作状況に、再びの光が灯り残りの4機の親機と子機18機が無数の砲撃を放ちながら、旋廻を繰り返しその狙いを筈す様に足を削られるも転進と機体の制動を
繰り返しながらも、徐々に炙られる溶断する閃光を掠め、破断する一撃を実体シールドで防ぎ、頭部への直撃を首を振っての回避で、外部装甲の弾装が熱量を受けて誘爆、
外装を破壊しつつメインカメラの制御に支障をきたし、急いでサブカメラへの切り替えを行った隙に、無数の弾痕に晒され、機体の各部を撃ち抜かれ、
僅かにコックピットを反れた一撃が容易く装甲を貫き、シールドの防御を担当する左腕が千切れ、ビームライフルごと弾け飛ぶ、急ぎ戻した画面に映るは、
無数の子機の群れ、装弾を終えてショットガンに込められた弾数は8つ、
無暗矢鱈と反撃の手をその手に直近の距離で発射される放射状に広がる炸薬の鋼の牙が、吠え伝え、撃滅の破を唱える。
残りの子機が、数基、放たれつ一撃一撃に巻き込まれ、機体を振り回し、射撃線が散弾の直撃で、その進行方向がぶれ、互いに砲身を向けあい、
互いを互いに撃ち抜き誘爆を発生させる。
返す刀で投射される二条のヴェノムレインの射線が、水平方向による円周軌道を描き、破断する光が頭部を完全に貫き、残る一本の脚部を溶断し、
コントロールを喪った《自信家》コンフィデンス02,,,ゼリトス=ラーデンは、
「死ねぇぇぇぇぇ、いや死ぬのは俺か?隊長、隊長、援護を!!!!」
半狂乱になりながらも、ショットガンのチューブ式マガジンに込められた銃弾を連射し、弾切れに於いても尚、その引鉄を引き絞り続ける、僚機の危機へ、援護の手を見せる
同じく片手となったコンフィデンス04...コリストス=メギトスは、片手を器用に動かし、機体に積んでいるバズーカの弾装を遠隔起動でパージ
機体前面の弾装に差し込み、片手でのリロードを行使、満載されたバズーカを片手に、推進機構を最大として攻撃に晒される僚機へと
「死ぬなッ!!!!今行くッ?あっ」
横合いから撃たれたベノムレインの一打が、無防備な左腕がらから頭部から脚部と砲身を撃ち抜き、未だ残る実体兵装が誘爆。展開されるビーム攪乱幕が、追撃の火線を
防ぎ、光の光膜を形成しながらも、機体の動きが不明瞭となる。
互いに二機づつの親機は、止めの一撃を放たんと、中破する二機のディエムに対して包囲網を形成しながらも迫り、止めの一撃を放たんと、襲い掛かる。
死に体として、至近の距離の銃身から破壊の光が漏れた瞬間に、二人のパイロットは、カッと、眼を見開き、其の残る一つの腕に、掴んだ弾倉を片手に、最後の突撃に入り、
攻撃の手段を喪った。ほぼ二人のパイロットが同時に其の行使に踏み切ると、
メインカメラを全損し、視界の防がれた不利を、コックピットを解放による目視での対応で踏み倒し、スラスターの噴射を最大として
左右から接近する親機に対し叩きつけられるは、その銃口の側面。
破裂する爆光を放ち、直近で炸裂する散弾に煽られ、破損した銃身より吐き出されたヴェノムレインの光が、其の向きを変えもう一機親機へと同士討ちを誘発。
一気にその形成を覆したモノのその大小は大きく。
コックピット内では、誘爆の余波を受けて、鮮血が舞う。狙いを反れた散弾が、擦過し、千切れ飛んだ手足が、浮遊しながら、ノーマルスーツから漏れる空気に
反応して、緊急用のスプーマ―が半自動展開、発泡状の素材がその傷ごと、覆い隠し、止血と共に痛みで意識を喪う二人の姿を包み込む。
・・・
・・・
・・・
その状況を預かり知らぬ、ハルズ=アルマインは、見えぬ死神の鎌に踊らされ、窮地に陥る。
重なる刃での防戦を繰り返し、残る兵装の数のカウントをコムラ=ガエルが担当。コンソール上に映る残弾数を眺めて
ディエムペルディディB型
ビームライフル×2、残弾0/15×0投棄し破壊された為、喪失
、
頭部外装バルカン残弾320/600、実体弾装6/12、ビームサーベル4/4、クリップ型ビームサーベル×1、
耐ビームコーティングシールド×2、一部破損
内臓、弾倉切り替え式ガトリング砲 実体弾残数400/1200、ビームジェネレータ糾弾式)×2、
有線ドローン(ヴェノムレイン)×1、多弾頭マイクロミサイルラック6/12、スラスター用の燃料三分の一、
「隊長、まだいけます。次の接触に合わせて、至近距離から全火力による一打で、一機墜とせます。」
ビーム攪乱幕の6発目の投射と同時に、
「次の接触まで、カウント10、9、8、7...3、2、1」
「零ッ!!!」
遠間からのブラインドアンカーの斉射を、無効化し、同時に突撃を行使し向かって左側から《マンティコレ(獅子型)》が、右側から《サテュラル(虎型)》が迫る。
左右から迫るその刃と刃を発振する刃を手と手で、奮い。接触する刃同士が、空いた手で攻撃をカバーする為、左腕の実体シールドと浅く触れ合い溶断した瞬間。
左右の腕を動かし、機体の動きを逸らせると同時に、盾の側面での近突きを叩き込み
コムラ=ガエルは、自らの足がこむら返りを起こし震える御脚を喧嘩する様にその拳を叩き付け、けいれんを起こし収縮し筋肉の激しい痛みに震わせながら、
その銃口の呼び水となる引鉄を一気に握り込む。
操縦桿を伝い行使されるそれらの機構に対して、直上へと放たれる多弾頭マイクロミサイルの残弾全てと、
光る爪牙が迫る間もなく盾に隠れた銃身より吐き出される無数の銃撃の雨が、至近距離の二機へと放たれる。命中する瞬間に、機体のバーニアを噴射し機体制動と共に回避軌道を描き、
《マンティコレ(獅子型)》は、罹る。火の粉を振り払うように鬣を模した発振器を楯として、左腕より伸びる銃撃の嵐が、
無数の弾痕を与えながらも直撃を回避しての防御と共に前面に姿なき翼の端末たるブラインドアンカーの盾として、封殺。
さらに接触を果たしたビームサーベルと光の爪牙を備えた《サテュラル(虎型)》は、接触と共に弾かれ、態勢を崩したと同時に、頭部バルカンが火を噴き
ビーム攪乱幕の消滅と同時に、ガトリング砲の装弾をジェネレーター給弾式へと切り替え
弄る様に照射されるヴェノムレインと併せて四発に一発仕込まれた曳光弾をまき散らしながらサテュラル(虎型)》のメインカメラが搭載されている。頭部へと集中。
弾痕を穿ち、視覚が削れていく中に時間差で弧を描き投射された。多弾頭マイクロミサイルが牽制と撃墜を目的として後退する《マンティコレ(獅子型)》へと注がれる。
火器管制を任される。コムラ=ガエルは、此処が正念場だとばかりに、搭載されている弾薬の全てを吐き出しながら、転進と回避運動を繰り返しながら、
折れた銃身をそのままに無数の銃撃が奔り、その中央値たる胴体へと着弾を観測しながらも充填されるジェネレータから供給する銃弾を銃身の限界を超えての
誘爆するその瞬間まで放ち続け、異常を検知すると同時にパージ。流れ行くその姿を見送り。空いた右腕の銃身より追撃の弾丸を放ち、
爆炎を放ち目くらましにも似た輝きを見せ、前方のブラインドアンカーの防御を抜けて、大きく迂回して飛来するマイクロミサイルの重爆が遅れて直撃、
破損する機体。千切れ飛ぶ腕部、僅かに残った、腕部と獲物を構えて突撃してくるその姿に、クリップ型のビームサーベルから一本の発振器を取り出し、
その一刀を投げ入れる様に、機体コックピットを刺し貫き、自壊し沈黙する姿を眺め、ダメ押しのビーム攪乱幕の実体弾兵装を射出と展開を終え、残る目標を見定めた瞬間に、
迫る残された子機に反応して、無防備なる二人の声が通信上で重なる
「「隊...、あ”あ”腕が、取れちまった...光が来るッ斃して...ださい...」」
「ん?《自信家》コンフィデンス02、04どうした?」「おいお前ら何か答え...」
「あっ隊長ッ前、前を」
手負いの獣となった《サテュラル(虎型)》は、ブラインドアンカーによる不可視の攻撃をビーム攪乱幕によって防がれると、看破し、
その手を降す。ディエムペルディディB型の側面と背面より忍び寄る不可視の鎌は、ビーム攪乱幕の穴である物理攻撃。
自機を叩きつける動きを見せ、一瞬の隙を縫って叩き込まれるそれにより、コックピット内部でエアバックが発動。視界が防がれる。
更に舞い戻ってきた【falcis】が、獲物を狩る小口径の銃口と無数の思考誘導弾を載せて、接敵する。前後逃げる事無く
直進し突撃してくる《サテュラル(虎型)》の姿が重なる。
そしてその刻が差し迫る。
・・・
・・・
・・・
一方、奮戦するアハトら第七部隊の面々も同様の窮地へと陥り始める
その衝撃を以て中破するその機影に、目標の本丸たる《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》の姿を捉えるも...
そこまでだった。
「ん?」イングリット=ワークマンは、自らの機体に起きた衝撃に目を回し、攻勢に出て居たはずの自機が、いつの間にか被弾していた事実を知る。
衝撃に発動したエアバックと、その衝撃を殺しきれずに、流血し、同時に稼働するヘルメットの吸引機構の律動音に耳を傾けながら...
「被弾したのか?いつの間に????!」
その異常は、前方で無数のブラインドアンカーへの対応に追われるアハト=佐伯らにも訪れていた。
「《切り札》エース03、どうした?エース02、状況把握をッ」
それは通信越しに、敵機と切り結び現状の報告を求める、アハト=佐伯の元にも機体を掠める
斬り合う勢いを殺しながら、切り合う事、数合、破断する一撃を、同時に機体を流し衝撃を殺す事により、武装の出力差の不利を乗り越えるも、
二体一の不利とさらには、何処からともなく迫る無数の火線の煌めきをその背に受けて、背面部のシールド越しに、コックピットが細かく振動する。
チッ
これは、前に見かけた見えない【falcis】か?打開策は...瞬時に、対策を立てるべく通信機越しに指示をだす。
「聞こえてるならそのまま、聞けッ敵は見えない端末を操ってる。散弾での制圧射撃で、面で凡その方向に撃てッ」
そう言えって自らも指示通りに、並列励起モードへから連続射出モードへと変更、
回転する銃身から断続的に射出される。ビームガトリングの偏差射撃を試みる。 出鱈目に狙いを付けずにばら撒かれた粒子の弾丸を吐き出しながら、
やや粗い狙いで放たれた亜光速の火線が、何もない宙空に於いて、命中を知らせる眩い光のハレーションが生じる。
その光を頼りに、アハトの指示を受け、破損した脚部による推進機構の減衰をカバーしながら、散弾弾頭によるバズーカ砲の斉射を試みる、
互いに死角を遮り、イングリット=ワークマン、サルバトーレ=レトリバーの二人は、一心不乱に、味方機に当たらなぬ様に、
制圧射撃を繰り返すも、その動きは察知するかの様に、惑わすは不可視のブラインドアンカーの冴えは、徐々に二人の機体の
装甲と装備を剥ぎ取り、無力化する様な動きを見せ、そこにノーマークとなった《傾城魚》(チンチェンユー)と二機の《ファーマ》が、
前進、射撃戦を試みながら、同時にワイヤーにより捕縛の手をかけ始める。三重の囲いとなって二機のディエムに迫る中、
アハトも二機の《マンティコレ(獅子型)》と《サテュラル(虎型)》の攻防に晒され援護へと向かえない。
その窮地に於いて、遠く離れた《ASAP》からの援護射撃が到達する。残り少なくなった遅延信管式のビーム攪乱幕の投射が届き始め。
ブラインドアンカーと通常のビーム兵器による攻撃が、展開される攪乱幕により減衰され、一手を越えて、反撃の狼煙を上げる。
一度に多数の目標を撃破する為に、それまで装填して一射毎撃ち放つ、手間を惜しみ。機体に備わった弾倉を掴み投棄を開始。
流れゆく弾倉を構えるビームライフルの一撃で、連鎖点火爆発を試み
周囲の宙域に一斉にばら撒かれた散弾の雨が、敵味方を区別せず炸裂する。
多数の機体がその爆破と散乱に晒され、一番脆弱であるメインカメラに対して亀裂を走らせる。咄嗟にイングリット=ワークマンが構えた実体シールドを傘として、
掲げ、無数の弾体から僚機共々自機の破損からカバーを行い。
同時に機体背面部にシールドを懸架する。アハトに対しても有効な援護として機能する。
接近戦とブラインドアンカーによる包囲射撃で、削り倒そうと試みる二機の機影に対して、メインカメラの破損を誘発する散弾の雨が時間差で着弾するも
咄嗟に展開したビームシールドの輝きで防ぐ。
と同時に、機体を旋回しつつ、頭部バルカン砲の斉射を、その防御の及ばぬ射角を経て叩き込み続け。突如として乱れるメインカメラの飛び込む様に亀裂が走る。
その一瞬の攻防に...馬鹿めッ、見えずとも【falcis】を介せば、近くは出来るんだよッ!!!!
「へッ?そうなの?」メインカメラの切り替えに手間取った《サテュラル(虎型)》が、その隙を縫って叩き込まれた実体剣の刃が深く深く。その機体の内部へと突き刺さると
その身を捩って逃げ惑う様に、その動きを止める。
「モぉ~馬鹿ん!!!?!!ッヘミトリー02、雑魚は良い。挟み込むぞッ」
反転する太極図の如く走り回る機影に囲まれながら
引き抜くモーションと共に振り上げた、機体を背後から転身してきた《傾城魚》(チンチェンユー)へと叩きつけると、
ビームライフルをラックポイントへ懸架しつつ実体剣に接続されたクリップ型のビームサーベル引き抜き、
オービットマインから繰り出されるそれまで蓄えていた衝撃を解放、邪魔なかつての友軍機へと開放、弾き飛ばされた機体と共に敵の獲物が吹き飛んでいく姿に
ほくそえみ、至近距離からの拡散砲の直撃を見舞おうと放つ瞬間に、突き出されたクリップ型のビームサーベルが其の頭部に突き刺さる。
沈黙する二機の機体に合わせて、その数は、徐々に減り《マンティコレ(獅子型)》とファーマ二機のみとなり、
形勢はほゞ決まったモノとして、それぞれの機体が、その手に銃火を掲げての中距離戦の打ち合いを試みるも、
最悪の一手が放り込まれる。
メインカメラを破損しされるがまま、その機体のコックピットに突き刺さったビームサーベルを抜き去った二人の目には..
其処に通信越しに聞こえる僚機らしき声が、木霊する
「「隊...、あ”あ”腕が、取れちまった...光が来るッ斃して...ださい...」」
「糞ッイングリットか?隊長...違う《自信家》コンフィデンスか?ハルズの奴は何してるッ!!!」
「ん?《自信家》コンフィデンス02、04どうした?」「おいお前ら何か答え...」
「あっ隊長ッ前、前を」
手負いの獣となった《サテュラル(虎型)》は、ブラインドアンカーによる不可視の攻撃をビーム攪乱幕によって防がれると、看破し、
その手を降す。ディエムペルディディB型の側面と背面より忍び寄る不可視の鎌は、ビーム攪乱幕の穴である物理攻撃。
自機を叩きつける動きを見せ、一瞬の隙を縫って叩き込まれるそれにより、コックピット内部でエアバックが発動。視界が防がれる。
更に舞い戻ってきた【falcis】が、獲物を狩る小口径の銃口と無数の思考誘導弾を載せて、接敵する。前後逃げる事無く
直進し突撃してくる《サテュラル(虎型)》の姿が重なる。
そしてその刻が差し迫る。
・・・
・・・
・・・
親機が戦場に残る親機6基の内、操作対象が脱落し残る4基が備えていた思考誘導弾のすべてが、一斉発射、到達するまでの時間、およそ数秒に於いて
時間差で其々の二つの戦場で炸裂する。
ん?
誘爆と直撃を受けて破損する機体に振り回されながら、放つ粒子の火線に弄られ、機体の脚部を喪った。ハルズ=アルマインとコムラ=ガエルは衝撃で
鼻血をまき散らしながら、どうにか意識を保つも、絶対的な隙となり、敵がその機会を逃すわけもなく、、捕えたビーム刃の爪が、易々と機体の右側より構えた右腕ごと溶断。
《ディエムペルディディB型》の装甲を貫き、コックピット内部を、灼熱の溶鉱炉へと叩き墜とす。流れ出る溶解した装甲が機体を操る二人に襲い掛かる。
「熱い、熱い、熱い、俺の眼があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ糞がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「イテテ、足がつった...じゃない...えッ...足が無い...」と声を上げながら
残る左腕で、コックピット内部に鳴り響くアラートが未だ生きている機能を叫びあげながら、残ったヴェノムレインによる火線の一撃
勝利を確信し油断する敵機のコックピットへ照射する。
・・・
・・・
・・・
切迫する戦場に於いて、後方の機体が流れる視界に端に大破する二機の僚機が見える...その表面には...第七部隊を顕すトランプのジョーカーの徽章
薄れゆく意識の中、迫る敵の姿を視認し、僅かに動く右手を動かす。
その何もない空間に於いて、何かが爆発する光が、瞬いた。
その時同時に三つの戦場では、搭乗者の危機に半自動的に展開されるスプーマの泡が、熔解する装甲の穴と消火。そして、その中心地にいる人間の傷を塞ぐ蓋と化す。
ドゥ・シーテ=コウナッタは、艦長である《ソルテム=マーラム》へと僚機への救援を具申、未だ続く艦隊戦では、依然としてその数の不利はいかんともしがたく
連絡を途絶えた僚機を戦死と断定。
撤退の選択を取ろうとする。
「そんな事させるものか?だが艦載機は、予備部品で組み上げたディエム一機だけ。機体があってもパイロットは居ない。」
逆転の手立てはもうこれしかない。と、ドゥ・シーテ=コウナッタは最後の手段として、ASAPの発射するミサイルの弾頭に...禁じられた手を使う。
不調でオーバーホール中のディエムの核融合炉を無理やり接合し、急場しのぎの手段として、取って置いたその一打の使用を
艦長の判断を待たずに。装填、第二管制室からの火器管制を行使、
艦橋内では、ん?どうした?その艦長の問いに、オペレーターの一人が答える
「それが、第二管制室から...あっ勝手にミサイルが一発撃たれました。」
「なんだと、誰だ?目標は何処だ?」
「目標、敵、駆逐艦及び哨戒艇。距離。40000、35000、30000、25000、20000...10000、0、着弾しました。」
遠くで眩い限りの光の光点が浮かび、そして何かが消え去っていた。
「目標沈黙、他の敵影無しです。」
「良く分からんが危機は去ったという事か?だが誰か?第二管制室を写せ...ドゥ・シーテ=コウナッタ?どうしてこうなったのか聞かせて貰うぞ。」
通信機の受話器を取ると、耳に当て、艦内の衛士へと連絡し、命令無視を行った男の確保を指示をするが、
この窮地一体どうすればいいのか?その答えを持っていた誰かは、もうすでにこの世に居ない。
...
...
...
「うわ、ひでぇ、全滅かよ。顔が崩れてる...誰だよ。」
戦闘で負傷した七人の人員は、時間差があったモノの次々と船外活動用の小型舟艇により救出。
ガラガラと担架に乗せられて、急ぎ医療室へと運ばれたモノの乱雑にバケツに入れられた血みどろで所々炭化している手足を抱える
医療班は、まるで塹壕戦の後の様な諦めの空気が流れ始める。
その空気を押しのける様に、ドゥ・シーテ=コウナッタは、艦長からは人手が足らず処分保留とし、その貧乏くじを引かされるも
その対応の追われる表情には、追い詰めれたモノ特有の狂ったような笑みが宿り、
「エピネフリンとフェンタニルは?」
「もう打った?」「打ちました。この手と足はどうすれば?」「医療室のメディカルポットの数が足りません。此処はR.I.Pや、エンゼルフィッシュじゃないんだ簡易的な備えしかない。」
乾いた笑いを含んだ。女性士官は困ったよう苦笑いし掌に乗った眼球を指さし、「あの...これは?」と問いかける
「欠損部位は、スプーマの泡を完全に落とさないで、処理をするまで、保存できるから。取り違えない様にラベルを張って
直接氷に触れないように保存液に満たされた二重底の...。アイシングパックに詰めて置いて、あとで再接着手術に使う。」
「でも、この状況誰を?優先すれば?というか此れ誰の部位なんですか?」
絶望にも似た感情の発露を抑えて、ため息を吐くも、
「僕が。トリアージする。最初は、一番重症のハルズ大尉で、他は、重症度によって、トリアージタグを張るから其々手術台、メディカルポットと医務室のベットに寝かせて置いて。」
「必要なら、輸血と追加のフェンタニルもッ!!!!」
「えっでも、こんな事した事ない。手術って一体誰がするんですか?軍医は、避難中に被弾個所に巻き込まれてMIA(戦闘中行方不明)ですよ。私は嫌です。」
血みどろの廊下を嘔吐物が汚し、泣きそうな顔で、崩れかけた部位を素手で掴む医療班の愚に対し、
其の後に誰も、そこにある物体を生きものではなく、唯のモノとして無言で運び込む人が続く
激高する力もなく、唯々、無力感に苛まれたまま、ドゥ・シーテ=コウナッタは、
天を仰いでこれからの苦難に立ち向かう為、頬を叩いて気合を入れると、一人奮戦する。門外漢の整備兵は、一言決断する様に言葉を吐く
「マニュアルは一通り読んでる。メディカルマシーンで、サポートを受けながら僕がする。」
...
...
...
手術中を示すランプが点灯する中、その作業は粛々と進んでいくも、
早速一人目への処置を試みるが、「ダメだ、傷口が炭化して繋がらない...どうすればいい。」
ふと脳裏に、且つて暇つぶしに、まだ船体同士の戦術リンクにより共有化されたデーターベースの中に
興味深い一文を見つけて居たことを思い出す。
「前にデーターベースで見たアレが使えそう?あれは確か、身体の欠損を補い、神経接続による機体操作を実現する為の基礎工学に関する研究で...」
※2026年4月3日修正
「既に試作品の開発を終えて、格納庫内の倉庫に放置されてたはず。」
「これならいけるッ!!!」と
其の事を思い出し、悪戦苦闘する作業の中、それをこの場で流用する事を決める。呼び出した端末には、何故か重症患者用の適用手術を行うべき
マニュアルと半自動化された実行プログラムが用意されていた。
渡りに船として、方針を再建手術から180度、義手義足用の換装手術へとその方針を転換する。
手術は数時間にも及び、その間にも残された部位の損壊と劣化は進み、再建不能ラインを越えて逝く。
それでも孤軍奮闘するドゥ・シーテ=コウナッタは、その困難な作業を終え、不眠不休で72時間、ほゞ独りでその処理に従事していき、
その間に艦長である《ソルテム=マーラム》は、次の問題に対して頭を悩ませている。
艦載機のほゞすべては、欠損若しくは破壊され、大破の憂き目にあっている。艦載機を喪えば、敵に見つかった時点で終わりだ。
しかも先の戦闘で、艦船のジャイロセンサーや海図を司る装置に不調が出て、今ここがどこかすらわからなくなっている。
目標は、L5のミーミルへの帰還がベストではあるが...そこで、周囲をセンサーで索敵し、小惑星が浮かぶ一角への退避を選択。
しかし、激戦を経たパイロットたちは、凡そ其の手足を喪い、一縷の望みは再建手術の成功だけだ。戦力が大きく欠けたこの船に明日はあるのか?
そう思い悩む《ソルテム=マーラム》は、嘆く暇もなく、船を進ませる判断を降すも、嘆息しつつ
「だれか何か妙案はないのか?」誰も答えぬ沈黙の中
其処に医療室からの報告が上がり、通信オペレータが、その報告を読み上げる。
「やった!!!手術は成功...えっ但し、再建手術は、一部を残して、破棄。今は安静を最上として、急激な船体移動は避けるべき。」
「時間を稼ぐために、暗礁領域で、磁性を発する。小惑星体が近くにある。どのような理由で補足されているのかは不明だが、歪む質量による重力と磁性領域を隠れ蓑にしての猶予が必要と具申する。と、です。艦長如何しますか?」
艦長は良いニュースと悪いニュースが混在化したその報告に頭を悩ます、再建作業が失敗したとなればパイロットとしては復帰は、絶望的だ。
そうなれば戦う術を喪ったこの船は墜ちるしかない。
天を仰いで、自棄になって、貴重な水を一気に仰ぎ飲む。
何も打開策を撃てないまま、ドゥ・シーテ=コウナッタは、残された希望に駆け、既に独断で指示していた鹵獲した敵機の状態の確認へと向かう。
その奮戦するドゥ・シーテ=コウナッタを案じる余裕は、他の誰からも失われ、無謀なるその行動を止めるモノも居なかった。
其れから数週間...
何事もなく、過ぎる状況の中に於いて、目を覚ました第四、第七部隊の面々が自らの身体に起こった事実と向き合う事となる。
且つて伊達男と浮名を流した男は、野性味あふれる伊達男を標榜する様な表情から、頬は痩せこけ、片目を隠す様にたらされた片目は、頭部の側面を生々しい火傷で
髪の一部が焼け焦げ禿げ上がり、虚無の空洞を映すその眼窩は、本来収まっているであろう、淡いブルーの瞳が、その手足の一部と一緒に喪われた事実を無言の内に知らせてくる。
その姿と無情なる体面を果たした。男は、その理不尽と悲劇にと無惨な己の姿に激高し、自らが映る鏡を残された左腕を叩き付け、叩き割る。
それでも怒りは収まらず。癇癪を起す子供の様に、モノに当たり散らし、看護担当する衛生兵に、水差しを叩き付け、激高する。
滴る鮮血と零れる水を眺め、額に手を当て庇う。女性士官の姿は、無力感と惨めさに震える。
「どうして、俺がこんな目に...。誰の所為なのか????どうして俺だけがッ!!!!」
ぎちぎちと、金属製の義手が音を響かせ、立つ事すらままならぬその且つてそろっていた両足は、何も支える事も出来ずに倒れ込む
地を這い。嗚咽する男は、唯々己の身に下されたその結果に、反意を以て答え続ける。
同じくアハト=佐伯も、同じころ、自らの姿が映る鏡を叩き割っていた。血の滲む手からあふれる血潮で、憎しみの声は漏らさぬ者の
「…」無言の怒りが放射され、誰も、その近く付くことすら憚れるほどの狂相を見せ、憎しみの視線で無傷のこちらを見てくる。
その手も、顔も、手足も皮膚も、一部欠損し、且つて、比較的幼く見える東洋系の仄かに、無口で柔和な表情を備えた二枚目の顔から、
そのところどころから、悪魔の手に触れて焼け焦げたように、酷い火傷のが見える。
七人全てはその顛末に対して異を唱え、激高と自分達と比べて五体満足で生きる誰かの姿を、憎しみの目を向け、
もう二度とパイロットとしての再起が叶わぬ事を知る。
「こんなおもちゃを付けられてもッ!!!!」
割れる水差しが、差し出された貴重な食事が、崩れ行く身体を支える事もなく床へと散乱してく。
更に、好意からリハビリを促すその声は届かず。無為に時間だけが過ぎている。
計画を独自に策定し、行動するドゥ・シーテ=コウナッタは、電子カルテに映るその惨事を眺めて何度目かの嘆息する。
《自信家》コンフィデンス01...ハルズ=アルマイン、右腕及び左足、右、片側眼球欠損、頭部及び上半身に裂傷及び重度の火傷多数。顔の再建手術は...
《自信家》コンフィデンス02...ゼリトス=ラーデンディエム、両腕及び左足欠損。火傷多数
《自信家》コンフィデンス03...コムラ=ガエル、両足欠損、下半身に重度の火傷と内臓の一部の機能喪失、排泄に難あり。
《自信家》コンフィデンス04...コリストス=メギト、右手、右足欠損。火傷多数
《切り札》エース01...アハト=佐伯、左腕及び右足欠損、顔や体中に裂傷及び重度の火傷多数
《切り札》エース02...サルバトーレ=レトリバー、下顎及び右腕、および右足、喪失、重度の火傷多数、脊髄損傷による神経異常と歩行不備、若干の意志混濁が見られる。
《切り札》エース03...イングリット=ワークマン、両腕の全指欠損、片足喪失。重度の火傷多数、脳内に破片混入を確認。摘出不可。
各自は、幻肢痛に苛まれ、鎮痛剤への依存高し...歩行と義手の操作訓練は...
・・・
居並ぶ結果に眼がしらを熱くして、これから窮地を乗り越えるべく更なる一手を試みる
問題は継続戦闘を行うにしても、先の戦闘で、大量のビーム攪乱幕を撃ち尽くし、弾薬や装備品に欠品が見られ始める。
まだ少し猶予はあったはずなモノの、艦船に貯蔵していた水や燃料と共にフレンドリーファイアーによる船体への損傷により、
そのいくつかが、外部へ流れてしまった。
今から回収するのは、不可能。どこかで補給をせねばならないが、現在地も補足できず。人も物資も時間も何もかも足りない。
そこで、戦術データリンクで、確認しダウンロードしていた情報を元に大破した。
《ディエム》に《ディエム ペルディディB型》と《ディエム ペルディディC型》の損壊された機体を鹵獲した《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の資材と部品を使い
現地改修を試みる。果たして僕に、彼やコーディー=スルー上級技官の様な、仕事が出来るのだろうか?
いそげいそげ、負傷者の処理を終え、機体の改修を始めるぞと。ディエムペルディディを最優先で損壊した機体を仕上げに掛かる
機体が足りない余剰パーツを組み上げたディエムにも同様の改修を行い
足りない部品は...そうだ、先ほどの戦闘で撃墜したついでに調査の為回収した機体の残骸があるはずだ。
碌な休憩も挟まず酷使するドゥ・シーテ=コウナッタは、手足を喪い。戦う術を持たぬ彼らに今一度、天を翔ける翼を与えんと、
その作業に勤しむ。
何も言わずに、その作業に追従する整備兵たちに感謝の意を示し、その作業は、数か月の長期間にもわたる時が掛かるモノの一度の完成を見せる。
《ディエム ペルディディB型》は残る左腕をそのままに、アイジェスが戦場で作成した多銃身ライフルを手に
副座から単座への変更を見せ、その喪われた片手は、
右腕と左副腕《サテュラル(虎型)》より移植し、右副腕には《ファーマ》の姿、
そして完全に喪失した脚部は、且つての戦闘で鹵獲回収した《ササボンサム》の脚部を接合
一部胴体部分及び装甲とシールドに《傾城魚》(チンチェンユー)より移植した射出機構とオービットマインを貼り付け、
背面ユニットを《マンティコレ(獅子型)》より移植、その威容を眺めて
同様に
B型と対照的に《ディエム ペルディディC型》は、残る右腕をそのままに、その喪われた片手は、左腕と右副腕《サテュラル(虎型)》より移植し、左副腕には《ファーマ》の姿、
そして完全に喪失した脚部は、且つての戦闘で鹵獲回収した《ササボンサム》の脚部を接合
一部胴体部分及び装甲とシールドや実体剣の刀身に《傾城魚》(チンチェンユー)より移植した射出機構とオービットマインを貼り付け、
背面ユニットを《マンティコレ(獅子型)》より移植、
残る五機のディエムに対しては、破損が酷く、オービットマインの破片を張り付けた替えのシールドを製作するも、修復を断念。
後は何かのブレークスルーを待つ事となる。
最後に、義手や義足をを介しての神経接続デバイスを設置し、そして同じ処理を施す。
そして、戦場の一線から離れ、ささやかな平穏を享受するASAPに、その牧歌的な、光景の最後が訪れる...
それは、何となく始まり、そしてその異常事態が、艦内全体を覆うには、それほど時間を有さなかった。
「ん?」
「おいどうした。早くしろよ。」
「いや、おかしいんだ。なんか自動調理機の動作がおかしい。いくらボタンを操作しても、料理を吐き出しやがらねぇ。」
「こんな時に故障とか勘弁してくれよ。休憩時間が終わっちまう。」
ガチャガチャと、苛立ち紛れに荒い操作を繰り返す先頭者を見かねて、
背後に並んだ、同僚が、変わって、「どれ貸してみろよ。」と、操作を引き継ぎその事実に目を見開く...
「故障じゃない...材料が、食材が切れてやがる。まったく管理して奴は?なにかんがえてるんだか?」と
「しかたねぇな、掛け合ってくるから、俺の順番取って置けよ。」
そう言いさして、バックヤードと向かう兵士は、調理場で酔いつぶれている。担当者に掴みかからん勢いのまま、クレームを付ける
「おい、自動調理機の食材のストック切れてるぞ?めんどうだが、補充をするから、さっさと出してくれ」
「はぁ?食材の補充だって?そんなもんねぇよ。」
「はぁ????!なんだそれ、どういうつもりなんだ?」
無言で、大型冷蔵庫を指さし、その管理を預かる者が管理する鍵をその権利を放り捨てるかのように、
喰ってかかる兵士へと渡す。
「なんだよ。此の酔っ払いがッ」と悪態を吐いて、冷蔵庫の施錠を解放。そこに広がるのは、無惨なる光景、
本来であれば乗組員に振る舞うべき食材の姿が、どこにも見当たらない。
「おい!!!なんの冗談だ?嗚呼そうか分かった。酔っぱらったついでに物資の搬入を怠ったなぁ。」
「上官と言えど見過ごせないぞ?確か予備の貯蔵庫は、E区画だったよな。台車持ってくるから...」
「E区画は先の戦闘で破損して空いた穴からどこかに出て行っちまったよ。」
「はぁ?何言ってるんだ。本体から離脱してから三ヶ月ちょっとだろ?いくらなんでも最低でも...三か月は持つはずだ!」
「それが、前回の戦闘の被弾で、一部が喪われたし、その三か月のタイムリミットが、来たんだよ。」
やや、ヤケクソ気味に語る責任者に、喰ってかかる青年は、
「じゃぁなんで、配給を絞らなかったんだ?調整すればッ良かっただろ!!!!艦長は何してたんだッ!!!」
「調整はやってたさ。ただし、艦長から要らぬ心配と混乱を招かぬ様に、限定的な対応を指示されたのさ、艦長は今も艦長室でぶるぶる震えてるよ。」
「ここから動けば。敵に見つかる。随伴機の乗り手を喪った俺達には戦う術がねぇ。」
「どうにか、救援を求めて通信を試みては見た物の反応は無しの礫さ、だから俺にはもうやる事が無い。」
「ふざけんなッどうするんだよ?!」
・・・
・・・
・・・
殺到する兵士たちを艦橋を閉鎖して、船を預かるクルーが艦長抜きの対策を話し合う。船の乗組員の不満は爆発寸前。
まだ救いがあるのは、水と空気は、未だ尽きてないという事実ではあるが。その残量は心もとない。
ここは、一か八かの賭けにでて、付近のコロニーや駐留基地を目指すべきだと、するが、依然として船を預かる艦長に動きは見られない。
だが其の賭けに乗ろうと、決断するモノもおらずただ時間だけが過ぎていく。
そして、その引鉄を引く瞬間が刻一刻と迫ってくる。
食料が尽き、船内では屍累々を示す状況に於いて、とうとう命を繋ぐ...が途切れる瞬間が訪れる。
蛇口を捻るも流れ出る液体は、唯の一滴も零れず。そして徐々に...の密度も減っていく。
「おい、嘘だろ?!」
その事実に崩れ落ちる一人の兵士の姿を見送り、唯一人その力づよい足取りで、どこかへ向かおうとする人物の翳が踊る。
その一歩一歩の足並みは、縋りつくように助けを求めてくる同僚の手を振り払い。
ただ脳内に過る嫌な予感を感じ取りながらもそこへと向かう。
格納庫のドッグに起立する二機の機体の様子を見に来たドゥ・シーテ=コウナッタは、その光景を見て驚く
一足先に、コックピット内には、操縦桿と義手と義足の接続を試す。ハルズ=アルマインの姿が見える。
「何をしてるんですか大尉?」
そう語りかけるドゥ・シーテ=コウナッタに対し、答える
「この糞ったれな状況を打開するには、俺がこいつに乗って戦える様にならんと、いかんのだッ!!!そうでなければ...餓えて死ぬ。」
「大尉、実は、僕も、この状況を打開できないかと、此処に来ました。」
「なんだ?素人のお前には戦闘は、無理だ。」
「解っています。それのこの機体は大尉達様にカスタマイズされてて他の人には動かせません。」
「私が問題としてるのは、この事です。」
と、屈みこんで、顔が触れ合わんばかりに接近、コックピット内のコンソールを操作し、手早く、隠しコマンドを入力。
「お前は俺のこの顔が怖くないのか?一体何をしてやがる?」
「怖くないですよ。僕大尉のその顔好きですよ。」
「俺は妻帯者だ。子供もいる。」
(知ってる...でも僕は。)
「僕が、この数か月こいつの整備と改修を行って気付いた事があります。敵から鹵獲したこのジェネレーターには、機体の動力とは、違う、本来とは別用途があります。」
「それは、破損して鹵獲した《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の機体を調べる事で、判明しました。」
「運よくコックピットが破損せずに、ハッチだけが破損した機体がありましたからね。」
「どうやら生体認証によって起動する方式の様ですが、運よく死に立ての遺体があった。お陰でこの通り。」
ピッっと音を立てて、《ディエム ペルディディB型》から勢いよく酸素が排出され、そしてパネルを操作するごとに、生成を知らせる表示が映る。
「ん?これはなんだ?」コックピット内へと零れ落ちる何かが落下する音が響く。
それは何の変哲もない戦闘糧食の包み紙、意を決して袋を開き、久方ぶりの食料の匂いに、鼻をスンスン慣らして、かぶりつき。その芳醇な甘みを含んだ食料に
舌鼓を打つ。
「おい、お前も喰えッ!!!うまいぞッ!!!こいつにこんな機能があったとは?でかした!!!!これなら、生き残れるぞッ!!!!」
「部下たちにも教えてやらんとな。」
「はぃ、是非ともそうしてください。」
その口を糧食の食べカスで汚しながら、未だおぼつかない足取りで、コックピットより這い出して、産み出された糧食を片手に去って行くハルズの横顔を眺め、
呟く。
「大尉...。この罪は僕が全て持っていきます。」
徐に服を脱ぎ始めるドゥ・シーテ=コウナッタは、短く切りそろえられ流れる様に揺れるショートヘアから香るその滑らかな女性的な肢体を誰かに魅せ付ける事もなく、その姿を外部から見えない様に
一糸まとわぬ身体となって、そして、コックピットへと進み。
そして二度と還らなかった。
彼女は知っていた。それが何を意味して、そしてその結果がどうなる事かを。
此れから後の事実は、艦内に設置されたカメラと集音マイクによる断片的な情報となる。
...
...
...
「ん?あいつはどこいったんだ?まぁ良いか。」
「大尉、何があったんですか?こんな大量の食糧をッ!!!空気も水もないって状況なのに。」コリストス=メギトは、その手に掴んだ食料を頬張り、飲み下していく。
「いくらでも出せるぞ、さっき、変換対象を酸素に変えたからな、早晩へばっている奴らの目も覚めるだろうよ。」
得意げに饒舌となったその口滑らかな、言葉に障りを含ませ、疾く走るは、どうしてなのか?食べれば食べる程、飢えを感じる。
「おい呼んで来い」
「でも、大尉。もう既に、事切れた奴らが何人か居たはずなのに。いつの間にか?姿が見えなくなってる?」
「いいさ、脱出艇が何隻か無くなってる。どうせ、既に逃げた奴らの事は良い。これで俺達はまだ生きられる。」
映る光点をふと視線を落とすと、ハルズ=アルマインは、呟く
「ん?燃料のインジケーターが...?なんだ?どこで補充した?まぁいい、あって困る事も無いからな。あるだけ喰っちまおうさ。」
コクピットの中には、まだ温もりの残る脱ぎ捨てられた衣服と、一枚のラベルが目立たぬ場所にひっそりと張られていた。
喩え畜生道に堕ちたとしても、貴方と共に...
たどたどしい、母国語ではないであろうその文字を一瞥して、日本語の読めないハルズ=アルマインは、それを乱暴に剥がすと、
久方ぶりの笑みを見せ、仲間たちへと、晩餐を振る舞い始める。
自らが何を喰んだ事すら知らずに、そして深く深く深淵に浮かぶ暗闇に自ら堕ちていく事となる。
・・・
場面は暗転し、絶え間ない晩餐の夜は更け、時計の針が日を跨ぎ、尽きかけた空気と水。そして食料を食み水を得た魚の如き
行動を御する。
尽きかけた物資を次々と生み出す魔法の釜は、予め設定されたかの様に、喪われたディエムの部品すら供給し始め、飽食の宴を経て
息を吹き返した船員たちは、窮地を脱しさせる。
更に数週間の時を経て、とうとう、血色を取り戻した艦長は、この隠れ蓑の宙域よりの離脱を選択するも、
離れてから数時間も経たないうちに、敵船による攻撃を仕掛けられる。
応対するは、二機の機体のみ。義手や義足に関しての操作は、それまでの時間の間、繰り返し慣らし運転を行い。
まるで自らの身体の様に、操る術を得ていた。
弾薬は、まだあるな?《人喰い》との戦闘には、ビームライフルだけでは対処できない。
ビーム攪乱幕の補充が不可欠だ。走れッ!!
陣頭指揮をとるドゥ・シーテ=コウナッタを喪い、度重なる襲撃と、人員の欠員に苛まれ、
敵の使用する内燃機関と思われる機器に打開策を見出し鬼気迫る手で、武器弾薬の生成を試み。
その魔法に、一切の疑いもなく飛びついた。
絶え間なく続く戦闘は、その理由も分らないまま、繰り返される。装備を満載した二機のDiemPerdidiは、
襲い掛かる敵を屠り続け、予めどのような事を想定して、装備されていたのかわかないが、恐らくそれを操るモノが
飢える事など、無い様に備え付けられ、その機能を使う事を前提にその機体は構築されていた。
捉えた四機編隊による《サテュラル(虎型)》、《傾城魚》(チンチェンユー)、《ファーマ》、《グヤスクトゥス》による小規模勢力を
危なげもなく、屠ると、
ディエムペルディディの頭部、開口部を開き、その罪深き燃料を、解放された口腔へと流し込み、捕えた機体より
何かを飲み干す様に注ぎ入れ吸入する。
あと残る問題は、破損したディエムの補修だが...依然として、物資の補充には事欠かない、餌は、物資は、幾らでもこの空気も水もない宇宙空間において、
自由自在に生み出せる。
その頃には爛々と輝く瞳には狂気の光すら覚える。そうして組み上がった改修型のディエムらと共に、
《人喰い》を狩り続ける猟師が静かにその誕生を魅せる。
幾度目かの戦場を経て、すっかりと、その魔法の炉が生み出す。餌に魅せられた。第四、第七部隊の面々は、
破損した機体を補修する為に、急速生成により粗目に作られたディエムの部品の一部に、人の耳らしき残存物を見つける。
そして、ある一人が、乾いた笑いを「はッはッはッはッはッはッはッはッはッはッ」呟く。
呼、こんなに簡単な事だったのか?破損し大破したディエムの代わりとなるは、その不思議な炉より産み出される素材を代用品として
修復作業に必要な、物資、素材、燃料を吐き出し続ける。
魔法の釜。
いつの間にか消えた整備兵...脱ぎ捨てられた衣服から、その結末を想像するには、さほど時間がかからなかった。
その時には、既に、倫理観よりも飢えに対する恐怖と、その依存性によって、物資が尽きる度に、その行為は繰り返される。
次第に、その行為を正当化し、動かなくなった死体や、戦闘に必要が無いと判断されたモノたちが
次々とMIA(戦闘中行方不明)と、なって姿を消していく。
そしてその場に残されたのは、無数の脱ぎ捨てられた衣服と、食べ散らかされた包装紙の山。
其れは、人を捨ててその使途不明な材料を以て喰らう何者かが産まれた瞬間。
その陰惨なる姿を目にしたものは、この記録に残そうとした何者かの意図が含まれる。
自動編集で最後に記録に残されたメッセージは、■を■■■...その言葉に、アイジェスは...瞠目しかつての光景を思い出す。
...
...
...
戦闘行為から、一先ず僚機達との合流へと舵を切り、今一度の邂逅を優先する。
安全空域へと、移動し、各機の整備及び破損状況を確認する中、《エンゼルフィッシュ》の機内の中で
久しぶりに再会した第四部隊と第七部隊の面々は...。
其れ迄、ヘラヘラとしていた。男達の顔は、アイジェス達の負傷者無し、MIA(作戦行動中行方不明)無し、それどころか
何処か明るい雰囲気のその光景を一頻り眺めると、突如激昂する。
「はんッぅん?なんだその腑抜けたお遊戯大会は?」
ハルズ=アルマイン...。
それこそ…お前の方こそ、一体何があった?
且つて一緒に闘ったその男は、野性味あふれる伊達男を標榜する様な表情から、頬は痩せこけ、片目を隠す様にたらされた片目は、頭部の側面を生々しい火傷で
髪の一部が焼け焦げ禿げ上がり、虚無の空洞を映すその眼窩は、本来収まっているであろう、淡いブルーの瞳が、その手足の一部と一緒に喪われていた。
ぎちぎちと、油の切れた金属製の義手を響かせながらこちらに歩いてくる。
なにか見慣れない糧食を口にしながらこちらに向かってその言葉を激昂する様に叩きつけてくるその男に、一体何があったんだと?問いかける言葉を呑み込み。
同じくアハト=佐伯は、「…」無言を貫き、憎しみの視線でこちらを見てくる。
その手も、顔も、手足も皮膚も、一部欠損し、且つて、比較的幼く見える東洋系の仄かに、無口で柔和な表情を備えた二枚目の顔から、
そのところどころから、悪魔の手に触れて焼け焦げたように、酷い火傷のが見える。
其之面々は、押しなべて何らかの重症と呼んでも差し支えの無い負傷をしていた。
「第六部隊は?どこだ?」
「ああ、アイツらは地球に堕ちたよ。あの後どうなったかは知らねぇよ。お前らと違って、こっちはあれから大変だったからな。」
(機体は破損するし、燃料や弾薬が付き、食料も尽きた...それを...。で補い。なんとかコロニー迄帰投し、ここまで来た。)
「なんだと...」
「なんで、無防備の侭、落ちた筈の《お調子者》(ストゥルティ)が、なんで生きてやがる?」
「どうやら平和ボケしたようだな。」
此処にくる途中で二機のディエムペルディディの姿を見たが、二足歩行の人型だったそれが、V8気筒の頭部が健在なものの大きくその形を変え、
脚部はササボンサムの足長な其れへと変り、増加装甲とシールドに使っているあれは、オービットマインか??
更に背面には、独特なテールユニットと、黒い板状の部品が隠れし、
いつの間にか、非対称系のボディへと変ったそれと共にサテュラル(虎型)や多数の様々な腕部が互い違いに乱暴に取り付けられ
その異様な二対の腕部には、且つての機体の面影を残す武装を保持している。
機体各部に使用されているのは、ざっと見た限り恐ら破損した機体を
《傾城魚》(チンチェンユー)《ササボンサム》《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》《ファーマ》etcのクピドレスの部品で、ちぐはぐに補強したのだろう。
その激戦の傷跡が、負傷した二人の姿からでも確認できる。
「そっちも...大変だったみたいだな...」「拙者たちも大変だったでござるよ。」
「はんッ、なんだ?どこが大変だったんだ?負傷者も欠員もなく、まさに、ボギー1様様だな、これで俺に勝ったと思うなよ。」
「お前が今生きているのは、お前の実力じゃない。偶々運が良かっただけだ。」
「ここに来るまでの間に辞令を受けたついでに、報告を受けた。偶々、性能の良い機体を貰っただけじゃねぇかよ。それで己惚れるな。」
その様子を眺め、改めて目の前で確認したその事実に、心の中では穏やかでないアハト=佐伯は、以前から抱えていた疑問が氷解する。
俺ばかりか?ハルズ=アルマインや大石さん達を撃墜した。ボギー1が奴ならば、今までの戦果も分かる。だがそれを隠していたことに憤慨する
始めから知って居たら、こんな無様な結果にはなって居ない。体中に浮かぶ火傷の跡を思い浮かべ
「…」
沈黙したまま睨みつける。
「甘ちゃん野郎たちに俺達の苦労が分かるか?そのまるで全て自分のお陰だという傲慢さが気に入らねぇ
吠えるハルズ=アルマインに追従し、
「…不問にされたと言え、それで自分の方が上だなんて思うな、俺はまだ負けてない...」
アハトは、言葉短く告げる
「そこまで、嫌われる謂れはないんだがな?」
「はんぅッそれは、貴様が常に、勝利を喝采を得てるからだ。負けた人間の気持ちはわからないだろ?」
「さぁなぁ、俺にも一度も勝てない相手なんて、それこそ彼女を筆頭に、いくらでもいたさ。」
ん?なんだ?と訝しむもその言葉に憎しみの視線を叩きつける。
「いや何でもない、もし仮に、お前と違う点があるならば、勝つことなんて、念頭に置かず。」
「ただ、自分の遣るべき事をやっていただけだ。」
「何度、負けたとしても、真正面で、この両脚で、立ち上がり、そもそも誰が上か下か、勝ち負けなんて知るか!それを決めるのは誰でもない。」
「自分自身だろ?」
「そもそもそれを言ったら、お前だって俺が持っていないものを持ってるだろ?」
「違うのか?」
「他人を羨む前に、自分の両手に乗っている物の重さを知れよ。」
「なんだと、前々からその態度が気に入らなかった。すべてを持っているのにまるで自分は何も持っていないですって、卑屈でお気楽な態度が気に入らねぇんだ。」
「俺はてめぇが嫌いだ。その腑抜けた面を撃ってやりたいぐらいにな?」
苛立ちまぎれに言葉を叩きつけ、憎しみを込められた人差し指を向ける。そして改めてその事に気付く。こいつがボギー1だったと、何も知らないような顔して舐め腐りやがって…
俺は、こんな奴に負けたのか?あの時もこいつが居たら???こんな無様な結果になってなかった。
「お前がいなければこんな結果になって無いんだよ。」
そう吐き捨てた、ハルズ=アルマインとアハト=佐伯の二人は、機体の整備状況を確認し、改めて出された辞令に抗議するべく
ブリーフィングの準備を進めていた。会議室へと怒鳴り込んで行く。
怒号が響き渡り、そしてその声に驚きながら二人の幼女が、春幸の手を左右からにぎにぎして、なんとかその声に泣きそうになるのを堪えて立ちすくむ。
いつの間にか現れた青葉が、それを背後から、抱きかかえ、優しく抱き止め、
バツの悪そうな表情の侭、一同は、一旦頭を冷やす為にも、食堂へと移動する。
作戦会議については...遠隔参加で、後の対応はヴェニ=ヴィディキへ一任する事にする。
俺が間に入ったらまとまる事もまとまらないからな。
其処に、もしゃもしゃと見慣れない糧食を食べる。スタッフらしき男を、
アンザスが、(。´・ω・)ん?にゃにやら美味しそうなものたぶてますな?
と、「それどんな味でござる?拙者もご相伴に...」と、話しかけたその相手は、
咄嗟に、食べていたそれを隠し持ち、
「これは俺んのだやらんぞ!」と飛び退る
「えー拙者の秘蔵の地球さんのお菓子と交換ずっこせん????」
「男尻さんッ駄目です。絶対にあれ食べないでください。」メッっと、何かに気付いた青葉の注意を受ける。
「すまんな。気にしないでくれ。」
そう言って、止めたモノのその男は、いそいそと、食堂から離れてしまう。
「えーしょんなぁ~」
「アンザスさん、なにか他のモノ食べながら、将軍さんのブリーフィング聴きましょう。」
そう言って両手に幼女を抱えた春幸とそろって、端末を使用して、出された熱々の唐揚げを頬張りながら
その話を聞く。
「そういえば?春坊はともかく、他の子供達も結局、宙に上がって来たのでござるか??」と、もしゃもしゃと咀嚼する男尻は、問うも
「「春兄ちゃんといる―!!!離れ離れやー。」」
「ほほぅ。」
「まぁ、コロニーが墜ちて来るなら、宙に上がっても地上に残っても危険だからな。落下想定地は、計算上本部に直撃するらしいしな。」
はふほふと、食しながら、画面に、ヴェニ=ヴィディキの姿が映し出される。
周囲をひと睨みして、何かを探すも、何かを確認できずに、落胆するも、気を取り直して、説明を始める。
それはアン・フォール・へヴン作戦の概要を説明した後の話となる
「大尉なにかね?」
「何故、俺達の機体の使用許可が下りていない???」
「大尉、それは既に説明した。あれの技術は、人が触れて良いモノではない。あの燃料は...人だ。これ以上あの動力炉を使用する訳にはいかない。」
「だったら何故、あんたらは敵の技術を使っているのか?既に燃料となった者たちは還らない。ならば有効活用する方が良いだろうッ!!」
眼を爛々と輝かせ血走った眼窩を見開いてその蒼い眼で睨みつける。
「緊急措置として、機体そのものの使用は許可しよう。問題は...動力炉だ。新型のそれと換装して使用するように。」
くっそッそれじゃ…が、糧食が喰えないだろうが?!
「(。´・ω・)ん?何か言ったかね?」
それでは、本命の案について、語ろう。
・・・
・・・
・・・
ごめんなさい。それでも僕は、貴方に生きていて欲しかったの...唯、貴方を見てた。
そんな想いに気付かない貴方を私は...
長い、永い、その声と雑音塗れの声に、アイジェスは何とも言えない顔で、隣で再生を待つ仲間と共に、
凡その事の顛末を知る。
あっぶねーッ、拙者...アンザスは、言葉を漏らし
アイジェス語る。「そうだな。一つ間違って居れば、俺達もあいつらと同じ道を辿っていたかもしれない。」
「ごめんなさい。私がもっと早く話せば...」
「青葉、自分を責めるな、それとなく警告を出してくれていたんだろう。話題に出しにくい話だろうしな。」
しかし、その断罪は、降されている。手を差し伸べる必要があった何者かの姿はもう居ない。
今更零した水は還らない。
それでも...
・・・
・・・
・・・
消えた息子を捜索する三方に分かれた仲間たちはそれぞれの裁量を以てその闘いを続けている。
UD1990年(西暦4015年)3月1×日
L1からL2への航路の途中に点在する無数の宙域に存在する。中継ステーションに於いて、併設するダイナーと補給地点でもあるその場所で、
スカーレットヒップの旧第三部隊の面々と、久方ぶりの再会を喜び話の華が開く
ぱんッぱん。手を鳴らして、注文を促すイゴールに対して、アンザスは、問う。
「隊長、なんかキャラ変してません?」
「いや、アンザス。これはファンサービスだ。というかスポンサーから、隊へのスポンサー縛りだ。」
「それが毎年毎日してたからな、何事もイメージ戦略が大切って事だよ。貴君も元気そうでなによりだ。」
「まぁな」気だるそうに答える。アイジェスらの元に
呼ばれた店員が注文を聞き取りに来る。
「拙者は丸ごとプリケツぷりん一つ。」
「ハンバガーセット肉厚エディション三つ」
「俺はステーキを。」
「私は、サラダセットで良い。」
アンザス、イゴールら三名、アイジェスに青葉が次々とメニューから注文をしていく。
何の障りのない、現状報告を互いに交えながら、注文したメニューが届くころ
漸く重い口を開いて、イゴールが話しかける。
「世間話はこれぐらいで本題だ。」
「話は、それで、捜索状況に変わりは?」
「すまんな、依然として、進展は無しだ。今日は、提案がある。」
「ん?なんだ。」
「春幸がMIA(作戦行動中行方不明)となってから、もうすぐ一年が経つ、そろそろ諦めて、前を向く時期に来ているのではないだろうか?」
「戦線は、あいも変わらず、安定してない。大きな動きはないものの、敵の勢力の凡そは沈黙を守ったまま。」
「どうやら奴らは、コロニー間の連結を阻害して、味方に付くか、敵に回るかの二択を、各コロニーへの恭順を求めて、活動しているきらいがある。」
「俺達の所属するL2コロニー群にも、働きかけが、いくつも舞い込んでるらしい。」
「それで俺達にも帰投命令が出てる。」
「そうか大変だな。」
「原隊に復帰してくれないか?」
「悪いがあいつが見つかるまでそれは無理だ。」
「なぁ?死んだ人間を見送る方法は、貴君も知っているだろう?」
「生きてる人間が、食卓を囲み、笑い話をして送ってやる。」
「且つての戦場に置いても同じ事をしていたはずだ。」
それは...とアンザスは言葉を詰まらせ、且つてのドーナッツビックチャレンジを思い浮かべる。
鈍ッっとテーブルを叩くと、ゼラチン質の固体と液体との中間の流体が、ぷるぷると、男尻が揺れる様に
震える。丸ごとプリケツぷりんが、その衝撃で跳ね。
その緩やかな流動体がアンザスの顔へと飛び込み、ぴしゃんと音を立てて張り付く。
其処に唐突に、ダイナー内に設置されていた映像投影機に、ニュースが舞い込む
焦るアナウンサーは、映像内で、突然舞い込んだニュースの状況説明を行い始める
「UD1990年(西暦4015年)3月15日未明、マレディクト首席ソォンナ=コッタネーの死亡が確認されました。長距離レーサー通信による報によると、黒い王冠を持つアンノウン(Unknown)に展開した艦隊ごと撃沈された模様。」
「詳細については不明ですが、場所は、L2コロニーアイリスです。」
「尚、その戦闘の余波によりコロニーアイリスは崩壊直前まで、破壊されていたモノの、一転して、崩壊する事なく、結晶体らしき物体に包まれながら、まさかの復興作業が始まったともこと。市民に関する死傷者と行方不明は、未だ確認されず...」
「首席を喪ったマレディクトは、首脳部を喪い。戦線の維持に問題があるかと思われましたが、次席への権力の移譲はスムーズに行われ、その残された戦力の一部を再編成し、反転攻勢の準備を試みながらも、その摩擦は徐々に小規模化、軽い散発的な、戦闘を繰り返すのみとなって居る模様。」
「続いて、地上での戦闘は、多数の国家が連携しながら、今も続いており、激戦地区となっている坂東に於いては...リン=山崎...が、保持する《アングレイル》により
戦線を維持しながらマレディクト側の攻撃を迎撃、逆に大打撃を与えつつ、有利に進めており...」
「詳細は判明次第お伝えしたいと思います。続いてのニュースは...」
其の報は、電雷の如く伝来し、そして地上と宇宙に置いて反転攻勢を仕掛ける。Carpe diemとマレディクトの両陣営に、衝撃を走らせる。
戦力と資材の増強の為、首席が立ち寄ったL2宙域のコロニーアイリスに置いて、マレディクトの主力の一部が喪失、
崩れかけたコロニーは、崩壊直前に置いて、まさかの粘りをみせ、復興の火が灯る。
その頭を喪ったマレディクトは、頭部を潰されたプラナリアの如く、その残された戦力の一部を再編成し、反転攻勢の準備を試みながらも、その摩擦は小規模化し
軽い散発的な、戦闘を繰り返す事となるが。それは、また違う話。
其処に示された事実に、アイジェスを椅子から飛び起きると。隣のアンザスと青葉に対して、
「おぃ!!!」「おじさんッ」「アイジェス殿」
「一体どういうことだ?」
熱々のステーキにフォークを突き刺し、乱暴に食いちぎり、一気に咀嚼すると。
「あいつが生きているッ!!!!俺達が向かう先は。アイリスだッ!!!」
顔に張り付いたプリケツぷりんを一呼吸で吸い込み、同じように食する。アンザスの姿に
お前ら行儀が悪いぞ、器用に食べるなッ?!と感心する感想を述べるが。
青葉は、私も食べる?!時間が惜しい、「イゴールさんッ、サラダは代わりに食べててくださいッ!!!!」
急ぎ去って行く三人を尻目に、残された元第三部隊の面々は、苦笑しながら、テーブルに並べられたハンバガーにかぶりつく
「はは、弔いは、空振りだったみたいだな。」
「愿你前程似锦(ユエン ニー チエンチョン スージン)」あなたたちに前途洋々たる錦が輝きますように...
「まぁ、ミスルギ、フォイマン...そうあって欲しいものだな。これで事態が動く。俺達もこいつを処理したら向かうぞッ!!!」
・・・
・・・
・・・
時間は、暫し戻る。
「なぁ、ユズリハ...あの歌は君の唄だろう?」
(…)
うん...そうだよ。
うん、うん、そうか...沢山話したい事があるんだ。君は聞いてくれるかな?
時間はきっと、まだあるはずだから、いつの間にか喀血する事もなく、行使した力を胸に、崩れ行くアイリスを止め、
コロニー内部から次々と現れた、守備隊や補修部隊が出撃をその行為を見守り、互いの思考がその胸に去来する、その想いを受け取りながら、
飛び立ち、一目散へと彼女が待つ元へ。
その目視する姿は、天を翔ける、無冠の王。その戴冠を知る者は体感、一人しかおらず。
どこにいるの?と呼びかけ、声はか細いながらも、不明瞭な耳にも、優しい声音で届き、進む。
そして、其の日、日を跨いで、二人の姿は、暫しの間、かき消え、
ひと時の逢瀬をへて、ふと気づく、あれからどれだけ時間が立ったのだろうか?エクィタス達が来ている戻らなきゃ...
良いのかい?エクィタス=ユースティティアは、傍らの少女に話しかける。画面越しでその表情は預かり知らぬが、意気消沈しつつも、前を向うと藻掻く。
「あれは、彼女の詩だから...」
「そうかい...顔を合わせないのかい?」
「うん、生きてれば良い...」
「そうか、ならばしばらくの間付き合うよ。昔話をしながら、詩を吟じて。無聊を慰めよう。」
そして、未だ復興の手が緩まぬ、コロニー内へと、向かい。
去り行く、アンリミテッド(Unlimited)の姿に、電文の通信を贈る。
[君は星を見つけたんだね。ならば僕が証人だ。選んだその手を離さない様に。準備もあるだろう三日後、コロニーの宇宙港三番出口で待つ。]
[ここに君らの新しい門出を祝する。天道を如く両天秤より]
去り行くその姿は、少し寂し気で居て、それでも凛と透き通る空気を産み出しながら、稼働するコロニーの運動に合わせてできた陰に隠れて、暫しの休息を得る。
…
二日が過ぎ、故郷が、復興する姿を目には見えないけれども、手伝う意義と義務があるからと、コロニーの修復作業へと参加するが、どうやら奇異の視線を感じる
漂う空気感を感じ取り、仮に彼女を自宅に残したままだと、前回の戦闘の様な状況になるかもしれない。一番此処にいるのが安全だと、
彼女を機体に乗せつつ、作業に従事する。
未だ人ではなく、モノに対しての視認感覚を上手く得られず、ユズリハの指示をガイドとして
コロニーの船体を補強する部材の運び出しや、威力を絞ったヘイロン《黑龍》による、アーク溶接の光で、作業を試みる。
未だ傷痕の残る故郷において、既に行方不明者の捜索と回収は終わり、残りはコロニー本体での大幅な改修作業になるが、それは僕の仕事ではない。
今日の作業はここまで、そう言って、機体を傾け家へと帰ろうとした瞬間。
機体のコンソール上に、危険を知らせる反応が見える。
何事かと、「チェック。問題点を洗い出し、情報の提示を求む。」
「音声認識による指示を受諾。」独特の機械音声を奏でながら、かすかに耳に残る音声を頼りに、次に何が起こるかの事実に驚く
「位相空間固定アンカー、一番に共鳴反応を確認。ゲートが開きます。キャンセル可能時間まで60秒。巨大な船体を確認。安全装置が働きました。周囲にスペースを作ってください。」
ん?まさか?!「センサーの出力を絞り周囲を捜索。スペース及び、周囲の機影を確認。問題が無ければ一番を右前方へ射出。」
「音声認識により指示を受諾。周囲に艦影、機影無し、射出します。」
コロニーの外縁部、中央からやや離れた後方部の宙域に於いて、其れは熾る。
何もない空間を越えて、懐かしい一年近く見て居なかった。輸送船とデスペラード...《アンチェイン》(Unchain)の姿に、ほっと胸を撫でおろし、
安堵するも、さて、ここ一年近く連絡が取れなかった事実にどうして説明したものかと頭を捻る。
それを見かねたユズリハは...「あたしも一緒に怒られるよ。」と笑みを浮かべる。その表情を、空いた手を掲げ、ヘルメットのシールドを開けて、そのなだらかな表面を掌でなぞる。
「こうすれば、顔の形も分るよ。」
そして、含みを含んだ悪戯な笑みを感じ取り、春幸も釣られて笑みをこぼす。
そこにあるのは、約一年ぶりの家族との再会。
あるいは涙を浮かべ、笑い。そして若干のバツの悪さを感じながらも、二人は前へを向かう。
暫しの邂逅後に、機体をロシナンテへと収容し、艦艇の内部で、機体を格納庫のハンガーに
収め、開いたコックピットに向かい。
同じ様に格納された《アンチェイン》(Unchain)から抜け出したであろう、人の声と足音が
開口部へその声が反響して、その到来を待つ。
「春幸ッ無事か?」「春君?」「春幸殿?!」
「その声は親父か?青葉さん?やぁ、久しぶりだね。元気してた。」
「元気してたかは?こっちの台詞だよ。ってその声は、そこに居るのは?ユズリハちゃんか?」
「この状況一体何が??!」
「おじさまお久しぶりです。」
「嗚呼、久しぶりだ...とりあえず状況を説明して貰えるか?」
「解ってる、とりあえず、此処は船の内部って事で良いのか?起き上がるから、手を貸して貰えるか?親父。」
「ん?良いが...」
その焦点が定まらない目を眺め、何度もコックピット内を何度もその壁面を手で押さえて、起き上がろうと藻掻く動きに違和感を感じ、
手を差し伸べ、掴んだ手と手を掴み、其の目を見ると、ヘルメット越しで感じた表情に焦点が合ってない事実を感じ取り、
「春幸?もしかして目が見えてないのか?」
「嗚呼、どうやらそんな感じだ。耳も少し不自由だ。理由は追々話すよ。」
「だが、良く戻った」
力強く掴まれたその手の平の温度を感じながら、久しぶりの再会を喜ぶ。
・・・
場所は一転し、「狭いところですまんな。こいつには、食堂や会議室なんて気の利いたもんは無いからな」と、コックピット周りの座席に座りながら、
状況についての話を行う。
「あれは何か月も前の話。働いていた研究所が出していた研究船が、救難信号をキャッチして...この機体を見つけたら...」
「春君が...でも、発見した時は、酷く衰弱して、目も耳も聞こえない様で...」
「そうか...外洋航行中のアイリスの研究船に拾われたのか?そこに偶々ユズリハちゃんが、居て、保護してくれたんだな。ありがとう。」
「ずっと守ってくれていたんだな。」と、深々と頭を下げて礼を述べる。
いいえ、いいえと、手を振りながら、恐縮する少女を他所に、アイジェスは言葉を続ける
「お前が見つかったというと、ユミナリアちゃんと、エクィタスにも、伝えないと二人ともお前を探すって、単独で探索に出て今も行方が...」
「それならば二人とも、近くにいる。三番宇宙港で、落ち合う予定だ。」
「そうかなら、お前にもう一つ言わなければならない事がある。アイが...行方不明になった。」
「えっ???どうして...」と言葉をつづけようとして、その事実に思い至る。
「ごめん、気付いた時には、ハルナさんの乗機を奪ってどこかへ...」青葉が言葉を引き継いで、アンザスが、プリンたべる??と、その柔らかなその身を
消沈する春幸の頬に張り付け、ぷよぷよと「落ち着こう???」
「そうか...きっと俺が行方不明になって、MIA(作戦行動中行方不明)で、みんなの気がそれた隙に、逃げ出したんだな...」
そう言えば碌な精神的なケアが出来て居なかった。
「Carpe diemの勢力圏であれば、見つけ次第保護して貰える様に手配をしているが、あれから十数か月。その行方は分からない。」
「そうか。あの娘も無事だと良いな…」
「でも、春幸殿?敵将を討ち取ったらしいですな?その目で如何様に???もしやユズリハ殿が?操作して????」
「嗚呼、それは...目は見えないけど、五感の感覚で、周囲の状況を把握してるんだ。未だ、十全と発揮しているわけじゃないか。中々上手く行かない事もあるよ。」
「解ったあとで、メディカルマシーンで、体調の検査をしておこう。本格的なのは《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)と、合流してからだな、」
「えっみんなは一緒じゃないの?」
「嗚呼、今は、みんなバラバラだよ。《R.I.P》は戦線の維持に、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、ユミナリアと、お前を探しに、それぞれが別行動だ。」
「そんな...」
「そう気にするな。お前がこうして戻ったんだ。また元通りになるさ。その身体を含めてな?」
「一先ず、二人と合流してから今後の指針と進路を決めよう。あと、お前の事を探してくれた人達は、多い、後でお礼を言って置け。」
「嗚呼、分かってるよ。親父。」
...
...
...
「UD1990年(西暦4015年)3月18日 アイリス 三番宇宙港
コロニーの外観補修作業が、続く中、予定航路とCarpe diemが示す身分証を提示しながら、厳かな面持ちで、輸送船が宇宙港へと侵入していく。
その光景を、港内のラウンジでぼーっと眺めているユミナリアの目にも飛び込んでくる。
「あれは、おじさんの船?って事は、春君と合流できたのかな?」
「その様だね。時間だ。君も行くかい?」
「私は...今まで歩いてきた事を顧みる事が怖い。」
堀の深いギリシャ彫刻の如き其の容姿に当てられ、ラウンジ内では次々とおじさんが
体内に孕みを含んだ鈍痛を覚え、次々と、化粧室へと続く人の連なりを作りながらも、
二人の様子を伺い。視線が収束し、そして事態は一切の終息を見せないまま、
大量のおじさんが、今私の事言った???と疑問顔のまま、列を為す。
何も為さないおじさんは、一斉にこちらを見る。
我関せずとするエクィタス=ユースティティアは、解ける様に綻んだ、笑みを浮かべてその手を取る。
「さぁ、何も怖い事などないさ、お嬢さん。このまま傍に居るか、別れるか?という名の君の決断の時は近いよ。」
「君はどうする?」
「私は...」
・・・
・・・
・・・
UD1990年(西暦4015年)4月1日...
三月の中ほどから数週間後経過したその日に、更なる。合流を果たしす。
停泊する艦船の艦橋にて、春幸と背後に控えるユズリハを前に、
「そうかよ、彼女はそう決断したのか?何故それを止めなかった?それに生きてるならもっと早く連絡で来ただろ。」
《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)を操り、報を受けて集った外崎、領五、そしてハルナ山崎三人は、再会を果たし、
外崎を先頭に、打擲する様に、激しく問いかける。
「彼女は、結局船を降りたよ。家族も一緒にな。」
「まぁまぁ、ちょっと、外崎君ッ、まだ春幸君は、目が見えないんだよ。なんにしても生きてて嬉しいよ」
「でも、なんでまたそんな事に?」
「うーん、生きてたのは良かったけど、なにこれ修羅場かな?」ハルナ=山崎は、状況になじめなず狼狽えながらも、言葉を吐き
詰め寄られるまま、何も言わない春幸に対して、捜索の護衛として随伴していた改修型のディエムを操る名も無き兵士は、
ノーマルスーツのヘルメット越しに、言葉を投げかける。
「若人よ、どうした?深くは聞かないが、離れ行く人を引き留めても、人の想いは止められない。」
「無理に引き留める事で壊れるモノはある。他人の恋愛ごとに、当事者でもない関係ない奴が、口を出す事じゃない。そう言った場合
往々にして事態を悪化させる。」
「でも、さぁ?」
「ん?あれ、ユズリハか?お前ッまさか?説明しろよッ!!」
事態を見守っていたエクィタス=ユースティティアは、事情を説明するか悩んだ末に、
「其の人の言う通りだよ。関係ない第三者の不用意な介入により、完全に天秤の秤が大きく傾いた。全ては元の位置に戻っただけだよ。」
「詳しく説明したとして、何かが変わる訳でもなく、寧ろ傷を広げる結果にもなりかねない。」
「だから彼は沈黙を守っていた。また、関係ない誰かが原因でバランスを崩したいのかい?」
「それは?公平を期する両天秤の名に懸けて?か?」
「そうだ。両天秤である僕が証人だ。」
「そうか...オペレーターは、ユミナリアから、ユズリハに変更って事で良いな?」
「こりゃ、船内の親父たちも、馴れるまで暫くかかるな...やれやれだ。彼女らなりに仲良くやってたんだがな。」
「艦長の帰還だ。シートの席は空いたままだ。座れや。両天秤。」
「わかったよ。」
「どうやら、問題は解決したみたいだな。云っただろ?無事だと。君たちの仲間の無事も確認できたし。俺の仕事もどうやら此処までだ。俺達も、上手いビーフシチューを喰うさ。君たちの往く道行きに幸あらん事を」
其処の言葉に、はっとなる。ユズリハを他所に。
「これまでの護衛ありがとうございます。」領五が代表して謝意を伝え。
「それで兵隊さんはこれからどうするんですか?」
「ここはL2宙域のコロニーだからな、戻ってくるスカーレットヒップに拾って貰うさ、他の奴らも同様だ。」
退出していく兵士の姿を見送り、格納庫の隔壁を開き、四機の改修型ディエムが、去って行く。
ユズリハの最初の仕事は、その彼らに対して、外崎の指定する内容で、これまでの協力へ感謝する打電を打つ事だった。
その最後の文章に付け加えた言葉は...
[友人へのこれまでの護衛に感謝を、そしてあたしと彼に時間をくれてありがとう。]
「ん?なんの事についての話だ?」
「嗚呼、多分、俺達を労っているのさ、気にするな。」
「へいへぃ、次の戦場は一体どこなんだろうな?」
見送る艦橋に置いて、微かにラベンダーの香りをさせる不思議な兵士の姿が見切れていく
「あーあー結局あの人、名前すら教えて貰えなかったな。」領五が、惜しむ声を上げるが、
「まぁ、縁があれば、また逢えるだろさ」と、外崎が続く。
「各自、機体チェックと、補給が終わり次第、発進準備に入る。其れ迄ユズリハは、マニュアルを一通り見て置けよ。」
去り行く君に、花束を...君の行き先にも、願いを載せて...
作業を終えて次第に、宇宙港から離れ行く環境から見える風景を流し管制室とのやり取りを終え
天の外洋へと漕ぎだしていく、
「ところでおじさんと、ロシナンテはどうするんだ?」
「このまま行くってさ、こっちにはアンリミテッド(Unlimited)だけで、おじさんたちは、そのままで、次の目的地は、本体との合流を見据えて検討する。」
「首脳部の方針によるが、このまま本拠地であるL5コロニーのミーミルへ向かうか?それとも別の場所に転進するのかは?スカーレットヒップとは事前に連絡を取ってるけど、
一度、長距離レーザー通信で、Carpe diem本体にコンタクトを取って決めよう。」
「ユズリハ君、行けるかい?」
「はい。」
公平の両天秤たる青年は、問いかけ、それを基として、事態が移り変わっていく。
Carpe diem本体は、春幸の生存とアンリミテッド(Unlimited)の現存を確認。
戦線は安定、兼ねてよりの計画通り、此れより、本体は、ミーミルへの進軍を開始する。至急、援軍を送られたし...
友よ、無事の生存を心より欣喜に絶えず喜悦に咽ぶ。
早い合流を求む。
祝杯は、親父と一緒でコーヒー牛乳で良いか?
「ふっ現金だなぁ、まぁ喜んでくれるなら悪い気はしないだろうがな、エクィタス次の進路はこっちで良いよな。」
「外崎君、それで問題ないけど、一応地上の坂東にのリンさん達にも報告をッ」
「解った自分達の治療が発端だから気に病んでるだろうし。ユズリハ頼む。」
たどたどしくも確かな打鍵の音を鳴らして、通信文を打電。
長距離レーザー通信を行う為に進み出た後に続く返信は、風雲急を告げる。
「こちら、リン=山崎閣下直属、坂東政府。貴君の生存を言祝ぐ。又の再会を望む。
現在の状況だが、突如として理由は不明だが、マレディクトの活動が活発化、防空網を抜けての進軍を確認。
敵陣に語られぬ者らしき反応が見られる。
健在であれば、アンリミテッド(Unlimited)ならび《アンチェイン》(Unchain)による援軍を求む。」
...
「おい、これ、エクィタスどうする?また二手に分かれるか?」
ややあて悩み。
判断を迫られるも、再度の分断を良しとせず。
「ロシナンテも出航してるはず。おじさんに連絡を取って、判断を仰ぐ。」
・・・
「そうか...そんな事になっているのか?」
春幸の姿を見失ってから数か月から一年未満の時間、準備する時間はあった。
各種武装の喪われたり不調を起こしていたモノの修復と整備は既に終わっている。
アイジェス機と春幸機が無くとも船体による高機動を可能とする為の
艦船用の大型の《ヴルカヌス・ツインテール》の追加装備は既に船外に設置済み。
ややあて逡巡しながら、その決断を降す。
共鳴発振を利用しての位相空間固定アンカーを利用しての跳躍で、
元第二部隊面々の窮地に救援を贈る。
アンリミテッド(Unlimited)ならび《アンチェイン》(Unchain)を先行させ、
対応後、再度のとんぼ返りでミーミルへの決戦へと参加する。
と、強行軍を提案。
「春幸、目が見えない以外の不調の確認。ロシナンテでのチェックでは問題点はテロメアの減少共々
問題は見受けられなかったが、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の医務室でも最新器具でのチェックが問題が無ければ、連れて行く。」
「異常が見受けられれば待機だ。ユズリハちゃんは、専門家らしいからな、しっかりと見て貰え。」
・・・
「たく、親父は心配性なんだから。」
「ってそんな事言っても目が見えてないんだから心配するよ。本当にそんな状態で戦闘出来るの?」
「領五は心配性だな。普段はこんな感じだけど機体に乗れば問題ないよ。」
「なぁユズリハ」
「あたしも、ちゃんとチェックした方が良いと思う。」
そう言って肩を貸して向かう医療室のドアを抜けて、医療キットによる簡易検査と共に
メディカルポットによる検査を試みる。
検査結果が出るまでには数時間...
領五とアイジェスは、地上戦に於いて持っていく武装の種類を吟味し、整備の最終調整に余念がない。
持っていく武装は...地上の重力と各種条件を考慮して、
《ナインライブス(Nine Lievs)》と《ヴルカヌス・ツインテール》をデスペラードに、
ワイヤー(ロケット)メイスや各種武装を格納した巨大な複合装備インサニア・テルム(狂気の凶器)を新たに用意。
更には、凡その装甲を喪い。丸裸状態の機体に《ハンマーブレーカー》と《ラッドチェスト》や、他の装備類から搔き集めた様々な増加装甲を暫定的な装甲として装着、
一通りの準備が終わる頃、春幸のメディカルチェックの審査が終わる。
結果としては、五感の不調の原因は不明。以前から見られていたテロメアの欠損は、やや減少傾向が見られるモノの回復の兆候アリ。
《アンキャストダイ》(Uncast Die)の技術を応用した機材を使用すれば、延命は可能と出る。
その結果に、アイジェスは、息子の参戦を承諾。
最初に取り決めた内容通り、坂東での戦線への援護介入へと向かう。鏡面界を作り出す、位相空間固定アンカーを潜り抜け、
向かうは地球おいて地上に残してきた。位相空間固定アンカーの子機を通しての現出に、
突如、坂東中央省庁の格納庫では、突如として現れた二機に驚くも、事前に説明を受けていたリン=山崎は、混乱を収め、
再会を喜ぶ。
「アイジェス、春幸、二人とも壮健で何よりだ。まずは、あいつらを救ってくれてありがとう。だが、恩ある身なれど、君の捜索に協力が不十分だったすまない。」
「気にするな。俺だって自分の事じゃなかったら同じことをしたと思う。」
「そう言って貰えると助かる。ありがとう。今現在の戦闘区域は、本州東北地域、マレディクト支配地域の名残の基地があった場所に突如、敵の機影が多数あらわれた。
開戦から半日、詳しい状況は陣頭指揮にあたっている。あいつらの話を聞いてくれ。」
通信越しの会話の中で、久々の会話の中で、現状と必要な情報を受け取ると早速向かおうと、現出してからの格納庫からの出撃を果たす。音もなくスルリと進み出る。
飛翔する姿を天を眺める無数の人の目が視線を泳がせ仰ぎ見る様に一点を眺めて見送り、
その姿に歓声が上がり、その声を受けて、二つの流星は、北へ北東へとその進路を移す。
互いに行使するは、飛天を泳ぐ光の流動体と化す。
《デケム・プレセプタ》による僅か十秒前後で行使する亜光速による移動を繰り返し、
先行して到達した瞬間、共鳴発振する、位相空間固定アンカーによる鏡面移動を行使、
未だ、数多くの僚機達が奮戦する戦場に置い追いて、
陣頭指揮を執る。元第二部隊の面々は、崩れ行く戦線を前に、自らの出撃のカードを切るか思い悩む。
《ルカヌス・ウラヌース》と複数の《カルペ・ディエム・アスキック》を並べ本陣を形成する陣容に於いて仰ぎ見る派。
そこに天より駆けつけた二機の機影
そして通信回線を開き、問いかける様にその視線に対して答える
「こちら、援軍要請に応えて参じた騎兵隊だ。送れ。」
「その声とその機体、ドン・キホーテとスノードロップか?行方不明って聞いてたが?壮健なのか???」
ソウハ=クワナイは、驚きの声をあげ?
「嗚呼、久しぶりだな。その様子だと無事だったみたいだな?結局、俺達が復帰するまで、足を引っ張ったな。俺達、元第二部隊の面々は、誰一人欠ける事無く復帰した。」隊を代表して秋桜=アーデルスワットが言葉を引き継ぎ
「未だに尻の穴の置き所と所在は怪しいけどな。」
「それはお前だけだろッソコニ=アルナ。」
「未だに残る問題としては、誰が隊長と結婚するって話なんだが...まぁ、恥ずかしながらみんな生き残っちまったからな、暫く殴り合いで決めた順番で、一年ごとにローテーション組むことにした。」
「いや、それでいいのかよ?」
「生憎この国では重婚は認められてないし、子供もいるから、誰かが父親にならなきゃならん、まぁ其処ら辺の問題は、殴り合いで決めるさ。」
「それにしても、俺達が見捨てた事を気にしてないのか?」
「嗚呼、別にそれは気にしてないMIA(作戦行動中行方不明)の対応としては、一ヶ月も探してくれたら御の字だよ。必要な対応だと思う。気にするな。」
「で、戦局はどうなってる?」
「俺達の兄弟が、どうにか戦線を維持してたが、旗色が悪い。」
「反応を次々とロストしている。恐らく奴だ。奴がまだ生きてる。」
禍々しいまでに誇る。剣葬する突起を機体各部より生やした。その一部その目に見覚えのある
且つて《セカンドアーブル》にも同様に包まれた機体を覆われていた異物と、
あの束の間の邂逅で目にした、それは暗闇よりも暗澹とする、装甲に、ホワイトシルバーの縁取りと光輝く深緑の色鮮やかな稜線を描く線が奔る。
その機体は、壊されぬ者ではない何者かの姿...
破顔する表情の如き仮面をかぶったその頭部には、排熱する機構が見え、
大きく捻じれた二対の異なる角とツインアンテナ、機体各部には、盾の如き装甲板。
背面部の二対の副腕(脚部にもなる)の内、上部の副腕が握るは、大型の自立する大型楯の背面武装。
主腕と残る背面下部より伸びる副腕には、二対の凶器、
それぞれ二丁の銃身と一対の両刃を構え、その力を振るえる狂喜、喜び獲物を探し、
漸く、逃げ場のない領域へと追い込み荒ぶる御霊を解放する。
見知った機体色と形状を誇った何かは、無数の機体を蹴散らしながら、接近を感知する。
放つトンファーライフルと、実体弾装の射出攻撃による。
濃密な、銃撃の囃したてる、祭囃子にも似た攻撃が、無抵抗の様に見える
その一機のみの機影に突き刺さるが、何の影響も破損も見せないまま
光の陰影が、曇りなき青天の天の下、山麓が西側より突き出した山の東部には広大な平野部が広がる
且つて岩手山と呼ばれたその山近くで繰り広げられる戦闘は、その鋭敏な反応と人体を模したかのような軌道を以て四ケタまで迫る。無数の《アングレイル》が今も尚奮戦を続けているが、
此方の攻撃は一方的に通用せず。
打開策が撃てないまま、数時間が経過、今に至る。
次々と破壊されていき、戦線の維持が難しくなるが、それでも兄弟たちは、守るために
自らを時間稼ぎの駒として、消費される事を許容し、
そして場面は暗転し別の苦難を呼び込み戦場に於いてはその身に期するは、無数の六角形状の装甲を誇る
やはり何かに似た見慣れたその姿に、
その余波は、地上での勢力図にも、徐々に影響を及ぼし始めるも、扇動する悪意の芽は、今も尚、その成長を止める事無く、悪果の実を結ばんと暗躍する。
嗚呼、そうか...俺が奴に勝てなかったのは...全て奴が本来俺達が受けるべきではない咎を負わせ、何故のうのうと暮らしている平和ボケしたその頭で
脳髄、そしてその背骨から産み出される反射行動が見せたのは、全ては奴がズルをしていたからだ。
本来、俺が受ける賞賛も、財貨も全て、全てだ。
その脳内に響く声に、虚偽と真実がない交ぜとなった意識と言葉が交じり合う。真っ向から異を唱えしは、真っ向からその声を受ける。二人の親子の姿。
「俺達は誰も、ズルなんてしていない。唯、自分の仕事をして、その機体に応えて信頼しただけだ。」
「お前達の相手は、俺達がする。」
「親父、敵の反応が今まで見た感じじゃない。敵味方識別コードがおかしい。コックピット内部でも
同型機の接敵を知らせるエラーとアラートが鳴り響き続けている?他の語られぬ者の新手なのか?
だけどこの反応は撃墜したはずの機体を指している。が、データとの整合率は七割を切ってる。」
「これ以上の殺しは容認できない。」
接近と共にその鼻腔に香る香りは且つて嗅いだ腐臭にも似て居たがその香りは、今までに嗅いだモノよりも一層血や、臓物と糞尿を混ぜた悪臭にも似ていた。
堪らず鼻を抑えるが...
「はっん?なにを言ってやがる。こいつらに命なんてねぇだろうが?久しぶりだな、お前らの所為で俺は、この有様だ。」
「お陰様で、棺桶程度の居心地のコックピットから抜け出す事すら出来る(出来ねぇ)姿になった。」
「喩え何人死のうが辞める気はないがな?はっはっはっは。哭けよ(笑えよ)。この有様よぉ。」
まるで問答すら拒絶する様に語る男は、
「バンデラスッ!!!」
「はっこの期に及んでその名を呼ばないのかよ(呼ぶかよ)。お嬢ちゃん。」
同時に、何もない空間に、その理を断つように、目の前に違う風景が接続され、何かが集団を引き連れ現れる
(…)
「おいアハトこいつら、これ以上殺すなだと、俺達は殺す為に戦ってるんだよ。何様のつもりで居やがる。」
「じゃぁ、お前らは、人を殺しては逝けない理由を知らないんだろうよ(知っているんだろうよ)。その現実主義の(甘ちゃんの)考えで、納得しないでも(納得させられるとでも)思って居やがるのか?」
現実の交戦前の口上として、やり取りが行われる中、繋がる思考と思考で、互いに舌戦を繰り広げる。
※2026年4月3日以後、一部修正
(観たぞ。九年前にお前達に何が起きて居たのか?を...)
(それで俺達を見下したつもりか?)
(俺はどんな人間も見下した事はない。それが喩え刃物を持った暴漢であったとしてもな。)
・・・
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・・・
(親父...俺に話させてくれ。)
(嗚呼杓子定規の様に、人は人を殺してはいけないというけれど、その大半の人たちは、本当に果たして人を殺すという事の本当の意味を知っているのだろうか?)
(貴方が行っている事はそう言う事なのだろう。)
(だが、生きる為にその刃を取った少年。食うに食えずにやむ終えず奪う人、どうしてもそうしなければいけなかった人、)
(其の全てに、対して、情状酌量があるとも言えない、でも、もしも困っているのであれば、奪うのではなく誰かに助けを呼んで欲しい。)
(もちろん誰に助けを求めれば良いか分からない、現実の問題の事態はひっ迫し、助けを呼ぶ暇ももない場合もあるだろうし)
(誰も耳を貸さなかった場合もあるだろう。それでも人は、まるで判を押したように人は殺してはいけないと言う。)
(だが、そうしなければならない時は、残念ながら現実には存在する。)
(それなのに十把一絡げに人殺しはいけないとは俺には言えない。じゃぁ貴方に言う、もしも、家族に向けて銃口を向けられ、偶々、自分の手にも装填され安全装置の外された拳銃があったとする。)
(助けられるのは、家族と襲撃者のどちらか片方しか助からない。それでも貴方は家族を見捨てて引鉄を引かないのか?)
(これは別に、襲撃者などではなく、猛獣、熊に置き換えても良い。)
(果たしてあなたはその引鉄を引かないで居られるのだろうか?)
(答えは出ない。)
(その葛藤無くして出した答えの何と軽い事か...あなたは自分が躊躇した結果、人の命が失われた経験はあるのか?)
(俺の出したこの運命の天秤の答えは...。)
(第三の道)
(俺はその時、必要であれば一切の呵責なくその引鉄を引く、ただし、もしもトロッコ問題の様に、二通りの分岐器のレバーを倒す必要があるのであれば、)
(迷わずその分岐器を中途半端に切り替えて、トロッコを脱線させて両方助ける。)
(ただ、これは解決策があった場合に限る。世の中には、別の解決方法もあるが、何処にも答えが無い場合もある。)
(矮小なるただの人間である俺が出来ることは、その最後の瞬間まで、足掻いて答えを探し続けることだ。それだけが自分にも相手にも誠実で有り続けられる。)
(だから今でも俺はその答えを探し続けている。)
(君にその覚悟はあるのか?何故ならばその覚悟無く進むのであれば、するべき時に何もできず、自分の命すら失うぞ?)
(俺は唯自分がそうすべき時に逃げない様に、自分のするべき事をするだけだ。)
(お前が、真に、歩いてきた路に誇りがあるのならば、そのまますゝめ、もし疑念有るのならば、着た路を戻れ。)
「何の世迷言を?俺達には、来た道を進む事も(戻る事も)、選択肢もあった(ありはしなかった)。ただ目の前に飛び込んできた泥縄を放した(掴んだ)だけだ。」
「くだらない話は此処までだ。決着を付けるぞ。最後に自分の女に伝える言葉は残さなかったか?(残してきたか)?」
脳裏に過るは、且つての逢瀬のひと時
知ってた?君に話していた。他に好きな人が居るって言葉は、嘘だよ。
そうか...僕は知っていたよ。だって君が好んでいたモノ全てが僕がプレゼントしてた事柄ばかりだったから。
嗚呼、でも僕の目には、何も写さない。それでもこうやって顔に触れて輪郭を捉えられるだけで十分だった。
でも、本当は、此の眼が見えなくなる前に、もう一度君の顔が見てみたかった。
その言葉を告げられぬまま、事態は、二つの悪性の星の輝きが、襲い掛かる。
事態は収束しないまま、破を以て、繋ぎ止めて次の物語へと続く。
〆
毎月、月末最終日に2話更新予定。
⇒家事をしろという意見が頻繁に届く場合や、家族の体調不良が重なった場合、
月の更新が一話のみか若しくは、休載となる場合があります。
また、作業の邪魔や文章の勝手な削除が発覚した場合、問答無用で休載します。
→何度注意しても度重なる作業の邪魔が繰り返された為、次回から更新が難しくなりました。既に31話は描き終わってるので更新自体は可能ですが。32話目が妨害行動を繰り返されて恐らく間に合いません。
待ってる人達には申し訳ないですけど、此ればかりは私にもどうにもできない。
※なんか回想に回想が入ってるという指摘が入ったので4月3日付で一部修正
※https://x.com/kurage_news/status/2039926953545990607?s=20




