表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぽっちゃり令嬢は美男子を逆指名する〜前世でデブと罵られた私、美の基準がバグった異世界で無自覚に男たちを狂わせる悪役令嬢になりました〜  作者: かず斉入道
第1章 悪役令嬢に転生出来ましたわ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/118

第2話 プロローグ:ルネサンスの夜明けは、私の体重計の上で(2)

「――セリア、セリア、我が愛しの天使! さあ、目を開けておくれ!」


 頭に響く、やけに品のある、けれど必死な男の声……。


 ゆっくりとまぶたを持ち上げると、そこは見たこともない豪華な天蓋付きのベッドの上だった。


 視界に飛び込んできたのは、映画の貴族のような格好をした、彫刻のように整った顔立ちの中年男性と、涙を流す絶世の美女……

 。

(え? ……ここ、どこ? 私、死んだはずじゃ……)


 混乱する頭のまま、自分の手を顔の前に突き出して、私は硬直した。


 白くて、短くて、まるでクリームパンのように丸々とした手……


 起き上がろうとすると、お腹の肉がたっぷりと邪魔をする。


(嘘でしょ……!?)


 這うようにしてベッドを抜け出し、部屋の隅にある大きな姿見()に縋り付いた。


 そこに映っていたのは――前世の私をそのまま縮小して、金髪碧眼にしたような、あまりにも見事な【ぽっちゃり体型の幼女】だった。


(最悪だわ……。神様のいじわる。せっかく異世界に転生させてくれたっていうのに、またこの呪われた体型なの!? 異世界の聖女とか悪役令嬢って、みんなスラリとした美少女って決まってるんじゃないの!? またデブって蔑まれて、日陰を歩いて生きるのね……!)


 絶望のあまり、鏡の前で膝をつき、しくしくと泣き出した私の肩を、先ほどの中年男性――この世界の私の父親であるブラント伯爵が、壊れ物を触るように優しく抱きしめた。


「ああ、セリア、可哀想に。高熱のせいで、そんなにやつれてしまって……!」

「……え?」


 やつれて……?


 私のどこが? どう見ても、わがままに育ちすぎたマシュマロボディだが?


 私が振り返ると、部屋に控えていたメイドたちも、一様に胸に手を当てて、うっとりとした表情で私を見つめていた。


「本当でございます、旦那さま。セリシーヌお嬢さまの、あの絹のように滑らかで、今にも弾けそうなほど豊かな白いお肌……。このブラント伯爵家に、これほど完璧な『美の結晶』が生まれるなんて、神に感謝いたしますわ」


「ああ。これほど素晴らしい肉付きの娘だ。将来は間違いなく、我が国……いや、大陸一の美姫として、社交界の男どもを狂わせる女王(クイーン)になるに違いない!」


 父親は、本気で、心から、悦びに満ちた顔でそう断言した。


 私は、ポカンと口を開けたまま、自分の丸いお腹と、涙を流して私を称える美形な大人たちを交互に見つめた。


(……待って。やつれてる? 美の結晶? 社交界の女王……?)


 その時、前世で貪るように読んだ歴史書の知識が、私の脳内でカチリと音を立てて繋がった。


 そうか。この世界は――!


 私が生前、夢にまで見た『ふくよかな女性こそが、至高の美とされる世界』なんだ。


 前世の私を散々コケにしてくれた、あの男たちの顔が脳裏をよぎる。


 私にお金を貢がすだけ、貢がせてフッた元同僚……


 私をデブと笑ったクラスメイト……


「……ふふ。あはははは!」


 幼女の可愛い声で、私は突然笑い出した!


 周囲の大人たちがビクリと肩を揺らす。


 鏡に映る私は、丸い頬を吊り上げ、実に邪悪で、最高に魅力的な笑みを浮かべていた。


 男なんて、みんなルックスだけで調子に乗る生き物だ。


 前世の私はそれを嫌というほど学んだ。


 なら、今度は私がその立場になってあげよう。


 この極上のワガママボディ(※この世界における世界遺産級の美貌)を使って、すました顔をしたイケメンどもを、徹底的に手のひらで転がして、狂わせて、依存させてやる。


「お父さま。私、お腹が空きましたわ。最高に甘くて、お肉になるお菓子を持ってきてくださる?」


 三宅聖子は死んだ。


 ここから始まるのは、美の基準がバグった異世界で、すべての男をかしずかせる稀代の悪役令嬢、セリシーヌ・フォン・ブラントの物語だ。



 ◇◇◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ