第544話 「裁き」が終わって……
今回は、いつもより少し短めの話になります。
「『太陽』に、潰れろ」
と、フランクとケネスに向かって冷たく言い放ったアマテラス。
その直後、彼女が作ったとんでもなく大きな火の玉は、
「「うおあああああああ!」」
と、悲鳴をあげたフランクとケネスに向かって落ちた。
それを見て、
(ま、まずい! あんな大きなものが落ちたら……!)
と、ハッと危険を感じた春風は、すぐにレナ達に向かって、
「みんな! 急いで俺の後ろに集まって!」
と叫んだ。
その叫びを聞いて、レナをはじめとしたその場にいる者達全員が「え? え?」と戸惑っていると、
「早く!」
と、春風がそう怒鳴ったので、それを聞いたレナ達は「は、はいい!」と返事しながら、急いで春風の後ろに集まった。
そして、
(よし!)
と、レナ達が集まったのを確認すると、意識を集中させようとゆっくりと深呼吸して、
「『アースブロック』!」
と大声で土属性の防御魔術を唱えた。
次の瞬間、春風の目の前にもの凄く大きな土の壁が現れたので、
「うわ! デカッ!」
と、それを見た恵樹はギョッと目を見開いた。
しかし、そんな恵樹を他所に、
(うーん。これだけじゃ不安かも……)
と、春風は自分で作った土の壁を見て不安そうな表情を浮かべていると、すぐにキッと表情を変えて、
「だったら、いっぱい作るだけだ!」
とギリッと歯を慣らしながら言うと、
「『アースブロック』! 『アースブロック』! 『アースブロック』!」
春風は何度も土属性の防御魔術を唱えて、目の前の大きな土の壁を更に大きくした。
それから間もなくして……。
ーードゴォオオオオオオオン!
と、アマテラスが落とした大きな火の玉が地面に激突し、その際発生した大きな音と衝撃波の所為で、
『うわぁあああああ!』
『きゃああああああ!』
と、大きな土の壁に守られているにも関わらず、春風達はその場に踏ん張りながら悲鳴をあげた。
やがて音と衝撃波がおさまったのか、
「み、みんな、大丈夫……ですか?」
と、春風がレナ達に向かって恐る恐る尋ねると、
「う、うん。なんとか……」
「全員……」
「無事だよぉ…‥」
と、レナ達は地面にへたり込んだ状態でそれぞれ弱々しい口調でそう返事した。その最中、
(あ、そうだイヴリーヌ様……)
と、気を失ってるイヴリーヌのことを思い出した春風が、すぐに周りをキョロキョロしながらイヴリーヌを探すと、
「春風ちゃーん。こっちも大丈夫よぉ」
と、同じく地面にへたり込んでいたキャロラインが、春風に向かって腕を大きく振りながら言った。よく見ると、彼女の腕の中には未だ意識を失ってる状態のイヴリーヌがいたので、
(よ、よかった。取り敢えず、『無事』ってことでいいかな)
と、春風はホッと胸を撫で下ろしながら、心の中でそう呟いた。
その後、春風は展開していた土の壁を消すと、
「えーっと、アマテラス様は……」
すぐにアマテラスの姿を探そうと前方に視線を向けた。
すると、
「おーい、こっちこっち!」
と、春風達に向かって笑顔で腕を大きく振るアマテラスの姿を発見したので、
(あ、いたいた)
と、春風は再びホッと胸を撫で下ろすと、
「あーみんな、取り敢えず……行く?」
これまた再びレナ達に向かって恐る恐る尋ねると、全員、弱々しくコクリと頷いたので、
「それじゃあ……」
と、春風がそう呟くと、レナ達と共にアマテラスの傍に進み始めた。
その後、春風達がアマテラスの傍に近づくと、
「あ……」
目の前の惨状に、春風は思わず声をもらした。
大きな火の玉が落ちた場所はかなり広い範囲で真っ黒に染まっていて、周辺の草木も燃え散ったか真っ黒に染まったかのどちらかだった。
そして、肝心の大きな火の玉のターゲットになった2人の「天使」達はというと、幾ら春風が周囲を見回しても、その姿はないどころか気配すらも感じなかったので、
「あ、あの、アマテラス様。フランク・ガルシアとケネス・ランドルフは……?」
と、春風はアマテラスに向かって恐る恐る尋ねた。
最悪の結末を予想していた春風だったが、
「うーん、ごめん。逃げられちゃった」
アマテラスからの返事は意外なものだったので、
「え? 『逃げられちゃった』……とは?」
その返事を聞いて、春風は思わず首を傾げると、
「そ、それがね、『裁き』を受ける直前、別の天使が現れて、連中を連れてっちゃったみたいなのよねぇ」
と、アマテラスはバツが悪そうにそう答えたので、
「そ、そうだったんですか……」
その答えを聞いて、春風はホッとしたような、それとも残念と言うべきなのかと複雑そうな表情を浮かべた。
そんな春風を見て、アマテラスは「ふふ……」と表情を緩ませると、ポンと春風の頭に手を乗っけて、
「ほーら、そんな顔しないの。次に奴らに会ったら、今度こそ思いっきりやっちゃえばいいんだから」
と、笑顔でそう言ったので、その言葉に春風は一瞬ポカンとなったが、
「……そうですね」
その後すぐに、弱々しい笑みを浮かべながら返事した。
その返事を聞いて、アマテラスは「よしよし……」と春風の頭を優しく撫でると、
「それじゃあ春風君」
と、急に表情を真面目なものに変えたので、
「は、はい、何ですか?」
と、春風は緊張しつつもそう返事すると、
「取り敢えず、どう説明すればいいと思う?」
と、アマテラスはとある方向に視線を向けながら尋ねてきた。
そんなアマテラスの質問を聞いた春風は、「え?」と首を傾げながらも、ゆっくりと彼女の視線の先を見ると、
「……あ!」
そこには、困惑の表情を浮かべた仲間達がいたので、
「……アマテラス様」
「何、春風君?」
「何処から説明すればいいのでしょうか?」
と、春風はダラダラと滝のように汗を流しながら、アマテラスに向かってそう質問し、
「うーん。ど、どうしよう?」
そんな春風の質問に、アマテラスは「どうしたもんかねぇ」と言わんばかりの微妙な表情を浮かべた。




