第352話 「出会い」から、「弟子」になった経緯
凛咲と春風の「出会い」を聞いて、レナ達は口をあんぐりと開けて、
「もう、師匠ったらぁ……」
と、春風が顔を真っ赤にしていると、
「いやぁ、なんとも凄い話だねぇ」
と、ハッと我に返ったレベッカはそう口を開いたが、
「で、そこから何であんたと春風は『師匠』と『弟子』の間柄になったんだい?」
と、首を傾げながらそう尋ねてきたので、それを聞いたレナ達も「は! そういえば!」と我に返ると、
「その出会いから暫くの間、春風とご両親の世話になった後、『この子と一緒になるにはもっと力がいる!』って考えに至って、思い切って祖国を飛び出して世界中を旅しながら色々と身に付けられそうな『力』をつけてたんだ。幸いなことにとある事情で結構なお金が手に入ったからね。で、そんなことをしているうちに、いつしか『世界をまたにかける女性冒険家』として結構な有名人になっちゃって……」
と、凛咲はそう答えて、最後に「あはは……」と照れくさそうに頭を掻きながら笑った。
そんな凛咲にレナ達が「おお!」と感心したが、凛咲はフッと表情を暗くすると、
「でもね、その最中に『悲しいこと』が起きてしまったの」
と、本当に悲しそうな口調でそう言ったので、その言葉にレナが「え?」と声をもらすと、
「……俺も、両親が死んじゃったんです」
と、春風も凛咲と同じように悲しそうな口調でそう言ったので、その言葉にレナ達は思わず「えぇ!?」と声をあげた。
その後、
「えっと……その時のことにつきましては、本当に悲しい出来事でして、今も思い出す度に辛くなってしまいますので……あぁでも、話せる時が来たら、その時はお話しますので、出来れば待っていただけると嬉しいのですが……」
と、春風は申し訳なさそうな表情でそうお願いしてきたので、それにレナ達がコクリと頷くと、
「ありがとうございます」
と、春風は深々と頭を下げてお礼を言った。
凛咲はそれを確認すると、
「その話を聞いた時、私はすぐに春風のもとに向かったわ。春風の両親にはとても良くしてもらってて、私にとっても第2の両親だったから、『2人が死んだ』と聞いた時は本気で悲しかったわ。ただ、聞いたのは2人が死んでからかなり時が経った後で、春風もその頃には、既に新しい『家族』に引き取られてた後だったの。あの時はかなり揉めたわ」
と、再び悲しそうな口調でそう言い、そんな凛咲の言葉を聞いて、
「は、春風……」
と、レナが心配そうな表情でチラッと春風を見ると、
「は、はは……」
春風は何故か遠い目をしながら盛大に頬を引き攣らせていたので、
「え!? 春風、どうしたの!?」
と、レナは思わず春風を問い詰めると、
「いやぁ、あの時はオヤジ……俺を引き取ってくれた人と師匠、かなり本気で揉めてたなぁって思い出してしまいまして……」
と、春風は遠い目をしたままそう答えた。その様子からして、その春風の新しい家族と凛咲は相当揉めたんだなと理解したレナは、
「そ、そうなんだぁ」
と、春風と同じように頬を引き攣らせながら納得の表情を浮かべた。
そんなレナを他所に、
「いやぁ、あの時は本当に白熱したわぁ。何せこっちが幾ら言っても、向こうは全力で断り続けるんだもん」
と、凛咲は「やれやれ」と言わんばかりに首を振りながら話を続けていたので、
(いや、そりゃそうでしょ。師匠があんなことを言うから……)
と、春風が握り拳をブルブルと震わせてジト目で凛咲を見つめながら、心の中でそう呟くと、
「でもその時、その場に居合わせていた1人の人物が、私にこう提案してきたの」
ーーそれなら、「弟子」にするっていうのはどう?
「ってね」
と、凛咲がそう言ったので、
「は? 何でまたそんなことを?」
と、ヴァレリーが首を傾げながらそう尋ねてきた。
その質問に対して、
「その人わね、私が『冒険家』として色んな知識や技術、経験を積んでいたのを知っててね、それなら、『その知識と技術を教えるのはどうだ?』って言われて、私は思わず『それだ!』って声をあげて、その提案に乗ることにしたの」
と、凛咲がそう答えると、
「勿論、俺もオヤジも最初は戸惑いましたよ。『この人は何を言ってるんだろう?』ってね。でも、話を聞いていくうちにオヤジもその話に納得して……まぁ、俺自身も師匠のことは好きでしたから、最終的には俺も提案に乗ることにしたんです」
と、彼女に続くように春風もそう答え、最後に恥ずかしそうに顔を赤くした。
そんな春風の言葉に、
「なるほど、それで春風君は彼女の『弟子』になった訳ですね?」
と、タイラーがそう尋ねると、
「はい。それから俺は師匠の『弟子』として、色んな国に関する知識や、身を守る為の技術を教わりました。そして、時には師匠と共に実際に色んな国に行って、そこで現地の人達と交流して……あぁその最中にやばい事件とかにも巻き込まれたりしまして……」
と、その質問に春風はそう答えて、
「いやぁ、本当に危ない目に遭いましたよ。中には本気で『死』を覚悟したこともありました。でも、その度に師匠に助けられて……」
と、最後に恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう付け加えたが、
「えー? そんなことないわよぉ。寧ろ、私の方がハニーに助けられてばっかりだったわよぉ」
と、凛咲が「むむ!」と春風の方を向きながらそう反論してきたので、
「だから『ハニー』って呼ぶのやめてくださいよ! それに、俺がやったことなんてそれほど大したもんじゃないですし!」
と、春風は怒鳴りながらそう返した。
そんな2人のやり取りを見て、レナ達が目をパチクリとさせると、春風は「うおっほん!」と大袈裟に咳き込んで、
「ま、まぁそんな感じで、俺は学生として学校に通いながら、オヤジと一緒に今の実家である『喫茶店』を経営して、師匠の弟子として色んな国を飛び回って、その最中にもう1人『弟子』が出来て、それから3人でまた色んな国を飛び回っていた時に……」
と、レナ達に向かってそう説明した、まさにその時、
「私と出会った、というわけさ」
と、それまで黙って凛咲と春風の話を聞いていたミネルヴァがそう口を開いた。




