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2-10

亜人にも歴史のある部族はあるけれど、ノーディエルフのように殆ど歴史に姿を現さない種族も多い。

理由は様々あるけれど、ある意味聖地信仰を守る彼女たちはその信仰のせいで苦しめらているのが現状といっていい。

「ねぇ。その契約ってもしかして親から子に伝わるものなの?」

「えぇ。聖地信仰の契約はノーディエルフにしかないけれど。複数の部族が身に受けてしまった洗礼により、私たちは聖地の囚人となった。外にも出られないし、子供を増やす事にも制限がかけられている。貴方、私たち以外のエルフには会った事ある?」

「あるけれど。でも、殆どあまり変わらないような・・。」

「まさか。私たちが300年も変わらない生活をしているのよ。服装や見た目に関しても、時代錯誤的な印象を受けるでしょうね。実際ノーディは他のエルフにすら侵入を防いでいるもの。同じエルフだからといって、中身が一緒ではないのだから。」

「うーん・・。私、あまり外に出た事ないから、よく分からない。」

「亜人なのに・・?」

「私、小さいころから宮殿で飼われていたから・・。」

「飼われていた・・!?」

「いや、そういう変な意味じゃなくて。その、宮殿に居候していたという、私たち銀狼の言葉の比喩だから・・。人間の王様の家に可愛がられる事を、飼われているって言っているだけで。私は特に、現王女の騎士となるために軍に入る前は殆ど宮殿暮らしだったから。」

「私みたいな苦労人と真逆の人生を送って居るのね。」

「そ、その。私だって身分は低いから、庶民とほぼ同レベルの食事しかしてないから。誤解、しないで・・?」

「まぁ、貴方の場合庶民レベルの食事じゃないと食費がおかしい事になりそうね。」

「な、何で分かったの?」

「別に。でも、それなら亜人の中でもトップクラスで優秀なのは銀狼かもしれないわね。」

「ど、どうして・・?」

「だって、宮殿に招かれて王女の騎士となるために働かせてもらっているんでしょう?破格の待遇じゃない?」

「うぅん。私は、物凄く弱いから・・その、他の銀狼の子にいじめられてて・・そこを、人間の勇者に助けてもらったから・・。」

「ふぅん?可愛い事あるのね。」

フィーネアは4、5歳児の女の子が四苦八苦している所を想像して笑ってしまいそうになった。亜人だから余計、フィーネアにとって自分の想像の糧にしてしまう。

しかし。

「ん?あれ・・?どういう事?」

「私、子供の頃からかなり弱いから・・。銀狼は、同じ場所に住んでいる他の亜人との闘争が激しいから、幼少期から一定の訓練を受けるけど。私みたいに弱い子は、最終的に人間に売られるの。」

「何だかあくどい話だけど・・それは王国側も知って居る事なの?」

「えぇと、その。そういう変な意味じゃなくて、私が弱いのは魔力の方面もあるから。『満月を見て勝手に獣人化』する危険な子供は、他の仲間にとっても脅威だから。私たち側の言い方だと、原始帰り・・つまり、人間になる事ができず獣に育つ子供は育てられないの。」

「つまり、満月を見て獣人化する子供は制御できないから、人間に面倒みてもらおうとしたの?」

「うん。王女から貰ったお守りとか、人間の魔法使いから研修用で面倒見てもらっているから。獣人化の対処療法が確立して、私みたいな魔力が弱い子供も獣人化せずに育つ事ができる。でも、亜人は魔法に特化しているわけでもないし、更に私みたいに銀狼のような子供が獣人化してしまうと、同じ銀狼でも死んでしまう恐れがあったから・・。例え、自分の子供であっても、月に耐えられない未熟な子供は捨てる必要性があった。」

「それは昔の話よね。」

「うん。でも、その習慣は未だに残って居る所もあって・・。結局、獣人化する子供はすぐに人間のために働くようになる。でも、人間からしてみれば物凄く怖い子供だから、人によっては多分迷惑しているんじゃないかな。」

「私としては、その獣人化を抑制する方法を聞きたいけど。貴方の場合は、普通の人間ではなく王宮に招かれたのよね。その違いは何なの?」

「分からない。物凄く強い騎士が欲しかったんじゃないかな・・?」

「貴方が身に着けている王国乙式甲冑を見る限りは・・確かに王国の騎士として認められているのが分かるんだけど。銀狼って、そう簡単に人間に自分の家族を売るものなの?」

「習慣もあるけれど。人間を何とも思ってないから・・。それに、王国から援助してもらうのも目的だから・・。その、多分誤解してると思うけど。私は戦いの方面でも弱いから・・。」

「戦力外だからか。亜人が狂暴過ぎてエルフ側も困って居るという話は聞いていたけど。」

「それに・・この聖地は魔力の精度が澄み切って居るから・・。魔物が力を上げることが無いし、多分・・だけど。ヘラを倒せば、今の状況はすぐに回復するんじゃない?」

「ヘラを倒すって。あの山頂に居る魔物よ?そこに行く前に聖地がどうなるか分かってるの?」

「状況次第では、王国側が・・貴方たちをもう一度暫定支配・・するかも。」

「・・・・」

「リディア王国側も手を焼いているから。不本意だけれど、軍隊を動員してエルフを人間の管理下に置く・・そう、聞いたから。でも、貴方たちが言う事を聞いてくれれば、絶対に誰も殺さないし・・誰も不幸にはならないと思う。」

「まぁ、いくら僻地といっても。ここには人間が好む鉱山もあるからね。」

「鉱山・・?」

「貴方が来ている鎧とか、建物に必要な金属が山ほどある場所。それが目当てなんでしょう?」

「そう。鉱山があるのは分かったけど、でもそれがどうしたの?」

「どうしたのって・・。」

「私・・貴方は言葉としてはよく人の疑問を言ってくれるけれど・・・。ものすごく他人事にように見える。」

「んー。こうも閉鎖的な環境に育っていると、どうしても一人で生きるほうが楽なのよね。聖地信仰にしたって、その根本的な教義がおかしいから。」

「本当に聖地信仰のせいならいいけれど。一つ、聞いていい?」

「何?」

「どうしてセレスもタルタロス・・他の部族たちは自分たちの聖地を汚したヘラをすぐに倒さないの?」

「えっとねー。実を言うと、ヘラが魔力を吸い上げるのはこれで17回目。数年終期に頻度が上がってきているのよね。」

「だから・・?」

「私たちはピンチだって言ったでしょう?大体、何でエルフがヘラのせいで死にかけてるって分かったのかしら。」

「誰かに、聞いたの?」

「セレスとタルタロスは仲が悪かったけれど。別に戦闘を起こす程ではなかった。私、ちょっと気になって居ることがあって調べたのだけれど。最近、セレスやタルタロスの中に、突然凶悪な魔物に襲われて死んだ人がいるのよね。でも、この聖地に見られない魔物が現れる以上、別のイレギュラーがそこに潜んでいる。聖地信仰の話とは全く関係の無い人が私たちに何かしているって。」

「え・・?」

「貴方がダークエルフを抱えて彷徨っていたのを見てぴんときたのよね。ダークエルフ。ノーディエルフと全く関係の無い、北方の国に存在する部族。初めて見た時はまさにこいつだって思ったもの。」

「この子は、まだ、私たちを襲った犯人と決まったわけじゃない。」

「何故庇うの?」

「無意味に、人を疑うのはよくないと思う。」

「んー、まぁ彼女がまだ目を覚まさないから、その話は後にしましょうか。」

「でも、何でダークエルフがここに居るのかな・・?」

それも聞かないと分からないことだが、そのダークエルフはまだ眠ったままだった。


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