↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
27/57

お嫁さん第一号のオシオキ

ボーンズ君は女の子だった。いや、ボーンズちゃんか?


それを土木業(どぼくぎょう)の親方(おやかた)さんに話したらどうしてもお嫁(よめ)にもらってくれという。


断るわけにも行かず連れてきてしまったわけだが……。


まさかのお嫁(よめ)さん一号である。


うーん、こんなこと誰かに言ったらなんとな〜くぶっ殺されそうなので黙(だま)っておこう。


しかし、野(の)ざらしも可愛そうだから工房(アトリエ)にガレージを併設(へいせつ)しておくことにしよう。


彼女は続けて土木作業員(どぼくさぎょういん)として働くことになり、僕に多大なるお給料をもたらしてくれるのだった。


本当にありがたい。大切に貯金しておこう


どうやら現場でもちやほやされているらしく、給料にもボーナスがかかっているらしい。


こまめに愛情こめてメンテしてやらなきゃな。


やっぱりヒモじゃないか!!


それにしても、ボーンズちゃんに負けてからミミィの落ち込み具合が激しい。


戦闘がアイデンティティなのにあそこまで簡単にいなされるとそりゃへこみもする。


しかも相手はおよめさ……作業用ゴーレム、


なんとかして自信回復させたいけど、ちょっと思いつかないな。


「コンコン」


ドアがノックされた。これは……マルシュではない。


そこにいたのはエリーヌだった。


「やあ、ようこそエリーヌ」


すると彼女は突然、走り出してミミィに飛びついた。


そしてディープキスをし始めた。


あまりの光景に僕もティーリアも固まる。


「う、初めて、奪われちゃった……」


ミミィは泣きながらへなへなとダウンしてしまった。


次のターゲットはティーリアだ。


「わ、わ、私は遠慮しておきま…キャーーーっ!!」


彼女も″奪われて″床(ゆか)に崩(くず)れ落ちた。


最後は僕の方を狙(ねら)っているらしい。


まずいぞ!! ゴーレムのマウストゥマウスを食らったらどうなるかわからない!!


じっちゃんは言っていた。


ゴーレムは人工呼吸の加減がわからない。


うっかりマウストゥマウスすると内臓(ないぞう)ごとふっとばされることがある……と。


それでも僕は彼女を受け入れた。


「んむ!! んーー!!」


どうやら内臓(ないぞう)を爆破させられるいうことはなさそうだ。


そして僕は彼女を抱きしめながら秘孔(ひこう)を突いた。


かなり高度なテクニックだが、ゴーレムの朱(あか)の術式(じゅつしき)、蒼(あお)の術式(じゅつしき)の一部には刺激(しげき)すると活動を停止するポイントがある。


そのため、的確にその″秘孔(ひこう)″をつけば気絶させたり、活動停止させることができるのである。


これが出来るのはごく一部のゴーレム使いだけだが。


今回、残念ながらエリーヌには活動停止してもらった。


そして体中の術式(じゅつしき)を観察していると原因がわかってきた。


「42年モノ以前の素体(そたい)に稀におこる不具合、チュッチュ症(しょう)。好感度の高い人中心に誰(だれ)それ構(かま)わずキッスをするというゴーレム特有の厄介な症状だ」


本来ならば彼女も新しい素体(そたい)に乗り換えてやるべきなのだが、古すぎて互換性(ごかんせい)がない。


と、いうわけで僕はしょげたミミィを連れてクランドールの3つ目に大きい街″セポール″へやってきた。


ここにはなんでも揃(そろ)うというアヤしい店があると風のウワサに聞いていたからだ。


薄暗(うすぐら)い路地裏(ろじうら)にその店はあった。


「シエリアの店?」


桃色(ももいろ)の髪の少女がニコニコしながら駄菓子(だがし)を食べている。


ホントにここかぁ?


「あ!! いらっしゃいませ!! ここはシエリアの店って言います。御用(ごよう)は何ですか?」


「あのぉ……ゴーレムの42年物(ねんもの)の素体(そたい)ってありますか?」


そう尋(たず)ねると少女はパラパラとカタログをめくりはじめた。


「う〜ん、その商品はかなりレアですねぇ。在庫切(ざいこぎ)れです。ただ、半日くらいあれば取り寄せられますが」


早ッ!! 絶対に見つからないと思っていたのだが、それどころではなく、おそろしい早さで確保してくれるという。


第一、並んでる品揃(しなぞろ)えもめちゃくちゃマニアックだ。


ゴーレム関連(かんれん)のものもたくさんある。


なんなんだこの店は……。


半日、潰(つぶ)すために僕とミミィは八ツ釜亭(やつがまてい)という大衆食堂に入った。


8つ釜(かま)があるからやつがまていなんだそうだ。


クランドールにも支店(してん)があるらしい。


入店しようとした僕はおでこを梁(はり)に強打した。


〜〜〜!! これだからデカい図体(ずうたい)は!!


僕はゴーレムのトライマイスターのブレスレットをかざした。


どうやら資格によって無料で食事が出来るらしい。


最初は単体のブレスレットだったけど、メディスン・ソロ・マイスターが加わってからはバッジをはめこむ形となっている。


2つのバッジ持ち、通称″ツーハンドラー″となった。


17歳でこれに到達したのはごくわずかと聞く。


「う〜ん、そんなにエラいもんかねぇ」


今まで必死にやって来たらこうなったわけで、僕にはあまり実感がなかった。


「ねぇ、ミミィはどう思う?」


だが、彼女は上(うわ)の空(そら)だった。


ダメだこりゃ。自信を取り戻すまでは元気にはならないだろうな。


食事を終えて店を出ると店のそばの坂の上から大声が聞こえた。


「馬車が脱輪(だつりん)したぞ!! 危ない!! よけろーーー!!」


坂の上から車輪(しゃりん)が転がってきた。


2m超えか!! 僕と同じぐらいのデカさはある。


避けようかと身構(みがま)えると背後に子どもがいた。


「まずい!! こらえる!!」


僕は精一杯(せいいっぱい)、車輪に体当たりをかました。


ミミィが手伝ってくれるかと思ったが、案の定、上(うわ)の空(そら)である。


そして僕は跳(は)ね飛ばされて、意識を失った。


それに気づいたのか、ミミィも車輪にとりついた。


フルパワーでそれを握(にぎ)りつぶす。まもなく車輪はバラバラに砕(くだ)け散った。


子どもは無事にすんだが、僕はすっかりのびていた。


気絶(きぜつ)していただけなので大騒(おおさわ)ぎするほどではなかったのだが。


「フォル殿(どの)!!フォル殿(どの)!!ええい!!かくなるうえは、まうすつーまうすで!!」


ちゅっ。


ん?マウストゥマウスにしては甘(あま)くねーかコレ!?


頭を振りながら僕は跳(は)ね起きた。


ミミィは驚いたような顔をしている。


想像以上のパワーが出たように見えたぞ。


「おっ、乙女(おとめ)の恋心(こいごころ)は無限(むげん)のパワーとどこかで……こっ、こい、ごころ……」


なんだかわからないが、自信を取り戻したようでなによりです。


こうして「シエリアさん」の店で42年モノの素体(そたい)を手に入れると僕らは急ぎキャマ・クーラへ帰った。


故障したパーツと回路を交換してエリーヌを起動した。


「再起動(リブート!!)」


すると無事に彼女は目を覚ました。


次の瞬間


ちゅっッッ


エリーヌが僕にマウストゥマウスをしてきたのである。


しまった。まだ治ってなかったか!!


ちゅっ!!


油断していると派手なのが来た。やはりまた機能停止するしかない。


秘孔(ひこう)をつこうとするとエリーヌさんは顔を真っ赤にして起き上がった。


「へ、へ、へ、平気です!! お、お、おおかげさまで治りました!!」


そりゃあよかった!!セポールまで行った甲斐(かい)があったよ!!


だが、回路とパーツを交換した時点でエリーヌは既(すで)に″治っていた″のである。


(あっ……私ってばフォルさんに3回もキスしちゃった。フォルさんの唇(くちびる)……温かかったなぁ。私だって……私だって……)


それを見ていたミミィはまたもや自信を喪失してダウンしてしまった。


さすがに濃いマウストゥマウス2連発はショックだったらしい。


ん?自信と関係あるかぁ?


にしてもライバルがどうとかいって張り合うかと思ったのだが。


こういうところはマルシュを見習ったほうが良い。


こうしてこの一件は無事に幕(まく)を閉じたのだった。


「ふぅ、あぶねー。度重(たびかさ)なるゴーレムのマウストゥマウスでゾウモツがぶっとぶかと思ったよ」


だが、それでは終わらなかった。その後、僕はしこたまボーンズちゃんに殴(なぐ)られたのだった。


窓からこの一連の流れを覗(のぞ)いていたらしい。


あざにたんこぶ。痛(い)って〜。なにかしたかね、僕が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。