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婚約破棄された崖っぷち女騎手、第三王子に拾われ不吉な『黒いユニコーン』と伝説の専属騎手になる  作者: 目白シキ


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ユニコーンに乗るための『本当の条件』

「セドリックさん!」


私が宮廷図書館を出たところでセドリックが立っていた。

彼には聞きたいことがたくさんある。

一体どこから問いただしたものか。


「セドリックさん、本当は私が調べ物をする前に知っていたんですよね?そうじゃないと、わざわざこんな禁書の鍵なんて渡さないでしょう。私がうまく貴方をやり込めたと思っていましたが、泳がされていたのは私の方でした。」


私が若干怒りを込めていうと、彼は深々と頭を下げた。


「無礼をお許しください。リア騎手。」


そんなにすぐに認めてもらえると思っていなかったため、いきなり非を認められて私の方が面食らってしまった。


「私は、これでも幼い頃からフレデリック殿下に仕えていた身。殿下のことをお任せするのであれば、本気で殿下に向き合ってくださる方でないと、私も納得ができなかったのです。たとえその相手が、チームブラックヴェッセルとしてやってきたリア騎手であってもです。」


セドリックは、珍しく情熱をはらんだ声色で言った。

それほど本気で殿下のことを見守ってきていたのだろう。


「ですが、貴方を試すような行為をしたことは、言い逃れのしようもございません。申し訳ありませんでした。」


彼が土下座しそうな勢いだったので、私は慌てて止めた。


「ここでは、人の目があります。ブラックヴェッセルの厩舎で話しましょう。貴方のことは許しますが、その代わり私も質問したいことがあるので、その質問に答えてください。」

「分かりました。リア騎手の質問であれば何なりとお答えしましょう。」


私たちは、暗くなったブラックヴェッセルの厩舎へと場所を移す。

朝から昼にかけては、馬の調教や騎乗の練習に来る人で賑わっているが、夜は静まりかえっていて、暗かった。

秘密の話をするにはちょうど良い。


「ユニコーンに乗る条件は、今は純潔の乙女でしか乗れないとされていますが、あの古書の中では絆で繋がっていることが条件であると書かれていました。それは本当なのでしょうか。」


セドリックは静かに空を仰ぐ。


「私は本当だと思っています。他の書物も調べていましたが、初代女王がユニコーンに騎乗できなくなったという文献は見当たりませんでした。」


「ですが、私は純潔を失った騎手がユニコーンに乗れなくなった場面はたくさん見てきました。その話が真実なのであれば、騎乗できるはず・・・なぜこのようなことが起こるのでしょう。」


セドリックが私の顔を見る。


「これは私の推測の話になりますが、『純潔を失った女はユニコーンに乗れない』という長年の国単位での思い込み。そして婚姻による周囲の圧力によってユニコーンとの純粋な絆が穢されて乗れなくなってしまうのではないかと思っています。それだけ思い込みの力というのは強いものです。」


セドリックの言い分には説得力がある。

何より殿下のことを考えていた私がブラックヴェッセルに振り落とされた経験もある。

あのときも、明らかにブラックヴェッセルとの絆が純粋なものではなかった。


「では、なぜ国はあれを禁書にしてまで『純潔を失った女はユニコーンに乗れない』という伝説を作り上げたのでしょう。優秀な騎手であれば、家庭を持った上でユニコーンに乗り続けられた方が国益なのでは?」


セドリックは一瞬ためらったが、質問に答えると言った以上、答える。


「・・・女性目線ではそのように考えるのは無理もありません。しかし、男社会。男系国家になってからは話が違います。ヴェルダンティア王国は初代こそ女王であり、そこから暫く女性が王位継承権を得ていましたが、途中から―7代目は女性継承者がおらず、男性の王になりました。そこからは男性が王位継承権を得るようになりました。」


そこから、今の23代目までずっと男性の王が続いたということか。


「ですから、高貴なる血を残すための世継ぎの出産と、家名を支える后としての公務に女性を専念させるためにそのような話をでっち上げたのではないかと考えます。7代目の王の后は女性騎手でありながら、結婚後は直ぐに一線から身を引いたという事実を見ても明らかです。」


「その后に倣って民の女たちもそのように変化していったのか・・・。」


彼の話は妙に腑に落ちた。

私なんかよりもずっとしっかり調べ上げている。


しかし、ふとある疑問が浮かぶ。

セドリックも専属調教師ではあるものの、王族ではない。

禁書区域の鍵を持っているほどの身分ではないと思うが、なぜ鍵を持っていたのか。

そして、ここまで丹念に調べ上げるほど、禁書区域に入れたのはなぜなのか。


「セドリックさんは、どうやってその鍵を―?」


私が核心を突こうと口を開きかけたその瞬間だった。


「フレデリック殿下ですよ。」


私の考えを先読みするようにセドリックは言った。


「殿下は、何も王位継承のために戦っているのではありません。殿下は王族の闇を、国の古い常識を打ち破ろうとしているのです。」

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

少しでも二人の戦いと絆に胸を熱くしていただけた方は、

ぜひページ一番下にある【☆☆☆☆☆】の星を押して、リアとフレデリック殿下を応援していただけると本当に嬉しいです!


真実を知り、殿下の本当の覚悟に触れたリア。彼女が出す答えとは?

次回は水曜日の予定です。

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