第357話 「空飛ぶ船」を見に行こう!・2
本日2本目の投稿です。
合流したアデレードと市長のオードリーと共に、改めてフロントラルの外へと続く門に近づいた春風達。
離れた位置からでも人が大勢いたのはわかったが、いざ門の傍に着くと、
(うわぁ、すっごい人がいっぱいいる)
と、春風は心の中でそう呟いたように、門は集まっていた大勢の人達の所為で、新しく都市内に入る人から、これから門の外出ようとしている人までもが、門を潜るのに苦労していたので、
「はい皆さん! 門を通る人の邪魔をしないで!」
と、幾人もの門番らしき武装した人達が、集まっている人達に向かってそう注意していた。
そんな状態の門を見て、
「ねぇ。これって、みんなも『魔導飛空船』を見る為に来ているってことだよね?」
と、レナが「はは」と盛大に頬を引き攣らせながらそう尋ねると、
「うーん、そうかもしれない。あれを造ったの、帝国だけだから……」
と、アデレードも「はは」と盛大に頬を引き攣らせながらそう答えた。
そして、春風はというと、
(むー、見たい! 魔導飛空船見たいのに、これじゃあ向こうに行けないじゃないか! でも、だからってこの人達に迷惑とかかけたくないし……!)
と、目の前の状況に心の中で文句を言いつつも、「他の人に迷惑をかけたくない」という想いもあったので、どうにも出来ない今の状況に若干イライラしていた。
すると、
「ふむ、仕方ないですね」
と、オードリーがボソリとそう呟いたので、それを聞いた春風が「え?」と首を傾げると、オードリーはスタスタと人集りが出来ている門へと歩き出した。
その後、門番の1人である男性の傍に着くと、
「お仕事、ご苦労様です」
と、ニコッと笑顔でそう話しかけた。
そんなオードリーの言葉に、男性門番が「ん?」と反応すると、
「あ! オードリー市長!」
と、オードリーを見てビクッと目を大きく見開いて、その後すぐにビシッと姿勢を正すと、それに続くよう他の門番達も、オードリーを見てビシッと姿勢を正した。
そんな門番達を見て、春風達だけでなく門に集まってきた人達までもがポカンとした表情になっていると、
「ほ、本日は、どのような御用でしょうか!?」
と、男性門番がビシッとした姿勢のままオードリーに向かってそう尋ねたので、
「ふふ、実は『魔導飛空船が来た』という話が私にも入ってきましてね、是非とも見たいと思って来た次第ですよ」
と、オードリーはお淑やかに笑いながらそう答えた。
その答えを聞いて、
「そ、そうですか! そういうことでしたら……!」
と、男性門番がそう言うと、自身の隣にいる別の門番に視線を向けたので、それを受けた別の門番が無言でコクリと頷くと、すぐにまた別の門番のところへと駆け出した。
そして、それから暫くすると、門に集まっていた人達は二手に分かれて端の方へと寄り、明らかに門の向こうへと続く道が出来上がったので、
『お待たせ致しました! どうぞお通りください!』
と、何故か規則正しく整列していた門番達は、オードリーに向かってそう言った。
そんな門番達の言葉に、
「ありがとうございます」
と、オードリーが優しくそうお礼を言うと、
「さぁ皆さん、行きますよ」
と、すぐに春風達に向かってそう言ったので、それを聞いた春風達は、
『は、はい!』
と、何故かビシッと姿勢を正しながらそう返事すると、オードリーと共に門へと歩き出した。
当然その際に、
(オードリー市長、一体何者なんだろう?)
と、春風はそう疑問に思ったが、
(いや、考えるのはやめよう。折角門の向こうに行けるようになったんだ)
と、首を左右に振りながらそう考えた。
その後、オードリーを先頭に春風達は外へと続く門を通った。
(い、いよいよ、魔導飛空船が見れるのか)
と、春風が内心ワクワクしていた、正にその時、
「ん!?」
と、春風の前を歩いていたアデレードがそう声をあげながら、ピタリとその場で止まったので、
「ど、どうしたんですかアーデさん?」
と、春風がアデレードに向かって恐る恐るそう尋ねると、
「……ねぇ、春風」
と、アデレードがそう春風に声をかけてきたので、
「な、何ですか?」
と、春風がそう返事すると、
「姿を消す為のスキルか魔導具、持ってる?」
と、アデレードがチラッと春風に視線を向けながらそう尋ねた。
その質問を聞いて、
「あ、あの……一体何を……?」
と、今度は春風ではなくディックがアデレードに向かってそう尋ね返そうとすると、
「……ええ、持ってますが」
と、春風はディックの言葉を遮りながらそう答えたので、それを聞いたアデレードは、
「それじゃあ、すぐにそれを使って自分の身を隠して」
と、春風に向かってそう言った。
その言葉の意味が理解出来なかったのか、
「ちょっと、一体なんのつもり?」
と、今度はレナがアデレードに向かってそう尋ねると、
「何故だかわからないけど……もの凄い嫌な予感がするの」
と、アデレードはレナを見つめながらそう答えた。
その表情はかなり真剣なもので、そんなアデレードを見て、春風は彼女が冗談を言ってるのではないと確信したのか、
「わかりました」
と、春風も真剣な表情で、アデレードに向かってコクリと頷きながらそう言うと、すぐに自分達の周囲を見回した。
そして、この場には自分達以外誰もいないことを確認すると、
「スキル『偽装』、発動」
と、静かにそう言った。
すると次の瞬間、春風の全身を眩い光が包み込んで、その後その光が消えると、その場に春風の姿はなく、代わりに先程まで自分達が通る道を作っていた門番がいたので、
「あ、あれ!? 兄貴は!?」
と、突然のことにディックがそう驚いていると、
「あー、ここだよここ」
と、何故か門番は春風の声でそう言ったので、
「あ、もしかして春風?」
と、レナが首を傾げながらその門番(?)に向かってそう尋ねると、
「その通り、俺が雪村春風だ」
と、門番(?)は腰に手をあてながらそう答えたので、
「うん、バッチリ!」
と、その答えを聞いて、アーデがグッと親指を立てた。
その後、春風達はそのまま門の向こうまでもう少しのところに近づくと、
「念の為、春風はここにいて」
と、アデレードがそうお願いしてきたので、
「わかりました」
と、春風は特に嫌な顔をせずにそれを受け入れた。
そして、いざ門の外に出たので、姿を変えた春風が空を見上げると、
「わぁ! 本当に空を飛んでる!」
そこには、大きな翼を持った大きな船が浮かんでいた。




