第547話 邂逅、グラシアと「仲間達」
「あーみんな、紹介するね。こちら、俺達の仲間の、グラシアさん」
と、歩夢らクラスメイト達や、イヴリーヌ、キャロラインといった「エルード」の住人達にグラシアを紹介した春風。そんな春風に続くように、
「はじめまして皆様、グラシア・ブルームと申します」
と、何故か妖刀・彼岸花から出てきたグラシアが、ペコリと頭を下げながら丁寧な口調でそう軽く自己紹介したので、
『は、はぁ、こちらこそはじめまして……』
それを聞いた歩夢達も、グラシアに向かってペコリと頭を下げながら返事すると、
「……って、おい春風」
と、いきなり鉄雄が春風の肩をガシッと掴んできたので、
「な、何、鉄雄?」
それに春風はギョッと驚きながらも、どうにか落ち着いた口調で返事した。
その返事に対して、
「ここに来て、また新しい登場人物とか、本当にいい加減にしろよお前」
と、鉄雄がジト目で春風を睨みながら返事したので、そんな彼から何かプレッシャーのようなものを感じたのか、
「あ、うん、ごめんなさい」
春風はタラリと汗を流しながら謝罪した。
その後、
「で、こちらのグラシアさんとやらは一体どういう方なんだよ。もしかして、かなりヤベェ人なんじゃねぇのか?」
と、鉄雄が春風の肩を掴んだまま、チラッとグラシアを見ながら尋ねてきたので、
「おいおい、『ヤベェ人』ってちょっと失礼だぞ……」
その質問に対して、春風はムッとしながら返事したが、
「……まぁ、ある意味ヤバい人なのは確かかな」
すぐに気まずそうな表情を浮かべながらそう付け加えたので、
『……え?』
春風の言葉を聞いて、鉄雄だけじゃなく歩夢達までもが少しだけ警戒すると、
「召喚された初日にウィルフレッド陛下が言ってた、『神々を滅ぼす悪魔』の予言は覚えてるよね?」
と、春風は真面目な表情で鉄雄達に向かって尋ねた。
そんな春風の質問に、鉄雄は「はぁ?」と首を傾げると、
「あ、それ覚えてるよ! 確か、とある女の人が死ぬ間際に遺したって言ってたよね?」
と、今度は恵樹がハッと声をあげたので、それに春風が「うん……」と返事すると、グラシアと顔を見合わせて、
「あの予言遺したの……」
「私なんです」
最後、一緒になって恵樹に向かって言った。
そんな春風達の言葉に、鉄雄や恵樹だけでなく歩夢やイヴリーヌ達までもが目をパチクリとさせると、
『はぁあああああああっ!?』
と、皆、一斉に驚きに満ちた叫びをあげたので、
「「うわ、びっくりしたぁ……」」
その叫びを聞いて、春風とグラシアは同時に目をギョッと見開いた。
しかし、そんな2人を無視して、
「ちょっと待てよ! その人が『予言を遺した』ってどういう意味だよ!?」
「そ、そうよ! 予言を遺した人はもう死んじゃってるんでしょ!?」
と、鉄雄と美羽が詰め寄ってきたので、
「ちょ、お、落ち着いて2人とも……」
そんな2人を見て、春風は戸惑いながらもどうにか鉄雄と美羽を宥めようとした。
すると、
「あ、あの、春風様……」
と、それまで気を失っていたイヴリーヌが春風に声をかけてきたので、
「あ、はい、何ですかイヴリーヌ様? ていうか、大丈夫ですか?」
と春風が尋ねるように返事すると、
「は、はい、まだふらつきますが、もう大丈夫です」
その返事に対して、イヴリーヌはコクリと頷きながら言い、
「それよりも、そちらの方について、詳しいお話を聞かせてほしいのですが……」
最後にチラッとグラシアを見つめながら付け加えた。
それを聞いて、春風とグラシアは「あ……」と声をもらした後、再びお互い顔を見合わせて、コクリと頷き合うと、
「「わかりました」」
と、イヴリーヌに向き直りながら言った。
その後、春風とグラシアは、イヴリーヌや歩夢達に、「グラシア・ブルームの人生」について話した。彼女自身のことは勿論、どのような人生を歩んできたのか、どのようにして死んだのか、そして、死んだ後どのように過ごしてきたのかを丁寧に説明した。
ただその際、グラシアが死の間際に見た「未来」についても語ったが、その内容が内容だけに今ここで全てを話すわけにもいかなかったので、かなりざっくりとしたものになってしまったが。
まぁとにかく、
「……これが、私という人間の人生と、『幽霊』となった後の話です」
と、グラシアがそう話を締め括ると、
『……お』
「「?」」
『思ってた以上に重い!』
イヴリーヌや歩夢達は、皆、その場に膝から崩れ落ちたので、
(ですよねー)
と、春風は心の中でそう呟きながら「はは……」と苦笑いした。
そんな春風を他所に、
「な、なんだよそのあまりの波乱に満ちた人生は……」
「正直、キツすぎるよね」
「うう、グラシア様、なんというお辛い人生を……」
「そうよね、グラシアちゃん、辛かったわよねぇ」
と、鉄雄、恵樹、イヴリーヌ、そしてキャロラインは、グラシアの話を聞いて胸が締め付けられる想いにかられて、そんな彼らの言葉に、
「え、えぇ。まぁ……」
と、今度はグラシアが「ははは……」と苦笑いした。
すると、
「……ねぇ、グラシアさん」
と、それまで黙って話を聞いていたレナが口を開いたので、
「? 何ですかレナ様?」
と、グラシアが首を傾げながら返事すると、
「春風が剣の所為でピンチになってた時、グラシアさんは何してたの? なんか姿がすっかり変わっちゃったし、剣から出てきたのも気になるし……」
その返事に対して、レナはグラシアに向かってそう尋ねた。
そんなレナの質問に、グラシアが「それは……」と呟くと、
「ふむふむ……」
と、ループスは小さくそう呟きながらグラシアに近づき、彼女の全身をくんかくんかと嗅ぎ出したので、
「え、お父さん?」
突然のループスの行動に、レナは少しだけ目を見開き、
「ループス?」
ヘリアテスはムッと顔を顰めると、
「……グラシアさんや」
と、ループスが口を開いたので、
「な、何でしょうか?」
とグラシアが恐る恐る返事すると、
「あんた、『精霊』になってるじゃないか」
その返事に対して、ループスは真剣な表情で言った。




