第33話 魔道庁上層部が忠犬侵入を問題視し、セリシーヌに責任を問う!(2)
そしてオルフェンは──セリシーヌの方へ視線を向けた。
「セリシーヌ嬢は、魔力の質も、心の強さも、魔道庁の戦力として十分だ! それに侵入者の少年二人は、貴族の若手の中でもトップクラスの魔力や武力を誇る、将来が有望株の少年ばかりだったはずだ! そんな少年たちから、セリシーヌ嬢は信頼を得ているだけで、彼女の責任ではない……」
セリシーヌは胸が熱くなった。
(……オルフェンさま……。私を……守ってくださっているのね……)
参謀がため息をついた。
「……まあ、副院長が言う通りで、レイス侯爵家の次男、ルファード・フォン・レイスは、成人を迎えれば、この魔道庁に入隊を求めようとしていた人物なのは間違いないわけだから。この度は副院長の顔を立てて、今回は不問とする。ただし──」
長官が静かに告げた。
「セリシーヌ嬢! 君の周囲の者たちには、魔道庁への接近を禁ずる。次に侵入があれば──君の仮入隊は取り消される」
セリシーヌは背筋を伸ばした。
「……承知いたしましたわ」
オルフェンは横で静かに頷いた。
「セリシーヌ嬢は、影の戦場に必要な人材だ。仮入隊を取り消すことは、庁にとって損失だ」
長官は苦笑した。
「副院長がそこまで言うなら、彼女は特別扱いだな」
監査官がぼそりと言った。
「……副院長があれほど庇う者など、初めて見た」
セリシーヌは頬を赤らめた。
(……庇われる悪役令嬢なんて……。まるでライトノベルのヒロインみたいですわね……。なんか私が求める《《悪役令嬢》》の生きざまとは違う気が……。でも……悪くありませんわね……。気分がいいですわ)
セリシーヌ嬢は、この通り上機嫌だが、違反を犯した忠犬二匹への《《魔道庁警告書》》……。
いくら王国を担う若手のトップクラスの二人だとしても、会議室の外では──
忠犬二匹が魔道庁職員に囲まれていた。
ガルディオは震えた。
「な、なんで僕たち……?」
ルファードは涙目で叫んだ。
「セリシーヌさまのために来ただけなのに……!」
職員は冷たい声で言った。
「魔道庁への無断侵入は重罪だ! 今回はセリシーヌ嬢の嘆願で不問になったが、次はない!」
忠犬二匹は同時に叫んだ。
「「セリシーヌさまぁぁぁ!!」」
セリシーヌは会議室の扉から顔を出し、ため息をついた。
「あなたたち……本当にもう来ないでくださいませ……。わたくしの仮入隊が取り消されますわ」
忠犬二匹は涙目で叫んだ。
「「ごめんなさい!!」」
オルフェンは横で静かに言った。
「……少年たちよ! セリシーヌ嬢を守りたいなら、規律を守れ!」
忠犬二匹は震えながら頷いた。
「「はい……!!」」
◇◇◇




