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ユニーク賢者物語  作者: ハヤテ
第10章 断罪官の逆襲

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第515話 「彼岸花」、抜刀


 そして、時は現在、場所は異世界「エルード」。


 「……彼岸花?」


 と、その手に握られているものを見て、春風はそう呟いた。


 (夜羽が……師匠に貰った『お守り』が、彼岸花?)


 そう、春風の手には、「師匠」こと凛咲から貰った「お守り」の鉄扇を「魔導具」として改良した夜羽だ(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)にして、かつて凛咲の家の地下室で見つけた刀、「彼岸花」が握られていたのだ。


 そして、そんな春風の呟きが聞こえたのか、


 「え!? 『彼岸花』ってまさか!」


 「前にハルッちが話してた……!」


 「魔剣『彼岸花』か!?」


 と、鉄雄、恵樹、そしてヘクターが目を大きく見開いたので、


 「え、何それ!?」


 と、レナが驚きの声をあげた。


 すると、


 「「マリーさん!」」


 と、歩夢と美羽が凛咲に掴みかかったので、2人の声に春風を除いた周囲の人達がギョッと驚いたが、そんな彼らを無視して、


 「どういことマリーさん!?」


 「どうして、あの刀がここにあるの!?」


 と、歩夢と美羽はゆっさゆっさと凛咲を揺さぶりながら問い詰めた。


 2人の必死な質問に対して、


 「それは……」


 と、凛咲が何処か悲痛な表情でそう呟くと、


 「あーすまない2人とも……」


 そこへミネルヴァが申し訳なさそうに声をかけてきたので、その声に歩夢達だけでなく凛咲や鉄雄達までもが「ん?」と反応すると、


 「どうやら、奴(・)ら(・)に気付かれたみたいだ」


 と、ミネルヴァはとある方向の空を指差しながら言ったので、その言葉に「え?」となった歩夢達が一斉にその指差した方向へと振り向くと、その空の向こうから見(・)覚(・)え(・)の(・)あ(・)る(・)2(・)つ(・)の(・)影(・)が、こちらに向かって猛スピードで飛んでくるのが見えたので、


 「げっ!」


 と、それを見た鉄雄が驚きの声をあげた。


 そして、それから少しすると、


 「はっ! 見つけたぜ!」


 「どうやら、当(・)た(・)り(・)だったわね」


 その2つの影……「天使」のフランクとケネスが、春風達を見てニヤッとしながら地面に降りてきたので、


 「く……!」


 と、フランク達を見てヘクターがギリッと歯を鳴らしながら、腰の剣の柄に手を置いた。


 すると、


 「師匠……」


 と、春風が静かに口を開いたので、


 「何、春風?」


 と、凛咲がそう返事すると、春風は腰のベルトにつけたホルダーから翼丸を鞘ごと引き抜いて、


 「持っていてください」


 それを凛咲に差し出した。


 突然の春風の行動に、レナをはじめとした仲間達が「え?」とキョトンとする中、


 「……わかったわ」


 と、凛咲はコクリと頷きながら、静かに翼丸を受け取ったので、


 「え、ちょ、陸島さん!?」


 それを見た恵樹は戸惑いに満ちた表情を浮かべたが、そんな恵樹を無視して、


 「春風……」


 と、凛咲が静かに春風にそう話しかけ、それに春風がピクッと反応し、ゆっくりと凛咲の方へと振り向くと、


 「さっきも言ったけど、気をしっかりもってね」


 と、凛咲は何処か心配そうな、それでいて悲(・)し(・)そ(・)う(・)な(・)表(・)情(・)を浮かべながら言ったので、


 「……はい」


 と、春風はニコッとしながらそう返事すると、すぐに目の前にいるフランクとケネスに視線を向けながら、彼岸花を空になった腰のホルダーの挿した。


 その時だ。


 「駄目だよ、春風!」


 「春風お兄さん!」


 と、何故か顔を真っ青にしたレナとピートが声をあげながら春風に近づこうとしたので、


 「いけないわ」


 すぐに凛咲はそう言いながら、2人の肩をガシッと掴んで、春風に近づかせないようにした。


 「は、離して!」


 と、肩を掴まれたレナは必死になってもがいたが、凛咲は黙って掴む力を強くしていったので、レナは彼女から離れることは出来なかった。勿論、ピートも同じだ。


 やがて、レナは離れられないとわかると、


 「春風、その剣を抜いちゃ駄目! それは、凄くヤ(・)バ(・)す(・)ぎ(・)る(・)!」


 と、春風に向かってそう叫び、


 「そうだよ! それは、使っちゃ駄目だよ!」


 レナに続くように、ピートも春風に向かってそう叫んだが、


 「……ごめん」


 と、春風はフランクとケネスを見つめたまま、レナとピートにそう謝罪するだけで、彼岸花を挿したホルダーをグッと左手で握った。


 春風がレナ達から数歩程離れている一方、フランクとケネスはというと、


 「……ねぇフランク」


 「……なんだ?」


 「あの子が新しく腰のベルトに挿した剣だけど……」


 と、ケネスが小声でフランクにそう話しかけて、


 「ああ、レナ・ヒューズと獣人のガキの言う通り……」


 と、フランクも小声でそう返事すると、


 「ありゃあ、と(・)ん(・)で(・)も(・)な(・)く(・)ヤ(・)ベ(・)ェ(・)も(・)の(・)だ」


 最後に春風の腰の彼岸花を見てタラリと汗を流しながらそう言い、そんなフランクの言葉に、


 「そうね。鞘に納められてはいるけど、と(・)て(・)つ(・)も(・)な(・)い(・)邪(・)悪(・)な(・)も(・)の(・)を感じるわ。差し詰め、私達を倒す『秘密兵器』ってところかしら?」


 と、ケネスはそう疑問を口にしたが、


 「はっ! だが、今更どんな武器を出したところで、俺達がやるべきことはかわらねぇよ」


 そんな疑問を無視するかのように、フランクがニヤッとしながらそう言ったので、その言葉にケネスは「ふふ……」と笑うと、


 「そうね。それじゃあ、同時にいくわよ」


 と、目の前の春風を睨みながらそう言い、それにフランクは「おう!」と返事した。


 一方、レナ達から離れて、フランクとケネスからも離れた位置に着いた春風はというと、


 (夜羽……いや、彼岸花……)


 チラッと腰のホルダーに挿した彼岸花を見つめて、


 (1年前から、ずっと俺と一緒にいたんですね?)


 と、疑問に思った。


 そう。春風は今まさに、1年前から今日まで、ずっと春風と共に過ごしてきた「鉄扇(お守り)」が、まさかの「彼岸花」だったという事実に、春風は「喜び」と「ショック」が入り混じった複雑想いを抱いていたのだ。


 (あなたが『恐ろしい力』を秘めているのは、2(・)年(・)前(・)に(・)初(・)め(・)て(・)抜(・)い(・)た(・)時(・)に理解した。そのことに関しては、今も『怖い』という想いはあるよ)


 と、春風は心の中で当時のことを思い出しながらそう呟いたが、


 「でも……」


 と、今度はそう声に出して、


 「今は、俺と俺の大事な人達を……み(・)ん(・)な(・)を(・)守(・)る(・)為(・)に……!」


 最後にそう言いながらゆっくりと彼岸花の柄をグッと握ると、


 「死にやがれ!」


 「お死に!」


 と、フランクとケネスはそれぞれ武器を握り締めながら、春風に向かって突撃してきた。


 それを見て、


 「は、春風ぁ!」


 「フーちゃん!」


 「春風君!」


 と、レナ、歩夢、美羽が悲鳴をあげる中、春風は落ち着いた表情で、目の前のフランクとケネスを睨むと、


 「俺に力を貸してくれぇ!」


 と叫びながら、2人に向かって彼岸花を抜いた。


 


 

 


 


 


 

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