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【実話】なんで私はこうなる?  作者: 月白ゆう


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人生は、本当に分からない

 体調が悪かった。

 立っているだけでもつらくて、その日は仕事を早退した。

 駅に着いても、すぐには電車に乗らなかった。

 座れなかったら帰れない。

 そう思って、何本も電車を見送った。

 ようやく座れそうな電車が来た。

 席に座った瞬間、

「これで帰れる」

 心からそう思った。

 安心したのも束の間だった。

 目の前に年配の男性が立った。

 座りたかったのだろう。

 私はそう思った。

 でも、その次の行動は予想外だった。

 傘の先で、私の太ももを突いた。

 一度ではない。

「早くどけ。寝たふりすんな」

 そう言われた。

 寝たふりなんてしていない。

 ただ、本当に動けなかっただけだ。

 事情を説明する気力もなかった。

 これ以上関わるのもしんどかった。

 私は立ち上がった。

 席を譲れば終わる。

 そう思った。

 でも、立った瞬間、体が支えられなかった。

 その場で倒れた。

 頭の中が真っ白になる。

 周りの声だけが聞こえる。

 その時、その男性が言った。

「私がいじめたみたいだろう。いやみったらしい子だね」

 その言葉だけは、今でもはっきり覚えている。

 何も言い返せなかった。

 言い返す元気もなかった。

 そんな中、少し離れた席に座っていた人が駆け寄ってきた。

「大丈夫ですか」

 そう声をかけて、自分の席を譲ってくれた。

 本当にありがたかった。

 あの時、私を助けてくれた人の顔はもう思い出せない。

 でも、その優しさは忘れられない。

 世の中には、信じられないようなことをする人もいる。

 でも、見ず知らずの誰かを助けようと動いてくれる人もいる。

 同じ電車の中で、その両方に出会った。

 人生は、本当に分からない。

 だから今でも思う。

 あの日の出来事で、私が覚えていたいのは、傘で突かれた痛みじゃない。

 迷わず駆け寄ってくれた、あの人の優しさだ。

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