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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第10章 断罪官の逆襲

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第522話 異形春風の力・2


 ーードシュ!


 「ぶふっ!」


 「け、ケネスゥ!」


 異形の姿となった春風に向かって大鎌を振るったケネス。


 しかし、その刃が春風に届くことはなく、その代わりに、何かが貫かれたような音が響き渡ったので、


 「ぐ……い、一体、何が……?」


 と、ケネスは苦しそうに口から血を吐きながら、何が起きたのか探ろうとした。


 すると……。


 ーーグジュ。


 「ぐふ! わ、私のお(・)腹(・)が……?」

 

 自身の腹部に強い痛みを感じたので、ケネスがゆっくりとその腹部に視線を向けると、

 

 「……は?」


 なんと、鎧を纏っているにも関わらず、自身の腹部に何やら5本の長い棒のようなものが刺さっていた……いや、その棒のようなものは腹部だけでなく背中にまで貫通していたので、ケネスはそこで漸く、自身が今、何かに腹部を貫かれている状態だと理解した。


 そうとわかると、


 「ぐふ……な、何よこれ……?」


 と、ケネスはすぐに腹部貫いている棒のようなものの正体を探ろうとすると、


 「な、あ、あなた……その左(・)手(・)は!?」


 その正体は、春(・)風(・)の(・)左(・)手(・)の(・)指(・)だった。


 いや、爪とも呼ぶべきなのか。


 とにかく、春風の左手の指が、まるで槍のように伸びて、ケネスの腹部を貫いていたのだ。鎧を纏っているにも関わらず、春風の5本の指全てが、その鎧さえも突き破って、ケネスの体を貫通していた。


 それを理解して、


 「お、おいケネス! 大丈夫か!?」


 と、フランクが顔を真っ青にしながらケネスに向かって尋ねると、


 「ぐ……も、問題ない……わ。急所は、外れてるみたいだし……ね」


 ケネスは口から血を垂らしているにも関わらず、ニヤッとしながらそう答えた。


 すると、


 「ウウウ……」


 春風はそう唸りながら、ゆっくりとケネスを貫いている左腕をググッと持ち上げたので、


 「な、何を……?」


 と、ケネスがそう尋ねようとすると、


 「ヴアアア!」


 春風はそう叫びながら、自身の指で貫いたケネスを力いっぱいぶん投げた。


 その瞬間、ケネスの腹部を貫いていた春風の指が全て抜かれたが、強い力を込めた投げた為、ケネスは体勢を整えることが出来ず、近くにあった木に激突し……。


 ーーブシュウ!


 その衝撃で春風の指が突き刺さっていた跡から、一気に血が噴き出たので、


 「がはぁ!」


 それと同時にケネスも口から血を吐きながら、ズルズルと地面に崩れ落ちた。当然、その時持っていた大鎌が、ケネスの手から離れた。


 「あぁ! け、ケネス小隊長!」


 と、それを見たアメリアはすぐにケネスのもとへと向かおうとしたが、


 「い、いけませんアメリア様! 危険です!」


 そこへイヴリーヌが腕を掴んできたので、


 「は、離してください!」


 と、アメリアはイヴリーヌの手を振り解こうとしたが、


 「駄目よアメリアちゃん。イヴりんちゃんの言う通り、今行ったら危険よ」


 それを止めるかのように、キャロラインもアメリアの肩にポンと手を置きながら言うと、


 「それに、あなたはもう断罪官の隊員じゃないでしょう?」


 と、最後にそう尋ねてきたので、


 「うう! そ、それは……」


 その質問に対して、アメリアは何も答えることが出来ずにその場に立ち止まい、


 「ね、姉さん……」


 「アメリアお姉ちゃん……」


 そんなアメリアを、ニーナとピートは心配そうに見つめた。


 一方、春風達の方はというと、


 「ケネス! おい、ケネスゥ!」


 ぶん投げられて地面に崩れ落ちたケネスを見て、フランクはそう叫んだ後、


 「テメェ、この悪魔がぁ!」


 と、春風の右腕を脇に抱えたまま、春風に向かって剣を振り下ろそうとしたが、


 「ヴアア!」


 と、春風が不気味に白く光る両目を大きく見開いた瞬間、「バチバチ!」と音を立てながら放電し出したので、


 「ぐ、ぐあああああ!」


 それを受けたフランクは苦しそうに悲鳴をあげると、ズルリと抱えていた春風の右腕から離れた。


 その後、


 「フン!」


 春風は離れたフランクに飛び蹴りをかまして、


 「ぐはぁ!」


 それを受けたフランクが再び悲鳴をあげながら吹っ飛ばされたのを確認すると、春風は視線をフランクからケネスに移して、


 「は、春風、待って……!」


 と、止めようとしたレナを無視して、彼のもとへと駆け出した。


 そして、刀と一体となった右腕を振り上げると、落ちていたケネスの大鎌目掛けて振り下ろした。


 だが、


 「くぅ!」


 それよりも早く目覚めたケネスが、すぐに大鎌を掴んで、ズズッと自身のもとへと引き寄せたので、春風の攻撃が当たることはなかった。


 その最中、


 「ちぃ!」


 春風によって蹴り飛ばされたフランクは、すぐに体を回転させて体勢を整えると、そのまま春風に向かって突撃し、


 「くたばりやがれぇ!」


 と、剣による突き攻撃をお見舞いしようとしたが、


 「フッ!」


 春風は後ろに飛ぶことによってそれを難なく避けた。


 それを見て、


 「くそ! こいつも避けるかよ……!」


 と、フランクは小声でそう呟いた後、


 「おいケネス! まだ生きてるか!?」


 と、チラッとケネスを見ながら尋ねて、


 「まだ……死んでないわよ」


 その質問に対して、ケネスは大鎌を支えにヨロヨロと立ち上がりながら、苦しそうに答えた。


 その後、


 「あの子、私じゃなくて、この大鎌に攻撃しようとしたわ」


 と、ケネスが自身の大鎌を見ながらそう言うと、


 「何ぃ? トドメじゃなくて武器破壊だと? 一体どういうことだそりゃ?」


 その言葉を聞いて、フランクは首を傾げながら尋ねた。


 すると、


 「……ソノブキ」


 と、春風がそう口を開いたので、彼の言葉にフランクとケネスが「ん?」と反応すると、


 「オマエタチノ……ブキ……コワス。コワシテ……ユメチャン……ミワサン……テツオ……ケータ……ユウシタサン……ヲ……タスケル」


 と、春風はゆっくりと2人の武器を交互に見ながらそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「……え?」


 と、レナがポカンとした表情で声をもらすと、


 「も、もしかして春風……勇者達を助けるつもりなの?」


 チラッと地面に転がっている歩夢、美羽、鉄雄、恵樹、詩織を見ながら、春風に向かって恐る恐る尋ねた。

 



 




 


 

 



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