第363話 「皇妃」再び、からの……
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
「はじめまして。私の名は、キャロライン・ハンナ・ストロザイア。ストロザイア帝国皇帝、ヴィンセントの妻をしてるの。よろしくね」
と、春風とレナに向かって笑顔でそう自己紹介したキャロライン。
そんな彼女に対して、
(ま、まさか、ここに皇妃が来るなんて!)
と、レナは緊張のあまりダラダラと汗を流していた。
そして、
(ど、どうしよう春風……)
と、レナはチラッと春風を見たが、肝心の春風はというと、レナとは対照的に落ち着いた表情をしていたので、レナは思わず、
「……え?」
と声をもらした。
すると、春風は1歩前に出ると、スッとその場に跪いて、
「お初にお目にかかります、キャロライン皇妃様。自分は、雪村春風と申します。今はこのフロントラルで、ハンターとして活動しております」
と、顔を下に向けた状態でキャロラインに向かって丁寧な口調でそう自己紹介をしたので、その姿勢に周囲から「おお!」と声があがると、
「まぁ、なんてお行儀のいい子なのぉ!」
と、キャロラインは意外なものを見るかのように大きく目を見開きながらそう言ったが、すぐに表情を少し悲しげなものに変えて、
「でも、そんなに畏まらなくてもいいわよぉ。私は『皇妃』なんてものをやってるけど、全然気にしてないから。だから、顔を上げてちょうだい。ね?」
と、春風に向かってそう言ったので、
「それでは、お言葉に甘えて、失礼します」
と、春風はそう返事すると、ゆっくりと顔を上げた。
それを見て、
「ふふ、ありがとう」
と、キャロラインは穏やかな笑みを浮かべながらそう言うと、春風の目の前に立って、スッと身を屈めた。
そして、
「ちょっとごめんね」
と、キャロラインは小さくそう謝罪すると、その手で春風の顔をペタペタと触り出したので、
「あの、何を……?」
と、春風がそう尋ねると、キャロラインは「ふふ」と笑って、
「可愛いいいいいいい!」
と叫びながら、春風をガバッと抱き締めた。
キャロラインの突然の行動に、
『……』
と、春風は勿論、周囲の人達までもがポカンとした表情になったが、少し時が経つと、
「……っ!」
と、春風は漸く自身の身に何が起きたのか理解して、
「んー! んんーっ!」
と、必死になってキャロラインから離れようとしたが、
「あーん、なんて可愛い子なの! 『映像』越しでも可愛かったけどぉ、実際に見ると本当に可愛いすぎるわぁ!」
と、キャロラインは「喜び」に満ちた叫びを上げながら、春風を抱き締める力を強くしていったので、
『……は!』
その瞬間、周囲の人達もハッと我に返ると、
「は、春風ぁあああああ!」
「こらぁあああああ! ハニーから離れなさぁあああああい!」
「おい! 春風から離れろ!」
「か、母様! やめてください!」
と、レナ、凛咲、ミネルヴァ、そしてアデレードはそう叫びながら、春風をキャロラインから引き剥がそうとしたが、
「嫌よ! 嫌ったら嫌ぁ!」
と、キャロラインはそう叫ぶだけで春風から離れようとしなかったので、
『いいから離れろー!』
「春風を離してくださーい!」
と、4人はますます本気になって春風を引き剥がそうとした。
すると、
「ぶは!」
と、抱き付かれて苦しそうにしていた春風が、漸く息出来るようになったので、
「き、キャロライン様!」
と、春風がキャロラインにそう声をかけると、
「あら、なぁに春風ちゃん?」
と、キャロラインは笑顔で春風をそう呼びながら返事したので、
「は、『春風ちゃん』って……」
と、春風は「ガーン!」とショックを受けたかのような表情になったが、すぐに「いやいや」と首を左右に振ると、
「キャロライン様、お願いですから離してください。これ、本当にシャレにならないですので」
と、どうにか気持ちを落ち着かせながら、キャロラインに向かってそうお願いした。
そのお願いを聞いて、キャロラインは「むー」と不満そうに頬を膨らませたが、何故かすぐにチラッと後ろの出入り口に視線を向けると、
「……そうね、春風ちゃんの言う通りだわ」
と、「ふぅ」とひと息入れながらそう言って、
「ごめんね」
と、謝罪しながら春風を解放した。
漸く春風がキャロラインから解放されて、春風は勿論、レナをはじめとした周囲の人達が「ホッ」と一安心していると、
「あの、キャロライン皇妃様。無礼を承知でお尋ねしたいのですが……」
と、春風がキャロラインに向かってそう尋ねてきたので、それにキャロラインが、
「あら、何かしら春風ちゃん?」
と、返事すると、春風は「ちゃん付け」されたことに一瞬顔を顰めたが、すぐに気持ちを切り替えて、
「キャロライン皇妃様は、一体何をしにここに来たのですか? まさか、本当に俺とレナに会いに来ただけなのですか?」
と、真面目な表情でそう尋ねると、
「うーん。確かに春風ちゃんと、そっちのレナちゃんに会いに来たっていうのは本当なんだけど、それだけじゃないのよねぇ」
と、キャロラインはなんとも歯切れの悪そうな感じでそう答えたので、
「おや? 他にも何か目的があるのですか?」
と、その答えにそれまで黙っていたフレデリックがそう尋ねてきた。
その質問に対して、キャロラインは「うーん……」と何故か気まずそうな表情でそう声をもらすと、
「実は、私の他にも、春風ちゃんに会いたがってる人達がいるのよねぇ」
と、気まずそうな表情のままそう答えたので、その答えに春風やレナだけでなく周囲の人達も「え?」と首を傾げていると、キャロラインは出入り口を見て、
「勇者ちゃん達ぃ、いらっしゃーい!」
と、その向こうにいる者達に向かってそう叫んだ。
その叫びを聞いて、春風達が再び「え?」と首を傾げていると、食堂の出入り口が開かれて、その向こうからフード付きマント姿をした5人組が現れて、ゾロゾロと食堂内に入ってきた。
因みに、全員深々とフードをかぶっていた為、素顔を見ることは出来なかった。
まぁとにかく、そんな怪しげな雰囲気漂う5人組に、春風達が警戒していると、5人組の1人が1歩前に出て、春風達の前でかぶっていたフードを取った。
フードの下に隠されていたもの、それは、黒いショートヘアを持つ大人しそうな少女の顔だった。
その後、その黒いショートヘアの少女に向かって、
「ゆ……ユメちゃん?」
と、春風が恐る恐るそう尋ねると、黒いショートヘアの少女は目に涙を浮かべて、
「フーちゃん!」
と、目の前にいる春風のことをそう呼ぶっと、ガバッと勢いよく春風に抱き付いた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の流れを考えてたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結果として1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




