表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぽっちゃり令嬢は美男子を逆指名する〜前世でデブと罵られた私、美の基準がバグった異世界で無自覚に男たちを狂わせる悪役令嬢になりました〜  作者: かず斉入道
第1章 悪役令嬢に転生出来ましたわ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/115

第9.5話 第一王子アルフレッド、ついに太ることに成功するが、別の問題が発生する

 セリシーヌ嬢に《《哀れな見た目》》と言われてから半年……


 むくみが取れた結果、さらに痩せてしまった第一王子アルフレッドは、王宮の誰もが止められない《《太る修行》》を続けていた。


 そして! ついに! その日が来た!


 王宮医務室・早朝──


「殿下……。その……。ついに……」


「ついに……?」


「……太りました」


「な、なんだってぇええええええっ!?」


 アルフレッドはベッドの上で跳ね起きた。


 侍女たちが「殿下が太った!?」とざわめく。


「どれくらいだ!? どれくらい増えたんだ!!」


「……五キロほどです」


「五キロ!! やったぁぁぁぁぁ!!」


 アルフレッドは医務室で万歳し、喜びのあまりベッドの上でぴょんぴょん跳ねた。


「セリシーヌ嬢……。僕は……ついに……。太ったんだ……!」


 しかし医師は、困ったように眉をひそめた。


「殿下……。その……。増えたのは……脂肪ではなく……」


「脂肪ではなく?」


「……筋肉です」


「筋肉!?」


 アルフレッドは医師の説明を聞き、首を傾げる。


 だから王宮医務室で説明タイム……


「殿下が《《運動しない》》と言いながら、むくみ改善のために行ったストレッチや軽い運動が……。殿下の体質と魔力の影響で、異常な筋肉増加を引き起こしたようです」


「筋肉が増えた……?」


「はい。殿下の体質は《《筋肉がつきやすい魔力体質》》だったようで……」


「そんな体質いらない!! 僕は太りたいんだ!!」


「殿下、筋肉は太るとは言いません!!」


「知ってるよー! それぐらい! 馬鹿な王子だと陰口と囁かれる僕でさえー! うわぁ、ああああああん! 僕はどうしたらいいんだー!」


 王宮医務室のベッドの上で、骨皮筋右衛門王子は、今日も絶叫をあげるのだった。



  王宮廊下の午前……


 アルフレッドは鏡を見て絶望した。


「な……なんだこの腕は……!!」


 そこには――


 むくみが取れた美少年の顔に、うっすらと割れた腹筋 ……。引き締まった二の腕 ……。しなやかな太ももがついていた。


「僕は……痩せた上に……筋肉までついている……!!」


 侍女たちはざわめいた。


「殿下……なんて美しい……! まるで彫刻のようです……!」


「筋肉がついたことで、さらに美しさが増してしまわれた……!」


 しかし当の本人は絶望していた。


「美しくなってどうする!! 僕は《《ふくよか》》になりたいんだ!!」


「殿下、それはこの世界では《《脂肪》》のことです……」


「分かっている!! だから太りたいんだ!!」


 アルフレッドは壁に頭を打ちつけた。


「セリシーヌ嬢……僕は、将来君の横に並ぶ者として……。あなたに《《哀れ》》と言われたままではいられない……!」


 アルフレッドは、今日も凝りもしないで、決意をする。



 王宮訓練場・午後──


「殿下、今日は軽い運動を……」


「軽い運動!? そんなものでは筋肉がついてしまう!!」


「殿下、筋肉がつくことは健康です!!」


「僕は筋肉ではなく脂肪が欲しいんだ!!」


 騎士団長が泣きそうな顔で訴える。


「殿下、筋肉は王族として必要な力です……!」


「いらない!! 僕はふくよかになりたいんだ!!」


「殿下ぁああああああっ!!」


 ああ、騎士団長もまた骨皮筋右衛門王子の我儘のために、絶望の闇がうつるのだった。




 王宮厨房・夜──


 アルフレッドは、筋肉がついた美少年の顔で、こっそり厨房に忍び込んでいた。


「……夜食だ……。夜食を食べれば……。脂肪がつく……!」


「殿下!? またですか!!」


 侍女が慌てて追いかける。


「筋肉がついたせいで、余計に痩せて見える!! これは危機だ!!」


「殿下、筋肉は健康の証です!!」


 しかしアルフレッドは、ラード入りタルトを抱きしめながら涙目で叫んだ。


「僕は……絶対に……太るんだぁぁぁぁ!!」


 今日も凝りもしないで、アルフレッドは、侍女と楽しそうに、【鬼ごっこ?】をする。


 だから骨皮筋右衛門王子には、新たな問題が発生する。


 翌朝……


「殿下……。その……。お体が……」


「僕の体がどうした?」


「……筋肉が……さらに発達して……」


「発達して?」


「……肩幅が広がっております!!」


「な……、なんだってぇええええええっ!?」


 アルフレッドは鏡を見て絶叫した。


「肩幅が広がっている!! 男らしくなっている!! 太るどころか《《イケメン化》》している!!」


「殿下、それはむしろ良いことです!!」


「良くない!! 僕はふくよかになりたいんだ!!」


 アルフレッドは床に崩れ落ちた。


「セリシーヌ嬢……。僕は……。あなたに認められるために……。太ろうとしているのに……。どうして……。どうして僕は……。痩せて筋肉がついていくんだぁああああああっ!」


 侍女たちは泣きながら叫んだ。


「殿下!! その方向性は本当に間違っております!!」


 しかしアルフレッドは、筋肉がついてさらに美少年化した顔で、枕をぎゅっと抱きしめながら呟いた。


「……僕は……絶対に……太る……!!」


 その決意は、誰にも止められなかった。


「あああ、可愛そうな、(わたくし)たちの殿下~!」


 だから今晩も、アルフレッド王子の侍女(親衛隊)たちは、夜空にきらめく星を見ながら、両手を胸の前で合わせ、握りしめ、祈るように嘆くのだった。



 ◇◇◇


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ