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ぽっちゃり令嬢は美男子を逆指名する〜前世でデブと罵られた私、美の基準がバグった異世界で無自覚に男たちを狂わせる悪役令嬢になりました〜  作者: かず斉入道
第1章 悪役令嬢に転生出来ましたわ!

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第11話 王宮に広まる噂、そして王子の焦り

 翌朝……


 王宮の廊下は、妙なざわめきに満ちていた。


「聞いた? セリシーヌ嬢、魔法剣を使えるらしいわよ」

「ふくよか美の上に戦闘力まで……?」

「痩せ型男子がまた増えるぞ……!」


 侍女たちの噂話は、瞬く間に王宮中へ広がった。


 そして――


 その噂は、ついにアルフレッド王子の耳へ届いた。


「……な、なにぃ!? セリシーヌ嬢が……魔法剣……?」


 王子は、手に持っていた《《太るための高カロリースープ》》を盛大にこぼした。


「僕は……太ろうとしても太れないのに……。セリシーヌ嬢は……ふくよかで……。しかも剣まで……!? 魔法まで……!? どういうことだ!!」


 側近が慌てて駆け寄る。


「王子、落ち着いてください! スープが……!」


「落ち着けるか!! 僕は……セリシーヌ嬢にふさわしい男になりたいんだ!! なのに……太れないし……剣も魔法もできないし……!!」


 王子は拳を握りしめた。


「決めた!! 僕も剣と魔法の訓練を真剣にする!! 太るだけじゃ足りない!! 強くもなるんだ!!」


 側近は青ざめた。


「……王子、以前も訓練で倒れましたよね……?」


「今は違う!! 僕は以前よりも筋肉と呼ばれる、異形の物が、僕の身体についたから大丈夫だ!! 心配するな!! それに僕は本気だ!! セリシーヌ嬢が魔法剣を使えるなら……。僕も使えるはずだ!!」


(※使えません)


 それなのにアルフレッド王子は、剣の訓練に本気で挑む。


 そして失敗する……。


 その様子がこれなのです。


 訓練場──


 王子は、少し筋肉もついたが、ふくよかな体ではない、痩せた体に似合わない大剣を持っていた。


「よし……まずは剣だ……! セリシーヌ嬢のように……刃に魔力を流して……!」


 側近が慌てて止める。


「王子、それは魔法剣用の訓練器具です! 初心者が持つものでは――」


「うおおおおおおお!!」


 王子は大剣を振り上げた。


 その瞬間──


 《ぶんっ》


 剣が軽々と空を切り――


 王子の体が、剣の重さに負けて後ろへ吹っ飛んだ。


「ぎゃぁあああああああああ!!」


 側近たちが叫ぶ。


「王子ーーー!!」


 王子は地面に転がりながら叫んだ。


「な、なんでだ……!? セリシーヌ嬢はあんなに軽々と剣を振っていたのに……!! 僕は……。僕は……!!」


(※セリシーヌは鍛えているし、ふくよかなうえに、お相撲さんと同じく筋力もある)



  王子、魔法の訓練に挑む。


 そしてもっと失敗する……。



 王子は、魔法陣の前に立った。


「よし……次は魔法だ……! セリシーヌ嬢は魔法剣を使えるんだ……

 彼女の婚約者である僕も魔法くらい……!」


 側近が震える声で止める。


「王子、魔法は体力を使いますから……。太る前にやると危険です……!」


「僕はやる!! セリシーヌ嬢のためなら!!」


 王子は魔力を込めようとした。


「う……うぅ……! 魔力が……出ない……!? なんでだ……!? セリシーヌ嬢はあんなに簡単そうに……!!」


(※セリシーヌは鍛えているし、生まれ持った魔法の才能とふくよかなので魔力の保持量が多い)


 側近は泣きそうだった。


「王子……。魔力は体質と鍛錬の問題でして……。太るだけでは増えません……!」


「じゃあどうすればいいんだぁあああっ!」


 王子は魔法陣の上で倒れた。


 まあ、アルフレッド王子は倒れるだけならばいいけれど。


 金髪碧眼の王子さまは……痩せ型忠犬同盟を見て絶望する。


 訓練場の隅で倒れていた王子の耳に、聞き慣れた声が届いた。


「セリシーヌさまぁああああああっ!」


「セリシーヌさまっ……!!」


 アルフレッド王子は顔を上げた。


 そこには――


 痩せ型忠犬同盟(?)の二人が、セリシーヌの後ろを歩いていた。


 ガルディオは真剣な瞳でセリシーヌを守り、ルファードは嫉妬で地面を掘りながらついてくる。


 王子は震えた。


「な……なんでだ……!? なんで痩せ型の男ばかり……。セリシーヌ嬢に懐くんだ……!? 僕は……太りたいのに太れないのに……。剣も魔法もできないのに……!!」


 側近はそっと王子の肩に手を置いた。


「……王子、まずはスープを飲みましょう」


 王子は涙目で叫んだ。


「スープじゃ嫌だぁああああああっ! 僕もセリシーヌ嬢に褒められたいんだぁああああああっ!」


 庭園に、王子の絶叫が響いた。


 セリシーヌは遠くからその声を聞き、深いため息をついた。


「……もう帰りたい」



 ◇◇◇


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