第41.5話 第一王子は“ほどほどの筋肉”を求めてまた方向性を間違え、王宮スタッフ総出で止められる(3)
アルフレッドは崩れ落ちた。
「セリシーヌ嬢ぅうううっ!! ほどほどが曖昧すぎるぅうううっ!!」
地面に崩れ落ちる、アルフレッド……ポタポタと涙を落とし、地面を濡らしている。
そこへセリシーヌ嬢が登場──
そう──庭園の奥から、セリシーヌ嬢が優雅に歩いてきた。
金糸の髪が風に揺れ、宝石の瞳がアルフレッドを射抜く。
「殿下……何をしていらっしゃるの?」
アルフレッドは涙目で叫んだ。
「セリシーヌ嬢ぅうううっ!! 僕は……ほどほどの筋肉を……!」
セリシーヌ嬢は、ふっと微笑んだ。
「殿下。ほどほどの筋肉とは……」
僕は息を飲んだ。
「……《《わたくしの隣で最も美しく見える筋肉》》のことですわ」
アルフレッドは叫んだ。
「それが一番わからないぃいいいっ!!」
侍女たちは泣き叫んだ。
「殿下!! 方向性がまた迷子!!」
近衛隊長は叫んだ。
「殿下!! その定義は軍事的に不明!!」
侍医は叫んだ。
「殿下!! 医療的に計測不能!!」
執事長は静かに言った。
「殿下……それは哲学です」
アルフレッドは再度、崩れ落ちた。
「セリシーヌ嬢ぅうううっ!! 僕の筋肉が哲学になったぁあああっ!!」
セリシーヌ嬢は優雅に微笑んだ。
「殿下。あなたはあなたらしく……わたくしの隣で堂々と立っていればよいのですわ」
僕は涙を流した。
「セリシーヌ嬢……!!」
侍女たちは泣き叫んだ。
「殿下!! 方向性がまた曖昧!!」
近衛隊長は叫んだ。
「殿下!! 結局どうすればいいんですか!!」
侍医は叫んだ。
「殿下!! 医療的に答えが出ません!!」
執事長は静かに言った。
「殿下……ほどほどとは……心で感じるものです」
アルフレッドは叫んだ。
「心で感じる筋肉って何ぃいいいっ!!」
こうして王子はまた方向性を見失う。
セリシーヌ嬢は優雅に説く。
「殿下。あなたは……わたくしの隣で美しくあればよいのですわ」
アルフレッドは胸を押さえた。
「セリシーヌ嬢……!! 僕は……あなたのために……心で感じる筋肉を……!」
侍女たちは叫んだ。
「殿下!! 絶対にまた方向性を間違える!!」
近衛隊長は叫んだ。
「殿下!! 心で筋肉は作れません!!」
侍医は叫んだ。
「殿下!! 心で筋肉を感じると医療崩壊します!!」
執事長は静かに言った。
「殿下……がんばってくださいませ」
アルフレッドは拳を握った。
「僕は……やる!! セリシーヌ嬢のために!!」
こうしてアルフレッドは、《《心で感じる筋肉》》という新たな方向性を掲げ、また迷子になりながら訓練へ進むのであった。
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