第419話 勇者達と「お仕事」・12
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
そして、今回はいつもより長めの話になります。
さて、春風とグラシアが「ブルー・スライム」と「パープル・スライム」に遭遇していた、丁度その頃。
「いいお天気ねぇレナちゃん」
と、お茶を啜りながらそう言ったキャロラインに、
「そうですね、私達もそう思います」
と、レナがそう返事し、それに合わせてディックとフィオナも無言でコクリと頷いていると、
「う、うーん……」
と、それまで寝ていた歩夢が目を覚ましたので、
「あら、お目覚めかしら歩夢ちゃん?」
と、キャロラインがそう声をかけると、
「あ、おはようございます……」
と、歩夢はまだ意識が完全に覚醒してない状態でそう返事した後、寝ぼけ眼でゆっくりと周囲を見回し始めた。
それを見て、
「あ、あのぉ……」
と、ディックが恐る恐る歩夢に向かってそう声をかけると、
「……フーちゃんは何処?」
と、歩夢は寝ぼけ眼且つ半ば意識が覚醒した状態でそう尋ねた。
そんな歩夢の質問に対して、
「フーちゃん? ああ、春風なら『散歩に行ってくる』って……」
と、レナがそう答えると、
「ああ、そうなんだ……」
と、歩夢はボーッとした様子でそう返事したが、
「……待って、フーちゃん1人で散歩に行ったの?」
と、すぐに「ん?」と首を傾げながらそう尋ねた。
その質問に対して、
「あー。うん、春風1人で……」
と、レナがそう返事して、
(グラシアさんも一緒なんだけど、ここで話しても結構面倒なことになるから、今は伏せておこう……)
と、すぐに心の中でそう呟くと、
「な……」
「え?」
「何で1人で行かせたの!?」
と、歩夢はダンッと椅子から立ち上がりながら、レナに向かってそう怒鳴った。
それを見て、レナだけでなくディックとフィオナまでもがギョッと目を大きく見開き、
「あらあらぁ……」
と、キャロラインがわざとらしい感じでそう声をもらす中、
「み、美羽ちゃん! 起きて、起きてぇ!」
と、歩夢が隣で眠る美羽を揺さぶり、
「んん? なぁに……?」
と、美羽はゆっくりと目を開けると、それがキッカケになったのか、
「うーん、何だようるせぇな……」
と、鉄雄も「ふあぁ……」と欠伸しながら目を覚ました。当然、その隣で眠っていた恵樹と詩織もである。
しかし、そんな鉄雄達に構わず、
「起きて! みんな大変! フーちゃん、1人でどっか行っちゃった!」
と、歩夢が大慌てでそう言ったので、
「「「「なぁにぃいいいいい!?」」」」」
と、その言葉を聞いて漸く意識が覚醒した美羽、鉄雄、恵樹、詩織は、歩夢と同じようにダンッと椅子から立ち上がった。
その後、
「お、おい、どういうことだよ海神!」
と、鉄雄が歩夢に問い詰めると、
「わ、わかんないよ! 『散歩に行った』って、レナさんが……」
と、歩夢は今にも泣き出しそうな表情でそう答えたので、
「「「「なぁにぃ!?」」」」
と、鉄雄達4人が一斉にレナに視線を向けると、
「……多分、それだけじゃないと思うなぁ」
と、レナではなくキャロラインがのほほんとした態度でそう言ったので、
「……それ、どういう意味ですか?」
と、美羽がキャロラインに向かって睨みながらそう尋ねた。
その質問を聞いて、キャロラインは「ふぅ」とひと息入れると、
「まず、今回の春風ちゃんのお仕事は、『パープル・スライム』5匹を、春風ちゃん1人で討伐するというものよ」
と、真面目な表情で美羽達に向かってそう答えた。
その答えを聞いて、
「あのぉ、なんかよくわからないんですけど……その『パープル・スライム』って、どういった魔物なんですか? なんか危険な感じってのはなんとなくわかりましたけど……」
と、恵樹が「はい」と手を上げながら恐る恐るそう尋ねてきたので、その質問にキャロラインが「あら……」と反応すると、
「んっとね、『パープル・スライム』ってのは、『生きた猛毒』の異名を持ったスライムの上位種でね、その名の通り、まさに猛毒が姿形を得て動き出したものだから、触れただけで良くて全身痺れるか、最悪の場合、死亡なんてこともあるの」
と、笑顔で『パープル・スライム』についてそう説明したので、
「「「「「何それ、怖ぁ!」」」」」
と、歩夢ら5人の勇者達はギョッと目を大きく見開いた。
するとそこへ、
「……それだけじゃないわ」
と、レナがそう口を開いたので、それに歩夢達が「え?」と反応すると、
「『スライム』ってのは数多くの種類があって、その多くは火が弱点なんだけど、『パープル・スライム』が火に触れると、触れた部分から猛毒の煙が出てきて、少し吸っただけで即死するなんて事態に陥ることもあるの」
と、レナはあからさまに表情を暗くしながらそう答え、そんなレナに続くように、
「おまけに上位の魔物ですから強さも半端はなく、特に防御力が異常に高くて剣も打撃も中々ダメージを与えることが出来ないんです」
「ですから、『パープル・スライム』と戦うなら、土属性の魔術を使う魔術師でパーティを組むか、その魔術師をパーティに加える必要があるんです。土の魔術で『パープル・スライム』を閉じ込めて、その状態で『核』諸共、強い攻撃で潰すっていうのが最近の攻略法なんです」
と、ディックとフィオナも暗い表情でそう説明した。
彼女達の説明を聞いて、
「お、おい待てよ。じゃあそんなとんでもなくヤベェ奴を相手に、雪村は1人で戦わなきゃいけねぇのか? それも5匹も?」
と、鉄雄が顔を真っ青にしながらそう尋ねてきたので、
「うーん。本来ならこんな仕事事態あり得ないんだけど、フレディちゃんのことだから、何か思惑があるのかも……」
と、キャロラインが何処かわざとらしく唸りながらそう言うと、
「……あの、ちょっといいですか?」
と、今度は美羽がそう言いながら「はい」と手を上げたので、
「あら、どうかしたかしら?」
と、キャロラインがそう返事すると、
「このタイミングで春風君が1人で散歩に行ったっていうことは……」
と、美羽は更に顔を真っ青にしながらそう尋ねてきた。
その質問を聞いて、周りから「あ……」と声が上がると、
「あはは……間違いなく、『パープル・スライム』を討伐しに行ったんだと思うわぁ。1人で……」
と、キャロラインはタラリと汗を流しながら、気まずそうな感じでそう答えたので、
「ヤベェじゃねぇか!」
「は、早く、雪村君を追いかけないと!」
「ていうか、フーちゃんを止めないと……!」
と、鉄雄、恵樹、そして歩夢が慌てた様子でそう声をあげ、その後、美羽と詩織もオロオロし出すと、
「お! ち! つ! い! てぇ!」
ーーポコン。ポコン。ポコン。ポコン。ポコン。
と、レナが自身の武器である棒で、歩夢達の頭を軽く叩いた。
それを受けて、
「あ!」
「い!」
「う!」
「え!」
「お!」
と、歩夢達がそう悲鳴をあげた後、叩かれた部分を摩っていると、
「言ったでしょ!? 今回の春風の仕事は『単独での魔物の討伐』だって! 『勇者』とはいえ弱いあんた達が行ったら、春風の仕事の邪魔でしかないわよ!」
と、レナが厳しい口調ではっきりとそう怒鳴ったので、
「「「「「な、なにおう……!」」」」」
と、歩夢達が反論しようとすると、それを遮るかのように、
「特にあんたら2人!」
と、レナは歩夢と美羽をギロリと睨み付けた。それを受けて、
「っ!」
「な、何よ!」
と、歩夢と美羽も負けじとレナを睨み返すと、
「あんた達にもしものことがあったら、春風がもの凄く悲しむでしょうが。あんた達が春風のこと大切に想ってるように、春風だってあんた達のこと大切に想ってるんだから。勿論、他の勇者達のことだって」
と、レナは静かにそう言ったので、そんなレナの言葉に、歩夢達は「あ……」と声をもらすと、皆、シュンッと静かになった。
そんな歩夢達を見て、キャロラインが「そうね……」と小さく呟くと、
「ホントなら、私だって春風のこと助けに行きたいし、なんだったらこんな仕事受けさせたくなかったわよ。でも、春風が『やる』って決めた以上、今の私達が出来るのは、『春風は必ず生きて帰ってくる』って信じて、待つしかないのよ」
と、レナは本気で悔しそうな表情を浮かべながらそう言ったので、
「「あ……」」
と、歩夢と美羽が悲しそうな表情でレナを見てそう声をもらし、
「「れ、レナさん……」」
と、ディックとフィオナも、「悲しみ」と「悔しさ」が入り混じったかのような表情を浮かべた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。今回の話の展開を考えてたらその日のうちに終わらせることが出来ず、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




