↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
27/100

第12話「正しく直しました」


 九六番は、《確認中》のトレーに残っていた。


 朝。


 秩序ちゃんが、その前に椅子を置く。


「同じ条件でもう一度やるんですか!」


「いいえ」


 机には昨日の配送票、佐伯の受領記録、新しい紙袋。


 秩序ちゃんは定規を置いた。


「測れるところを、先に切ります」


 ぱむちゃんが机の端から覗く。


 ◇


 九七番。


《西六番街六番地・共同制作棟第三室》

《受取人 佐伯》

《十二時二十分》

《商品 照り焼きバーガーセット》


 住所は登記表記。

 佐伯本人へ音声確認。

 三つの時計を同期。

 調理票と封印番号を照合。


 秩序ちゃんが四つの欄へ丸を付ける。


「ここまでは適合」


「全部です!」


「測ったものは」


 ぱむちゃんへ紙袋を渡す。


 ぱむ。


 ◇


 十二時二十分。


 第三制作室。


 佐伯は机の端を空けて待っていた。


「今日は検査付き?」


 ぱむちゃんが紙袋を差し出す。


 秩序ちゃんが入口から時計を見る。


「時刻、適合」


 佐伯が受け取る。


「照り焼き。俺の」


 封印番号。


「適合」


 佐伯が受領欄へ指を置いた。


《受領済み》


 一拍。


《誤配送です》


 佐伯の手が止まる。


 ぱむちゃんも止まった。


 廊下から台車の車輪が鳴った。


「佐伯さん、版下」


 作業着の女が、大きな紙筒を抱えて立っている。


「あ、そこ置いといて」


「前の棚でいい?」


「今はこっち。共同当番やめてから分けた」


 女は入口脇の棚へ紙筒を差した。


《第二製版室》


 古いラベルの上から、新しいラベルが貼られている。


 佐伯がバーガーの袋を机へ置く。


「昼便も、前はあっちと一緒だったんだけどな」


 女は端末の《誤配送です》を見た。


「まだ昔のままなんじゃない?」


「端末は正常です」


 秩序ちゃんが答える。


「正常で、それ?」


「はい」


 女は棚の古いラベルを見る。


「これも紛らわしいか」


 端を爪で起こす。


 古い《共同当番》の文字が、粘着音を立てて剥がれた。


 新しい《第二製版室》だけを貼り直す。


「もう一緒に受けないし」


 丸めた古いラベルを作業着のポケットへ入れ、台車を引いて行った。


 ◇


 秩序ちゃんは最初から確認した。


 住所。

 受取人。

 時刻。

 商品。

 受領。


 全部に丸。


 端末自己診断も正常。


「じゃあ、何が間違ってるの?」


 佐伯が聞く。


 秩序ちゃんは配送票を裏返す。


 何もない。


 表へ戻す。


「分かりません」


 ぱむちゃんが顔を上げる。


 秩序ちゃんは《誤配送です》を消さなかった。


 その横へ、別の一行を書く。


《第二製版室/旧共同当番》


「これは原因ですか!」


「まだ違います」


 至誠ちゃんが口を閉じる。


「今日、ここで起きたことです」


 ◇


 配送ステーション。


《確認中》のトレーに、九七番が増えた。


《住所 適合》

《受取人 適合》

《時刻 適合》

《商品 適合》

《受領 適合》

《端末 正常》


 その下。


《第二製版室/旧共同当番》


 ぱむちゃんは最後の一行を指で押さえた。


 ぱむ。


 翌日の九八番の配送票が、隣のトレーへ置かれた。


 宛先は、また第三制作室だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。