第57話 霧の中の対峙(1)
黒い外套をまとった他国魔導兵たちが、霧の中からゆっくりと姿を現した。
その数──四名!
全員が魔力装置を腰に装着し、周囲の魔力を乱す《《魔力攪乱陣》》を展開している。
セリシーヌは剣を構えた。
「……魔力が乱されていますわね……。この霧、ただの霧ではありませんわ……」
オルフェンは冷静に分析した。
「魔力攪乱陣だ! 周囲の魔力を乱し、敵の魔力制御を妨害する装置……。他国の魔導兵が使う戦術だ」
魔導兵の一人が冷たい声で言った。
「魔道庁の者よ……。ここは我々の実験場だ……。王都の魔力網を破壊するための《《前哨地》》でもある」
セリシーヌは胸を張った。
「悪役令嬢として──。王都を狙う陰謀を見逃すわけにはいきませんわ」
魔導兵は鼻で笑った。
「十三歳の子供が戦場に立つとは……。それに、自分のことを《《悪役令嬢》》と可笑しな言葉を使う……。魔道庁も人材不足か?」
セリシーヌは剣を構え直した。
「子供かどうかは関係ありませんわ! わたくしの魔力は──あなたたちより強いですもの! だから《《悪役令嬢》》と胸を張って、言わせてもらいますわ!」
「クス」と笑う、セリシーヌ嬢へとオルフェンは静かに告げる。
「セリシーヌ嬢……。魔力攪乱陣の中では、魔力の刃が揺れやすい……。《《流れを細く保つ》》ことだけ意識しろ」
セリシーヌは深呼吸した。
「……承知いたしましたわ」
(わたくしは、この者たちを倒し、この国にセリシーヌ嬢ありと言われるような、生前の夢だった《《悪役令嬢》》になってみせますわ!)
彼女は剣を強く握りしめ決意をした。
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