第5話「誰が頼んだんですか」
古い不在票の横に、紙が四枚並んだ。
真意ちゃんが一枚目を指す。
《確認できたこと》
「日付は、現存する配送台帳より前」
二枚目。
《確認できないこと》
「差出人。届け先。配送番号」
三枚目。
《書いてあること》
「受取人不在。再配達欄は空白」
四枚目。
《推測》
真意ちゃんは何も書かなかった。
「現状は変えないで。事実だけ残す」
ぱむ。
◇
世達ちゃんが旧書類を三枚持ってきた。
寸法は同じだった。
《配送用》
《資材移動用》
《店内引渡用》
「この紙だけでは用途を決められません」
ぱむ?
ぱむちゃんは透明袋の札を見る。
《古い不在票》
真意ちゃんがその札を外した。
新しい札。
《古い用紙》
ぱむ。
◇
秩序ちゃんが古いスタンプ帳を開く。
《受取人不在》
同じ字体。
配送記録にもある。
倉庫の資材受取にもある。
店内引渡にもある。
真意ちゃんが三箇所へ付箋を貼る。
「外へ運んだ証拠にはならない」
◇
別の箱から、端に同じ赤線のある包材が出た。
PANDEMONIUMで使われた記録はある。
年代は一致しない。
外部施設一覧には、《MONIUM》で終わる名前が二件。
仕入先台帳には、《PANDE……》から始まる名前が一件。
世達ちゃんが候補欄へ三行足す。
ぱむちゃんが紙を見る。
調べる前より、行が増えていた。
ぱむ。
◇
夕方。
調査票を作り直す。
《差出人 UNKNOWN》
《届け先 UNKNOWN》
《依頼者 UNKNOWN》
《配送物 UNKNOWN》
《未完了か UNKNOWN》
その下に、昨日の鉛筆書きが残っていた。
《PANDEMONIUMからPANDEMONIUMへの配送》
真意ちゃんが鉛筆を取る。
「その答え、誰の答え?」
誰も答えない。
一本、線を引いた。
《PANDEMONIUMからPANDEMONIUMへの配送》
「証拠が足りない」
ぱむちゃんは消された一行を見る。
透明袋を見る。
昨日の《未完了候補》も外された。
代わりに、札が一枚だけ付いていた。
《UNKNOWN》
ぱむちゃんは、その札には触れなかった。




