第14話「今日は行きません」
朝の配送箱。
昨日から入っていた十三枚のうち、時計店の札をぱむちゃんが取った。
《交換工具》
《希望 十時》
《通常便 十三時》
《遅れた場合 修理二件を変更》
裏。
《来ない場合 午前予約を移動》
ぱむちゃんは表と裏を見る。
配送箱へ戻した。
ぱむ。
世達ちゃんが時刻を書く。
《通常便 十三時》
それだけだった。
◇
九時。
時計店から電話。
「ぱむちゃん、今日は来る?」
「通常便で十三時予定です」
「じゃあ、ぱむちゃんは?」
世達ちゃんは少し待った。
「本日は確約していません」
「そっか」
店主が向こうで紙をめくる音。
「じゃあ十時の人を三時にする。十一時の人は明日」
「承知しました」
電話が切れる。
◇
十時。
ぱむちゃんは厨房で紙袋を折っていた。
ベル。
病棟。
《必要 十時十五分》
《現地在庫 なし》
《隣棟在庫 なし》
《通常経路 十一時四十分》
ぱむちゃんは取る。
ぱむ!
◇
十時七分。
病棟。
看護師が箱を受け取る。
「ありがとうございます」
昨日、半分だけ残した棚。
今日は空だった。
ぱむちゃんは棚を見る。
「使いました。残しておいてよかったです」
ぱむ!
箱の中身が棚へ入る。
◇
十二時五十八分。
至誠ちゃんが時計店の荷物を持つ。
「通常便、出ます!」
ぱむ!
ぱむちゃんは行かない。
◇
十三時十四分。
《時計店 受領》
修理一件、十五時へ。
一件、翌日へ。
世達ちゃんが記録する。
ぱむちゃんは見る。
その横に、店主からの追記。
《明日の人には連絡済み》
◇
夕方。
ぱむちゃんは時計店の前を通った。
店主がシャッターを半分下ろしている。
「あ、ぱむちゃん」
ぱむ。
「今日は来なかったね」
ぱむ。
「三時の人は終わったよ」
壁の予定表。
翌日に一人。
その横に、新しい予約が一人。
「空いたところに別の修理入れた」
ぱむ?
「明日に動かした人が、明日でいいって言ってくれたから」
店主はシャッターへ手をかける。
「困ったけど、こっちで動かせた」
ぱむちゃんは予定表を見る。
朝の十時と十一時は、もう別の形になっていた。
◇
店へ戻る。
世達ちゃんが一日の記録を閉じる。
《ぱむちゃん対応 五》
《通常経路 十二》
《予定変更 三》
《重大損失 〇》
その横に、昨日の紙。
《困ること:未確定》
今日の時計店の欄へ、店主自身の字が増えていた。
《来ないと分かったので変更済み》
ぱむちゃんは二枚を並べる。
昨日。
《来るか分からないのが、一番組みにくい》
今日。
《来ないと分かったので変更済み》
ぱむちゃんは、朝に戻した札を取った。
裏には《受領済》。
その下に小さく書く。
《ぱむ いかない》
世達ちゃんが読む。
消さない。
ぱむちゃんは札を箱へ戻さず、完了の束へ置いた。




