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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第9章 「勇者」達との新生活

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第438話 叶えたかった「夢」


 「俺はね……『賢者』になるのが夢だったんだ」


 と、弱々しく笑いながらそう言った春風。


 もしこれが何かの冗談だったら、


 「おいおい、何言ってんだよぉ!」


 と、笑いと共にそんなセリフが周りから出てくるだろう。


 だが、


 「「「「「……」」」」」


 春風本人は笑ってはいたが、その様子があまりにも真剣だったので、誰一人笑うことはなく、


 「……詳しい理由、教えてくれねぇか?」


 と、鉄雄が真面目な表情でそう尋ねてきたので、それを聞いた春風はコクリと頷いて話し始める。


 「さっきも言ったけど、父さんと母さんは俺にとって自慢の両親なんだ。大勢の人達を幸せにする為のエネルギーを生み出す方法を研究していて、その目的の為に一生懸命働いていたんだ。でも、だからって息子の俺のことを蔑ろにしていたわけじゃない。父さんも母さんも、仕事とプライベートはしっかりと分けるほうで、毎年俺の誕生日を一緒に祝ってくれて、学校行事にも出てくれて、俺が『お仕事はいいの?』って尋ねても……」


 ーー仕事以上に、僕も母さんも春風の方が大事だよ。というか、僕と母さんが一番幸せにしたいのは春風だけなんだ。ああ、勿論、春風の大事な人達も一緒だから。


 ーーそうそう! 春風と春風の大事な人達が幸せになれるなら、私もお父さんも頑張っちゃうんだからね!


 「……なんてことを、笑顔で答えるんだ」


 と、「はは」と笑いながらそう言った春風。そんな春風の言葉に、


 「へ、へぇ。いいお父さんとお母さんだね」


 と、恵樹が頬を引き攣らせながらそう言うと、


 「うん。で、俺はそんな2人のことを尊敬していて、いつしか俺も、将来は2人と同じ『研究者』になって、『俺も父さんと母さんを幸せにする』って考えるようになったんだ。


 と、春風はコクリと頷きながらそう返事して、


 「おお、親子揃って『研究者』か! しかも『両親を幸せする』為って、 いい理由じゃねぇか!」


 と、その返事を聞いた鉄雄が表情を明るくしたが、


 「だけどねぇ……」


 と、春風が急に表情を暗くしたので、それに鉄雄が「ん?」と反応すると、


 「あー。自分で言うのもなんだけど、どうも俺……結構()()()なところがあるみたいで……」


 と、春風は気まずそうな感じでそう言った。


 そんな春風の言葉に、


 「え? よ、欲張り?」


 と、恵樹が「わけがわからん!」と言わんばかりに首を傾げると、


 「うん。『研究者になろう』って考えていた時に、『どうせなら()()()()の存在になって、父さんと母さんを幸せにしよう』という考えるようにもなったんだ。で、考えに考えた末、『研究者』……否、『科学者』、それも『世界一の科学者になって、父さんと母さんを助ける凄い技術を生み出そう』、という結論に至ったんだ」


 と、春風は真剣な表情でそう説明し、


 「……もしかして、それが『賢者』?」


 と、その説明に詩織がそう尋ねると、


 「うん。その頃の俺にとって、『賢者』っていうのは『世界一の科学者』のことを指すものだったんだ」


 と、春風は真剣な表情のままそう答え、その答えを聞いて、


 「なるほど。君がなろうとしたのは、『ファンタジー』とかによく出てくる『魔法や魔術方面の賢者』とはじゃなくって、『科学技術方面の賢者』ってことなんだね?」


 と、恵樹が納得の表情でそう尋ね、それに春風も「うん」と返事すると、


 「そうさ。『賢者』になって、父さんと母さんを幸せにする為の技術を作る。それが、小さいころの俺の夢だったんだ。尤も、そのまま言うと周囲に笑われるのがオチだから、周りには『父さんと母さんと同じ研究者』になるって広めてたんだけどね」


 と、そこまで言って、最後は「あはは……」と暗い表情で笑った。


 それを聞いて、鉄雄、恵樹、詩織が「おおぉ!」と歓声をあげたが、春風は更に表情を暗くして、


 「……でも、その肝心の父さんと母さんは、あの事故で死んじゃった。そしてそれと同時に、『賢者になる』って夢も、フッと消えちゃったんだ。元々、『父さんと母さんを幸せにする』っていう目的の為に生まれた夢だったから、2人が死んじゃった瞬間、その夢も消えちゃったんだよね」


 と、鉄雄達だけでなく歩夢と美羽に向かってそう答えると、


 「「「「「……」」」」」


 5人とも何も言うことが出来ず、ただ春風と同じように表情を暗くしていった。


 すると、


 「……でも」


 と、歩夢がそう口を開いたので、それに春風や美羽達が「ん?」と反応すると、


 「その夢は、完全に消えたわけじゃなかった。そうだよね?」


 と、歩夢が恐る恐るといった感じでそう尋ねてきたので、


 「……うん」


 と、春風はそう返事すると、


 「ステータスオープン、職能のみを表示」


 と言って、自身のステータス、それも「職能」のみを出した。


 そう、「見習い賢者」と表記された部分を。


 春風は自身の職能を見て、


 「そう。初めてこの職能を見た瞬間、『俺の夢は消えてなかったんだ』って凄く喜んだよ」


 と、「ふふ」っと笑いながらそう言ったが、


 「まぁ、『悪魔の力』ってところはショックだったけどね」


 と、そう付け加えると、すぐにズーンと表情を暗くしていったので、


 「ああ、フーちゃん! そんなに落ち込まないでぇ!」


 と、歩夢が必死になって春風を励ました。


 それから少しして、


 「と、とまぁ、これが俺の『過去』と『夢』の話ってところかな」


 と、春風が気を取り直したかのようにそう話を締め括り、


 「う、うーん。凄い()()内容だったけど、おかげで雪村君のこと少しわかったかな……」


 と、恵樹が納得の表情を浮かべた、まさにその時、


 「いいや。まだ『謎』の部分が残ってるぜ!」


 と、鉄雄がそう声をあげたので、


 「え? な、何、『謎』の部分って?」


 と、春風が戸惑いながらそう返事すると、


 「決まってるだろ! お前と海神に天上、あとお前の『師匠』の陸島凛咲や、あのミネルヴァって女の人との出会いとか関係だろうが!」


 と、鉄雄はキッと春風を睨みながらそう言ったので、


 「「「あー、そのぉ……」」」


 と、春風だけでなく歩夢と美羽も、ダラダラと滝のように汗を流しながらそう返事した。


 

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