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ぽっちゃり令嬢は美男子を逆指名する〜前世でデブと罵られた私、美の基準がバグった異世界で無自覚に男たちを狂わせる悪役令嬢になりました〜  作者: かず斉入道
第1章 悪役令嬢に転生出来ましたわ!

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第6.5話 第一王子アルフレッド、太る修行がさらに悪化する

 セリシーヌ嬢に《《哀れな見た目》》と言われてから数週間……


 王宮では、第一王子アルフレッドの奇行がますます深刻化していた。


 そう朝の王宮食堂──


「殿下!? その皿……何枚目ですか!?」


「七枚目だ! 僕は太るのだ!!」


 アルフレッドは、ラードをたっぷり練り込んだパンケーキを、まるで戦場で敵を討つかのような勢いでフォークに突き刺していた。


「セリシーヌ嬢は言った……《《男らしい肉付きになっていらっしゃることを期待しておりますわね?》》と……」


「殿下、それはただの煽りでございます!!」


「黙れ! 僕は期待に応える男だ!!」


 侍従たちは泣きそうな顔で見守るしかなかった。



  王宮訓練場──


「殿下、なぜ鎧を……?」


「重ければ太るだろう!」


「太りません!! ただの筋力負荷です!!」


 アルフレッドは、体重を増やすために《《重いものを身につければいい》》という謎理論を思いつき、王宮騎士団用の重鎧を勝手に着込んでいた。


 結果――。


「う……うぅ……重い……。動け……ない……」


「殿下!? 倒れられました!!」


 《《骨皮筋右衛門王子さま》》は鎧の重さに耐えられず、その場でバタンと倒れた。


「セリシーヌ嬢……僕は……あなたのために……太る……」


「殿下、鎧は脂肪ではございません!!」


「そうだった……」


 《《骨皮筋右衛門王子さま》》は、御自身の肩を落とされるのだった。



 王宮図書室──


 アルフレッドは、机に山積みになった本を前にしていた。


「……太る方法……太る魔法……太る呪文……太る薬……」


「殿下!? その本は《《家畜の肥育方法》》でございます!!」


「太れれば何でもいい!!」


「殿下!! それは人間に使ってはいけません!!」


 王宮魔術師が慌てて本を取り上げる。


「殿下、魔法で太るなど不可能です! 魔力は体質です!」


「セリシーヌ嬢は《《魔力、妖力の高いふくよかな美女》》だ! ──ならば僕も……」


「殿下、魔力は脂肪では増えません!!」


「やはり、そうか……」


 《《骨皮筋右衛門王子さま》》は、はぁと嘆息を漏らされた。


 夜の王宮廊下──


 アルフレッドは、こっそり厨房へ向かっていた。


「……夜食だ……夜食を食べれば……太る……!」


「殿下!? またですか!!」


 侍女が慌てて追いかける。


「セリシーヌ嬢に《《哀れ》》と言われたままでは眠れない……。僕は……僕は……絶対に太る……!!」


「殿下、太ることよりも健康を守ってください!!」


 しかし王子は、ラード入りタルトを抱きしめながら、涙目で叫んだ。


「僕は……絶対に……太るんだぁあああああああああっ!」


 その叫びは、王宮の夜に虚しく響いた。



 王宮医務室──


「殿下……また胃を壊されましたね……」


「……うるさい……。僕は……太るために戦っているのだ……」


 医師は深いため息をついた。


「殿下、太るとは……戦いではありません……」


「違う! これは戦いだ! セリシーヌ嬢に認められるための!」


「殿下……その方向性は……本当に間違っております……」


 しかしアルフレッドは、ベッドの上で枕をぎゅっと抱きしめながら呟いた。


「……僕は……絶対に……太る……」


 その決意は、誰にも止められなかった。


 だって《《骨皮筋右衛門王子さま》》は涙を流しているからだ。



 ◇◇◇


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