第4話「古い不在票」
《旧運用記録》の箱を開ける。
底に、紙が一枚貼りついていた。
世達ちゃんが端を剥がす。
「昨日落ちたものですね」
ぱむちゃんが机へ寄る。
ぱむ。
紙は黄色い。
角が丸い。
今の不在票とは大きさも違った。
◇
秩序ちゃんが新旧の用紙を並べる。
「一項目ずつ照合します」
《配送番号》
読めない。
《日付》
数字は残っている。
世達ちゃんが端末を開いた。
「この日付の配送記録はありません」
ぱむ?
「記録開始より前です」
秩序ちゃんが最古の台帳を開く。
最初のページより、不在票の日付の方が古い。
秩序ちゃんは二つの日付を紙へ写した。
◇
《差出》
擦れたインク。
《PANDE……》
《届け先》
《……MONIUM》
ぱむちゃんが二つを交互に見る。
世達ちゃんは拡大した画像を並べた。
「PANDEMONIUMとは確定できません」
秩序ちゃんが記録する。
《差出人候補 PANDE……》
《届け先候補 ……MONIUM》
《確定 不可》
ぱむ。
◇
下部だけ、印が濃かった。
《持戻理由》
《受取人不在》
その下。
《再配達》
空欄。
受領印もない。
廃棄印もない。
完了印もない。
世達ちゃんが現在の分類表を横へ置く。
「完了にも取消にも入れられません」
秩序ちゃんが三枚の札を作る。
《誰が出したか》
《どこへ届けるか》
《まだ配送対象か》
ぱむちゃんは一枚目を見る。
二枚目を見る。
三枚目を見る。
どれにも触れない。
◇
夕方。
紙は新しい透明袋へ入った。
《未完了候補》
世達ちゃんはそこでペンを置く。
ぱむちゃんが透明袋を持つ。
配送口へ歩く。
一歩手前で止まった。
表示は点かない。
ぱむちゃんは袋を見る。
戻る。
三枚の札の前へ置く。
ぱむ。
閉店の照明が一列ずつ消える。
透明袋だけが、机の灯りの中に残った。




