第397話 職員食堂にて
本日2本目の投稿です。
そして、今回はいつもより短めの話になります。
ハンター達が仕事を請け負う為の施設であるハンターギルド総本部には、男女問わず多くのギルド職員が働いていて、その総本部内には彼らの仕事をサポートする様々な施設が存在している。
そして、その中の1つである「職員食堂」で、今、大勢の職員だけでなく仕事帰りのハンター達までもが集まっていた。
何故そのようなことになっているのかというと、実は少し前に、
「ん? な、何だ、このいい匂いは?」
「本当。何かしら一体?」
「おい、食堂から出てるぞ!」
と、職員達が少々驚いているように、職員食堂から何やらいい匂いが漂っていたので、
「あ、あれ、何だか無性に腹が減ったような……」
「お、俺もだ」
「ちょっと、食堂に行ってみましょう!」
と、その匂いにつられるかのように、ギルドで働く職員だけでなく、仕事から戻ってきたハンター達までもが、一斉に職員食堂に向かった。
そして現在、その職員食堂の前には大勢のギルド職員とハンター達が集まっているのだが、何故か皆、誰一人として職員食堂内に入ろうとしなかった。
その「理由」はただ1つ。
食堂内には、ハンターギルド総本部長のフレデリックと、フロントラル市長のオードリーの他に、とあるとんでもない人物達がいるからだ。
その人物達とは、1人はルーセンティア王国第2王女のイヴリーヌ。もう1人はストロザイア帝国皇妃のキャロラインである。
ギルド総本部長と市長ならまだしも、何故ハンターギルド総本部に、2つの「大国」の王族と皇族がいるのか?
ギルド職員達とハンター達はその理由が分からず、ただ「何が起きてるんだ?」と食堂の外から様子を見るしかなかった。
そんな彼・彼女らを他所に、現在の職員食堂内の様子はというと、配置されているテーブル席には、先ほど語ったようにフレデリック、オードリー、イヴリーヌ、キャロラインの他に、レナ、歩夢ら5人の「勇者」達、ミネルヴァ、キャロラインの娘のアデレード、ヴァレリー、タイラー、双子の兄妹ディックとフィオナ、先輩ハンターのエリック、イアン、ステラ、ルーシー、ルーセンティア王国の騎士であるヘクターとルイーズ、ルイーズの弟エヴァン、宿屋「白い風見鶏」の女将レベッカ、ナンシー、鍛治師夫婦のバージルとミラがいて、皆、まるで何かを待っているかのように椅子に座ってとある方向に視線を向けていた。
そんな彼・彼女達の視線の先には、中の様子が見えるようになっている職員食堂の厨房で、その中では、
「春風ぁ、こっちはこんな感じでいいかしら?」
「どれどれ……はい、ばっちりです、師匠」
と、春風と師匠である凛咲が調理活動をしていた。
いや、活動していたのは春風達だけではない。
「こちらはこれでいいだろうか?」
「わぁ! 勿論いいですよ! 皆さん、ありがとうございます! とても助かります!」
そう、2人の他には、職員食堂で働く5人の調理師が、それぞれ春風と凛咲を手助けしていたので、そんな様子の厨房を見て、
「うーん、春風達は一体何を作ってるんだろう?」
と、レナが「むぅ」としながらそう呟くと、
「ちょっとぉ、なんか知ってることない……?」
と、レナに向かい合うように座ってる歩夢と美羽に向かってそう尋ねようとしたが、
「「……」」
とうの2人はというと、何やらそわそわとしていて落ち着かない様子だった。
いや、歩夢と美羽だけではない。
「「「……」」」
なんと、鉄雄、野守、夕下までもが、厨房にいる春風に視線を向けながら、何処か落ち着かない様子だったので、
「あらあらぁ、どうしたの歩夢ちゃん達ぃ?」
と、歩夢達の近くのテーブル席に座るキャロラインがそう尋ねてきた。
その質問に対して、歩夢達が「ふあ!?」と一斉にそう反応すると、
「す、すみません、厨房から凄く『懐かしい匂い』がしたものですから……」
と、真っ赤な顔をした美羽が、しゅんとしながらそう答えたので、
「まぁ、そうだったのぉ」
と、美羽の言葉にキャロラインは大きく目を見開きながら感心した。
それから暫くすると、
「みんな、お待たせぇ!」
と、春風がそう言いながら厨房から出てきたので、歩夢達は一斉に春風に視線を向けた。
すると、春風を先頭に凛咲、そして厨房で働く調理師達が、まるでパレードのように厨房から出てきたので、それが、食堂の中と外、大勢の人達の注目を集めていた。
しかし、そんな彼らの視線に構うことなく、
「それじゃあ師匠、そして調理師の皆さん、よろしくお願いします」
と、春風は凛咲と5人の調理師に向かってそう言うと、
「オッケー、ハニー!」
「「「「「わかりました!」」」」」
と、凛咲達はコクリと頷きながらそう返事して、その後すぐに最後の行程、「料理の盛り付け」に入った。
テーブル席に座る者達に見守られながら、春風達は厨房で作っていた料理をそれぞれ更に盛り付ける。
そして、出来上がったその料理を、テーブル席に座る者達の前に、
「お待たせしました」
と、丁寧に置いていく。
置かれた料理は、わんぐりした器によそられた、歩夢ら「勇者」達がよく知る「とある汁物」、その傍に置かれた大きめの皿には、食べやすいようにカットされた生野菜のサラダと、メインの料理らしきよく味付けされた薄切り肉を焼いたもの。
そして、
「はい、みんなどうぞ」
と、最後に春風自らが、歩夢らクラスメイト達の前に置いたものを見て、
「「お、お米だぁあ!」」
「「「白いご飯だぁあああ!」」」
と、5人のクラスメイト達は目をキラキラと輝かせながら、「喜び」と「驚き」に満ちた叫びをあげた。




