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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第10章 断罪官の逆襲

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第517話 邪悪な反撃


 魔剣「彼岸花」の力で、「天使」であるフランクとケネスを圧倒する春風。


 そんな春風を、


 「す、凄い! 凄いですよ春風様! あの2人を相手にここまで戦えるなんて……!」


 と、左腕の銀の籠手にセットされたマジスマ内で、グラシアが表情を明るくしながら賞賛していたが、


 「ふぅ……ふぅ……」


 春風はそれに返事せずに、ただ目の前のフランクとケネスを睨んだまま彼岸花を構えるだけだった。


 よく見ると、その額は汗でじっとり濡れていて、彼岸花を握る両手も、何故か今にも落としてしまうんじゃないかと思われるくらいブルブルと震えていたので、


 「あ、あの、春風……様?」


 と、グラシアが恐る恐るマジスマ内から春風に声をかけると、


 「すみませんグラシアさん。ちょっと黙っててくれませんか?」


 そんなグラシアに向かって、春風は目の前を見つめたまま冷たく答えた。


 その答えにグラシアは「え?」となったが、春風の声色は何処か余裕がないくらい苦しそうだったので、


 (は、春風様、一体何が?)


 と、グラシアは心配そうな表情でオロオロし出した。


 一方、春風はというと、


 (ごめんなさいグラシアさん。でも……)


 と、心の中で先程のグラシアへの態度について謝罪していたが、


 (く、彼岸花。2(・)年(・)前(・)に(・)初(・)め(・)て(・)振(・)る(・)っ(・)た(・)あ(・)の(・)日(・)から、だいぶマ(・)シ(・)になったと思ってたんだけど、こうして実際に振ると、『まだまだ弱い』って考えてしまう。『スキル』や『魔術』どころか、『型』を使う余裕だって持てない。少しでも気を緩めたら、こっちが危ない!)


 それと同時に、チラッと手に持っている彼岸花を見ながら、自身の未(・)熟(・)さ(・)を痛感していた。


 しかし、


 (だけど! それでも今の俺には、こいつが必要なんだ!)


 と、春風は自身を奮い立たせるように心の中でそう呟くと、


 「だから、もう少しだけ力を貸してくれ」


 と最後にそう声に出したので、


 「は、春風様!?」


 そんな春風の言葉に、グラシアはマジスマ内でギョッと大きく目を見開いた。


 更に一方、春風と彼岸花によってダメージを受けていたフランクとケネスはというと、


 「「はぁ……はぁ……」」


 2人とも、春風の攻撃を受け続けて苦しそうに肩で息をしていた。


 「ちくしょうが! 俺達をここまで追い詰めやがって!」


 と、フランクが春風をギロリと睨みながら言うと、


 「ええ、そうね。まったく、可愛い顔して随分と酷い目に遭わせてくれるじゃない」


 フランクに続くように、ケネスも春風を睨みながら言った。


 その視線に気付いたのか、目の前にいる春風が彼岸花を構え直すと、


 「ちぃ! あの妙な剣をどうにかしねぇと、どんどんこっちがやばくなっちまうぜ」


 と、フランクも剣を構え直しながら言った。


 すると、


 「……だったら、こっちも更に力(・)を(・)上(・)げ(・)る(・)しかないわね」


 と、ケネスがそう呟いたので、それにフランクが「あ?」と返事すると、


 「まぁ、見てなさい」


 と、ケネスは不敵な笑みを浮かべながらそう言って、フランクの1歩前に出た。


 そして、手に持っている大鎌を大きく掲げると、ゆっくりと目を閉じた。


 次の瞬間、「神器」で強化された大鎌が白く光り出して、そのすぐ後、


 「……え?」


 「あ、あれ?」


 歩夢と恵樹が、バタンと地面に倒れてしまった。


 突然の出来事に、


 「ユメちゃん!?」


 「お、おい、どうしたケータ!?」


 と、驚いた美羽と鉄雄が、倒れた2人に声をかけると、


 「な、何だか、急に苦しくなって……」


 「ち、力が、入らないんだけど……」


 歩夢と恵樹は弱々しくそう返事した。よく見ると、2人の体がみるみる痩せ細っていったので、


 「な! こ、これは……!」


 と、それを見たヘクターは大きく目を見開いた。


 そして、2人が倒れてすぐ、


 「ふぅ。力が漲ってくるわぁ」


 と、ケネスは何やらうっとりした表情でそう言った。それと同時に、ケネスの体中についていた傷がどんどん塞がっていったので、


 「ははぁ、なるほど。そういうことか……」


 それを見たフランクはニヤッとすると、ケネスがやったのと同じように「神器」で強化した剣を掲げた。


 すると、フランクの剣も白く光り出して、


 「あ……」


 「な、なんだ?」


 「うぅ?」


 美羽、鉄雄、詩織の3人も、歩夢と恵樹と同じようにバタンと地面に倒れてしまい、

 

 「み、皆さん!?」


 「ど、どうしたのぉ!?」


 それを見たイヴリーヌとキャロラインが、驚いて3人に声をかけたが、


 「う……あ……」


 「か、体が……重てぇ……」


 「なんか……凄くダルい……」


 美羽も鉄雄も詩織も、歩夢と恵樹と同じように弱々しくそう答え、それと同時に彼女達の体もどんどん痩せ細っていったので、


 「……まさか」


 と、ヘリアテスが倒れた5人に近づいて、1人1人調べると、


 「や、やっぱり!」


 5人全員調べ終えたヘリアテスは、顔を真っ青にしながらそう呟いた。


 そして、3人が地面に倒れてすぐ後、


 「ああ、こいつはいい。力が湧いてくるぜ!」


 フランクもケネスと同じようにうっとりしながらそう言い、体の方も春風から受けたダメージが、まるでなかったことになったかのように消えた。


 その後、


 「準備はいい? フランク」


 「ああ、バッチリだぜ」


 と、ケネスとフランクはそう言い合うと、それぞれ武器をグッと握り締めて、春風に向かって突撃した。


 それを見て、


 (く、来る……!)


 と、春風は咄嗟に身構えたが、武器を振り上げたケネス達が春風のすぐ傍まできた時、


 (……いや、駄目だ!)


 と何故かそう感じた春風は、すぐにその場から後ろに飛び退いて、2人の攻撃を避けた。


 そして、振り下ろされたフランクの剣とケネスの大鎌が地面にあたった瞬間、ドォンという大きな音を立てて爆発した。


 「くぅ!」


 地面に着地した春風が、先程まで自身がいた場所に視線を向けると、そこはフランクとケネスの攻撃によって地面大きく抉られていたので、


 「あ、危なかった……」


 と春風はホッとしたが、


 (でも、何故だ? さっきよりも2人の力が大きく上がったのを感じる)


 と、目の前にいるフランクとケネスを見てそう疑問に思った。


 その時だ。


 「春風さん!」


 と、ヘリアテスが春風の名を呼んだので、それに春風がピクッと反応し、すぐにヘリアテスに視線を向けると、


 「その2人の武器を破壊してください! それが、この子達から魔(・)力(・)と(・)生(・)命(・)力(・)を(・)奪(・)っ(・)て(・)ま(・)す(・)! 早くしないと、5人とも死んでしまいます!」


 と、ヘリアテスはフランクとケネス……いや、正確に言えば、2人が持ってる剣と大鎌を指差しながらそう叫んだ。


 そしてそれと同時に、地面に倒れてる歩夢、美羽、鉄雄、恵樹、詩織の5人のクラスメイト達を見て、


 「……え?」


 春風は、大きく目を見開いた。


 


 


 


 

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