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ぽっちゃり令嬢は美男子を逆指名する〜前世でデブと罵られた私、美の基準がバグった異世界で無自覚に男たちを狂わせる悪役令嬢になりました〜  作者: かず斉入道
第1章 悪役令嬢に転生出来ましたわ!

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第26話 魔力の“形”を作る訓練ですわ!

魔道庁訓練区画の奥──


第一試験を終えたセリシーヌは、剣を握りながら息を整えていた。


オルフェン副院長は、黒曜の瞳で彼女を静かに見つめる。


「……魔力の流量は、だいぶ安定してきたな……。次は──魔力の“形”を作る訓練だ」


セリシーヌは首をかしげた。


「形……ですの?」


「そうだ! 魔力はただ流すだけでは弱い! 形を持たせることで、魔法剣は初めて“技”になる!」


オルフェンは手をかざし、魔力を放った。


すると──


空気が震え、淡い光が彼の掌に集まり、《《刃の形》》を作り出した。


「……魔力の刃……」


セリシーヌは目を丸くした。


オルフェンは淡々と説明する。


「魔力を形にするには、魔力の流れを“意識”で固定する必要がある。君の魔力は多いが──形を作るには繊細さが足りない」


「繊細さ……(わたくし)に必要なものですわね」


「必要だ! 君は魔力を押し流す癖がある……。それでは形は作れない……」


オルフェンはセリシーヌの手を取った。


(……また近いですわね?)


黒曜の瞳が剣先を見つめる。


「魔力を剣に通し──。剣先に《《刃の形》》を思い描け……細く、鋭く、しかし折れないように……」


セリシーヌは深呼吸した。


「……ふぅ……」


魔力が剣に流れ──


剣先が淡く光り──


しかし。


「……あら?」


剣先の光は、丸く膨らんだ。


オルフェンは沈黙した。


「……丸いな」


「わたくしの魔力が……ふくよかですから?」


「魔力までふくよかになるな」


セリシーヌは頬をふくらませた。


「丸い刃なんて、悪役令嬢として格好がつきませんわ」


「だから訓練するんだ」


オルフェンはセリシーヌの背後に回り、彼女の手を包み込むようにして魔力の流れを調整した。


「刃を思い描け! 細く、鋭く──君の意識が形を決める」


セリシーヌは目を閉じた。


(……刃……鋭い刃……。今の(わたくし)は生前の小さくなって、他人の顔色ばかりを窺っていた……。《《あの頃》》の(わたくし)ではないのだから……。悪役令嬢が振るう、優雅で美しい刃を……。思案するの……)


魔力が剣先に集まり──


光が細く伸び──


「……できましたわ!」


剣先に、細く鋭い光の刃が形成された。


オルフェンはわずかに目を見開いた。


「……見事だ! 初めてでここまで形を作れるとは……」


セリシーヌは胸を張った。


「わたくし、悪役令嬢ですもの……。刃の形くらい、美しく作ってみせますわ」


オルフェンは静かに頷いた。


「その意識が大事だ……。魔力の形は、心の形でもある……。君の魔力は……強く、美しい」


セリシーヌは少しだけ頬を赤らめた。


(……美しいと言われるのは、悪役令嬢としても嬉しいものですわね)




第三試験の予兆……。


【魔力の形を《《維持》》する】


オルフェンは剣先の光を見つめながら言った。


「次は魔力の形を維持する訓練だ! 魔力の刃は、維持できなければ意味がない!」


セリシーヌは頷いた。


「維持するだけですわね? 簡単ですわ」


オルフェンは静かに言った。


「君の魔力は肥大化している……。維持は──最も難しい」


セリシーヌは剣を構えた。


「わたくし、やってみせますわ」


オルフェンは黒曜の瞳を細めた。


「では──始めるぞ」


その瞬間──


訓練区画の扉が、遠くで《ガンッ!!》と揺れた。


セリシーヌは振り返った。


(……今の音……まさか……)


オルフェンは眉をひそめた。


「……誰かが地下に入ろうとしているな」


セリシーヌは青ざめた。


(……忠犬たちかしら? それとも筋肉王子……?)


オルフェンは静かに言った。


「第三試験の前に──侵入者の対処が必要かもしれない」


セリシーヌは頭を抱えた。


「……お願いですから、補習授業を信じていてほしいですわ……」


訓練区画の扉が、再び『ガンッ!!』と揺れた。



◇◇◇


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