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第1話 プロローグ:ルネサンスの夜明けは、私の体重計の上で(1)
「お願いだから、もう僕の前に現れないでくれ。……視界に入るだけで、暑苦しいんだよ」
それが、三宅聖子、享年二十六歳の人生で最後に言われた言葉だった。
二十代半ばにして、体重は人生最高記録を更新中……
職場でもプライベートでも、私のふくよかな体躯はただの【デブ】として処理され、嘲笑の対象でしかなかった。
当然、恋愛なんて都市伝説……
結婚なんておとぎ話……
そんな私が唯一息を吸えたのは、古い歴史書を読んでいる時間だけだった。
(……ああ。昔の中国……唐の時代なら、楊貴妃だってふくよかだったのに……。ルネサンス期のヨーロッパの絵画を見てみなさいよ。みんな肉付きが良くて、神々しいくらいに美しいじゃない。私が生まれる時代を、あと数百年、あるいは千年以上早めてくれれば、今頃絶世の美女としてモテまくっていたはずなのに……!)
そう神様に文句を言った直後だった。
私が暗闇の中──横断歩道を歩いていると。
私の視界の端から突っ込んできた居眠り運転のトラック……鈍い衝撃……。
私の人生は、実にあっけなく、よくある異世界転生モノのテンプレート通りに幕を閉じた。
◇◇◇




