第3話「いつもの店」
朝七時。
PANDEMONIUM BURGERの床に、モップの跡が伸びていた。
ぱむちゃんは、その端を踏まないように歩く。
ぱむ。
厨房ではバンズが焼ける。
客席では椅子が下ろされる。
レジの端末が起動する。
◇
「これ、奥へお願いします」
小さな箱。
《ストロー 予備》
置き場所は店の反対側。
ぱむちゃんが両手で持つ。
ぱむ!
客席を横切る。
椅子を避ける。
スタッフ用の扉を抜ける。
棚の前。
「ありがとう」
ぱむ!
◇
九時十三分。
配送口の表示が一瞬だけ変わる。
《黄砂海側 接続確認》
ぱむちゃんが見る。
消える。
近くにいたクルーが時刻だけ記録した。
その横で、客がストローを落とした。
ぱむちゃんは一本拾う。
「すみません」
新しい一本を渡す。
落ちた方はゴミ箱へ。
ぱむ!
◇
十時。
駅前行きのバーガーが完成した。
通常便の箱へ入る。
ぱむちゃんは持たない。
「ぱむちゃん、トレー三枚お願い」
ぱむ!
洗い場へ行く。
一枚。
二枚。
三枚。
重ねる。
途中で一枚ずれた。
立ち止まる。
置き直す。
レジ横。
「助かった」
ぱむ!
◇
昼。
店が混んだ。
紙ナプキンを補充する。
落ちたスプーンを拾う。
空いた椅子を戻す。
厨房から客席へ注文票を一枚持っていく。
「三十二番!」
客が手を上げる。
ぱむちゃんは注文票を店員へ渡す。
ぱむ!
◇
十四時。
端末に通知。
《黄砂海 受領》
ぱむちゃんが見る。
ぱむ!
「ぱむちゃん、これ厨房へ返して」
空のソース容器。
ぱむ!
端末の前を通る。
客席を抜ける。
厨房へ置く。
「ありがとう」
◇
閉店前。
最後の客が帰る。
テーブルの端に番号札が一枚。
《37》
ぱむちゃんが持つ。
レジまで歩く。
「ありがとう。そこに置いて」
ぱむ。
置く。
厨房でベルが鳴った。
ぱむ!




