第23話 セリシーヌ十三歳、【魔道庁】極秘仮入隊ですわ編(2)
だから伯爵は、いつものように叫んだ。
「そんな理由で決めるな!!」
しかし、セリシーヌ嬢の中身は二十六歳の三宅聖子だから、くすと笑うだけ。
だから伯爵は、「はぁ」と大きな溜息を漏らし、肩を落とし。
「家のお嬢さまは……毎度、毎度、大変な騒ぎを起こす……」と嘆く。
そのころ──庭園の痩せ型忠犬たセリシーヌが会議室に呼ばれている間……
ガルディオとルファードは、庭園で震えていた。
「……セリシーヌさま、呼び出された……」
「絶対……魔法剣がバレたんだ……」
「どうなるんだ……?」
「まさか、国外追放……?」
二人は涙目で震えていた。
そこへ、筋肉王子が胸板を揺らしながら現れた。
「セリシーヌ嬢が呼ばれたと聞いて……心配で……!! 僕の筋肉で守らなければ……!!」
「方向性が違う!!」
「違う!!」
忠犬二匹が同時に叫んだ。
王宮上層部会議室……。決定の瞬間──
オルフェンはセリシーヌに告げた。
「仮入隊は極秘だ……。君の周囲の者たちには──《《魔導院補習授業》》と伝える」
セリシーヌは頷いた。
(……補習授業なら、忠犬たちも王子も納得しますわね)
オルフェンは続けた。
「訓練は、王宮地下の《《魔道庁訓練区画》》! 君の魔力を制御するための特別訓練を行う」
セリシーヌは胸を張った。
「わたくし、悪役令嬢として──影の戦場でも優雅に戦ってみせますわ」
伯爵は叫んだ。
「悪役令嬢言うな!!」と。
「優雅に戦うな!!」
こうして、セリシーヌ十三歳……
王宮極秘組織……通称《《魔道庁》》に仮入隊することとなった。
そのことは痩せ型忠犬二匹は知らない。
筋肉王子も知らない。
親戚や知人の貴族たちも知らない。
王宮の影で悪役令嬢が国を守る戦力として……。セリシーヌ嬢が生前に観た《《日本のアニメの悪役令嬢さま》》たちのように動き始めることを……
そしてこの決断が、後に──
忠犬たちの魔道庁潜入騒動 !
筋肉王子の地下訓練区画乱入事件 !
オルフェン副院長のセリシーヌ専属魔力管理任務!
など、さらなるカオスを生むことを──セリシーヌはまだ知らない。
◇◇◇




