第34話 筋肉王子、忠犬たちの後を追って排水路から侵入し、別の事件を起こす!(1)
魔道庁上層部会議室での《《ざまぁイベント》》が終わり、忠犬二匹は涙目で帰され──
セリシーヌはようやく訓練に戻れる……はずだった。
しかし。
影の戦場は、そんなに甘くなかった。
そう地上側──筋肉王子は、「うん」と頷き、決意する!!
実は地上では、忠犬二匹が魔道庁職員に連行されていくのを見て、筋肉王子アルフレッドは拳を震わせた。
「セリシーヌ嬢が……叱られている……。僕の筋肉が彼女を……。僕の《《婚約者》》を守れなかった……!」
アルフレッド王子は、さり気なく忠犬二匹にマウントと取りながら決意をした。
そうとはしらない忠犬二匹は、アルフレッドのことを想い、慌てて止めようとした。
「王子! もうやめてください!!」
「セリシーヌさまの仮入隊が取り消されます!!」
しかし、王子は胸板を張り、いつもの他人の言葉に耳を貸さない、自己中心的な振る舞いで、涙目で叫んだ。
「僕は……セリシーヌ嬢のためなら……。どんな排水路でも通る!!」
忠犬二匹は絶叫した。
「「通れない!!!」」
だが、筋肉王子は聞いていなかった。
筋肉王子、排水路へ突入──
王子は魔道庁の排水路入口へ向かい──そのまま飛び込んだ。
《ドボォォォン!!》
忠犬二匹は頭を抱えた。
「王子ぃいいいっ!!」
「絶対に通れないのに!!」
排水路は、痩せ型忠犬でもギリギリの狭さ。
筋肉王子が通れるはずがない。
しかし──
王子は必死に進んでいた。
「セリシーヌ嬢ぅうううっ!! 僕が、あなたを助けますからぁあああっ
!!」
排水路の壁が悲鳴を上げた。
《ミシミシミシ……!!》
忠犬二匹は震えた。
「やばい!!」
「排水路が壊れる!!」
だから地下訓練区画──異常警報発動!!
訓練区画の天井に、魔法の赤い光が走った。
《警告──排水路圧力異常!》
《警告──構造破損の可能性!》
セリシーヌは青ざめた。
「……え? 排水路……?」
オルフェンは眉をひそめた。
「忠犬二匹はもう帰ったはずだ! では──誰が排水路を破壊している?」
セリシーヌは頭を抱えた。
(……まさか……筋肉王子……?)
その瞬間──
訓練区画の壁が『ドンッ!!』と揺れた。
オルフェンは即座に魔力を展開した。
「《《黒曜防壁・展開》》!」
「セリシーヌ嬢、後ろへ」
セリシーヌは、頭を抱えながら慌てて下がった。
その後──排水路の壁は崩壊!!
《バキィイイイイイイン!!》
排水路の壁が崩れ──大量の水と魔力残滓が訓練区画へ流れ込んだ。
そして──
水流の中から、筋肉王子が飛び出した。
「セリシーヌ嬢ぅううう!! 僕が来ましたぁあああっ!!」
セリシーヌは絶句した。
「来なくてよかったですわ!!」
オルフェンは完全に固まった。
「……排水路を破壊して侵入した者など、魔道庁史上初だ!」
筋肉王子は胸板を揺らしながら叫んだ。
「セリシーヌ嬢!! 忠犬たちが叱られて……。僕は黙っていられなかった!!」




