第40話 王都外縁モンスター討伐ですわ編(1)
魔道庁の地下訓練区画で第四試験を突破した翌日──セリシーヌは、ついに《《影の戦場》》へ出ることになった。
王都の外縁……
人々が知らぬところで、魔道庁は常にモンスターを討伐している。
その極秘任務に、十三歳の悪役令嬢が初めて参加するのだ。
【魔道庁・出動準備室】
薄暗い石造りの部屋で、セリシーヌは装備を整えていた。
ふくよかな体躯に合わせて調整された軽装鎧!
魔力を通しやすい特製の剣!
そして──魔道庁の黒い外套……
(……ついに、影の戦場へ……。悪役令嬢として、裏の世界で戦うなんて……。私、少しワクワクしていますわ)
そこへ、黒曜の瞳が歩み寄る。
オルフェン副院長だ。
「準備はできたか、セリシーヌ嬢」
セリシーヌは胸を張った。
「もちろんですわ……。わたくし、影の戦場でも美しく戦ってみせますわ」
オルフェンはわずかに微笑んだ。
「……その意志があれば十分だ……。君は必ず戦える」
セリシーヌの胸が熱くなる。
(……オルフェンさまの言葉……。どうしてこんなに心が落ち着くのかしら……)
【王都外縁・影の戦場】
魔道庁の転移陣が光り、二人は王都外縁へと移動した。
そこは、人々が決して近づかない森の奥……。
空気が重く、魔力が濃い……。木々の影が揺れ、獣の気配が漂う。
セリシーヌは剣を握りしめた。
「……ここが、影の戦場……」
オルフェンは周囲を見渡しながら言った。
「今回の任務は、森に出現した《《魔喰い獣》》の討伐だ! 魔力を食らう危険なモンスターだ! 王都に近づけば、魔導院も騎士団も壊滅する」
セリシーヌは目を細めた。
「……わたくしの魔力を食べようとするのかしら?」
「君の魔力は肥大化している。狙われる可能性は高い」
セリシーヌは胸を張った。
「ならば! 私は食べられる前に斬りますわ!」
オルフェンは静かに頷いた。
「その意気だ。セリシーヌ君、行くぞ!」
【魔喰い獣、出現】
森の奥から、低い唸り声が響いた。
「グォオオオオオオ……」
黒い霧をまとった獣が姿を現す。
【魔喰い獣】
【魔力を吸収し、肥大化する危険種】
【魔道庁でも討伐難度が高い】
セリシーヌは剣を構えた。
「……あれを斬ればよろしいのですわね?」
「ただ斬るだけではない! 魔力を吸われる前に、刃を維持して斬り抜けろ!」
魔喰い獣が跳びかかる。
「ガァアアアアアア!!」
セリシーヌは踏み込んだ。




