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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第10章 断罪官の逆襲

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第525話 登場、もう1柱の「邪神」?


 突如、春風達の前に現れた黒い何か。


 全身に禍々しい黒いオーラを纏ったその姿は、まさに1匹の狼のようなものだった。


 何故、「狼」ではなく「狼のようなもの」なのか?


 それは、その見た目があまりにも普通の狼からかけ離れていたからだ。


 どういう見た目かと言うと、まず雄牛一頭ほどの大きな体を持ち、頭から爪先、尻尾までもが漆黒に染まっていて、左右の目はまるで血のように赤く、額にも真っ赤に染まった第(・)3(・)の(・)目(・)があった。


 そんな狼のような姿をした黒い何かを見て、


 「おいおい、何だよあいつは……」


 と、フランクが緊張した様子でタラリと汗を流すと、


 「……お(・)父(・)さ(・)ん(・)」


 と、レナがボソリとそう呟いたので、


 「はぁ!?」


 それを聞いたフランクは大きく目を見開いた。


 そしてそのすぐ後、


 「……ループス?」


 と、黒い何かを見たヘリアテスがそう呟き、


 「え!? ま、待ってください! 今、『ループス』って……!」


 その呟きを聞いて、イヴリーヌがギョッと大きく目を見開くと、


 「じ、獣人の……神様」


 ヘリアテスに続くように、ピートも黒い何かを見て大きく目を見開きながら呟いたので、


 「ループス……まさか、『邪神ループス』なのか!?」


 と、その呟きを聞いたヘクターも、ピートと同じように大きく目を見開いた。


 すると、


 「……はぁ。その呼び名、こちらとしても不本意なんだがな」


 と、目の前に現れた狼のような姿をした黒い何かが、溜め息を吐きながらそう言ったので、


 『喋ったぁ!』


 と、声を聞いた一部の者達を除いた周囲の人達は、一斉に驚きの声をあげた。


 そんな彼らの反応に、


 「ふっふっふ……」


 と、黒い何かが声に出して小さく笑うと、


 「そうだ、俺の名はループス。『月光』と『牙』を司りし神。まぁもっとも、今は『邪神』などと呼ばれてるがな」


 と、周囲を見回しながらそう自己紹介した。


 その自己紹介を聞いて、その場にいる誰もが何も言えず、ただ目の前にいる「神」と名乗った黒い何かを見てタラリと汗を流していると、


 「お、お父さん! 本当にお父さんなの!?」


 と、レナが黒い何かに向かってそう尋ねてきたので、


 「あぁそうだよ、我(・)が(・)娘(・)レナ」


 そんなレナの質問に、黒い何か……否、ループスが静かにそう答えると、


 「……ふ、ふはは、ふははははははは!」


 と、フランクは大きく声に出して笑い出した。


 その笑いを聞いて、周囲の人達が「何事!?」と言わんばかりに一斉にフランクに視線を向けると、


 「こいつはいい! こいつはいいじゃねぇか! 長きに渡る封印から目覚めた2柱の『邪神』が、こうして目の前に揃ってるとはな! これも偉大なる5柱の神々の導きってんなら、まさに最高じゃねぇかよ!」


 と、フランクは狂気に満ちた笑顔を浮かべながら言った後、最後に「ふはははは……!」と声高々に笑った。


 その後、ひとしきり笑ったフランクはスッと表情を真剣なものに変えると、


 「決めたぜ、レナ・ヒューズの前に……」


 と言って、手に持っている剣をグッと握り締めながらそう言って、


 「まずはテメェからだぜ!」


 目の前にいるループス目掛けて突撃した。


 それを見て、


 「お、お父さん……!」


 と、レナが大きく目を見開きながらループスの名を叫んだが、とうのループスはその場から動くことなく、代わりに自身の尻尾をスッと動かしたので、


 「っ! 駄目よ! フランク!」


 それを見て何かを感じたケネスが、フランクに「待った」をかけようとしたが、


 「おら死ねやぁ!」


 そんなケネスを無視して、フランクはループスに向かって剣を振り下ろそうとした。


 だが、それでもループスはその場から動こうとせず、代わりに尻尾をヒョイッと横に振った。


 次の瞬間、尻尾を振ってすぐにビュオッと強い衝撃波が発生し……。


 ーーバァン!


 「ぐはぁああああ!」


 それを受けたフランクは、思いっきり後ろへと吹っ飛ばされた。


 そんなフランクを見て、


 「よ、よくも……!」


 と、ケネスはそう呟くと、大鎌をグッと握り締めて、先ほどのフランクと同じようにループスに向かって突撃した。


 そして、

 

 「『邪神』め、覚悟おし!」


 と、ケネスがループスに向かって大鎌を振るったが……。


 ーーブン!


 それよりも早く、ループスは思いっきり尻尾を振り、


 ーーブワァ!


 その瞬間、再び衝撃波は発生し、


 ーーバァン!


 「ぶはああああっ!」


 それを受けたケネスも、フランクと同じように思いっきり吹っ飛ばされた。


 その後、


 「さてと……」


 と、ループスが、ゆっくりと春風の近くまで寄ると、


 「うーん」


 と考えこみながら、そう小さく唸り声をあげた。


 そんなループスを見て、


 「お、お父さん?」


 と、レナが恐る恐る声をかけると、


 「こりゃいかんな。このままだとこいつ、剣に何もかも喰われるぞ」


 と、そんなレナに向かってループスが淡々とそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「そ、そんな!」


 と、レナはショックで一瞬泣きそうになったが、すぐにハッとなってゴシゴシと自身の目を擦ると、


 「お父さん、春風を助けるにはどうしたらいいの!?」


 と、真面目な表情でループスに向かって尋ねた。


 だが、


 「残念だが、俺達が出来ることは何もない」


 と、ループスは冷たくそう答えたので、


 「そんな、お父さん!」


 と、それを聞いたレナがループスに何か言おうとしたが、


 「まぁ待て。俺(・)達(・)は出来ないが、1(・)人(・)だ(・)け(・)可(・)能(・)な(・)奴(・)が(・)い(・)る(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)か(・)」


 それを遮るかのようにループスが「ちっちっち……」と指を動かしながら言ったので、


 「え? 『1人だけ』って……」


 と、今度はヘリアテスがそう口を開くと、


 「忘れたのか? 彼と共に旅立った、と(・)あ(・)る(・)幽(・)霊(・)の存在を」


 そんなヘリアテスに向かって、ループスはチラッと春風を見ながら言った。


 その瞬間、


 「「「「「あっ!」」」」」


 ヘリアテスだけでなく、レナ、アメリア、ニーナ、ピートまでもが、大切なことを思い出したかのように大きく目を見開いた。


 そして、そのすぐ後、春風の中では、


 「う、うーん」


 その幽霊、グラシアが目を覚ました。


 

 


 


 


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