第二十九話「偽りの詩」
※イメージソング※とりあえず展開に合わせて並べてる
FantasticYouth × ウォルピスカーター - 「青ノ栞歌」
https://youtu.be/XXRgJ0G4NVQ?si=8h_5nHzehLMkxf9O @YouTubeより
鬼束ちひろ
Boys Don't Cry https://youtu.be/AEEty4oK8iI?si=IqS4H8esSnUaXj5h @YouTubeより
Reol - 平面鏡[Live at 無題 in YOKOHAMA ARENA] https://youtu.be/Rod2qHh-f8k?si=wmt6o_dXQTRzO63i @YouTubeより
【Original MV】秘密/ V.W.P #13【系譜曲】
https://youtu.be/zpfMTWC0wUc?si=IRcz9J8XBfewvhp8 @YouTubeより
NOMELON NOLEMON / HALO Official Music Video https://youtu.be/dDAP5OQv2RA?si=wUMPQWvZrNJtNmu3 @YouTubeより
【歌ってみた】ロンリーユニバース – Aqu3ra / covered by 月見ヤチヨ(cv.早見沙織) from 超かぐや姫! https://youtu.be/enzi3ZZmFoE?si=vC5M9W1eIi973sPd @YouTubeより
【歌ってみた】トリノコシティ – 40mP / covered by 月見ヤチヨ(cv.早見沙織) from 超かぐや姫! https://youtu.be/gsGjcLVI6X4?si=_kXzF6kUxe43xCHb @YouTubeより
【自主制作アニメMV】魔法のない世界で生きるということ https://youtu.be/-RxE_7uSDVg?si=0iDstnlT5Fisch1j @YouTubeより
【Official MV】ray 超かぐや姫!Version / かぐや (cv.夏吉ゆうこ)、月見ヤチヨ (cv.早見沙織) from #超か... https://youtu.be/356MRZ6P5h0?si=bq8myuuLJ2gHEab1 @YouTubeより
UVERworld feat. 山田孝之 / 愛笑む 『来鳥江』Short ver. https://youtu.be/TedAu40FyCE?si=7rMf-cxT4ZDw7rks @YouTubeより
【Original MV】輪廻 / V.W.P #2 【系譜曲】
https://youtu.be/wGBXObhCThE?si=6bsrAKi_J-_Q6FX5 @YouTubeより
伊東歌詞太郎 雨上がりに
https://youtu.be/bdpozyGvePg?si=mN_8uo0S1nfAAkIB @YouTubeより
※保留
【歌ってみた】『超かぐや姫!』メドレー – ロンリーユニバース/竹取オーバーナイトセンセーション/トリノコシティ/夢をみる島/Tell Your... https://youtu.be/f7zTgwIDyVU?si=MZGgB2_ra1GDOn7z @YouTubeより
【歌ってみた】Tell Your World – kz / covered by 月見ヤチヨ(cv.早見沙織) from 超かぐや姫! https://youtu.be/24OIBLd8uu8?si=aHXCwCvjJFGv7aBo @YouTubeより
※残り五千文字だから今晩十二書けるかな?描けないか少なくとも、木曜日までで終わりそうではある
僕は、完全に光を喪った。彼女の姿すら、もう二度とこの眼で見る事すら叶わないのか?
浮遊する宇宙空間の中、唯、一機で遭難する事、体感では数か月。生命維持を最優先に、簡易的なコールドスリープ機能を実行。
消費する空気と水と食料を最小限に...。
其れは、光点眩き、星泳ぐ、天ノ原を一筋の閃光と化して奔る
光は、何処から来て何処へと還るのか?
惑うその背から通り過ぎる。幾百幾千の星を越えて、数千万の人属を詰め込んだ円柱状の箱舟が点在する
宙域へとその歩を進める。
その叫びは痛切なる想いは誰の耳にも届くことは無く、無窮の宙へと吸い込まれていく
その悲しみに対して覇を唱えしは、無情の発光する薄幸の希望の光。
ゆっくりと変わる視界の中で、
遠き星空より来るは、数隻の船舶の船団、瞬き、耀喜する。
五感を喪失した青年の元へと下すは、宣誓するべく唱えられし、無法者の唄、
其の音階は時に優しく、時に激しくその姿を鏡に映し、ゆっくりと近づいてくる
絶える事のない息使いは、荒々しく弄る様に、静かに愛撫する。
掴む自らの操縦桿に、罹るは、熱病にも似た熱狂の傷痕と口付けの甘い香り
青年は成年となる儀式に似た、その行為を経て、掴んだその手は、何処へと向かうのか
欠けた視界と、喪った味覚に、今も尚残る、臭覚を頼りに、稲穂の収穫を得るべく、
欠けた魂の片割れを探し、今でもその手を探す。迷子の手を彷徨わせ、星を観る。
其の目には何も写さない。かつて夢見た輪郭だけが仄かに重なる。
輝が、耀が、洸が、遠く離れた場所より飛来する太陽の光に晒され、偏曲する編曲の打音が、
猛き衣を纏い、真空の星空へと眩き走らせる。
天よ哭くな、譬え見えずとも、その姿を捉えて会いに行く...
何度見たか分からぬ、瞼に写る姿を反芻し、感覚で感じる懐かしいその香りに誘われ、
通信機から聞こえる声が途切れ途切れで、音の正確な判別も出来なくとも、誰かが遭難して救難信号を発している僕の機体を回収したらしいことだけが
なんとなく判別できる。それがマレディクト側ではない事だけを祈り、コックピットのハッチを開ける。
・・・
・・・
・・・
其れから、どれだけの時間が経ったであろうか?
揺れるロッキングチェアの上から掛けられたひざ掛けの温かさだけが分る。
もう僕の眼は、何も写さない、出来れば最後の彼女の笑顔を焼きつけたかったけれども...
感覚も鈍く、声も聞こえない。
「おやすみなさい。よく頑張ったね。〇君...〇〇〇...してる。」
身体に伸し掛かる重みを感じながら
何度目かの夜が明ける。
...
...
...
眼が見えない。聞こえる息遣いだけを頼りに、誰かの姿を探す。崩れ落ちる僕の身体を誰かが支える。
ギュっと、息が詰まり、足元から倒れ込む矮小なこの身体を包み込む温かい温もりだけが感じられる。
ベットに行こうね。と、吐息すら触れ合う距離で、重なる身の体温を感じながら今日も僕は眠る。
...
...
...
ねぇダーリン...。
「ここは一体どこなんだ?」震える喉から絞り出すように問いかける声に
誰かが何かを答える声が、ぼそぼそと、雑音交じりに聞こえる言葉に
「耳が聞こえないんだ...」
そっと触れる手の温度が、何も聞こえないその空間において、何かを伝えようと、
掌に何かの文字を書き記す感触だけが、この何もできない身体に置いて唯一と言っても良い。
聲を伝える。
ここは?L2宙域にあるコロニー...ア・イ・リ・ス?
且つての故郷でであることが分る。
そうか随分、機体が流されたと思ったけれども、機体の速度に対して移動した距離が、短い。
どうやら無意識に機体の速度に逆進を掛けて緩めたのか?それとも体感時間とは大幅に違う時間経過であったのか?
返す言葉に若干の怯えを交えて語り掛ける。
「君は、一体誰なんだい????」
懐かしさを覚える微かな香りを頼りに手を伸ばす。
ひしっと、何かに触れると、その温かい掌の感触に身を震わせその頬と掌が僕の手を包む。
温かい。
ただ、その体温だけが、今も僕の心臓が、心が脈打つ事を知らせてくる。
また逢えるよ。ずっと傍に居るから。
・・・
・・・
・・・
私は、まだ彼に自分の名前を告げる勇気がない。彼は、彼女を選んだ。だから、私は、彼の前から去った。
そして、程なく、私は。私自身が、誘植者である事実を知った。
誘植者の特徴は、名が姓で、姓が名を表し、姓名の順番が通常と逆向き且つ、名を代々受け継いでいる。
私の名前は...
マレディクト...彼の母親を奪った《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)を人類の生息地へと引き入れた。子孫である事実を隠して彼の傍に入られない。
だから、彼の眼が見えない事に少しほっとしている。自分が嫌になる。
何度目かの逢瀬を重ね。
いつか彼に告げる時が来るであろう恐怖に身を震わせ、今日も彼の身体を清め愛撫する。
清拭するは、その特徴的な髪の色を眺め、抱きしめ、涙する。
ねぇ、私を見てよ。綺麗になったでしょ。その問いに答える事のない、白濁とした瞳の奥には光などなく、その形を感じる感覚すら鈍化して、
動くことのない彼の眼の前で、私は思う。
もう一度、私の事を見て欲しかった。その手で触れて欲しかった。
だけど...
今日は、久しぶりに自宅を訪ねてきた両親に促され、初めて外へと出る。動けぬ彼を車いすに乗せて、散策する。
握った手で、何処か行きたい場所はあるのかと感触を頼りに、描かれた文字を読み解き、
描かれた言葉にドキリとする。
彼女の居る場所で有れば何処でも...
未だ彼は、彼女の事を想っているのだろう。自分だけが独占するその想いに答えるべき言葉は消失して、
逢えると良いね。と、言葉を返し、この街の案内をする。
アイリス...L2宙域に存在する。やや古びたコロニーの主な目的は、数々の企業と学術研究の馳せる。無数の共同体で形成される。
研究棟とプラットフォームを保持する。
其れ付随される街並み、全ては、研究に従事する研究員たちを支える様に発展を繰り返してるものの
且つての戦役の爪痕は、住人ほゞ全てが消え去り入れ替わった事により、残された研究設備を流用しての継ぎ接ぎの様な、研究継続に終始して、
その多くは、誘植者の姿を残す人たちがひっそりと暮らしている。
ここは、その居住地の一角
コロニーアイリスでの研究区画に存在する。エウヘメリズム社の研究者用の住宅
私は、そこで一研究員として働いている。主な業務は、リモートでの業務も交えつつ、どうしても研究棟に行かねばならぬ時は、彼の世話を両親に頼まざる負えない事が少し残念ではある。
未だに、その研究は打開策も見えないまま今も続いている。それは、ある人から引き継いだ、研究を...
素材にされた人々を元の姿に戻すという。
だがその答えは出て居ない。
街頭の広告立体画像では、凛とした面持ちの女性が演説をする姿が、今も、映り続けている。
徐々(じょじょ)に街の中では、戦意高揚を謳う声と、兵役への呼びかけが続く。
彼の体重の重みを感じながら、手押す。車輪がカラカラと音を立てて響く。
この音も、私の嗚咽も、きっと彼には届かない。
「ねぇ、何か食べたいものあるかな?」と、呼びかけるが、反応は見られない。
風に木の葉が揺れる気配に耳を澄ませ彼のかぼそい声に耳を傾ける。
うんうん、とその声に、答える様に。「分かった。」
喩え、私の事を気付かなくても...傍に居てくれるだけで、嬉しかった。
「プリンを食べよう。」(昔みたいに...ね。いつも食べている食事は、まるで味覚が死んでいるかのように、彼の舌の上で綻ぶことは無かった。)
「でも、その前に、映画をみない?昔のリバイバル上映があるんだ?良いかな?音はまだ聞こえないのかな?」
「...」
知ってる?あの日の口づけを...果たして彼は思い出してくれるだろうか?
その事に嬉しいと同時に去来する思いに、未だ名前は付けられていない...。
且つて暗闇の中で、触れた。口づけは、その悪戯にも似た行為だとしてとも、其の息遣い。体温、漏れ出た声、其の全てがただ一人を指し示すも未だ気付かれているのか不明。
それでも、最後に触れた。掌の感触は、確かに、彼を感じていた。
…
…
…
未だ馴れぬ唇の感触を思い出しながら、私は、其の疵痕を撫でながら、詩を心の中で唱え続ける。
その詩は、誰にも気づかれる事なく、華も開かず朽ち果てる。それでも最後に流した涙は、流れ続け何を暗示しているのか、未だ私は知らなかった。
それは...もう何年も前の事だった。
あれは、天を割る様に飛来した。《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)姿、防衛に出た《カルペディエム》は、必死の抵抗を見せるも、
次々と低重力下に於いて独壇場となった【falcisファルキス】の猛攻に晒され、放たれるビームライフルの斉射は、機体の備えられたビームシールドにより、
其の全てが無為へと変わる。
飛び上がり撃墜されるそれらの機影を眺めながら、まるで現実感のない景色の中で、一緒に居た彼女と一緒に、パニックに陥りながらも
備え付けの緊急用のスプーマを手に取り、近くのシェルターへの退避行動に移る。
奔る手足は、そのか細い小さな足では次々と埋まっていく逃げ場を喪い。
あの頃は、何だったのか分らなかったが、無数のピスハンドの群れの襲来に晒された、アイリスでは、次々と人が空へと連れ去られていく。
唐突に目の前の路上に降って湧いたその姿に足が震え、手が隣の彼女の手を握り、振り返るとそこにはもう一体の器物がその前腕を晒しながら向かってくる。
あわや危機一髪の瞬間。頭上の駐車場から、爆音を轟かせながら何かが落下してくる。
小型の電動バイクが欄干を乗り越えて地上へと真っ逆さまに落ち、目の前の器物へと直撃する。
其処にするりと、ワイヤーガンを撃ち込み降下してくる誰かの後姿が、後ろ手に、私の手を掴むと
「こっちだッ!!!」と、まだ熱さが残るその手に引かれ、崩れ落ちたピスハンドの横を通り抜けると、
ほうほうの体で、その場を後にする。
周囲を見回し、少年は、一言。「大丈夫か?平気なら一度、怪我してるなら二度握って」と告げながら周囲の状況を見回す。
握る一度だけの反応に、満足げに頷くと、立体駐車場の脇を抜け、十字路を右に曲がり、頭の中に描く避難経路を確認しながら辿り着いた。
その場所に...目に映るシェルターの出入り口には、赤い定員オーバーを知らせるランプが点滅している。
「ここも、ダメなのか?母さんを探さないと行けないのに?何か使えるものはないのか?」
見回した、電動スクーターを手に持った工具で、分解し始め動力源であるバッテリーセルに対して、
わざと亀裂を走らせ過電流が生じる様に細工をすると、居並ぶスクーターから取り外し、次々と何かを作り始める。
その行為にきょとんとした表情のまま覗き込む少女は
「お兄さんなにをしてるの?」と、不思議そうに声を掛けるが?
還ってきた言葉は、安心する様に促すと、いくつかのバッテリーを抱え、再びの逃走へと入る。
角を曲がった先に、異形の機体が待ち構え、そのマニュピレーターをこちらに向けた瞬間、
「潜れッ!!!!」その声に合わせて、とてとてと、その腕脚を潜り抜けると同時に、
簡易式のスプーマ―より取り出した発泡素材でバッテリーの一部を底面に張り付け、潜り込む様に機体の足元を通り抜けると同時に身体を捻りながら蹴り脚を叩き込み、
衝撃によるショートを誘発。火を上げて燃え上がる基部に対し、ピスハンドの赤外線サーモグラフィが異常事態を知らせ、識別範囲にERRORが生じる。
その隙に、逃げ回る少年ら三人は、逃げ場を求めてひた走る。
考えろ、考えろ。常に出来る事は一つじゃない。何かないかと呟く少年の顔を見上げ、安堵する様に何かにひらめいたのか、奔る街並みの先に並ぶショッピングモールの一角に入ると、
備え付けられていた定員オーバーを知らせるシェルターではなく...建物内の通路の端へ端へと、息を切らせて走り続け、
目的とする一角へと到達すると、目的地は、通風口...その開口部を持っていた工具で器用に外すと、
少年は「ここで君たちは隠れてるんだ...俺は母さんと父さんを探さないと...」
「えっでも」と、隣の少女が不安気な言葉を残すも、安心させる様な確かな言葉遣いで、「大丈夫だよ。母さん達を見つけたら戻ってくるから。」
「父さん達を隠す方法を探さないと...」
...
...
...
息を殺して少年が戻ってくるのを待つ間、隣の少女は泣き腫らした目で、此方を見てくる。
きっと大丈夫。そう何度もあの声を反芻しながら、それは、一筋の光が差し込む。
「おい、領五泣くなよ。」「なにいってるの外崎君も泣いてるじゃん。」「みんな揃ってるな?とりあえずあそこに辿り着けば、何とかなる。」
「春幸、なんでそんなに冷静なんだよ。父さんも母さんも喰われちまった。これからどうすれば?」
「とりあえず通気口に入って身を隠そう、話はそれからだよ。」
そう言って、通気口内のスペースに入り込むと、思い思いに縮こまって、身体を隠す。
一時安堵したもののその違和感に思い至る。何故、探していたという家族の姿が無いのか?そして先ほど不穏な何かを聞かなかったのか?
見るとその手は、きつく握られ、手中より鮮血が滴り落ちる。
私は慎重に言葉を選び、その何かに触れようとして、断念する。それが残酷な結果に繋がる事を重々承知していたから...
だけど、その時、何故彼が、笑って見せたかの理由を私は知らない。
「さぁ、怖い事はもうないよ。色々使えそうな物を拝借してきた。手持ちのお金を代わりに置いて来たけど...みんなで...を食べよう。」
「お母さんが言ってた。哀し時も辛い時もいずれお腹は減る。だから前を向くときにはご飯を食べようってね。」
そういって差し出された。
プリンを頬張り、涙を流しながら、笑顔を零す。
ねぇ、知ってる?貴方が、本当は、お母さんを助けたいと思って居たのに、探している途中に見かけた私たちを救けてくれた事、
全てが終わったあとで、途方に暮れて泣いていた貴方は、何も言わずにその手を握り占めて居たことを
その後も、危険を承知で、
私はずっと背中を見ていたのいつもふと気づけばどこかに走り出してしまうその姿を
ずっと眺めて居た。
解けた紐を結ぶように、且つての逢瀬を再現する。
ねぇ、知ってる?貴方に目を合わせられなくて、背中をただ眺めて居たことを
ねぇ、知ってる?貴方が話しかけて欲しそうにしていた姿を唯、見守っていたことを
ねぇ、知ってる?あの時、触れてくれた温かい手の感触を覚えてる事を
もうコロニー内部の気候は、夏を越え、冬を越え、再びの春へと還る。
私は春に残る雪が好き。譬え名乗れなくとも、私の事が知られなくても、このささやかな幸福に身をゆだねる。
感覚の消失した。手足と、崩れいく手足を何度も立ち上がろうと、その手に何かを掴む。
かぼそい手と手を触れ合わせ、今一度空を飛ぶ為の巣立ちにも似た、修練が開始される。
見えず、聞こえずの暗闇の中で、かすかに響く声音の振動を頼りに、其の方向を形どり、かすかな輪郭の実像を確かめる様に
一歩踏み出し、身体を崩れ落ちる。を繰り返しその行為を重ねながら、それでも青年は、再びの天を飛ぶことを夢見る。
まずは、一人で歩くことから始めた雛鳥の羽ばたきは、かすかに香る体温と共に捨てたはずの愛が溜まっていく。
其処の開いた器には、既にその心の穴は無くなって居た。
埋められた穴には、花の香、いつしか青年となった彼の手には、五感を越えた感覚が宿り始める。
周囲数メートルの状況を感覚だけを頼りに、その足取り軽く、歩を進めるも、
障害物となったテーブルにぶつかり、倒れ込むその身体を支えようと差し出された手を空中で受け止めると、その確かな体温を感じ、
雛鳥が飛び立つ時期は近いと、その言葉を吐く。
「君の名前を教えて?」
この充足感は、何故だろう?疑問に思うその声に答えるは、その意志を拒絶する言葉、
その手のひらに掛かれた言葉に、何かの予兆を感じながら、それでも青年は再び自らの足で立つことを選択する。
繰り返す試行の最中、突如として、自宅へと訪問者が現れる。
「やぁ、おじさんだよ?暫く研究所に来ないみたいな話を聞いてな、少し心配になったから様子をみにいけってさ。」
「まぁ、なんだ、上長も君の事を心配なんだろうさ。」
「オマエ=ダレヤネンさん、ありがとうございます。でも...」
「嗚呼そういう事か?彼氏かい?飛んだお邪魔虫だったな、その様子、眼が見えないのかい?」
後ろでに持った花束を隠し、恥ずかし気な姿を見せたまま、会話は続く
「でも、周りの状況は分かる様だし、そうだなぁ、気分転換にゲームでもしたら良いんじゃないか?勘を取り戻すにはいいもんだよ。」
「じゃぁ、これ持っていけって言われてたお土産だ。俺の口には合わないが、代替え品じゃない地球産の果物の缶詰だってさ。」
ありがとうの言葉すら、聞かずに離れ行く一人の男の姿を眺めて、ゲームか...いずれもう一度機体へ乗る事が出来るようになるにはいいかもしれないなと、
日は経過し、
緊急事態に備え品物の買い物がてら、リハビリ代わりに選択したのは...
ゲーム筐体が並ぶ街中の歓楽街に存在するシュミレーターが並ぶ一角、画面に映る複数の機体の内、ベーシックな機体として選ばれる《ブレイズ=ガルヴ・ディム》を選択
傍らの君に選んで貰い。一通りの操作方法を掌への書き文字で受け取ると
眼も見えず、声も聞こえず、僅かに残った臭覚と味覚、そして最後の触覚に、更なる感覚を総動員して、
その試みに興じる
青年は、少女が見守る中、その反応鋭き動きを見せ、まるで最初からそこに何が来るのかを知っているかのように、射撃戦の射撃線が過るよりも半瞬早く反応を繰り返し、
並み居る挑戦者をその銃口に収め、本来の筐体が再現する稼働限界まで、スラスターを吹かせながら、推進器のオーバーヒートとなる瞬間に、
スロットルとフットぺダルを器用に、停止位置を調整、オバーフロー状態を回避しつつ、機体の導線を操りながら、対戦相手が放つ、銃撃の嵐を回避し続ける。
ガシャガシャと、握る操縦桿の捌きは、眼に見えて鋭くなって行くも、
スラスターのクールダウンを反復した動作の果てに、感じ取り、再びの噴射、後方へと飛び退り、機体の進行方向を調整しながら、敵機のミサイル一斉発射を
空中で単銃身の機関銃型のビームライフルの斉射により撃ち落とすと、応射の空いた自機との邂逅に、開口一番放たれる言葉は、
無音の一息、ブレイクダウンを試み、機体の推力と進行方向を変え、その機体背面部と脚部から、球体と光の環の波動を足場にし、急制動を掛けつつ空を渡り、宙の果てより来るべく、
機体を飛翔足らしめんと、欲するが、相対する敵機が忍ばせる。銃撃の数々を機体を捻転させながら、空中を足撃を繰り返し、
自らその軌道を乱す、フラットスピン(Flat Spin)水平に回転しながら、滑り込む様に下降する機動を誘発し、潜り抜けると、
一旦開いたフットペダルを踏み込み、機体の制動を掛ける踏み足が、崩れた体制から、更に上昇を選択、敵機の上空を抑えたまま、楕円の軌道を描きながら追い越すと
機体を逆向きにしたまま、目標の背後へと滑り込み、死角を突いての一撃を叩き込む、
忽ち崩れ行く目標の撃破を操縦桿から伝わる感覚を頼りに、さらに自らの操作技術を磨き続ける。
いつしかその冴えは、並み居る敵を振り払い。疾走する仮想空間の機体において、十全と発揮される。
その手とその脚は、足取り軽く、水鳥の羽根の様に、降り注ぐ雨を弾き、水面へと浮かぶ。その動きは次第に精彩を覚え始めながら、
その瞳に何も写さぬ、無表情の青年はゲーム画面に映る撃墜スコアを増やし続ける。
...
...
...
UD1989年(西暦4014年)2月21日 某時刻
「おじさん...春君が?MIA(戦闘中行方不明)に...」
「わかってる...青葉、デスペラード...《アンチェイン》(Unchain)を出すぞ。分岐ケーブルを繋ぎ直す。準備に入るぞ。」
慌ただしく、現場がざわつく中、三つの最悪を告げる状況が重なり、密に一人の少女が、どさくさに紛れて、宇宙の闇に消えた事に、気付かないまま、事態は進んでいく。
・・・
・・・
・・・
「《お調子者》(ストゥルティ)、《仏頂面》(トルウス)01、02、03、《臆病者》(クヴァイリス)01から04...各機...送れ。」
宗谷=大石は、周囲へ捜索を試みる僚機達へと呼びかける。
「《お調子者》(ストゥルティ)...3時方向スノードロップの機影確認できず。見つかりません!!!!」
「《仏頂面》(トルウス)01より...5時方向こちらも機影確認できず。」
「《臆病者》(クヴァイリス)01より...8時方向、確認できず。武装の一部である《アルクス・ヴァンフーレンス》...《ヘリアントゥス・インサヌス》の機体の一部を回収。」
「完全に思考接続が切れている。セカンドアーヴル...アンリミテッド(Unlimited)からのアシストも切れてる...」
「恐らく力尽きて、効果が切れているのか?効果範囲外に...」
「でも隊長。効果範囲に制限は無かったはず...となれば...」
「良いから探せッ、アイジェスが向かってる。そうすれば、打開策が撃てるはずだ。」
「隊長、コードネームで話すの忘れてますよ?」
「嗚呼、そうだな。スカーレットヒップの方はどうなってる?」
「同じく、反応なしだ。」
「ただ、エンゼルフィッシュの残骸は回収で来た。」
「そうか...」
事態は混迷と突入し、MIA(戦闘中行方不明)に...
艦隊を預かる。ナンネン=ハイマンは、 コンディション・イエロー(警戒態勢)を発令したまま。
事態の収拾を図るために戦闘となった宙域での捜索活動の継続を指示、
四方数百キロに及ぶ捜索を行うが、その姿を確認する事は出来なかった。
数日遅れで到着した。本体を他所に
《アンチェイン》(Unchain)を擁する《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、現場に急行する為に、
アイジェスが駆る機体のみを先行させ《アルフヘイム》(光の国)と《ヴァナヘイム》(豊穣の国)の同時発動を行使。
光り輝く粒子をまき散らし、現場へとその輪唱を鳴り響かせる。
「エンコード、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》!!!!!!!!!!!!!!!」」音声認識による識別により、使用者権限を確認。「一葉灼伏…30%」
「その心、姿映し導き出せ。《ヴァナヘイム》(豊穣の国)!!!!」
「その光を以て、その争いを静めろ、《アールヴヘイム《光の国》」
「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」
コックピット内のコンソールにアースガルズ《神》とアールヴ《光》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。《来たれ、豊穣芽吹く女神よ!!!!》
「揺らぐ愛を疑う疑念を捨てよ 豊神フレイヤ!」以降を威光を以て修正する
其の優速誇る。速足を光の速度まで揚げると、一足先に、アイジェスは、現場となる宙域へひた走る。
天に描けし星の川を渡り、現れた一陣の閃光は、其の身から放たれる粒子劫を周囲にまき散らし、
量子コンピューターによる予測演算を開始。
最後に、あいつの姿を見た奴は誰だ?!!!アンザスッ!!!
ふぁぃ!!!!!かしこま(`・ω・´)ゞ
周囲の僚機に対して、春幸の機体が向かった凡その方向と、その状況に関する断片的な情報を元に、高速演算を開始。
移動と重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)による広域捜索に救難信号の光を探す為
向かう先の推測を開始。その動きを止めようと、制止する声すら、追い越し疾走する。
銀翆の彗星は、夜天を切り裂き夜空を走る。
その無天に描く数々の軌跡を描き無限にも感じられる度重なる行使の果てに、捜索活動は続き続ける。
されど、その結果は、重なる事なく無為に終わる。
遅れて到着した。《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、冷静さを欠いた。
春幸の友人らは、焦燥感を募らせながら。いつ終わる事のない作業へと陥ってく、特に、《エクィタス=ユースティティア》と《ユミナリア=ニドフェアー》の動揺は激しく。
親の制止すら振り切って、長距離航行が可能である《メガエアライド》を持ちだし単独への捜索活動へと飛び出していく。
気付いた時には、其れ迄、曲がりなりにも整然として、寄り合いを形成していたはずの仲間たちに動揺が走る。
そして、現場を指揮するナンネン=ハイマンは、一ヶ月にまで及ぶ捜索活動を打ち切り、春幸=ブラットワーカーを戦死者として認定。
対マレディクト戦線への対応へと舵を切るべく指示を出すが、その意に反する人員が反意をしめし。
その頃には既に、カルぺ・ディエム陣営側の戦力は瓦解し、それは同じく連戦で疲弊したマレディクトとて同じくし、
散発的な争いが、コロニー間で発生する事態となる。
そんな事とは露知らず。天を浮遊し、久方ぶりの余暇を与えられた春幸は、今日も傍らにいる何者かの体温に温められ、
喪い手放した何かを再びその手掌へと掴む事に終始する。
微かな鼻歌と共に、スンスン、と香る料理の匂いを頼りに、今日の夕食をかぎ分ける。
「この匂いはシチューかな?」
「そうね。ビーフシチューは、お口にあうかな?」と、やや自信なさげに披露する女性の声に、
「そんな事ないよ?美味しく頂かせて貰うよ。まぁ、味覚はまだ戻ってないんだけどね?」
喪われている五感の内、この手に戻って気た感覚は、臭覚、聴覚、触覚の三つで、それも、通常時の感覚とは酷く欠落したものとなり、味覚と視覚が完全に欠落している。
それでも残った僅かばかりの欠けた感覚をフル稼働して、周囲の状況を感じ取れる。
ややおぼつかない手探りで、スプーンを掴むと、なみなみと注がれた。ビーフシチューを一掬いして、
口に運ぶと、やはり味がしないが。嬉しそうな空気感を感じ、かすかな味覚のブレを感じとり、自然と頬が緩む。
和やかな食卓を囲んでの会話を終えて、食器を片付けるなか、何度目かの眠りに着くころ。
ぼやけた音で耳に入ってくるのは、誰かの演説の声が繰り返し流されている。声は分からないが語る文面から、リン=山崎さんの演説の様な気がするが
それは煩雑として定かではない。
「戦争...始まってしまうのかな...まだ、このコロニーには、戦火は訪れてないけど、世論は戦意高揚を謳ってる。」と、警戒の声音に近い、ぼやけた言葉がこの耳に届いてくる。
「ねぇ、君は...何処へも行かないよね?」
その声に、僕は上手く答えられなかった。あれからどれだけの時間が経過したのか分らないけど、
きっと親父やみんなが心配してるだろう事が想像に難くない。
だが、この心地よい生活が名残惜しい事も確かではある。
何と答えれば僕は分からないけれども、声を震わせ、言葉を吐く
「僕もそうであれば良いと、思ってる。」(君は...誰なんだい?君が、君だったらいいのになぁ...)
「そっかぁ...」(子供が出来たらなんて名前を付けようか?なんて先走った問いに果たして意味はあるのだろうか?)
心なしか顔に笑みが浮かぶ
「もしかして、今笑ったの??」
「もしかして目が?!」
「いや、今も何も見えないよ。でも、この濁った眼にも映るモノが確かにあるって、想いたいよ。」
一通りの家事をこなして、寝床へと着くころ、
二人は幸せな夢を見ながら眠りへと着くことになる。
此れから起こる事を知りもせずに。
且つて暗闇の中で、触れた。口づけは、その対象を特定できずとも、其の息遣い。体温、漏れ出た声、其の全てがただ一人を指し示すも未だ不明。
それでも、最後に触れた。掌の感触は、確かに、彼女を感じていた。
…
…
…
未だ馴れぬ唇の感触を思い出しながら、僕は、其の疵痕を撫でながら、詩を心の中で唱え続ける。
その詩は、誰にも気づかれる事なく、華も開かず朽ち果てる。それでも最後に流した涙は、流れ続け何を暗示しているのか、未だ僕は知らなかった。
なんで彼女は、嬉しそうに泣くのだろうか?
貴方が喪ったモノは、還ってくるよ。その愛に浸され、再び上る太陽の様にその希望は宙へと上がる。
その姿は、且つて持っていたモノとは違くとも、譬え魔法が使えなくなったとしても、その手に残るモノはあるはずだから...
一度捨てたのなら、また拾えば良い。零れた水は二度とは戻らないかもしれないが、それでも空いた器に水を注ぐ事は出来る
さぁ、空いた心の穴を塞いで、水を今一度注ぎましょう。
大丈夫、君の翼は、まだ折れてないよ。
水波揺れる水面へと還るべく僕は再び空を飛ぶ。失った魔法の言葉を継ぎ接ぎして、今日も空を飛ぶことを夢に見る。
だが、脳裏で、僕を呼ぶ声が響く、その詩は、古い合成音声が奏でるリズム。その言い回しは、何度も耳朶を楽しみ、哀しみの声を僕へと伝えてくる。
ダーリン...その甘ったるい。僕には似つかわしくないその呼び名を言っていたのは誰だ?
ユミナリアじゃない。...その呼び名はあの娘だけだった。
「母さん?!良かった生きてたんだね?!?!父さんもよ...」
その歌声に乗せて伝わってくるは...。
「私の息子がもしもそこにいるのであれば...逃げなさい。今の貴方では、これから来る獣には勝てない。お父さんを探しなさい。」
ん??!?!?!
「貴方にはまだ最後の可能性が残されているのそれを花開かせるまでには、まだ時間が必要なの...。」
「母さん意味が分からないよ。そこに居るの?!今助けるよッ!!!!」
「私の息子がもしもそこにいるのであれば...逃げなさい。今の貴方では、これから来る獣には勝てない。お父さんを探しなさい。」
「そして、二人で埋めた植樹した地へ赴き、その事実(答え)を知りなさい。」
おなじ口調同じ声話音で繰り返されるその声に、それが録音されたもので有る事を如実に伝えてくる。
ふと、不思議な事に気付く、ユミナリアの詩なのに、誰か別の誰かの想いが混在している。
一瞬、網膜に宿るは、且つて語った。会話が走馬灯の様に、過る。
おなじ口調似た音階で、唱される。且つて聞いた歌い手の詩を想起させ、混じり合う。
突如暗闇に包まれ、風雲急を告げる。コロニー内部に一斉に発令される緊急事態を知らせるサイレンの音を、濁った耳と、鋭敏な肌感覚から感じ取ると、
予め準備をしていた避難袋と、簡易式のスプーマを掴むと、急ぎ自宅を出る。
向かう先は...シェルターか?それとも...
「ねぇ、僕の機体は何処にあるのか?知ってる?」
ふるふると首を振り、知らないとの言葉を返す、女性に対し、春幸は、意を決してその言葉を唱える。
「「来いッ!!!!《アンリミテッド(Unlimited)》!!!!!!!!!!!!お前に意志が宿るなら、今一度求めに応じて、馳せ参じよ!!!!」
虚空に向かって拳を突き上げる。
その行動に驚く、少女は...何かの去来を感じ取り、遥か彼方の天を見やる。
・・・
・・・
・・・
その束縛から解き放たれた躯体を見せる何かが、その機体の所何処に張り付いた、
封印措置を施された名残を見せる金属片を剥落しながら、遠くで、急速上昇と共に
遠くで光の光点を示しながら、大気を切り裂く様に空を走り、
下降により生じる風圧に晒されながら、その確かな存在を感じ取り、
その手に掴んだ。ワイヤーガンの端を射出、狙いは絶妙なる角度で接地すると、
隣に立つ少女を抱え、身体を固定すると、ワイヤーを巻き上げる勢いのまま、
十数メートル距離を走り、自動的に解放されたコックピットへと乗り込む。
隣の少女が息を飲む。か細い音が鳴る。
「大丈夫。こいつは俺の相棒だ。前は呼んでもこんなにスムーズには応えてはくれなかったんだがな?機嫌でもなおったのかな?」
「戦うの?」
「嗚呼、感覚はまだ確かにある。どこに何があるのかこの通り、まだ身体は覚えてるよ。」
そんな会話が続く少女の視界の端で、何かが遠くで撃墜される。光の点が一瞬まみえ、
そして消えて行く。今もこの時をもっても命の輝きは喪われ、そしてその手を鮮血に塗れる
何者かの姿を見せる。
半自動的に、対象をズームアップさせるメインカメラの光彩が写したのは、
三機編隊で、コロニー内を蹂躙するその姿が映る。その姿は、且つての戦場で交戦記録によるデーターベースを確認。
呼称名を音声ガイダンスで知らせる。
無機質な機械音声で告げられるその機体名に対して、
《アルクルージ》ともう一種類の未確認機体を指し示す。
その姿は、且つての戦場でも無限に伸びる手を以て確認した。
仄暗い水底より這い出たかのような光沢を持って、背面部に小型の球体状の推進機構を備え
黒いその装甲には、四つの砲身にも似た皮膜を持った翼の骨組みを見せ羽ばたくその姿は、巨大な蝙蝠に似た姿、
もう一機は、春幸の眼には映る事もなく、その痩せた二足歩行する鹿を模し、特徴的な鹿角を背面部へと生やし備えた。
独特の機影が映る。
自動音声が教えるその特徴に対して、装備している武装を頭の中で思い出し、あれを喰らえば如何に《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲を以てしても
撃墜の恐れがある...意を決して、
春幸は何かを確かめるかのように、その手にフィットする操縦桿とフットペダルを踏み込み
再びの飛翔。このまま彼女を戦場へと連れて行くには...と、どこか適当なシェルターへの退避を促すべく
その歩を進める。
コロニーの低重力下を飛翔しながら、薄弱な感覚を頼りに探り当てた。とあるショッピングモールに備え付けられていたシェルターに、
コンソールを音声入力で操作し、空室を確認。
「さぁ?僕は、此れからこいつで向かい撃たなきゃならない。君は、事が済むまでここに隠れて。」
「私、でも?春君が戦う必要なんてないでしょ?何て言わないよ。君が勝つところを見せてくれるんでしょ?」
「嗚呼、任せてくれ、君が一緒に居てくれるなら...僕は、もう一度飛んでみせるよ。」
コックピットを開き、マニュピレーターを慎重に操り、シェルターへの入口へと送り届けると、
頷く様に機体を操作すると、今も尚銃撃の光が瞬くコロニーの中心地へと、加速と共に飛翔を開始する。
少年は、愛を知り、愛を想い、目の見えぬ眼に、その光景を焼きつかせ、再び空を飛ぶことを選択する。
空を切る閃光、滑走する飛翔体の爆裂。無数の銃口から放たれる無数の砲撃を
自らが操る機体の武装選択を試みるが。気密性が重要なコロニー内部では、シュバルトレーゲン《黒い雨》やヘイロン《黑龍》は、
使用できない。威力と射程が広すぎて、展開するだけで、機密を破り破壊しかねない。
他になにか武装はないのか?
脚部の結晶自在剣に、多重変形機構で繰り出す重破砕塵刹双皇刃クリュセイオン・アオル...視界を塞ぐ閃光機能とスモーク、他に、何かないのか?
位相空間アンカーは喪われて久しいが...武装の状態を知らせるランプが点灯する光を確認する間もなく、
自機に向かっての砲撃が降り注いでくる、機体を傾け、水平方向に540度の回転加えながら高度を維持しながら、下降からの急上昇を選択
そして脚部と腰部に備え付けられた既存機体との共用装備である実体弾頭投射機構に思い至り、僅かばかりのその攻撃手段に頷きながら
脳内で過る思考の波に流され、実体兵装の一番、二番を交互に射出。
牽制攻撃として放たれたミサイルは、目標足る《アルクルージ》の一機に向かって投射されるが、余裕をもって放たれたハンドガンから延びる
小径の光の波紋を放ちながら、破劫を以て、襲い掛かるラインが、放つ実体兵装を薙ぎ払いつつ、無力化する。
眼前に確認できる機影は三機、重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を発動し、周囲の状況を確認。
コロニー内部に開けられた穴は既に大型のスプーマによって防がれている。が
その外部には、十数機の機影...。そこのこの反応は...
「「メガエアライド?(セカンドアーヴル???)」」
敵味方識別コードを確認。外部に仲間の姿を見つけ、何故こんな場所にと疑問に思いつつ、目の前の目標への対処に照準を合わせる。
二機の《アルクルージ》と一機の未確認機体。急上昇から、背面部の鹿角を模したユニットから吐き出される無数の光芒を放ち、急速降下と上昇する上下の
挟み撃ちを仕掛けてくる敵に対して、スタンダードモードでの接近戦を試みる。
脚部の結晶自在剣の刀身を顕現、脚部を折りたたみ、天と地を逆にして、180度機体制動と共に、射出。
矢継ぎ早に繰り出される。咆哮を上げ迎撃の一打に対し、その手に回転する穿孔する蹄にも似た、クリスタル状の刃を構え突撃してくる
新型機の姿に、投射する結晶自在剣の刃が接触する。
互いの刃を撃ちあい、構える刃の刃筋が衝撃により弾かれる。ついで時間差で着弾する実体弾兵装が、直撃したかに見えた瞬間に、目標の機体は、
背面部の鹿角のユニットを可変させ、機体進行方向へ、奔る然りを吐き出しながら回転と同時にその動きを描き、推進器の光芒に弾かれ
実体弾頭の狙いが外れ、流れた進行方向には、起立するビルの建物の陰
流れだ眼による被害を考慮しての時間信管が発動。空中で炸裂する爆炎を越えて二機の《アルクルージ》と共に新型機の姿が襲い掛かってくる。
スラスターを小刻みにコロニー内の壁面との相対距離とコリオリの向きを調整しながら逆進を浮遊する機体の推進方向を調整しながら、
次々と放たれるハンドガンの一撃を回避し、波紋を立て追従してくる一撃を機体を傾け回避の一手を張り続ける。
事態を打ち破るべき一手が未だ定まらぬまま。目くらましのスモークを放ち、水平方向へ大きく迂回を試み、
敵の視界を防いでは、後退し一撃離脱を繰り返す。
機体を過る光のラインを開始しながら下降と共に
スロットルを開き、機体の変形を選択
機体の上半身と下半身の機構を180度回転させ、反転すると、それまで隠れていた異貌が顕わになる。燃え上がる様に光る左右非対称の、ツインアイは、その大きく輝く相貌が反転し、
変形時に機首となるユニットカバーは降下したまま、覗く光をその隙間から魅せ、それまでフライトユニットと思われていたブースタは、
其の羽を刃煌めくアームカバーへと変じさせると、左右の腕部へと収め、反転した機体の脚部は、高速機動とプラズマによる脚撃を見る基部へと180度回転し、
浮かぶシュバルトレーゲン《黒い雨》を回収画面に移り込む出力を示すインジケーターは、100%を指し占めし、その威容を晒すべく稼働する重破砕塵刹双皇刃クリュセイオン・アオル。
全開稼働中には、見られなかった微弱な光を放ち、発光する光が、一対の羽のそれぞれに、淡い燐光を纏う突風が吹き荒れる。
罹る無数の銃撃のラインを回避し、降り注ぐ小口径の光をその刀身で弾きながら、目標への接近を試みる。
その彼我の距離を10から0へと瞬時変じさせ繰り出されたその護拳する刃が無数の光のラインを弾きながら、一直線に進み寄る。
唐突に表れた新手の機影に対して《アルクルージ》を操るマレディクト擁するウェンディゴ部隊は、乱れ撃ちの弾幕を張りつつ後退を選択、
入れ替わる様に前面へと押出し、新型機...交戦記録によるデータベースの開放により、目標を断定。呼称を《ケルウス・ファメリクス》と断定
目の見えぬ春幸の意志を汲み取るかのように、表示される文字列を音声による回答によりその音を耳に響かせ語る。
展開される鹿角を背面部から両の前腕部へ移動させ、クリュセイオン・アオルとその刃を打ち鳴らし、接近戦の妙へと
変える。更に二機の《アルクルージ》は、その銃身から繰り出される射線を調整、撃ちあう二機の機影の内、自陣の機体のみを避ける様に大きく迂回し、
角度を付けながら降り注ぐハンドガンの乱舞を展開。
堪らず、逆進を掛け距離を取ろうとする春幸に対し、時間差で放たれた実体弾による反撃が襲い掛かる。
機体の制動を停止させ、コロニー内部の重力により自然落下を起こし、落下と共に急速上昇を果たし、追従する実体弾を振り切る様に上へ上へと昇り、その遠心重力を越えて、
機体を逆転させ。天井となったコロニーの大地へ着地。と同時にエラディケーションシュラウドモードからスタンダードモードへの可変実行
さらに迫る。ミサイルとハンドガンの光を逆進を掛け後退しながら、
マニュピレーターの手掌を展開。手の甲から覗くシュバルトレーゲン《黒い雨》が固定された基部より連続射出されるバルカン砲の斉射の如き、結晶体による銃撃にての
迎撃を選択。機体を左右にスラロームを試み、弾幕を張りつつ後退、先ほどの街中とはうって変わり。山間部の裾野の中、ゆったりとした姿を見せつつ、
光芒放つ攻防を繰り返す。
だが、決め手となる一手は、浮かび上がっては寄せる波の様に消えては浮かび、
その最適解を探すべく、腐心する。
選択するべき手札を上げる。
《アージナリーワン・ウェポンⅠ》による五枚の手札は、その威力と効果範囲によって
代償を伴いその効果は絶大であるが...やはりコロニー内での使用に不安が残る。
使える一手として振るえるのは...
《アージナリーワン・ウェポンⅠ》フォー、ファイブ
「音声認識による命令を受諾しろ。キーワードは...《Eleos is whiteエレオス・イズ・ホワイト 》その詩は、憐みを以て慈悲を捨てよ。純白の慈悲亡き慈悲を謳え。」
「俺が与える慈悲は、常に、弱き踏みつぶされる者と共にある。其れゆえ我思う故、我は、天より捨てたものを今一度拾う。譬えそれが、過ちであっても、
君の唄があれば俺は何度でも飛んで見せる。さぁ其の泣き顔を晴らせッ!!」
「続けて音声認識による命令を受諾しろ。...《Lufu is whiteルヴ・イズ・ホワイト》見返りを求めぬ無私の親愛で白く覆え、その愛は、己を捧げて、愛を守る為に愛を捨てよ。
失う事を恐れて、嘆くより、譬え無為に終わるとしても、拾った愛に愛され、愛へと走り、唯、君の為にその愛に殉じよう。
この命が絶えようとも、その想いの火は消えない。」「無限の一の中からその鍵を掴み取れッ!」高らかに歌うは、無法者の唄。
一転して、後方起動のままピッチアップを駆け、機体が受ける空気抵抗を上げつつ、優速である自機を傾け、ループの頂点より後方から斜め前へと横滑りを加え、
旋回半径を縮め捻り込み(Snap Roll)を試み、回避軌道を描きながら、迫る敵機の側面へと躍り出る。踊り出る。
コンソールにアガートラーム《銀の腕》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。その手には銀劫の輝き。
操縦桿のスロットを開閉すると、それに合わせて何かが映る。腕部に接続された球体状のジェネレーターらしき基部が発光しながら離脱、腕部の接続を180度回転し、
それに合わせて手掌も回転、反転した前腕より元の一へと還ると、腕部に備え付けられた球体上のジェネレーターの基部が光を放ちながら、その異様な光景を威容を以て伝えてくる。
展開するこの紅玉は、膨大な熱量と共に自機にエネルギーフィールドを形成し、迫る《アルクルージ》の小口径の破断する攻撃を、防ぎながら、五つの王冠の内、五つが外れ、隠れていた頭部が顕わになる。発光する光が、急激に膨れ上がり、浮遊する漆黒の王冠が、輝ける御手へと装填される。
二つの球体より際限なく吐き出される青緑の光は勢力て的な勢いを放ちながら、春幸は、その限界を超えた凄艶為るその光景に、その心を浸し、
且つて感じた高揚感を胸に、
その答えが分からないのであれば、解らせてやろう。最初からそこに答えなど無い。ただそこにあるのは、無数の可能性の果ての果て、どうなるかは、自らの目と耳で聞くがよい。そもそも俺(僕)にも分らぬ事よ。
俺は知った。捨てるこそに拾う命がある事をッ!!!!
我は…限界を超える者...アンリミテッド(Unlimited)
それは無限に伸びる手を筆頭に己の限界を超える行動を、提示し続ける。
目標の側面へと迫る中、装備されている武装の二つを解放。右脚部の、結晶自在剣を展開、戦闘機の機首よろしく空を切り裂きながら、左腕の袖口より射出する
シュバルトレーゲン《黒い雨》の発振器を震わせ、ある事を試みる。
限界を知るのであれば、その刀身と、生じる余波も限界まで抑える事が可能なはず。
獲物の先端の調整リングを捻り、刀身の長さと掠めるだけで機体を墜とす事すら可能な刃をを調整すると、震え余剰エネルギーを吐き出すシュバルトレーゲン《黒い雨》を
通常よりやや短いビームサーベルとして振るい、その先端には...溶断する刃だけではなく、粒子のみを刃状に形成し、
奮う刃を掲げ、迫る二機の《アルクルージ》は、中距離戦の十数キロの間合いのまま、その射線をコントロールして、死角を過る様に弾幕に交えてやや後方斜め45度
より迫る無数の閃光をメインカメラの視界を変えぬまま。左腕で逆手に支え、右腕の袖口より奔る結晶体のガトリング砲化した。シュバルトレーゲン《黒い雨》による
牽制射撃の連撃が交差、敵機の射線と弾幕がふれあい、偏光するその銃弾に弾かれ、そして、後方からの銃撃に対して、刃を振るい、その破劫を半分に刃亡き刀身へと巻き取り、その刀身が赤く紅く発振していく。
射断する様に振るわれた刃と電磁加速により一射する脚部の結晶自在剣の刃が円錐状の実体刃と化し射出。
空気中の飛散する粒子を巻き込みながらその実体を徐々に増やしながら、戦場を横断し、穿孔する銃撃を弾き、炸裂する。
瞬間に空中で。急激な機首上げピッチアップを掲げ、急速なエアブレーキを掛けつつ、回避。上昇を試み
シュバルトレーゲン《黒い雨》の刃が、瞬時に結晶体による実体刃と化し、目標がはじきだす。銃撃を偏光する刃によって。
空中で切り払い、無遠慮に切り上げた、逆手の刃から更にその刀身を射出、先行する結晶自在剣に叩きつける様に告げるは、
無数の結晶体による散弾。
突如として発生した。結晶体の刃が、《アルクルージ》が構える銃身に突き刺さり、コンバージョンリングによる収束途中で阻害され、
火花散る中、爆散、左腕を損傷しつつ、亀裂の入った全天周モニターに、操るマレディクトは、破損したカメラを切り替え、
その姿を視認するべく前を見た瞬間、その視界一杯に広がる。その機体が振るう。実体剣の刃が迫る。
突き刺された刃は、自機がそれまで放出して、放出し続けているであろう。それらを求め、吸収して、コックピット内へと、進入してくる
「う”ぼあ”ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーー亜阿ぁぁぁぁぁぁ」
圧搾する壁となり、両断されるも機体は、結晶体によるプラスティネーションよろしく、地面へと固着され、
ジェネレーターへの直撃を受けたもののその姿を固める現象により、コロニー内部での誘爆を阻止。
直前での機体制動により上昇し、再びのコロニー内部も天地を逆とし、翔ける。天の中間点で180度回転と共に、
上空へ機体を向けたアンリミテッド(Unlimited)の側面から、《ケルウス・ファメリクス》が、加速と滑走繰り返しながら、可変する鹿角より
推進器として使用していたその基部より、無数の光のラインを引き結び、交えては捻じれ迫る。
春幸は、目視する事なく、推進器の稼働を止め、機体を重力による落下へと身を任せ、反転し落下する中
追従しようと迫る機体に対して、右腕に固定された発振器より、バルカン砲よろしく、無数の粒子の銃弾を吐き出し、迎撃へと入る。
その狙いは、吸い込まれる様に《ケルウス・ファメリクス》へと突き刺さり爆発炎上へと陥らせるかに見えたが、
眼で捉えぬ事の出来ぬ春幸の感覚に、異様な手応えと、違和感を覚え、機体をモード変更。高速フライトモードへと切り替え、急速上昇。
噴煙交じりに向かい来るその姿に対し、コックピット内のコンソール状で、危機を知らせる音声が流れる。
粒子攪乱幕を確認。撃墜確認されず...危険、危険
(・д・)チッ
徐々に、標準搭載され始めてる《ムスペルヘイム》(灼熱の国)や《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》らの対策か?
この感覚。機体周辺に粒子を阻害させる粒子攪乱幕を継続散布してるのか?
高速機動を試みるアンリミテッド(Unlimited)へと殺到する二機の機影は、上昇軌道と寸分たがわず収束し、無数の機雷状の実体兵装を射出。
繰り出される無数の機雷が、低重力下に置いて、噴出口から推進剤を噴出しながら空中を漂うかに見るも、
様々な軌跡を描き、春幸が操る機体目掛けて、投射を試みる、高速フライトモードでの武装は、機首下部のビームバルカン及びヘイロン《黑龍》にオプションの実体弾兵装
狙いを付けながら機体後方へと流れる様に実体弾兵装を射出、上昇の頂点、コロニー内部の中心部へ到達する直前で、緩い重力の影響で、スラスターと姿勢制御バーニアーの
代替えとして、発光する二基のジェネレーターの偏向機構を推進器代わりに逆進し、機首を墜としての滑空と木の葉の様に舞う姿から、急速下降と共に繰り出す攻撃は、
失速した自機を敵機が追い越した目標を感覚で感じ取ると、慣性による姿勢制御を試み復帰し、
敵機の背面へと滑り込む動きを見せ、機動予測線を感じ取りながらの偏差射撃と敵機前方から流れ飛翔する実体兵装との疑似的な挟み撃ちを試みる。
空中で互いを追従し、仕掛けてくる追いすがる機雷をビームバルカンの斉射で撃ち落とし、自機と挟み込む様に放たれた無数の実体兵装が、
空中で時限信管による炸裂を見せる。二発の粘着性捕縛弾の網が、敵機の眼前に広がり、敵機も再びのピッチアップを繰り出しての方向転換を試みる
刹那にも似たその光景に対して、爆炎を抜けて追従する、熔解焼夷弾の妙、粘性のそれらと共に吹き上がる炎に厭かされた一瞬の隙を突いての
高速連携変形を見せる、高速フライトモードからスタンダードモードへの変形を経て、繰り出される。
刀身を狭めた、シュバルトレーゲン《黒い雨》と脚部の結晶自在剣を以て、一発目を回避する目標へと、二発目を交えて偏差十字砲火を仕掛ける
その刀身より、結晶状に変化させ撃ちだした刃と、回避軌道を描きながら射線を引き直し、繰り出される、その銃口の火を掲げる
それらに対し、剣を楯として、弾き、切り飛ばし、そして、右腕、前腕部の龍を模した咢を開口、放つは、腕部に搭載された球体のジェネレーターの輝き。
偏向する粒子の盾を防壁としてではなく、不可視の障害として撃ちだし放ち、敵機の攻撃をその進行方向を明後日の方向へと弾き飛ばし、
その余波が直撃する。乱れる機体コントロールに振り回され、空中機動の冴えが辛くも崩れさる。
押し出す様に放たれたその一撃は、空戦機動を行う《アルクルージ》の動きを止め、瞬時にスタンダードモードから
脚部を高速起動用に180度回転させ変形を終えるとクイックモードへ変形を行使し、
アンリミテッド(Unlimited)の機体の残像すら残さず霞の様に消え去る軌道を以て、擦れ違いざまに二条の残閃のその機体へと刻み込む。
コロニー内部に侵入した敵機の数を?残り一機まで減らすが、外部の状況を把握するに、楽観視できる状況下ではない事を知る。
重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)が補足する敵影に追い詰められていく僚機の姿に、
春幸の操作する手にも焦りが見え始める。
右腕より放つ、ビームバルカンによる牽制射撃に対し、友軍機の援護を喪った《ケルウス・ファメリクス》を操る何者かは、不利を悟って、
一案を述べそして実行する。可変する鹿の角状の推進器兼用の武装より、脚を止めての砲撃戦へとシフトし、狙いは...アンリミテッド(Unlimited)ではなく。
眼下に広がる街並みへと降り注がんと、吐き出される無数の機雷と、弧を描きながら偏光するラインを空へと描き、光のコントラストを描きながら
その収束と拡散する攻撃を手繰り操り、絨毯爆撃を開始。
身体の残る全感覚を総動員して、繰り出される一手を先読み、収束するシュバルトレーゲン《黒い雨》の刃を十数メートルまでその抑えきれない情動を抑え
常道へと至る常勝を謳う。
掠めただけで撃墜させるその刃は、いつしか極小の刃のまま、滑り込む様に地上へと舞い降りると、同時に振るわれ、発振する機構が、無数の兵器による攻撃を振り払い続ける。
レーゲン・アプシーセン《撃ち落とす雨》を起動。
行使する刃は、機体前面より照射されるフラッシュ機構より、その光を僅かばかりの刹那にも似たタイムラグを越えて対象たるすべてを敵味方識別を実行。
繰り出す刃で、一撃一撃を撃ち落とす半自動防御機構に阻まれその意識が、背後の建物類から、アンリミテッド(Unlimited)へと集中させつつ、
機体各部より放出される投射された視界を覆うスモークディスチャージャーの煙が周囲のセンサー類を使用不能にしながら、敵機へと肉薄するべく、転身
突き上げる様に上昇するアンリミテッド(Unlimited)の姿に、突如視界を奪われた《ケルウス・ファメリクス》は、鹿角の推進機構から放たれる全方位レーザーを照射。
暴風の如く周囲を焼き尽くし迫る。異様なる光景に対し、同じ光と等速である亜光速の乱舞に対し、レーゲン・アプシーセン《撃ち落とす雨》での防御は、今一歩届かぬかと
見えたモノの虚空を蹴り上げたAMBAC機動により、その進行方向を変え、腰だめに構えた刃から放たれしは、
瞬身鮮やかな太刀捌き、目標の弾道を見切るのではなく、その弾体が結ぶ意識と勘に頼ってでの撃墜を選択。刀身を収めて刃亡き剣として奮いし、刃が無数の光のラインを遮断させ、
背後の街並みへの被害を最小限へと抑えつつ。
放つは、ヘイロン《黑龍》の妙技、墜ちる雷の光を刃亡きシュバルトレーゲン《黒い雨》へと限定して、電光を走らせ、その余波で伸びる刀身を、
銃身代わりに貫くべき穂先と還る。
伸縮する刃は、忽ち《ケルウス・ファメリクス》へと直撃、展開される粒子攪乱幕に防御され、粒子の破片をまき散らしながら、押し出された機体が、緩やかな下降軌道を描きながらも、
戦場を離脱するべく動きに入るが、その隙を感覚で感じ取ると、クイックモードによる超高速移動により、一気に彼我の距離を捉えると、
蹴り脚から繰り出される結晶自在剣が、粒子を乱す攪乱幕を越えて目標へと激突。咄嗟に掲げた鹿角と接触し、衝撃を受け流す為の後方への飛び退りを実行するも
勢いを殺しきれずにそのフレームに亀裂が入る。
左右の二連撃から繰り出される結晶体で作られた刃により、周囲に展開されていた粒子攪乱幕の防御を越えて攻撃が命中する。
結晶自在剣が切り開いた穴へと、右腕より吐き出されるビームバルカンの斉射に晒され、噴煙交じりの決断を此処に示さんと、吐き出し続かせるその猛攻に、
《ケルウス・ファメリクス》の装甲が、徐々に剥がれ、骨組みにも見えるフレームの基部が顕わになる。
コロニー内でのジェネレーター直撃は、真空の天と宇宙のオアシスたる外界と隔てる積層式の隔壁へ大穴を開ける可能性がある
それを防ぐには、侵食する結晶体によるプラスティネーションによる封緘を試みる。
幾度目かの邂逅に実感した事実として、固形化された粒子は、粒子攪乱幕からの影響を受けない。ならば、突き入れる刃は、無数の結晶に覆われたまま、無意味な沈黙を選択する。
果たしてそれが良い事なのか?と問いかけながら、早々に目標を片付け向かう先は、積層式の隔壁を抜けた先。
確かアイリスのコロニーには、二足歩行の機体が安全に出入りができる。出入り口があったはず。頭の中で且つて暮らした頃の記憶を呼び起こしながら、
一つの打開策を描く。
透過する実体を持たぬ存在でも熱量を持った粒子でもなく、その姿が、0と1との間の無限に存在する実数の間にある原子の隙間に機体を滑り込ませると、
目算する到達迄の距離と時間を踏み越えて、今まさに危機の唯中であろう僚機の姿を探し、積層隔壁をすり抜け、
コロニーの外観で争う、光のラインを目指して飛翔を開始する。
その間にはコロニーの浮遊する宙域へ転進する《メガエアライド》へ騎乗する《ホーリーグレイル》を駆る《エクィタス=ユースティティア》と《ユミナリア=ニドフェアー》が窮地に陥っていた。
行方不明の春幸の姿を探し、ここ数か月数々のコロニーを渡り歩きその姿を探すモノのその姿を一向に捉える事が出てきていない。
其の捜索を続ける中で、久方ぶりに訪れるL2宙域にあるアイリスまで到達すると、
機体のコンソール上に、敵味方識別コードの反応が表示される。
「えっ??マレディクト???ウェンディゴ部隊が居るの?」
「数は...艦船も含めて数十機...」(まだこんな場所に存在していたのか?)
「ここは、不味い。チャフとダミーバールーンを放出して離脱するよ。」と機体を傾け再度の転進を試みようとし
《ユミナリア=ニドフェアー》の声が響き渡る
「ダメ...《セカンドアーヴル》の反応が...コロニー内部から確認できる...春君があそこに」
漸く目的である春幸の所在を探り当てたモノの...窮地であることは変わらず。
《エクィタス=ユースティティア》は臍を嚙む。
だが...合流できれば...勝機はある。
「ユミナリアさん、《セカンドアーヴル》の反応を追って、乱戦になる。機体の操縦権を僕にッ!!!!」
斜め前の水面へと落ち込む様に45度の傾斜を付けつつ無窮の宙へと飛び込む一筋の機影が、周囲に展開されていた。哨戒機の警戒範囲に触れると、
すぐさま、三機編隊の機影が、此方に向かって、警告と共に制止を試みる。
「こちらマレディクト所属、ウィンディゴ部隊。0822アルト=バーデ二ング大尉。貴君は、我らの防空圏への無断進入を行っている。武装解除の上、投降するべし。」
三機の機影を眺め、《エクィタス=ユースティティア》は、無線による警告を無視して、呟く
「コロニーの翳に隠れつつ、敵の追跡を振り切ります。」
掴んだ操縦桿とフットペダルを強く踏み込み発振する推進器を全開として、円周軌道を描くコロニーのソーラーパネルの反射光を目くらましに使用しての
急速潜航を試みる機体は、その加速によって、其の身を震わせフレームを歪ませる勢いのまま、進む。
(敵の《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》や《ムスペルヘイム(灼熱の国)》を防ぐ手立てが...《ホーリーグレイル》にはヴィキティやデスペラードの援護なしでは基本搭載されていない。
精々、基本武装である...のみ。だが、其れも弾数制限がある。とてもあの数は相手取って戦えない。)
(あとは、《メガエアライド》に備わっている《Freezing Breath》フリージングブレスで、騙し騙し対抗するしかない。)
(見つかった三機編隊は...《マレディクト・ペルフェクトゥス》...なんだ?あの鹿の角の様な機体は?噂に聞く、新型なのか?)
(このまま推力差で、引き離したいが...チッリミッターを外したな?追従してくる。しかもあの反応は、大型空母ウニラ・エンシスだが?艦載機は最低でも20機は居る。だがあれは何だ船体の後部に何かが見た事のない部位が備えられている長距離航行用のブースターか?。)
回るコロニーのソーラーパネルを下方部へと向かいながらスレスレの位置で、引き離さんとするが、
リミッターを外し、限界速度まで加速した二機の《マレディクト・ペルフェクトゥス》と《ケルウス・ファメリクス》の姿。
残像すら残し迫る敵機の狙いを外すべく、旋廻と急降下と上昇を駆使して、罹る狙いを外し続ける。流石にコロニーを巻き込んでの攻撃をしてくる
可能性は低いと思われるが...。
(・д・)チッ
やはり撃ってきたか?迫る思考誘導弾の数、32...《メガエアライド》の推力を以てしても振り切るのは、不利とみて、
《メガエアライド》のその躯体を大型の外部装甲へと起立し、そらに一歩踏み出すと大型の腕部より、噴出する破劫と共に、機体の進行を逆進。
備え付けられた霧状のダイアモンドダスト…《Freezing Breath》フリージングブレスを投射、細雪の雪片を周囲に散布と凹型の結晶体を噴霧しながら迫る敵機の
《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》の一手を防ぐべく、追跡機のオーバーシュートを誘発させ、機体を反転させると共に下降し、擦れ違いざまにその機体中央の砲身より、
大型銃口から走る船体を覆わんばかりの光の粒子の一打と共に背面部の武装コンテナより多数の成形炸薬弾頭のミサイルを弧を駆けそれらを以て、
迎撃の合図とする。
迫る機体の直上で炸裂、思考誘導弾の弾体を撃ち抜き、砲撃の輝きに対して、三機編隊の陣形がやや幅広に距離を取りつつ迫る。
接近戦にも至る距離へと詰める中、
相対するアルト=バーデ二ング大尉は、制止を振り切った所属不明機が、コロニーを楯にして逃げ惑うその姿に、友軍機へ大火力による撃墜を禁じたまま
自機の機体周辺に粒子攪乱幕の防御を展開。其れと共に二機の友軍機が「「(ことごと)く恐怖に厭いやかされ死ね。《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》」」を発動。
惑乱と熱死を伴う、その機構に対し、《Freezing Breath》フリージングブレスを投射により、防御。
追加の援軍が来る前に、振り切るべく。
保持する獲物を駆使しての迎撃戦へと突入する。
更なる追撃として照射される二条の毒牙、ヴェノムレインの輝きが迫る中、《ホーリーグレイル》は、
白磁の騎士の如き、その背面部には、湾曲した複数の筒状何かを備えたバックパックが覗き背面部に備え付けられた、湾曲した複数の筒状何かが脱落し、掲げるは聖杯の如き、器を模した、ファルクス・レフレクトールを展開。
機体の防御として、操り、射かけたらた毒牙の光を防ぎ逆に敵機の目標へをその勢いのまま反射させる。
機体を再度傾けソーラーパネルの影に隠れつつ、射撃戦を駆使する《エクィタス=ユースティティア》に対して、
追いすがるアルト=バーデ二ング大尉は、その動きと、その機体から発せられる。何かに、脳裏に過る何かの感覚に触れ、
その口元から涎を垂らし、一向にこちらの機体による《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》による影響が見られない状況下にしびれを切らし、
本営の指揮官へと、非武装地帯での武力行使に対する許可を打電する。
反射されたヴェノムレインの攻撃を粒子攪乱幕の防御で、事も無げ(こともなげ)弾き、その許可を出る瞬間を待つ。
「首席ッ...敵が現れました。ご指示をッ!!!」
ん?
「そんだらこったぁ、オラに聞くでねぇだ。今回の遠征は、喪った。資材と兵站を支える人を得る為だが、邪魔ものがいるならば、コロニー毎墜としても良いずら。」
「対象者にはこう告げよ。ナクト・ア・ポワルへとなりたければ、結果を残せッ!!!!」
(くそぉーハルズ=アルマインもアハト=佐伯も、コーディー=スルーも斃され、戦力が大きく欠けているだ。打開策を撃っては居るが、それまでには暫く時間がかかるだ。)
(おかげで、オラが前線に出なければならなくなったぞ。なんたることだ.
「念の為だが、《セリト・メーテト》の準備をしておくだ。」
...
...
...
電信での回答は、逃す事能わず。どんな損害が出ようとも墜とせ。との一文に歓喜に震えるアルト=バーデ二ング大尉は、何を思ったのが、ノーマルスーツを
まるで手品の様に接合部を解放すると左右に布地を引き裂く様に分離すると、全裸の如き鍛え上げられた姿態をねめさせ、そして晒ながら、
重要な箇所が、やや下降気味のアングルから覗く、操縦桿によって隠される。何かが揺れる音だけがやけに静かになったコックピット内部で鳴り響く。
「俺は、自由だ!!!!!!!!!男なら脱げッ!!!」
開放されたその姿に呼応し、迫る敵機の軌道に冴えわたる。妙技が加わる。
左右斜めの旋回を降下と上昇を描きながら三機の機体が此方へと肉薄してくる。牽制がてらに放った一撃は、
その狙いを大きく外し、不味いな。敵の動きが、一段、何かが上がった気がする。
《メガエアライド》の砲撃に合わせて上下左右に、バナナ型に湾曲した弾倉を装弾し、多数の弾体を使い分ける奇妙なライフルを構え、
牽制の連打を、予測線の頭上にタイミングを数泊、ずらして、粒子砲の連続射撃を試みるが、
その狙いは、僅かに逸れるか、命中しても、熱い粒子攪乱幕の防御に晒され、霧散する。
「防御が厚いな、しかも当たり難い...」
(中央部の機体はあれは、わざとあたりに来てるな?こちらの攻撃が効かないと、あたりを付けて、自機に狙いを集めるのが目的なのか?)
更なる脅威にたいして、二足歩行の外部装甲体と化した《メガエアライド》機体を操り、更に下へ下へと加工しながらも通り過ぎるコロニーの太陽光パネルを
避けた瞬間再度の上昇を繰り返し、背面飛行を試みながらの砲撃戦に終始する。
それでも、膠着状況になっているのは、敵が大火力による攻め手を欠いているからではあるが。
突如機体に高熱原体を知らせるアラートが鳴りひびき渡り、《カルペ・ディエム・アスキック》単独から放つ、
《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の二倍の効果範囲を保持する光の柱を放つメランディルオール《天地暴喰》の極光が迫る。
機体を45度から180度の捻転を加えながら、天と地を解しての軌道を描き、回避軌道を行使する《エクィタス=ユースティティア》に対し、
その回避軌道を追う様に薙ぎ払われた。二つの砲撃と無数の光のラインが、廻る太陽光パネルを撃ち抜き、箱舟内部へ降り注がんとする陽光が途切れ、
小さな世界に暗闇が訪れる。
Σ(・ω・ノ)ノ!
「ちぃぃッ被害を考慮すらしないのか??!」
がなり立てるアラートを聞き流し、《メガエアライド》の砲身より放つ、続く粒子砲の一射と、周囲に展開した、粒子攪乱幕の防御を時限信管で、投射。
まき散らされるそれらの効果により、破壊の光をそのライン上から途切れさせ、背後への攻撃の一波を潜り抜けたものの、逆に己の空戦機動を行う逃げ場を失い。
更なる窮地へと陥る。
(春君との合流まで、時間を稼がないと...)
途切れるメランディルオール《天地暴喰》の砲撃に晒され、余波で白熱化する装甲が、確かなその防御力を示すも、直撃を喰らい続ければ...
しかも自機のエネルギーゲインは、長距離航行の果てに、目減りしている。
これ以上の最大火力を撃ちあう砲撃戦にかんしては、ジリ貧となる事は分かりきっている、背面機動のまま、後退するにはスペースは存在せずも、
回転するパネルの時間差で廻る。隙間を狙っての後退を選択、六時方向の天に描きしは、
時間稼ぎがてらに投入した無数のファルクス・レフレクトールを楯として、背面に備えし、障害物の相対距離を測りつつ、機体を掠めるギリギリの状況の中
前方へ広がる宙域へしか逃げ場がないはずのこの状況に置いて、240度の視界によって視線を合わせず、避けるその軌道により、暫しの猶予を作りながら
迫る敵機が、また一枚障害物であろう。太陽光パネルを光の砲撃で弾き飛ばしながら、こちらや周辺の影響を考慮しないその動きに、
どうやら相手は、コロニーへの破壊すら何とも思って居ない事を識る。
友人の安否が不明の中、その行動は...脳内で危険を知らせるアラートが鳴り響き続ける。
続く砲撃をファルクス・レフレクトールを多重展開。群がる攻防を防ぎながら、約127mmに及ぶ口径から吐き出されるライフル弾の偏差射撃による連弾が放たれる。
その銃火が《マレディクト・ペルフェクトゥス》の装甲を軽く弄り、堪らず防御としてのビームシールドによりその攻撃をシャットアウトするも、
射線を操り敵機の回避軌道を誘導しながら、この窮地に対し、半瞬おくれて投下するは、自機に備わったライフルに使用する為の弾倉をひとつかみ、宙へゆっくりと投棄する。
緩やかな軌道を描き、敵との同進行軸に重なる様に迫る中、
無遠慮に放たれて偏差射撃による連打が、アルト=バーデ二ング大尉の操る《ケルウス・ファメリクス》の進行方向で炸裂するかに見えた瞬間、
全裸によって感覚を研ぎ澄ました。操縦技術の冴えにより、機体のメインカメラの照準を僅かに逸らした瞬間。
全天周モニターの画面に亀裂が走る。
何事かと、コンソールを操作しサブカメラへの切り替えを試みる。
(今のは...跳弾か?それとも...)
機体制動とは離れた基本操作外の処理により、僅かにその動きが遅れた《ケルウス・ファメリクス》を残して、
二機の《マレディクト・ペルフェクトゥス》が先行する。
その様を眺めながらも《エクィタス=ユースティティア》は、脳内で、その処理と、予測を既に終えていた。
それまでと同じような軌道、同じ様な牽制射撃を試み、炸裂するは。一瞬の閃光。
次善に暴発させた実体弾の弾倉ではなく今度は粒子砲用に濃縮されたエネルギーパックを同じ流れで放出しながら、
今度は、流れ弾を嫌がり、展開するビームシールドを前面に展開、追いすがる二機は、防御体制のまま、16発の思考誘導弾の投射と共に、
機体を180度捻転しながら左右の旋回軌道を試まんと欲するが、その刹那の合間に炸裂する光の奔流が、半自動の閃光防御により、その行為を停止させる。
(・д・)チッ
「目つぶしか?ッ!!!」警告の声を発した。マレディクト所属のパイロットは次の瞬間には、眼前に広がる巨大な何かにコックピットを潰され、
何が起きたかも感じる間もなく、爆散する。
閃断するは、回転する刃を備えた正三角形の大楯の輝き、弾倉の投機と共に僅かなタイミングをずらしての投擲から繰り出されら刃が、目標を沈黙させる。
「糞ッだからあれほど言ったのだ。全裸に馴れっ!!!と。」警告の声が奔り、「奴が投げてくるモノには、最大限の警戒をッ!!!!」
実体兵装による牽制射撃から、粒子砲による。狙撃に変わった目標の行動パターンに《ケルウス・ファメリクス》の粒子攪乱の防御は破れまいと、
最大限の警戒をみせながらも機体を走らせ。砲撃戦を仕掛ける。無数の射線のパターンを変えながら迫る光のラインを目標が、事も無げ(ことなげもなく)回避し続ける。
カメラの不調を押したとしても、その空戦機動に違和感を覚える。
だが俺は自由だ。解放された肉体から繰り出されるは。縦横無尽に奔る光のラインによる包囲網、触れれば《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲ですら
唯では済まさぬ熱量が込められた。無数の銃撃を回避しながら、逃げ惑う目標に。何か違和感を感じ取るも、再びの弾倉の投下、
同じ事の繰り返しとは...。警戒したのは余計だったかと嘲り交じりで、目標が放つ牽制射撃とファルクス・レフレクトールによるオールレンジ攻撃を捌きながら
流れる弾倉を無視して、それまでの最適コースから離れ、機体を左右にブレさせ、旋廻を繰り返し迫る。
《マレディクト・ペルフェクトゥス》の思考誘導弾は、目標へ到達する直前で、中口径の《falcisファルキス》により放たれし迎撃網に晒され宙空で炸裂すると共に爆散を繰り返し、
無駄だと分かりながらも放つビームライフルの連打を、鼻で笑いつつ、まるで意に介さずに迫る。
そして鼻腔を擽る仄かな香りに、且つての懐かしい香りを感じる。
「貴様ッまさか...。か?」その声は、なんの工夫もされていなかったその行為にその声を防がれ、その言葉は空中で霧散する。
全裸の肌感覚をもろちんのまま、鋭敏に感じ取り、揺れる二粒の何かに違和感を感じるモノのその間抜けな所業に、嘲笑いそして猛攻による攻撃により、
交錯する戦闘の中、光るラインに弄ばれ、ファルクス・レフレクトールの一部が脱落する。
偏差射撃による攻撃に、念のためビームシールドを重ね。完全なる防御姿勢のまま、大きく弧を描くように迫る実体盾の刃を悠々と回避しながら、これで終わりかと?
機動を描く、その筆を置いた瞬間、閃断する光の瞬きが、油断したアルト=バーデ二ング大尉機の底尾部を貫き、大きくその機体を傅かせる。と共に、離脱したはずのファルクス・レフレクトールの一機が背後に回り込み、
その閃光の一端を引き絞り、残るファルクス・レフレクトールと共に、天に、光の陰影と共に、星図を刻み付ける。
穿劫弾...《ホーリーグレイル》が放つ。切り札。
それ自体に小型のジェネレーターを搭載した実体弾に、発光する実体剣の刃と同じ原理で螺旋状の溝...ライフリングされた銃弾を撃ちだし、敵の装甲を溶断しながら貫く。閃断する
一撃が、二つの目標を次々と解体していく。
「なんとかなるもんですね。」と、息を吐いて言葉を繋ぐも、コンソール上に敵機を知らせるアラートが鳴り響く、急ぎ回避軌道へと入る中、
穿劫弾を放ったことによる砲身の冷却時間...30秒間が、その危機に大いなる危機を魅せる。
敵影...十数機...
《ケルウス・ファメリクス》三機
《マレディクト・ペルフェクトゥス》六機
《アルクルージ》四機
《シルト・アウス・リヒト》一機
総勢、14機
手掌を操り、ライフルを機体に懸架すると、障害物となっていたコロニーより、次第にその距離を離し、《メガエアライド》を操り一撃離脱。
一先ず囲まれる愚を避けるべく行動するも。放たれる思考誘導弾の雨が次々と機体を追従するべく弾幕の壁を形成して押し迫る。
迎撃の為の一手を喪い。一発、二発と《メガエアライド》の《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲に直撃する。も、
その頑強な装甲材に守られ。機体と船体の損傷は軽微。廻る軌道を残し、周囲に展開されたファルクス・レフレクトールを操り、迎撃を試み
中口径の砲身から走る光のラインが、迫る思考弾頭の基部を焼き切り爆散し続ける。
「不味いな...新型ばかりだ...だが...僕には...がある。」
天には一陣の風にも似た、波涛が伝播し、敵機踊りし、戦域すべてを覆い尽くす。
「この感覚は?!春君だッ。ユミナリアさん、生きてるよッ!!!」
「本当?!」必死に明滅する戦場の華を歯嚙みしつつもその恐怖に耐える彼女を案じながら、
(この感覚と、彼の援護があれば...切り抜ける事も可能だッ!!!)僅かに銃身の冷却期間までの時間を数秒残したまま、放つ一手は、
敵機の粒子砲の斉射を操るファルクス・レフレクトールの防御の厚み。
其の中型の湾曲する砲身で、六機分のメランディルオール《天地暴喰》を様々な角度で飲み込み、反射を試みる。
その姿は、堰杯に注がれる芳醇なる盃色深き、琥珀色を見せ、其の全てを飲み込まんとその盃が傾けられる。
一機を喪い都合五機まで減じられたファルクス・レフレクトールは充填された粒子を吐き出す暴風雨を化し敵陣へと巨大な螺旋の渦を顕現させる。
其の斉射に巻き込まれ、数機の《マレディクト・ペルフェクトゥス》、無情の光に包まれ爆散する姿を見送るも、
防御を抜けて一条の光がコロニー本体へと雪崩れていく。
その一射を実体盾を前に、《メガエアライド》から飛び出した《ホーリーグレイル》がその光を抑えるべく機体を反転させ
真正面のその姿と相対する。膨れ上がる光の奔流が、矮小なるその機体を包み込まんとする様に見えた瞬間。持ち手の盾が高速回転を開始。
群れる大砲の一撃となった粒子の波涛を押し留めながら手には、いつの間にか抜刀した。実体剣の輝き、
放出される粒子量をまるで障害とも思わぬ勢いのまま、滝昇る龍の如く、その刃を晒すと、壮絶なる突きの一撃をもって打ち崩す。
刹那の邂逅に置いて、事態の趨勢が、劣勢から膠着へと切り替わっていく。
その敵との戦力差は、2体11機まで、目減りしたものの敵も、反射される愚を犯さぬ様に大火力による殲滅ではなく、散発的に放つ牽制攻撃を交えた銃撃により、
拮抗状況を作り出し物量差と、疲れによるミスを誘発するべく、《ホーリーグレイル》と《メガエアライド》を包囲する動きを見せる。
遠巻きで、既に撃墜される憂き目を見た僚機の姿を見て、腰を引き気味の展開ではあるが、
剝き出しの感情を表し、其の葦を顕わにする。
吐き出される、無数の機雷状の実体兵装が緩い旋回軌道を描きながら迫り、同じく投射される思考誘導弾と共に、
突撃する。黒い光沢を放つ《アルクルージ》は趨勢を決める為、黒い機体色から、赤熱化する紅い朱い色を見せながら、色を一気に変えその加速度を上げ、
実体弾頭の群れとともに飛翔を開始。
意匠を凝らしたその機体に写る反射光を目標として、射撃戦を試みる《ホーリーグレイル》の姿を嘲笑うかのように、銃口を向けて突撃してくる機体は、機体頭頂部から
展開される大型のビームシールドを前面に展開し、機体が撥ねる様な動きを見せながら、縦横無尽に戦場を駆ける。
連打する光の閃光が、次々と飛来する。機雷の基部を撃ち抜くもその隙をぬって追いすがる。機影は、周囲を取り囲む様に幾度もの角度を付けて公転軌道を試みる。
四機編隊のその両手から延びるハンドガンの小口径の光は、その熱量の受け止める様に展開された、ファルクス・レフレクトールと接触、
白熱化する基部で其の全てを受け止め、撃墜されかねないモノもその限界値は当に越えているはずにもかかわらず、飲み干す様に、
敵の攻撃のラインは都合、八つだが、此方の防御の手は一つ欠け、五つ、都合三つの熱線が防空網を抜けて飛来してくる。
背後と側面を抑えられ、目の前には、わざと遅れて到達する様に調整された思考誘導弾の雨、対応に苦慮し、構える光を放ち回転する正三角形の実体シールドでそのうちの二つを防ぐ。
《ホーリグレイル》
その聖杯探す騎士を模した機体には、一つのコンセプトが込められていた。知らぬ者には気付かれもしないが、其れは「反射」
その刃や盾は粒子砲の範疇であれば、その機能を十全に発揮すれば弾き返す事が可能である。しかし、その効力も、自機より離れた場所には、ファルクス・レフレクトールを使用しない限りその影響は発揮されない。
抜けた熱線の一撃が操縦者が、《エクィタス=ユースティティア》からユミナリアへと変わった《メガエアライド》へと吸い込まれる様に注がれる。
直撃する《アルクルージ》の熱線が、《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲を溶断。その腕部が切り裂かれた機体へと殺到する無数の《アルクルージ》の姿、
紅く輝る破劫を煌かせ、止めへと走るその姿に、コロニーの頭頂部を眼下として繰り広げられる宙を天と地に切り分け、反転する様に残像すら残さぬ速さで
飛来する何者かの姿が、一機の《アルクルージ》へと着弾。
三次元立体起動による包囲戦を試みる。その囲いに亀裂が走る。
突如として現れた、機影に推され、コックピット内部では、全裸の男を守る様に、エアバックが発動。その臀部を優しく包み込む動きを見せ、
誤動作で、その男尻が撥ねながら、突如乱入した。春幸の眼前に繰り広げられるが、視界を喪い、感覚のみで応ずる其の目には何も映らず。
代わりに奮戦する《エクィタス=ユースティティア》のコンソール上に写り込む。
クイックモードによる高速移動用のプラズマ推進器を備えた脚部から放たれる。プラズマ推進機構の出力増し、繰り出される足撃が、破劫の輝きを纏いながら、
その機体のフレームに甚大なる損害を与えつつ、離脱。
目に見えぬ眼に、映るは、懐かしい感覚と、やや汗臭い香り。普段であれば、清潔感を保った気にもしない香りではあったはずが...何かの違和感が脳裏に過るが、
通信機越しに語られるその言葉は、且つての友人のモノ。
「エクィタスか?ッ?!どうしてここに???」
「やぁ、春君。それはこっちの台詞だよ。積もる話はあるけど、今は、この場を切り抜ける方が先決だよ。行けるかい?」
「嗚呼、問題ない。眼と耳そして鼻が普段と比べて、使い物にならないぐらいだが、感覚で分る。」
「えっ」喜びの声を上げようとしたユミナリアの息が止まる。
個々で戦うよりも連携した方が良いとみて、蹴り墜とした。機影へと、瞬時に展開されたシュバルトレーゲン《黒い雨》の極小の刃を振るい。
衝撃でブレるコックピット内で漸く自分を取り戻した。パイロットがハンドガンによる。ほぼゼロ距離にも近い接射を試みるが、機体の制動を変えて、
後方宙返りを試み、展開される極小の刃が、その目標を見る事無く、その黒くにびやかに映える光を放ちながら、極細の刀身から繰り出すその刃渡り、
数百キロまで伸長するその刃が、一筋の砲撃にも似た光を持ちてかかる火の粉を振り払うと共に、脚を止めたその機体に砲撃の様に突き入れる。
危険を感じ取り展開されるビームシールドの境界と拮抗する様に光が奔り、触れるモノを溶断する刃は、周囲に稲光の余波を作り出し、
花火の如き火柱をあげながら、一瞬の交錯の果てに、無遠慮に突き出された銃身を引き金が引き絞られる動きを機体を捩り回避共に、一刀両断。
放つ熱量が機体のジェネレーターを焼き切り、動力炉がオーバーライド、爆ぜる瞬間、吹き上がる熱量ごと、その似姿をこの世から完全に消し去るかのように
脚部に搭載されているプラズマ推進機構を発振と共に蹴りを叩き込み。未だ砲撃を仕掛けてくる三機編隊の《ケルウス・ファメリクス》が陣取る陣形へと、
蹴り出し、爆散する機体の残骸が《ケルウス・ファメリクス》の装甲板の上で軽くぶつかる衝撃に、其の身をさらす。
突然の急襲によりその数を減らした《マレディクト・ペルフェクトゥス》と《アルクルージ》は、互いに三機まで減らされたその光景に対して色めき立つ
ハンドガンによる弾幕は《ホーリグレイル》の防御とファルクス・レフレクトールに防がれ、決め手に欠ける為、それぞれの機体が、
四つの砲身にも似た皮膜を持った翼の骨組みを見せ羽ばたき、その銃身を防御に手を取られている《ホーリグレイル》とアンリミテッド(Unlimited)に向けられる。
其々新手として現れた。何者かに思考のリソースを割り振りながら
残る《ケルウス・ファメリクス》三機、《マレディクト・ペルフェクトゥス》三機、《アルクルージ》三機の内、三方向に分かたれた機体が、
上下斜めと跳ねながら、無数の無機質なる目を揃えて三機の目標に対してバラバラに押し迫らんと陣形の構築を開始。散開と合流を繰り返し、未だ沈黙する楯を模した《シルト・アウス・リヒト》を残し
定められたフォーメーションに従い、繰り出されるは、実体弾とビーム兵器による包囲殲滅陣に対して、互いの機体を背中合わせに、迎撃行動に出る
《ホーリグレイル》、《メガエアライド》に向かい放たれる音速を十数倍以上超える速度で射出される。超電磁砲の斉射が、ハンドガンの煌めきと共に、脚を止め防御に徹する《ホーリグレイル》に降り注がんと行使される。
その数、この戦場に置いての戦力の三分の二が集中する。
罹る二条の砲身のラインが、光の毒針と化して、更に襲い掛かってくる。それでも都合、六本と無数に棚引き放射される光のラインを布石つつも
敷設される機雷を避けて、囲まれる窮地に置いて、更なる悪夢が襲い掛かる。
追いすがってくる《ケルウス・ファメリクス》、《マレディクト・ペルフェクトゥス》、《アルクルージ》それぞれ一機づつの三機編成の機体が
援護に加わった新手...アンリミテッド(Unlimited)に対して襲い掛かる。
目の見えぬ春幸は、直進してくる《マレディクト・ペルフェクトゥス》を前面に押し出しつつ、その周りを宇宙空間においても、物理法則を無視しての軌道を見せる
二機が、牽制射撃を試みながら、時に、逆進を駆けつつ走る中。
応対するはアンリミテッド(Unlimited)の姿。
偏向シールドを展開しつつも、繰り出すは両手の袖口に忍ばせた。シュバルトレーゲン《黒い雨》を銃身として使用するビームバルカンの牽制。
中空で相殺し合うそれぞれの攻撃に、機体を9時方向、勢いよく飛び出し横切った左腕側に残る、僚機への援護へと向かうべき
機体を90度傾け発進するも、後ろ手に迫る敵機の攻撃を右へ左へ。
コンソールの音声アナウンスにより使用可能となっている位相空間固定アンカーを空を斬るように、一番二番を、交互に射出。
巻き取られるラインに誘導されながら僚機への合流に急がせるものの
其れ迄、沈黙を守ていた空母の後方から、切り放された推進器を備えた増加装甲らしき線形が、崩れ。
その船体を組み替え大きく五つの刃と二つの大鋏を備えた。巨大な甲殻類を思わせる様な、姿を現す。何者かの翳が、その全容を表す。
機体の各部より、魅せる。伸縮するアームと触腕を持つ何者かの姿。
大型の刃が、その大鋏から剥落すると、光の展開刃を生じながら、一斉にその手元から飛び立ち、
その鈍重そうな躯体からは、想像できない。着脱からの後退後、急加速を試みるその姿に
もう一機居たのかと?
牽制代わりに撃沈を試みるべく後ろ手で、斜めの角度を付けつつシュバルトレーゲン《黒い雨》を照射。
放つ極小の刃が、その船体に着弾すると共に、恐ろしく違和感感じながらその不確かな手応えと共に...
「敵機の損傷チェックを頼む...」
「重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動...対象へのダメージ...軽微、継続した攻撃を提案。」
「平行起動中の量子演算結果として、継続攻撃に対してポジティブを...」
「わかった。」
何が理由なのかは分からないモノの
一呼吸で、眼が眩む瞬きを戦場に残して、其れは真空中の宇宙空間に置いて、音もなく行使される。群がる羽虫の如く追従してくる三機を引き離しながら、
耳に残る電子音声が奏でる音楽に耳を澄ませ、状況を打開する一手としてその行為に今一歩踏み出さんと欲する。は...
《アージナリーワン・ウェポンⅠ》アンロック...ワン、ツー、スリー...
「音声認識による命令を受諾しろ。キーワードは... Rise is whiteライズ・イズ・ホワイト始まりの詩を歌え《セカンドアーヴル》...我が名は、春幸=ブラットワーカー。」
「俺は、暴威を振るう王よりも、人に裸を魅せられる裸の王様でありたい。もちろん...身体じゃなく...」
「Life is whiteライフ・イズ・ホワイト命を謳う無垢であれ...憎しみに染まる復讐者よりも、弱者に寄り添う当事者でありたい。」
「《Lies is whiteライ・イズ・ホワイト》 その詩は、嘘さえも白く装われる。」「俺があるべき姿は、命を惜しむ覚悟ではなく。理想に殉じる弱さでもない。唯、喪う命と守るべきものの重さを測り、捧げるだけだ。」
「我は、その言葉全てを反転させる。昇る白を描き、王の座に還る事なく、誰に対しての憎しみで動くのではなく理不尽に対する怒りを以て復讐者足れ。」
「其の身に宿るは、命捨てるは、同時に命を拾う事と知れ。何故ならば、命は、自ら虎穴に入らねば拾う事能わず。」
展開するこの紅玉は、膨大な熱量と共に自機にエネルギーフィールドを形成し、五つの王冠の内、五つが外れ、浮遊する中でに置いて、
隠れていた頭部が顕わになったまま。発光する光が、急激に膨れ上がり、浮遊する漆黒の王冠が、輝ける御手へと装填される。
「無限の一の中からその鍵を掴み取れッ!」高らかに歌うは、無法者の唄。
掛かる代償は、数多あれど、それでも
それは無限に伸びる手を筆頭に、次々と様変わる現象が巻き起こる。
その距離や時間を超えて繋がる手と手は、其々の窮地へと降り注ぎ、チャージ出力強化及び冷却、リチャージまでの速度を上げ、クールタイムを排除し、喪われた弾倉やエネルギーを補充し強化させる。
更に其の全ての攻撃を外さぬ威を要しながら、己の限界を超える行動を、提示し続ける。
包囲網へと着弾する。足撃とその言葉が終えるが同時に、銃口から延びる。ビームライフルの連射が、
宙空で逃げ惑う機体の姿に偏差射撃を試み、
棚引く飛行機雲の様に回避運動を仕掛ける《マレディクト・ペルフェクトゥス》へと降り注ぎ、
展開するビームシールドへ飛散する光を散らしながら防御。
粒子と粒子がぶつかり拮抗するかに見えるも
されど。堪らず貫通する姿を見せる。
破劫する光の乱舞が、残像を残し、舞い踊る無数の目標に対して群がる羽虫を駆除する様に、
実体弾とビーム砲の照射を切り替えながら牽制と迎撃を試みる
未だ混乱の中にいるユミナリアを他所に、奮戦する《エクィタス=ユースティティア》は、背後に庇い五基のファルクス・レフレクトールの厚き防御で、
360度の視界を時にクルビットやコブラの本来であれば宇宙空間では行使足りえぬ軌道を見せながら、攻撃を繰り返すそれらを
限界を超えた反射速度で対処し続けるのは、パイロットの腕なのか?それとも...?
脳内の神経が限界を超える反応を魅せるも、それでも頭の芯には、冷えた感覚が宿り、微熱を発するはずの知恵熱が急冷される。
援護の足撃が、手足を広げ、展開したフラップと粒子放出機構による、抵抗を最大にしての疑似プガチョフ・コブラによる慣性制御で、失速状態での急旋回から延びる機影に対して、回避の暇も与えず突き刺さる。
交差する銃身で、その一撃を受け止め、衝撃を受けるコックピット内で膨らむエアバックの姿を押しのけての、至近距離からの射撃を
寸前で回避と共に右腕を向け。砲身より吐き出される粒子のバルカンが射列を途絶える事無く吐き出され続ける。
瞬時に上昇を決め、慣性制御による失速と共に急降下を駆けて、突撃する《アルクルージ》は。四銃身のレールガンと共にハンドガンによる照射を
そのされされた全裸の肌感覚に晒され、縮み上がる二つの球がゆらゆらと揺れる姿は見えず。乱打する様に打ち鳴らす音だけが鳴り響く中、
刃を閉じ、その刀身の長さを隠しながら、刃亡き剣を振るうは、限界を超えしモノの動き。
飛び退る。電磁加速する弾体を且つて教えを受けたように、その発射される射角と方向そして相手が引鉄を引くタイミングを捉え、
着弾と射撃戦が重なる瞬間にシュバルトレーゲン《黒い雨》の瞬き、掠めるだけで、機体すら墜とすその一撃が、接近する電磁投射体を撃ち落とす。
返す手首と手と手を翳し、防御するビームシールドの冴えがまた一時の輝きを増しながら、シュバルトレーゲン《黒い雨》の余波を防ぎ、
四銃身の砲身と二丁のハンドガンを重ねる様に発振、膨大なる熱量と粒子量を誇りながら、長大な極光の煌めきを顕現させる。
その無頼の徒たる弱者で有れば宿り得ぬその一撃が、良ければコロニーが浮かぶ壁面へと降り注ぐ。
相対する春幸は、星空の元で、輝ける風を巻き起こす。
俺はこの手に掴んだ。降りしきる雨を凌ぐ黒き雨に更なる一手を加える。コロニー内からコロニー外へと場所を移し
繰り出すは純然たるシュバルトレーゲン《黒い雨》の輝き、砲身とかしたその発振きと軸を合わせて放つは、腕部に浮かびし赤熱化する
一対の球体。放つは、光のラインでは無く偏向する防御フィールドと併せての合わせ技、
天を逝く、太陽風にも似た宇宙に吹く風が、二つの竜巻と化して目標へと襲い掛かる。
理を越え事象の限界を超えたその波涛に襲われ。宙空で霧散する粒子の一射を乗り越え、暴風に晒された《アルクルージ》が、操縦する
感覚を天と地をずらされ、跳び行く機体が、《エクィタス=ユースティティア》と《ユミナリア=ニドフェアー》を包囲している。
《ケルウス・ファメリクス》の一機に方向感覚を見失い、接触する。
その決定的な隙に対して、《ホーリグレイル》を操る《エクィタス=ユースティティア》は、其の照準を合わせて、穿劫弾を薬室に叩き込むと、
ファルクス・レフレクトールによる防御陣形を敷きながら、発振と射出を顕す引鉄を引く。
薬室から銃身を抜けて、飛来するは小型のジェネレーターを搭載した実体弾に、発光する実体剣の刃と同じ原理で螺旋状の溝...ライフリングされた銃弾を撃ちだし、敵の装甲を溶断しながら貫く。閃断する一撃は、
《ケルウス・ファメリクス》が放つ粒子攪乱幕の防御と《アルクルージ》の装甲を纏めて寸断させ。
肉声放つその断末魔が、小さき叫びとなって鳴り響く。そうであっても生ずる結果に差異なし、打ち砕かれし二機の末路は、宙域からその姿を隠す。
穿劫弾の射出を終えて生ずるクールタイムをカウントするも機体のコンソール上では冷却時間をカウントする表示が、出ない。
やはり春君の援護が...こちらへと届いている。
既に無限に届く手は発動された、早晩、意識共有を果たして。アイジェスさん達が、此方に向かい始めている頃だろう。
そして到着した。春幸を追う《ケルウス・ファメリクス》と《マレディクト・ペルフェクトゥス》が一機づつ
遅れて戦場へと到着する。
未だ不動として動かぬ。見慣れぬ機体を一体
交戦記録によるデータ開放によりその機体名が顕わになる《シルト・アウス・リヒト》を残し、
残り二機まで減った《ケルウス・ファメリクス》、《マレディクト・ペルフェクトゥス》、《アルクルージ》
は、《ホーリグレイル》を取り囲むように機動する二機の《アルクルージ》と一機の《ケルウス・ファメリクス》と《マレディクト・ペルフェクトゥス》を配し、
遊撃として踊る一機の《ケルウス・ファメリクス》と《マレディクト・ペルフェクトゥス》が、挟撃の形で、春幸を挟んで対峙する
その最中、異形の大型機体が蠢きながら稼働を開始する。その大きな六枚刃の鋏を展開し、徐に放つ、甲殻類にも似たその開口部と思わしき穿孔する穴から、
青白い粒子の一閃が、戦場を横断し、回避行動を行う春幸達を他所に、コロニーの外壁へと突き刺さる。
(・д・)チッ
あそこには、彼女がいるのにッ!!!!
加速する推進機構を噴射して、巨大なるなにものかが、向きを変えて出撃する。
二人の危機に、最初に助けるのは...
逝かないで...
来ないで...
無情なる選択を押し付ける何者かが辿る運命は、其処に、...はあるのか?
今もよく聞こえない耳に残るのは一欠けらの詩が、響き続けている。だから...僕は...
其の御手より迸るは、黒き雨による砲撃にも似た、極小の刃が、左手と、右上腕の袖口より飛び出し、縦横無尽とその先端が
箱舟たるコロニーへと向かわぬ様に調整し、振るわれる。砲撃は、機体制動をかけつ右へ左へて回避する動きとやや直進しつつも
旋回による回避行動を行う二方向の目標へと襲い掛かる。
機体スレスレを掠め舞い踊る機体は周囲に展開した粒子攪乱幕とビームシールドの煌めきによって防ぎながら、時に停止と加速を繰り返し
春幸と《エクィタス=ユースティティア》の動きを牽制しつつ、大火力の粒子砲の一撃見舞ってくる。
弾幕と防御を抜けてそれぞれの機体直上に、回り込むように進退を見切った《ケルウス・ファメリクス》、がその特徴的な鹿角を前面に
発光する刃と共に肉薄。盾を構えて防御する《ホーリグレイル》と、シュバルトレーゲン《黒い雨》を吐き出し続けるアンリミテッド(Unlimited)に迫る。
光る頭部の開口部から瞬く粒子砲の一射が、至近より放たれ、隠された一打となって突き刺さらんと吠える中、
すでにその結末は決まっていた。
ふと見上げる《ケルウス・ファメリクス》のコックピットの視界の中で、ふと視線を泳がせて違和感を感じる。
いつの間にか、実体剣らしき装備があったはずの柄が縦から消えている?一体どこに?そう思った瞬間、吐き出すように放たれた。約127mmに及ぶ実体弾の
弾頭が、空中に浮かぶ実体剣の刀身を浅く弾き、生ずる跳弾の勢いのままその先端が、接近戦を試みる《ケルウス・ファメリクス》の機体へと
殺到する。
(・д・)チッと
斬り合いの仕切り直しをするべく離れようとした瞬間、《ホーリグレイル》の袖口より伸びるワイヤーと絡み合う様に保持された刃が、
後退する《ケルウス・ファメリクス》の側面に突き刺さる。
機体のダメージコントロールを試み、フレームにも破損が確認できるその一撃に、コンソールを操り、破損個所のパージを実行。
抜ける実体剣の刃をそのままに、機体を立て直しを行い、捲土重来再びの邂逅を試みようとするその姿に対し、
巻き取るワイヤーの慣性を受けつつ、構える銃身へとその刃を着装。
銃剣と化したライフル片手に、偏差射撃による。追い込みを駆ける。無数の銃弾が曳光弾の輝きを載せ、円周軌道をみせ
回避軌道と射撃戦の光のラインを迸らせる。機影に対し、進行方向に忍ばせたファルクス・レフレクトールへと、偏差射撃から
一点への集中射撃を敢行。
反射するその基部から延びる銃撃を受け、次々と粒子攪乱幕の防御を効果の無い。実体弾の弾痕により火を噴きあげながら、連打に晒される。
合間合間に飛ぶ《メガエアライド》の牽制射撃に合わせて、突撃体制へと入る。《ホーリグレイル》に対して回避軌道を捨てての突撃を試みる
機影に対して、その手に持つ正三角形の盾をその側面を発光させての投擲を敢行。
狙い澄ませたその一撃は、楕円軌道を描きながら、突撃してくる機体を掠めその腕部を切除すると、流れゆくその壁面を反射板代わりに行使する
跳弾の集中砲火を浴び、火を上げながらその手の刃を掲げ、その勢いを寸前の見切りで、姿勢制御バーニアーを吹かせ、半身になりつつ、銃剣を突き刺し、
零距離での銃撃を繰り返し、途切れた弾倉を切り替え、強化されたビームライフルの一撃を直撃、破断する勢いのまま、蹴り送り、慣性軌道により送り出された
機体がややタイミングがズレるも、爆発を生じる機体の輝きを魅せる。
止めを刺し油断したであろうその背に二機の《アルクルージ》が放つ、小口径の銃撃を目視する事なく操った4基のファルクス・レフレクトールが遮断と共に
応撃の中口径の粒子砲の一射が、その出力の限界と無限の出力に支えられた。溶断する砲撃が、隙を狙って放つ銃撃を防ぎながら、防御へと入る。
絶死のタイミングで放たれた一撃を難なく防御され狼狽えるナクト・ア・ポワルを体現する全裸する何者か達は、それでも《ホーリーグレイル》の攻撃を回避し続ける。
其処に流れでた左右の戦場で暴れる二機の《マレディクト・ペルフェクトゥス》へと、極小の刃が砲撃よろしく伸びながら迫る。
その膨大な熱量をオービットマインの装甲で受け、反撃の残りの思考誘導弾を放出と共に、その装甲が焼き切れ、パージ。
更に左腕、右腕、脚部にそれぞれ搭載していた外部装備も悉くパージ。その装備毎、弾頭として射出
近付くそれらをその手掌を操り、撃墜するも、毒針の光を投射しながら接近、手に持ったビーム発振器を振り上げ間合いを詰めつつ、左右から突撃してきた
《マレディクト・ペルフェクトゥス》に、その両手が塞がった瞬間、横合いの10時方向から、鹿角の如き発振機構を楯に残った《ケルウス・ファメリクス》が突撃を敢行、
触れる刃を徐々に出力差で飲み込まんと試みるアンリミテッド(Unlimited)に対し、一本では届かぬならばとばかりに、二本目の発振器と、背面ユニットから
忍ばせる第三の刃、ヴェノムレインを吐き出す刃を交差し、都合三本の刃をくしして、其の飲み込まんと迫る刃に対抗する。
すっと、同時に展開する刃を打ち消し、迫る刃とビーム砲の斉射を、0と1との間の無限に存在する実数の間にある原子の隙間に機体を滑り込ませると
すり抜けると共に、機体を入れ替え、空いた右の手を敵機に添えて、スラスターを全開として、もう一機の《マレディクト・ペルフェクトゥス》へ
叩きつけると共にプラズマ推進器の脚撃を叩き込み、両の手を翳したシュバルトレーゲン《黒い雨》の砲撃にも似た伸びる刀身が襲い掛かる。
防御手段を喪い、破裂するエアバックを乗り越えビーム刃による防御で凌ごうと構えたその機体に、両の腕部より発光するジェネレーターから吐き出される偏向フィールドを
砲身代わりに伸長し繰り出された膨大な熱量と粒子量を誇る。砲撃が其の脆弱な防御を貫き、破断させる。
遠くで破裂する二つの華を他所に、相対するは《ケルウス・ファメリクス》の姿、突如消え去った友軍機に、恐れをなして、突撃を止め、その宙域からの離脱を試みる
その機影に対して。
残るてきの数は...機体のセンサーに危機を知らせるアラートが鳴り響き、無数の船団と機影の接近を知らせてくる。その数は...大艦隊とみても遜色のない増援と、
《ケルウス・ファメリクス》一機に、《アルクルージ》二機、そして未だ動かぬ新型機と、今も尚コロニーへと攻撃をしかけ続ける大型機の翳、
同時に複数の機影を屠る必要が生じ、時間が惜しいと、その一手を切る。
ノワール・アヴェルス《黒豪雨》...黒き豪雨を魅せるは、フレームを残して、機体に備わった全装甲をパージ。
鏃となった《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲が、無数のラインを描きながら、機体全体に発生した磁界を自壊する
電磁加速を伴い、黒い豪雨の如く、射出される。
360度、全方位を覆うほどの圧力と、遮光する暗闇惑う物質を生成しながら、直撃と同時に、其の何かを炸裂。
絶対的な物量を誇り、迫る。無数の機影が豪雨の如き天を覆い尽くさんばかりに発震する
「「「「「「「「「ん?なんだ????」」」」」」」」」
違和感を感じ、全天周モニターに映る何かが触れた瞬間、友軍機を示す敵味方識別信号の光が一つ、また一つとコンソール画面から消えて行く。
何事かと防御姿勢に入るもの、迎撃の為に照準で捉え撃ち落とさんと試みるモノ、逃げ場など無いと諦観し、ただ貫かれる事を諦めにも似た心情で見守るモノ
味方の艦船を楯として、逃げ惑う何者かの姿、
その機械的に、処理されていく星の光点が瞬き、一瞬の煌めきを残して、次々と、生きていた証を残さず。
着弾と同時に次元振動を発しながら、コロニーと僚機を避けつつ放たれたその一打は、全てを消し去らんと吠える。
周辺から駆け付けた無数の艦隊ごと、其の全て突き崩し、遠ざかる影を残して、崩壊させていく。
ただ一つ残るのは...コロニー内部へと侵入して、破壊活動を行う大型機の船影のみ、
想い返すは無窮を翔ける。想いが心を過り去来する星の輝き、且つての会話を思い返す。
でも、もしも、それでも...受け入れてくれるのなら...「私に愛を教えて欲しい。」
ほんの軽い気持ちで飛び出したその言葉に、はっとなる。ん?でも母さんが言っていた。
愛とは、誰かに教えを乞うて、教えて貰うような事じゃないよと。唯々、ふとした切っ掛けで、自分で気付くモノだと、喩えば、愛する家族に優しく触れられて、無償の愛を受ければ、自然と自分も相手に返したくなる。
中にはその愛を受け入れられず、擦り切れて傷付く人もいる。でももしも、貴方がそういう気持ちになるのであれば、同じ後悔や哀しみを次の世代には持ち込ませない様に、自分の子供に注げば良い。
いつかきっと君にも分るよ。私以外の他人から家族へと変わる様に、君にその愛を注いでくれる人が現れる。自分がされて嬉しかった事を返し、哀しかった過ちを誰にも味合わせない様に生きる事が一番の近道だよ。
その時、きっと君は、唯の他人である誰かに、本当の愛が何かである事に気付かせて貰えるだろう。
愛は、千差万別、一人一人の胸の中に、違う形でそれぞれ存在していて、その形を変えながらその形を互いに影響しながら、産まれては消えて行く。
だから私に本当の愛は教えられないよ。
もし教えられる事があるとすれば、いつか訪れる貴方の隣人ならぬ家族となるその人の愛を大事にしてね。そんな風な、難しくも簡単なその言葉を思い出す。
その事を想いながら。そうだね。昔話をしようか?と、僕はその時の話をし始める。その言葉がどこかにいる誰かに届く様にと祈りながら。…
君は。覚えているだろうか?その詩の由来を...
「あー最近は、ユズリハの奴が冷たいんだよなぁー...。昔は母さんの詩が好きだって、至る所で、一緒に詩について話し合ってたのに、最近そういうのが無い。」「ハハッそうだね。」
…
(知らぬが仏ともいえるからね。)とかつての光景をエクィタス=ユースティティアは思い出す。
僕は彼女らに言った。
なるほど、二人とも、彼以外の男性とは付き合いたくないと...
でも今まで邪険にしていたから、距離を置かれてしまった。その事は彼も知っているのでは?はぁ?人づてに伝えたけど、あまり本気にしていないと?
まぁ普段の君の態度を見ればそれは無理からぬ事、蛇蝎の様に嫌っていたからね。
そうか。君は彼の事が好きなんだね。でもね。それは恐らく彼も同じではあるとは思うが、彼への想い人は他にも居る。僕が間に入ってあげよう。
だけど、君は、その態度を変えては行けないよ。今までの邪険にしていた態度が、偽りだったとしても、いつも通り拒絶し、小悪魔的に、振る舞い。君はその態度を変えては行けない。
今まで通り他に想い人が居るようにふるまわなければいけず、距離感を保ちながら、自ら声を掛ける事も逢うこともできず。もしも喧嘩して別れの時が訪れたとしても、それを受け入れ、彼の判断を待たなければならない。
それでも良いのであれば、彼の想いを確かめるチャンスを提供しよう。誰もがこの試練を経なければならない。これは約束ではないかもしれないでも...だよ。全ては、その青春の終わりを確かめるために。
これは君を試す問題ではない。全ては彼の真なる想い人を探し当てる。
試練だ。何故ならば、彼にも想い人が誰なのか知らないのだから。
唯一つ、君は詩を謡う事を赦された。その想いの丈を唄い上げると良い。それは、もう一人の彼女に対しても、同じ条件で、唄を歌って貰おう。
それを手紙に添えて、どちらを選ぶかを、彼に選ばせるのだ。
果たして彼は、君に酷く邪険に晒さても君を選ぶかな?...その答えはもう既に出ている。
これは、事情の知らない誰かに対して示す既に通り過ぎた標しるべの断面だよ。僕の事は、そうだね......両天秤と、呼んでくれ。...
エクィタス=ユースティティアは、その光景を眺め、漸くその清流の終わりが来た事を知る。
「行かないでッ!!!」そう叫ぶ声は暗闇の宇宙へ木霊し、途切れ、その想いに答えられない。無情を胸に秘めながら、
「ごめん、人違いだった。彼女が待ってる。僕は逝くよ。」
嗚咽する声を振り切って、そして青年は、この地での最後の戦へと赴く。
どうして戻ってきたの?!私は、君に愛される様な人間じゃないの...誘植者...。《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)をこの地に引き入れた末裔が
私なの...だから、逃げて。
と、脳裏に過る誰かの声がコックピット内に響く、次々と、不安を伝える人々の声と併せてその声に耳を傾けると
台所で、料理を作りながらハミングする鼻歌に、聞き覚えがある。あれは、彼女の詩だ...
しかして偽りの詩は剥がれ、その本当の意味を識る。
その背を振り切り、盲目の青年は、勘を頼りに、自ら操る乗機に身を委ね。ずっと待っていた誰かの元へとひた走る。
「君が、君の意志で《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)を引き入れた訳じゃない筈だ。自分がした事でない事まで責任を背負い込むのは止めろ。」
俺は...僕は...それでも、君が...好きなんだ。...今すぐ行くこの手を掴んでくれ。
そう叫ぶ間に、崩れ行くコロニーは、次々と破断し、内部の空気と水を吐き出しながら、自壊が始まったこの地に置いて、
次第にその拮抗が崩れていく、仮初の大地を支えるメインシャフトが圧し折れ、宙を覆う大海に穴が開く
次第に自転をが収まり、其れ迄、図らずとも形成していた低重力の喪失を人々は感じとると、絶望の表情のまま、
無数の人は、緊急用のスプーマを装着しつつ、崩れ行くシェルターの中で震え、そしこの騒乱が終わる事を無力な人の手に祈り、
そして...
唯一人取り残されたソォンナ=コッタネーは、操る大型機の操縦を行いながら、自機に生じていた。
不可視の盾による守りが消え去った事に狼狽えながらも、戦場に置いての優位性を誇り、尚も破壊行動を続ける、
「そんだらこったぁねえだ。何故だれもオラを守らず消えて行くのだ。」
「嗚呼、そうだな...それは確かに問題だが...お前に与するモノは、排除したぞ。後は...」
(これ以上の破壊は、コロニーが持たない。完全に破壊される前に...彼女だけでも...。だが、残された人々はどうする。)
(俺だけの力じゃどうにも...)
機体のフレームだけを残して、クリックモードによるすり抜けを利用しての再びのコロニー内部への侵入を果たしたものの、
その破壊行為の状態は、コロニーの崩壊までのカウントダウンが愕然とする中、徐々にその時間が終わりへと誘ってくる。
優美なる事象の狂宴を魅せるは、背後や側面から生ずる、六枚刃の刃が、宙を泳ぎ、死角から忍び寄る一撃を機体を傾け、
回避と共に、限界まで収束させたシュバルトレーゲン《黒い雨》を展開、その刃を通常のビームサーベル上に保持しながら、後ろ手に傾け、
生ずる交錯点において、その刃を断ち切らんと発し、弾くと、機体に接触しようとする攻撃に対して、前方宙返りを試み、機体を反転させると、
次々と群がる刃の群れを弾き、右腕のビームバルカンでの牽制射撃を試みる。煙を上げて、着弾する最中、
遠くで青白い光の穂先が、奮戦するアンリミテッド(Unlimited)の元へと迫る。
展開される偏向フィールドで、その光を受け止め舞い散る粒子の微細な火花を、漏らしながらそれでも全身を続けるその姿に、畏怖を感じながらも、《セリト・メーテト》の船体の所々から
伸びる触手状の砲身とビーム発振器から生ずる射列と光波の盾が、此方の攻撃に反応して迎撃行動へと入り、
まるで狙いを付けるつもりが無いようにその火砲を乱れ飛ばし、コロニーの天井に写る地面へと無差別攻撃を試みる
これ以上の破壊行為には、コロニーの船体が持たないとして、握る操縦桿を掴み、そして足に力を込めてフットペダルを踏み込む。
その動きに連動して加速する推進器の勢いのまま...
「ここから出ていけッー。」コロニーの側壁、既に戦端が開かれていたであろう方向に向かって突き抜けるように奔る。二つの機影は、
「んぞ?推進力で《セリト・メーテト》が推されるだッ?」
無数の砲身を操り、機体に取りつくアンリミテッド(Unlimited)に近接射撃による集中砲火を浴びせるも、その柱は展開される偏向フィールドに阻まれ、
偏光されるまま、周囲へと湾曲して流れていく。
「このまま隔壁に叩きつけるつもりだが?だが、その程度の事、この《セリト・メーテト》の装甲はびくともせんぞッ!!!」
「嗚呼、そうかい、だけど...」(狙いは別のことろにある...)
押しのけるように進む二機の機影は、その姿をコロニー内部の内壁へと押し上げながら進み、
その姿が、水面に消えゆく一羽の水鳥の如く、その姿隠し、そのまま0と1との間の無限に存在する実数の間にある原子の隙間に機体を滑り込ませると、
浸透しながら流星の輝きとなって、無窮の宙へとダイブする。
漸く推進機構の勢いを殺し、摩訶不思議な光景を目の当たりにして狼狽えるソォンナ=コッタネーは、
その狙いがコロニーの破壊を防ぐことにあると気付く。
だが、コロニーの崩壊は止まらない。
「そんだらた無駄な事をしただな。」
機体の底面部へ差し入れられたシュバルトレーゲン《黒い雨》の極小である漆黒の刃が、その粒子の粉を周囲にまき散らしながら、
《セリト・メーテト》の装甲に穴を開けようと、明けの天に浮かぶ金星の如き輝きを放つ。
機体の損壊を知らせるアラートが鳴り響く中
「《シルト・アウス・リヒト》の防御が無いとしても、オラにはまだあるだッ我は、世界を統べるマレディクトを率いる首席であるぞ。」
大型のやや広めの操縦席で、床に落ちたバナナを踏み抜きソォンナ=コッタネーが盛大に滑る。
《セリト・メーテト》の上部、輸送ベイが解放されそこに現れたのは、無数の《コントラファクト》と《アイン・アングリフ》の数々、
同時に展開される光波妨害と粒子吸収機構が同時展開。
突如現れた機体反応に、それがどうしたとばかりに、《セリト・メーテト》の機体を押し上げながら、突き入れる刃が、
次第に乱され、その光を奪われ、刀身が消え始め。その違和感に...
交戦によるデータベース開放...《セリト・メーテト》...。秩序の護りてとして首席用に開発されたその性能は...友軍機の性能を大幅に増強させる...
強化され数機体分の光波妨害と吸収機構に、その一手を防がれながらも、機体後方で崩れ行くその姿を感じ取りながら、
春幸は、彼女の事を想い、更なる一手を降す。
溢れる無限∞を指し示すジェネレーター出力が放つ光は、無限に伸びる手を和合し、そして紡がれるは、粒子の結晶を産み出す奇蹟
破断しかけたコロニーのメインシャフトがその応力に晒され捻じれようとも、崩れゆくコロニーの躯体を支えるは、無数の結晶体。
最大の悲劇を阻むべく放たれた粒子の実体化は、崩壊を未然に防ぐ一手となり、その命を繋ぎ止める。
これで後顧の憂いなく、残る問題は粒子系の攻撃が通らない《セリト・メーテト》の防御を破る方法を探る。
その間にも続く触腕による砲撃が無数の弾体と共に殺到する。それらを回避し、躯体を蹴り上げ、AMBAC機動により一旦距離を開けた春幸が操るアンリミテッド(Unlimited)は、
流れゆく弾にも弾には目を向けろよとばかりに、よけ続ける青年は、正直者と優しい奴が馬鹿を見る様な世の中は、間違ってる。だけど世界はそのように作られてる。
弱肉強食とは言うけれども...
だから、俺は清濁併せ呑み。少しでも誰かの為に傷付く優しい君の為に、少しは世界を良くしたいと、藻掻き抗い闘争する。
自分の不当な権利ばかりを謳い、他人に自分の負債を押し付ける様な、優しい誰かを踏み躙ろうとする人間を
俺は否定する。その生き方は、他人を巻き込まなければ勝手にしろだが、往々としてそのしわ寄せを受けるのは、人の良い優しい弱者になる。
優しさに漬け込む奴は、いつも、ズルをする。ならば狂える狂者である。俺が飲み込んでやろう。
嗚呼、何と単純な事か?知っているか?
それを...偽善と人は言う。だが、偽りの正義とて、使う人の手次第では、理想論を語る夢になる。
遠くで、飛来音が鳴り響き続けている。音の途絶える真空の海を泳ぎ、何かが近づく確かな、勢いと接近を知らせる、アラートが鳴り響く、
再びのシュバルトレーゲン《黒い雨》による近接砲撃を試みるも、強化された光波妨害と吸収機構に阻まれその刃が通らない。
放出される粒子に晒され、それでも吸収限界を知らせるアラート共に一機の《アイン・アングリフ》が熱量に耐え切れつ破裂し、徐々にその防御が剥がれていく
結晶体による接合で崩壊を紛れたとしてもこれ以上の破損は許容外として、
春幸は、其れ迄温存していた...あの存在を思い描き、誘導させる。
ノワール・アヴェルス《黒豪雨》...機体の装甲を鏃として撃ちだした。破壊兵器の片鱗を魅せたまま、一機、コロニー内部に侵入していた為照準対象から外していた
《セリト・メーテト》に対して、降り注ぐは、群れ離れて滑空する漆黒の豪雨の群れ、湾曲する軌道を描き迫るそれに、
防御で手一杯のソォンナ=コッタネーは、「そんなこったねーだぁっ」の叫び声を木霊せながら、繰り出す砲撃の数々は、操るノワール・アヴェルス《黒豪雨》の弾体を
掠める事無く、偏差射撃、挟撃の果てに、着弾。不可思議な物体の生成と共に、破裂する次元振動を加えながら、その巨体が沈み込んでいく。
脳裏に過るはかつての光景。繋いだ手を解して流れ込んでくるその記憶を読み取る。そこには...
でも、あの娘は、お唄を歌うのが得意なのよ?そうかいそうだね何事も公平にしよう。君は、他の詩の得意な人の協力を受けると良い。
さぁ、想いの丈を唄うがいい。それで、それぞれの詩を応援してくれる人達と合わせて、手紙を送り逢おう。
彼がどちらを選ぶのか、長い長い、旅をしよう。その先で誰が誰を選ぶか?
分らないけれど、これは、約束だ。君もそれでいいね?はぃ。良い返事だ。それでは、みんなでその青春の終わりを見に行こう。…
日々は過ぎ、在りし日の思慮と想いを繋ぎ、そっと詩と想いを込めたその手紙を...。机に忍ばせる。
さっと、過ぎ去ったその人影を見ていた何者かは、こそこそと、其の宛名と手紙の内容に手を加える。
ん?なんだろう春幸は、その手紙を一読して、その詩を聴くと、ぽろぽろと涙を流して、かつての母の詩を思い出す。
宛名のその名前を読んで、差出人に声を掛ける。ユミナリアは、何も答えないままでも、その宛名を指し示すように書き添えられた。文面にはその詩を誰が贈ったかの署名が記せられていた。………
その名を呼ばれて嬉しそうにしている。その二人の姿を、少し離れた場所で...誰かが、哀しそうに見ている...
私の詩なのに.........なぁ、ユズリハ、どうして怒ってるんだ?
昔みたいに、また、話せないかな?ぷぃッと、そっぽを向いて、不機嫌そうなその態度に困惑する。
それに反してユミナリアは、嬉しそうに話しかけてくる。周りの友人たちに促される様に、ユズリハとの距離が次第に離れて行く。
いつもの様にユミナリアと一緒に下校して、他愛もない会話をしながら、二人は行く。なんで、俺なんかの事が好きなんだ?と、唐突に問いかける。
にぃにぃ好き...そっかー。その間にも耳に残る詩を聴きながら、その詩がどうにも心に突き刺さる。泣き出しそうな空とコロニー内で管理された、雨が降るであろう時間が迫るなか、
どこかで雨宿りをしようか?.........
絶対上手く行くよ。だって、相手は、話しかけられないし、詩の宛名をこっそり変えれば...
絶対に勝てる。でも...そんなことしても、大丈夫、私が上手くやるから。
貴女はいつも通りして居れば良いよ。貴女は何もしらない。どうせ結婚した後にわかってもどうにもならないし、きっと彼は気付かない。
友人の一人はそう請け負い。その手紙から名前を消し、そして詩の持ち主の名を書き換えた。だが、直接話すことを禁じられた誰かは、抗議の声すら上げず時は過ぎ去っていく。
いつの頃から、その隣に立つのは、一人だけに。………"
なんで、ユズリハは、話を聞いてくれないんだ。ぷいっとそっぽを向いてにぃにぃ嫌い。近づかないで、話しかけてこないで、私好きな人が出来たの。会話も忙しいから答えられない。
一か月に一回ぐらいなら話しても良い...そんな邪険にされても、声を掛けるが、次第にその会話は悲しいものとなって、その別れの時が訪れる。
なんでだよッ!!!なんでまた、好きな相手を諦めちゃうんだ。俺は君が誰かを好きなら、それでも応援したい。
〇〇〇から!!!!なのになんでそんな簡単にッ!!!もういい!!!其の口論は、終わることなく、その去り行く後ろ姿を眺めて居た、彼女の想いは、傷は、いかばかりなのか?
…
…
…
そして何も言わずに彼女は、去っていき、その行方が様と知れず。其の後には。残された詩と共に、別の誰かが座り込む本当にそれでいいのかな?その青春の終わりに、二人は寄り添い、二人は離れた。物語は、何事もなく進み、そしてその青春の終わりを迎える
「なぁ、ユズリハ...あの歌は君の唄だろう?」
物語は一つの終わりを魅せて、そして再び動き始める、〆
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