第52話 オルフェンの静かな怒り
忠犬二匹が連行されていく背中を見送りながら、オルフェンは静かに言った。
「……セリシーヌ嬢。君の周囲は本当に騒がしいな」
セリシーヌは肩を落とし、少しだけ頬を膨らませる。
「私、悪役令嬢として優雅に生きたいだけなのですけれど……」
オルフェンはセリシーヌの、まだ子供らしい《《悪役令嬢》》の台詞を聞き、黒曜の瞳を細め、わずかに微笑んだ。
「君が優雅であればあるほど──周囲が勝手に騒ぎ出すのだろう」
セリシーヌは胸を張る。
「……それも悪役令嬢の宿命ですわね!」
オルフェンは苦笑した。
「宿命ではないと思うが……まあいい」
◆長官の一言
そこへ長官が戻ってきた。
忠犬二匹が連行されるのを見て、深い溜息をつく。
「……セリシーヌ嬢。君の周囲は政治より厄介だな」
セリシーヌは優雅に微笑んだ。
「わたくし、悪役令嬢ですもの」
長官は頭を抱えた。
「悪役令嬢とはなんだね? たかが少女が国家機密を揺らすとは……前例がない……」
オルフェンは静かに言った。
「前例は……君が作るのだろう」
セリシーヌは胸を張った。
「もちろんですわ!」
こうして──
忠犬二匹のざまぁ騒動を乗り越えたセリシーヌは、新たな極秘任務へと歩みを進めるのであった。
◇◇◇




