↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
95/100

第10話「二つとも、お届け先です」


 紙袋は、一つだった。


 いつもの茶色い袋。


 中には、いつものバーガーが一個。


 古い用紙の複写が、持ち手に挟まれている。


 ぱむちゃんは触らず、机の前に立った。


 ◇


 秩序ちゃんが二枚の確認票を置く。


《受領候補A》

《PANDEMONIUM BURGER/現在店舗・配送口》


《受領候補B》

《旧第三制作室跡/現・西六番街共同倉庫》


「どちらも現在、到達可能です」


 住所。

 存在。

 受領地点。

 必要な条件。


 二枚とも、同じ数の丸が付いた。


「測れる条件は、両方とも適合します」


 ぱむ。


 ◇


 真意ちゃんが古い用紙を見る。


「差出人はUNKNOWN」


 指を一つずらす。


「本来の届け先もUNKNOWN」


 もう一つ。


「この二地点が、当時の指定先だった証拠もない」


 ぱむ。


「今、受領できる候補だという観測だけはある」


 真意ちゃんは用紙から手を離した。


 ◇


 二諦ちゃんは、二枚の票の間に線を引いた。


「Aを成立させれば、Bは今の形では残りません」


「Bも同じです」


 線の中央へ、一本だけ縦線を引く。


「同時完了する枝は、確認できません」


 ぱむちゃんが左右を見る。


「二つとも有効です。でも、二つともにはできません」


 ◇


 彷徨ちゃんが配送口を開く。


 右へ続く道。

 共同倉庫へつながる。


「こっち」


 いったん閉じる。

 もう一度開く。


 左。

 現在店舗の受領地点へ戻る。


「こっちも」


 至誠ちゃんが時刻を確認する。


「どちらも今なら間に合います!」


 右手は上げない。


 世達ちゃんは二枚の受領記録をクリップに挟んだ。


「受領後に、成立した方だけ記録します」


 日付欄は二枚とも空白だった。


 ◇


 秩序ちゃんが確認票を返す。


「A、受領可能」


 一枚目。


「B、受領可能」


 二枚目。


 真意ちゃんは古い用紙を透明袋へ戻した。


 二諦ちゃんは中央の線からペンを離す。


 至誠ちゃんの右手は下がったまま。


 世達ちゃんはクリップを閉じた。


 ぱむちゃんが紙袋へ手を伸ばす。


 持ち上げる。


 いつもの重さだった。


 ぱむ。


 ◇


 配送口の前。


 彷徨ちゃんが扉に触れず、脇へ退いた。


 ぱむちゃんは紙袋を持ったまま立つ。


 机には、丸の数が同じ二枚の確認票。


 その横に、日付のない二枚の受領記録。


 ぱむちゃんは振り返る。


 誰の手も上がらない。


 紙袋の持ち手が、丸い手の中で少しだけ折れた。


 ぱむ。


 ぱむちゃんは配送口へ向き直った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。