第533話 春風の答え
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
赤く光る半透明の球体に囚われた春風。
その球体の中で、春風の体が崩壊し始めて、それを止めることは誰にも出来ないという彼岸花の話に、
「春風様! 春風様ぁ!」
と、グラシアは涙を流して悲鳴をあげて、
「ごめんなさい……ごめんなさい」
話をした彼岸花本人も、大粒の涙を流しながら春風に向かって謝罪していた。
そんな2人を見て、
(くっ! ここはやはり、僕が動くしか……!)
と、オーディンが行動に移そうとしたその時、
「く……うぅ」
なんと、それまで球体の中で横たわっていた春風が、ゆっくりと立ち上がろうとしていたので、それを見たオーディンは思わず「え?」と声をもらし、
「は、春風様?」
「春風?」
それに続くように、グラシアと彼岸花が春風の名を呼ぶと、
「な……泣かないで、彼岸花……グラシアさん」
ヨロヨロとしているがどうにか立ち上がった春風が、ニコッとしながら2人に向かって優しくそう言った。
そんな春風の言葉に、今度はグラシアと彼岸花が「え?」と2人して声をもらすと、
「この状況を……作ったのは、俺の所為だ。俺が……弱かったから、こうなって……しまったんだ。その所為で……2人だけじゃなく、オーディン様まで迷惑を……かけてしまった」
と、春風は「ぜぇ……はぁ……」と苦しそうに肩で息をしながら言った。よく見ると、喋っている間にも体がどんどん崩壊していったので、
「ああ、いけません春風様! それ以上喋っては……!」
と、グラシアが大慌てで「待った」をかけようとしたが、
「……なら、君はこのまま消滅するつもりかい?」
それを遮るように、真剣な表情をしたオーディンがそう尋ねてきたので、
「お、オーディン様!?」
と、オーディンの質問にグラシアがギョッと驚くと、
「いえいえ……そんなつもりは、毛頭ありません!」
春風は苦しそうにしつつも、ニヤッと不敵な笑みを浮かべながら答えた。
その答えにグラシアと彼岸花が再び「え?」と声をもらしていると、春風はゆっくりと右手を上げてグッと握り拳を作った。
そして、春風がゆっくりと目を閉じた次の瞬間、握り締めた右拳がオレンジ色に光り出したので、
「つ、土属性の魔力? 春風様、何を……?」
と、グラシアが春風に向かって「何をする気?」と尋ねようとした、次の瞬間、
「これが……俺の答えだ!」
と、春風はそう叫ぶとオレンジ色に輝くその右拳で、自身を閉じ込めてる球体の一部をガンッと殴り出した。
突然の春風の行動に、
「は、春風様!?」
「な、何してるの春風!?」
と、グラシアと彼岸花がギョッと驚いていると、
「俺は! まだ、終われない! こんなところで……終われない! ユメちゃん達を……助けてないし! レナ達にだって会いたい……し! 敵の親玉達を……ぶちのめせてないし! 『地球』と……『エルード』を救ってない!」
と、春風はガンッガンッと球体の一部を何度も殴りながら苦しそうにそう叫んで、
「何より……最後に見たのが、『女の子2人の泣き顔』なんて、嫌だし! ていうか、女の子泣かしたまま消えるとか……男として、アウトだろ!」
最後にグッと力強く拳を握り締めると、渾身の一撃をお見舞いするかのように球体の一部を殴った。
しかし、殴った瞬間……。
ーーブシュウ!
と音を立てながら、右手が更に崩壊し出したので、
「あ……」
と、春風がなんとも間の抜けた声をもらし、
「いやあああああ!」
と、グラシアがギョッと目を大きく見開きながら悲鳴をあげて、
「や、やめて! もうやめて春風! お願いだからやめて!」
最後に彼岸花が、春風に向かってこれ以上殴るのをやめるようにとお願いした。
だが、
「悪いけど……そうはいかないよ! この状況を、作ったのは……俺だけど、だからって……このまま終わるなんて、絶対に……嫌だ!」
と、春風は彼岸花のお願いを拒絶するかのようにそう叫ぶと、再び拳をグッと握り締めて球体の一部を殴り出したので、
「で、でも……」
と彼岸花が涙を流しながら何か言おうとしたが、それを遮るかのように、
「それに……俺を、誰だと思ってるの?」
と、春風が彼岸花に向かってそう尋ねてきたので、その質問に彼岸花だけでなくグラシアまでもが「えぇ?」と声をもらすと、
「俺は、雪村春風……本名、光国春風。『世界』を救う為に、人間を辞めた……ちょっとユニークな、『賢者』だ! だから……」
と、春風は真っ直ぐ彼岸花を見つめながらそう言い、
「こんなところで……終わる男なわけ、ないだろう!」
最後にまた、力いっぱい球体の一部を思いっきり殴った。
すると、
「……ぷ」
と、オーディンが小さく吹き出したので、それに気付いた春風、グラシア、そして彼岸花が「ん?」とオーディンを見ると、
「あっははははは! あーはっはっはっはっは……!」
と、オーディンが目に涙を浮かべながら大声で笑い出した。
そんな様子のオーディンに向かって、
「あ、あの、オーディン様?」
と、グラシアが恐る恐る尋ねると、
「最高! 最高だよ春風! それでこそ、僕の契約者だよ! ああ、僕はなんて運がいいんだ! アマテラスさん達には申し訳ないけど、君と契約出来て、本当によかったぁ!」
そんなグラシアを無視するかのように、オーディンは「あはは!」と狂ったように笑って、最後は嬉しそうに頬を赤くしながら、うっとりとした表情でそう言った。
そんな狂喜乱舞しているオーディンを見て、
(う、うわぁ……)
と、春風がドン引きしていると、
「春風君!」
と、急にオーディンが話しかけてきたので、それに春風が「はいぃ!」とビシッと姿勢を正しながら返事すると、
「もし本気でそこから出たいなら、君にいいものを見せてあげるよ」
と、オーディンは不敵な笑みを浮かべながら言った。
そんなオーディンの言葉に、
「めっちゃ出たいです!」
と、春風は力強く返事すると、
「オッケー! それじゃあ……!」
と、オーディンはそう言って、自身の両手をパンッと合わせると、その手と手の間から、先ほどオーディンが振るっていた1本の白い槍を出した。
それを見て、
「あ、その槍は!」
と、グラシアが目を見開き、
「お、オーディン様、それは……?」
と春風がそう尋ねると、
「僕の自慢の愛槍、『グングニル』だ」
その質問に対して、オーディンはその槍、グングニルを見せながら答えた。
そのグングニルを見て、
「そ、それが……」
と、春風がタラリと汗を流しながら言うと、
「で、それをどうするのですか……?」
その後すぐに、「ん?」と首を傾げながら尋ねたので、
「決まってるでしょ? 君にも出してもらうんだよ、これを」
その質問にオーディンは、再びグングニルを見せながら答えた。
その答えを聞いて、
「ああ、なるほど……」
と、春風は納得の表情を浮かべたが、
「「「はぁあああああああ!?」」」
春風だけでなく、何故かグラシアと彼岸花までもが、オーディンの言葉を聞いて驚きに満ちた叫びをあげた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結果として1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




