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ぽっちゃり令嬢は美男子を逆指名する〜前世でデブと罵られた私、美の基準がバグった異世界で無自覚に男たちを狂わせる悪役令嬢になりました〜  作者: かず斉入道
第1章 悪役令嬢に転生出来ましたわ!

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第18話 忠犬同盟 vs 筋肉王子! 三つ巴イベント、開戦!

 王子が筋肉質になり、セリシーヌに褒められた翌日──


 王宮庭園は、もはや戦場の空気をまとっていた。


 なぜなら!


 痩せ型忠犬同盟(?)が、筋肉王子を完全に“敵”と認識したからである。



 ◇◇◇



「ガルディオ……あれを見ろ」


「……ああ。王子が……筋肉を揺らしている」


 庭園の中央で、王子は筋肉を見せつけるようにポーズを取っていた。


「セリシーヌ嬢ぉおおおおおおおおおっ!! 見てください!! 昨日より胸板が厚くなりました!!」


 セリシーヌは遠くから見て、頭を抱えた。


(……帰りたい)


 しかし忠犬同盟は違う。


 ガルディオは拳を握りしめた。


「……王子は危険だ! セリシーヌさまに褒められたことで……完全に調子に乗っている!」


 ルファードは地面に魔力を注ぎ込み、「はぁ!」と《《泥沼》》を発動して、掘りながら叫んだ。


「ずるい!! 僕は罵倒されたいのに!! 王子は褒められてる!! イベント量が違う!!」


「あなたのイベントは罵倒なのよ!!」


 セリシーヌのツッコミが遠くから響いた。


 しかし忠犬同盟は完全に戦闘態勢だった。


「ガルディオ、作戦は?」


「……王子の筋肉を封じる」


「どうやって!?」


「僕たち痩せ型は……機動力がある……。筋肉質の王子は……動きが重いはずだ!!」


「なるほど!! 痩せ型の機動力で翻弄するんだな!!」


「はい」


 ガルディオが頷けば。


「あなたは地面を掘るのをやめなさい!!」


 セリシーヌの声は届かない。


 そう忠犬同盟は、完全に《《王子討伐モード》》に入っていた。


 そうアルフレッド王子は、一応はセリシーヌ嬢の婚約者……。彼女の伴侶になる者だから、二人よりは少しばかり待遇がいいのは仕方がないことだと言うことを二人は忘れ、三つ巴イベントは突然始まった。


 庭園の中央で、王子が筋肉を見せつけていた。


「セリシーヌ嬢ぉおおおおおおっ!! 見てください!! 僕の肩幅!!

 あなたのために鍛えました!!」


 そこへ──


 痩せ型忠犬二匹が飛び出した。


「セリシーヌさまの前で筋肉を揺らすな!!」


「セリシーヌさまはふくよか美が好きなんだ!! 筋肉は方向性が違う!!」


 王子は固まった。


「な、なんだ君たち!? 僕はセリシーヌ嬢に褒められたんだぞ!!

 昨日、“頼りがいが出た”って言われたんだ!!」


 ガルディオは震えた。


「……それが問題なんだ」


「問題だな!! 僕は罵倒されたいのに!!」


 ルファードが拳を握り、自身の魔力で輝かせる。


「あなたの問題は別よ!!」


 セリシーヌのツッコミが響く。


 王子は胸を張った。


「僕は……セリシーヌ嬢の恋愛イベントを起こすために鍛えたんだ!! 君たち痩せ型忠犬とは違う!! 僕は筋肉と王家に伝わる七聖剣で勝負する!!」


 忠犬同盟は同時に叫んだ。


「「筋肉を鍛え、剣技で勝負するなぁあああああああああっ!!」」


 王子は後ずさった。


「な、なんでだ!? 筋肉は……男らしさの象徴だろう!?」


 ガルディオは真剣な瞳で言った。


「セリシーヌさまは……ふくよか美が好きなんだ!! 筋肉は……《《太り方》》としては不正解なんだ」


 ルファードはまた凝りもしないで、《《泥沼の魔法》》を発動して、地面を掘りながら叫んだ。


「そうだ!! 太るなら脂肪だ!! 筋肉は違う!! 罵倒の価値が下がる!!」


「罵倒の価値はどうでもいいのよ!!」


 ルファードが『罵倒! 罵倒!』と可笑しなことを叫ぶから、セリシーヌの叫びが庭園に響いた。


 王子は震えた。


「じゃ、じゃあ……僕はどうすればいいんだ……!? 太れないし……筋肉は違うし……!! 僕は……セリシーヌ嬢に褒められたいだけなのに……!!」


 王子は、自分の立場が、二人よりも優れている《《婚約者》》! 《《フィアンセ》》! だと言うことすら忘れ、顔色を変える。


 そんなアルフレッド王子の顔を色を見た忠犬同盟は、仲良く顔を見合わせた。


「……ガルディオ、どうする?」


「……王子を太らせるしかない」


「どうやって!?」


「筋肉を……脂肪に変える」


「そんなことできるのか!?」


「できないわよ!!」と「頼むから、二人は殿下につまらないことを言わないでくれる!!」


 セリシーヌのツッコミが、三人へと仲良く響く。


 その後──庭園は、痩せ型忠犬二匹と筋肉王子が入り乱れ、完全にカオスと化した。


 遠目から三人を見つめる、セリシーヌは深いため息をついた。


(……どうして(わたくし)の周り、痩せ型忠犬と筋肉王子が戦い始めるのよ……)


 その後彼女は、ふくよかな影を揺らしながら、そっと庭園を離れた。


 そのことに誰も気づかないまま、離れるが。


 それでも庭園のカオス化は収まらないのだった。



 ◇◇◇

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