第35話 筋肉王子、忠犬たちの後を追って排水路から侵入し、別の事件を起こす!(2)
セリシーヌは叫んだ。
「あなたが来たせいで、もっと叱られますわ!!」
「えっ!」
アルフレッドが、セリシーヌに叱られ、驚嘆しても、魔道庁職員、緊急出動──
訓練区画の扉が勢いよく開き、魔法剣や魔法の杖を所持した──魔道庁職員たちが雪崩のように押し寄せた。
「排水路破壊犯はどこだ!!」
「魔力残滓が流出しているぞ!!」
「訓練区画の壁まで破損している!!」
筋肉王子は、自己中だから堂々と胸を張った。
「僕です!! セリシーヌ嬢を助けるために来ました!!」
職員たちは絶句した。
「……王子……?」
「なぜ……排水路から……?」
「どうやって通った……?」
忠犬二匹は遠くから叫んだ。
「通ってない!!」
「王子は壊して進んだんだよ!!」
職員たちは頭を抱えた。
「重罪だ……」
「排水路破壊は魔道庁の機密違反だぞ……」
「王族でも許されない……」
セリシーヌは青ざめた。
(……わたくしの仮入隊……終わりましたわね……)
「はぁ~:とセリシーヌ嬢が大きく溜息をつけば。
オルフェンが静かに前へ出た。
黒曜の瞳が、筋肉王子を射抜く。
「アルフレッド王子……。魔道庁への無断侵入──しかも排水路破壊は、重大な規律違反だ!」
《ドキ!》
王子はオルフェンの威圧に驚くが、涙目で叫び、訴えかける。
「セリシーヌ嬢が……叱られていたから……!! 僕は……守りたかったんです!! 意図的!! 悪意でしたわけではないのです!!」
オルフェンは静かに告げる。
「守りたいなら──彼女の邪魔をするな……」
王子は固まった。
セリシーヌは胸が熱くなった。
(……オルフェンさま……。わたくしを……守ってくださっている……)
職員たちはざわついた。
「副院長が王子を叱った……」
「初めて見た……」
「セリシーヌ嬢は何者なのだ……?」
そしてアルフレッド王子は、オルフェン副院長に叱られ、シュンとなり下を向いた。
◇◇◇
今回の騒ぎで、筋肉王子も瘦せ型忠犬二人と共に仲良く魔道庁から《《出禁》》になる。
長官が駆けつけ、王子を見て絶句した。
「……アルフレッド王子! 君は魔道庁への出入りを禁ずる! 次に侵入すれば──王族であろうと拘束する!!」
王子は涙目で叫んだ。
「セリシーヌ嬢ぅうううっ!! 僕は出禁ですかぁあああっ!!」
セリシーヌはため息をついた。
「当然ですわ……」
忠犬二匹は遠くで震えていた。
「王子……ざまぁ……」
「障壁を壊したぶん、僕たちより重罪だよ……」
◇◇◇




