第6話「まだ届いてません」
透明袋を、二諦ちゃんは触らなかった。
外から見る。
《UNKNOWN》
「答えを出す前に、動かした時だけ見ます」
ぱむ。
◇
机には昨日の調査票。
《差出人 UNKNOWN》
《届け先 UNKNOWN》
《依頼者 UNKNOWN》
《配送物 UNKNOWN》
《未完了か UNKNOWN》
二諦ちゃんが、その横へ白紙を二枚置く。
《動かす》
《動かさない》
ぱむちゃんは両方を見る。
◇
配送口を開く。
透明袋は机に置いたまま。
いつもの廊下。
閉じる。
透明袋を机の端へ移す。
扉の表示が変わった。
《受領待ち》
ぱむちゃんが近づく。
二諦ちゃんが手を上げる。
「そこまで」
十秒。
表示が消えた。
◇
現在の配送箱の横へ置く。
《持戻》
箱へ入れる。
《再配達》
二諦ちゃんが時刻を書く。
ぱむちゃんが箱から出す。
《持戻》
「もう一度」
同じ順序。
《持戻》
《再配達》
《持戻》
二諦ちゃんは三行を囲んだ。
「位置では変わる。行き先は出ない」
ぱむ。
◇
午後。
同じ空箱を入れた紙袋を二つ並べる。
片方にだけ透明袋を添える。
《受領可能》
添えていない方の表示が消えた。
二諦ちゃんは何も動かさない。
ぱむちゃんも待つ。
表示が消える。
もう一度。
今度は左右を入れ替える。
透明袋を添えた側だけ、
《受領可能》
「箱の違いではない」
◇
夕方。
透明袋を店の内側へ向ける。
《受領可能》
二諦ちゃんが床へ印を付ける。
配送口へ向ける。
《受領可能》
もう一つ印。
ぱむ?
世達ちゃんが二つの印を見る。
「両方とも、現在の表示ですか?」
「はい」
「同時に残せますか?」
二諦ちゃんは首を振る。
「まだ試しません」
◇
閉店前。
調査票に三行だけ増えた。
《受領可能位置 複数》
《同時成立 未確認》
《成立後の他方 UNKNOWN》
床には二つの印。
ぱむちゃんは透明袋を持つ。
一つ目へ向く。
次に、二つ目へ向く。
どちらにも置かない。
二つの印の真ん中へ置いた。
ぱむ。
照明が消えた後も、二つの床印は透明袋の両側に残っていた。




