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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第10章 断罪官の逆襲

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第523話 「お守り」の誕生

 今回は、いつもより短めの話になります。


 「オマエタチノ……ブキ……コワス。コワシテ……ユメチャン……ミワサン……テツオ……ケータ……ユウシタサン……ヲ……タスケル」


 「……え? も、もしかして春風……勇者達を助けるつもりなの?」


 と、異形の姿となった春風の言葉に対してそう尋ねたレナ。


 そんなレナの言葉が聞こえたのか、春風はゆっくりと首を縦に動かしたので、


 (ああ、やっぱりそうなんだ……)


 と、レナはちょっとだけ安心したかのように納得の表情を浮かべた。


 2人のやり取りを見て、


 「ま、まさか、彼は勇者達を助けようとしているのでしょうか?」


 と、ルーセンティア王国の騎士はチラッと地面に転がっている歩夢達を見ながらそう口を開き、


 「あ、あぁ。春風殿の様子からしてそうみたいだが、あのような姿になっても、まだ意識が残っているのか?」


 騎士の言葉を聞いて、ヘクターがそう疑問を口にすると、


 「……いいえ。本来ならあり得ないことなのよ」


 と、暗い表情をしている凛咲がそう答えたので、その答えにヘクターや騎士達が「え?」と凛咲に視線を向けると、


 「そ……それは、どういう意味でしょうか?」


 と、イヴリーヌが恐る恐る尋ねてきた。


 その質問に対して、凛咲はゆっくりと顔を上げると、


 「私は昔、見たことがあるんです。あの刀、『妖刀・彼岸花』の力を振るい続けて、最後は身も心も刀に喰われてしまった使い手を。その時も、今の春風のような異形の姿をしていました」


 と、先程以上に暗い表情で答えた。


 その答えを聞いて、


 「あ、あの姿は何なのですか? その『喰われる』という結末への前兆なのですか?」


 と、イヴリーヌは凛咲に掴み掛かる勢いで再び尋ねると、


 「……そうです。そしてそれと同時に、あの姿は謂わば蝋燭の炎が燃え尽きる前の、最(・)後(・)の(・)勢(・)い(・)のようなもので、強大な力を発揮するのですが、その代わりに使い手は理性を失って、この世界でいうなら、ただ目の前の敵を殺しまくる『生きた殺戮兵器』と化してしまうのです。そうなれば当然、言葉を発することは出来ません」


 と、凛咲はコクリと頷きながら説明し、それを聞いたイヴリーヌが、


 「そ、そんな……」


 と顔を真っ青にしつつも、目に涙を浮かべた。


 すると、


 「ま、待ってくれ! その話が本当なら、春風殿だって理性を失う筈! だが、現に彼はああして言葉を発してるし、目の前にいる敵の武器を破壊して勇者殿達を助けようとしてるではないか!」


 と、ヘクターが声を荒げてきたので、その言葉に騎士達をはじめとした周囲の人達までもが、


 『た、確かに!』


 と声をあげた。


 そんな彼らの言葉に対して、


 「そう。さっきも言ったけど、今の春風の状態は本来ならあり得ないことなの」


 と、凛咲は暗い表情のままそう口を開くと、


 「でも、今から2年前、春風が初めてあの刀を抜いたあの日、目の前には大勢の武器を構えた兵士達がいたのに、春風はその兵士達の命を奪わず、代わりに兵(・)士(・)達(・)の(・)武(・)器(・)だ(・)け(・)を破壊した。そのおかげで、私達も、敵の兵士達も、誰1人死なない結果となったの」


 と、自身と春風の過去の出来事についてそう語った。


 その瞬間、イヴリーヌ、キャロライン、ヘクターの脳裏に……。


 ーー怪我人や死人が出なかったのが不幸中の幸いだったけどね。


 と、以前ハンターの仕事中に春風が言ってた言葉が浮かび上がったので、


 (そ、そうか。あの言葉はそういう意味だったのか)


 ヘクターはそう思いながら納得の表情を浮かべると、


 「凛咲殿。あなたはもしや、春(・)風(・)殿(・)な(・)ら(・)あ(・)の(・)剣(・)を(・)使(・)い(・)こ(・)な(・)せ(・)る(・)と思ったのですか?」


 と、凛咲に向かってそう尋ねた。


 その質問にイヴリーヌとキャロラインが「え?」と首を傾げると、凛咲はコクリと頷いて、


 「私自身は信じたくなかったんだけど、それと同時に、『この子なら、彼岸花を本(・)当(・)の(・)意(・)味(・)で使いこなせるんじゃ?』とも考えたの」


 と、ヘクターに対してそう答えたので、


 「本当の……意味って?」


 その答えに今度はキャロラインがそう尋ねると、


 「彼岸花の力と、彼岸花の中の『悲しみ』を理解して、正しくその力を発揮する。私はそう考えてます」


 と、それまで暗い表情をしていた凛咲は少しずつ表情を明るくしながら、自身の考えを述べた。


 それを聞いて、イヴリーヌだけでなく周囲の人達までもがゴクリと唾を飲むと、


 「でも、そのままの状態で春風に渡すのは危険だと感じた私は、2年前、春風から返された彼岸花を、特別な『秘術』を用いて、『力』と『器』の2つに分けたの」


 と、凛咲は更にそう説明を続けたので、


 「力と……」


 「器……ですか?」


 その説明にイヴリーヌとキャロラインが首を傾げると、凛咲は「ええ」と頷いて、


 「『力』は勿論、彼岸花が持っている力のことで、『器』とはその『力』を宿してた入れ物。この場合は当然、刀のことです。最も、そちらに僅かに『力』が残っていたので、完全に分けたって訳じゃないんですよねぇ」


 と、そこまで言うと、最後は「あっはっは……」と苦笑いしていたが、


 「そして、『力』の方は小さな卵に移して私が持ち歩き、『器』の方はというと、こちらもこれまた『秘術』を使って『鉄扇』へと姿形を変えたのです。そして1年前、私は出来上がったその鉄扇を、『お守り』として春風にプレゼントしたのです。ああ因みに、出来上がったお守りは他人に渡ることがないように、作った本人である私と、持ち主である春風以外が持つと重くなるような術式を仕込んでおきました」


 と、凛咲はすぐに表情を真面目なものに変えて、その後表情と同じく真面目な口調でそう説明した。


 


 

 

 

 


 

 

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